第10章 雪音ちゃんと村娘達 106〜 雪音ちゃん一行と冒険者パーティー、亡者達と戦う!〜
冒険者達の前で魔法を無詠唱で使うと後々面倒なことになるから、私は天上界の倉庫にしまってある赤黒く怪しく光るいつもの大鎌を赤い宝珠を口に咥えた龍の杖にモードチェンジしてから手元に召喚し、それを「えぃ♪ えぃ♪」と振って、古代の武器っぽく見える龍の杖の力で無詠唱魔法を使ってるように見せかけながら、三日月状の炎の斬撃をいくつも飛ばして近付いて来る人型ゾンビやゾンビ犬、ゾンビ猪達を次々と斬り刻んで燃やしていった!
もちろん、4人の冒険者達に近付くゾンビ達も冒険者達が苦戦し過ぎないように、でも楽にも倒せないように魔法でゾンビ達を倒して数を調整しておいた! 楽に倒せちゃうと亡者を引き寄せちゃう魔剣を手放してくれないかもしれないからね!
『それにしても、ゾンビ系は四肢を斬り落として燃やせば倒せるのに、スケルトン系の亡者ってどうすれば倒せるのかな? さっきっから壊しても壊してもゲームみたいに元の形に戻っちゃうんだよネー。骨はどう見ても浮いてるし、アレってどうやって宙に浮いてるんだろう? 風の魔法とかなのかなぁ?』
私は思ってることをラピに愚痴ってみた!
『氷漬けにしちゃえば良いのに、雪音ちゃん、どうして氷漬けにしないんですかー? さっきから珍しく炎系の魔法を使っていますよねー?』
ちなみにラピとのこの会話はテレパシーの魔法を使って会話してるよ! ちょっと離れた所でお互い戦ってるからね!
『やー、ゾンビとかスケルトンみたいなアンデッド系の魔物って炎で浄化するのが定番かなって思ったからなんだけど、そう上手くはいかないみたいだね? スケルトンって炎の魔法ぶつけると燃えてるのにいつまでも平気な顔して攻撃して来るんだよ? ゾンビも燃やせば燃えながら攻撃して来るけど、あっちは時間が経てば徐々に動きが鈍くなって行くって言うのにさぁ?』
スケルトンってゾンビと違って余分なお肉がついてないからか結構動きが速いんだよネー。ノロマな人型ゾンビばっかり相手してる時に人型ゾンビ達の肉壁の間からスケルトン犬とかが急に飛び出して来ると超ビビるんだよ! 分かるでしょ!? まぁ、反応はできるから問題はないんだけどね?
おっと、今度は燃える骸骨猪が突っ込んで来たよ! えっ、なんで燃えてるのかって? 別に私が燃やしたんじゃないよ? 私の飛ばした炎の斬撃で四肢を斬り飛ばされて地面で燃えてたゾンビに自分から近付いてバーニングしたんだよ! 脳味噌なんてないのに頭の良い骸骨猪だよね!
私は手に持ってる龍の杖を振り下ろして緑色の三日月状の風の斬撃を飛ばし、突進して来た燃える骸骨猪を左右真っ二つに斬り裂いた! けれど、私によって左右に斬り裂かれたはずの燃える骸骨猪のそれぞれの半身はそのまま私の後方へと走り続け、しばらくするとくっついて元通りになっちゃった!
『ありゃりゃ、またくっついちゃったよ。ラピの言う通り氷漬けにしちゃった方が良いのかもね?』
『はい、その方が楽だと思いますよー?』
私とテレパシーの魔法で会話しながらラピは襲い掛かって来るスケルトン達をドンドン氷漬けにしていった! 氷の彫像と化したスケルトン達は次々と活動を停止していく!
じゃ、私も氷漬けにしていこうかな? 私は再度突進して来る燃える骸骨猪に向かって水色の三日月状の氷の斬撃を飛ばし、燃える骸骨猪の身体を左右真っ二つにしてあげた! 斬り裂かれた所から骸骨猪の身体は一気に凍り始め、全身が氷漬けにされると地面にゴトンと倒れてその活動を停止した!
仲間が倒されても気にせず襲い掛かって来る亡者達を氷漬けにしながら私はふと思った! 三日月状の斬撃ばっかり飛ばすのも芸がなくて面白くないから、仁◯の守護霊みたいなの魔法で作っちゃおうかなぁ〜? そんでもって、周りに冒険者達がいなかったら、触れたら氷漬けになっちゃう氷属性の鳳凰をビューンと飛ばしたり、鳳凰の翼から氷の羽根をシュババババ!ってたくさん飛ばしたり? 鳳凰に翼をバタつかせて氷属性の竜巻を飛ばさせるのもアリだよね! 氷属性のうささんいっぱい作って一斉に突貫させるのも可愛くて面白いかも♪
なーんてこと考えてたら、
「がぅがぅ♪ がぅがぅ♪ あぉ〜ん♪」
と雪狼のクゥーの楽しそうな鳴き声が聞こえて来たので、そっちを見てみると、クゥーは骸骨兵士や骸骨犬に向かって楽しそうにおっきな氷塊をお空から落っことしてスケルトン系の亡者達の骨を粉砕し、その際に生じるポキポキ、ペキョペキョといった骨の折れたり砕けたりする音を楽しんでいた!
うーん、落っことした氷塊の重みでスケルトン達の再生活動を封じてるよね、アレ……。oh〜、クゥーにスケルトンの討伐数負けてるかも……。骨、噛み噛みできないならいっそ壊しちゃえー!って思ったのが氷塊を落っことし始めたきっかけなのかなぁ? 私も頑張ろうっと!
「もぉ〜、どうして私の方にばかりロトン系の亡者どもが集まって来るんですのぉおお!? あなた達、醜いだけでなく臭いんですのよぉおおおおお!!!」
ゴスロリっぽい服を着たツインテール吸血鬼のラスィヴィアは長く伸ばした10本の爪に炎を纏わせて、両手を前に突き出して自身のたわわに実った爆乳を掴んでかぶりつこうとして来るゾンビどもの両腕をひらりひらりと躱しながら、すれ違いざまに不埒なゾンビどもの両腕や頭を次々と斬り落とし燃やしていった!
おぉ〜♪ 暗闇の中だと炎で赤く光るラスィヴィアの斬り裂く爪の連続攻撃の軌跡がとっても綺麗だね♪ まぁ、その時にゾンビの腐った顔とか身体がハッキリ見えちゃうのはご愛嬌なんだけどさ? それにしても、普段の変態っぷりダメっぷりからは想像できないぐらい格好良いよね?
「ラスィヴィアさんのおかげで不快な物を見ないで済んで嬉しいのですよー♪ ラスィヴィアさーん、その調子で頑張ってくださいねー♪ 帰ったらお尻を踏んであげるのですよー♪」
ラピはゾンビ系の亡者と戦わないで済んでとっても嬉しそうだ! でも、おっきな声で変態発言は止めてよね!? 私達だけならともかく他の人達がいるんだからさあ!? あと、なんでテレパシーの魔法使わないのよ!?
「ラピ様、それは本当ですの!? 私、滾って来ましたわぁ〜ん!!」
ラピの変態発言によってやる気を出したラスィヴィアが、新たに迫り来るゾンビ系の亡者の群れに向かって嬉々として突っ込んで行ってしまった!
「ラスィヴィア、はぁはぁ言いながら嬉しそうな顔してゾンビ達を斬り刻んで行くのは止めようよ……。なんか危ない人みたいだよ……」
私はちょっと頭が痛くなって来た!
『雪音ちゃん! 黒山羊のロトン系が横からたくさん現れましたー!』
『えっ!? 嘘でしょ!? しかも、巻き角タイプだから電撃飛ばして来る奴じゃん!?』
私は4人の冒険者達がゾンビ黒山羊の電撃にやられないように電撃や雷を吸い寄せる魔法の杭を4人の冒険者達の上空にたくさん作って、それを地面に向かって急いで撃ち込んだ!
◇◆◇
「あ、あれを見てください!!」
「腐った黒山羊じゃねえか!?」
「あの角の形、電撃飛ばして来る奴だぞ!?」
「俺ら、終わったじゃん……」
ロリコン剣士ライト、短気のマッド、リーダーのピート、チャラ男のマイケルは絶望した!
ゾンビ黒山羊達の金眼がピカッと光ると頭から生えた2本の巻き角に黄色の電撃がバチバチと帯電し始めた! そして、タメが終わったと同時に4人の冒険者達に向かって触れた者に大ダメージを与える電撃が解き放たれる!
「も、もうダメだぁああ!?」
「クソッ、こんな所でぇええええ!?」
「雪音ちゃんのあの小振りな胸、揉んでおけば良かったぁああああ!!」
「ライト、こんな時に馬鹿なこと言ってんじゃ、うわぁあああ!!!」
「あ、あれ?」
「電撃が来ない?」
「い、生きてる? なんで?」
「お、おい、あれを見ろ! 電撃が地面に吸い込まれて」
「地面に……、杭? ビリビリスパイダーの糸を巻き付けた吸雷の杭か!?」
「あなた達、ぼけっと突っ立ってないで今のうちに攻撃!」
「「「「は、はい!」」」」
私の指示で我に返った4人の冒険者達は電撃を放っているせいで身動きの取れないゾンビ黒山羊達に近付いて攻撃し、とどめを刺していった!
ちなみに彼らが安全に攻撃できたのは、ゾンビ黒山羊達が彼らに向かって新たに飛ばそうとした電撃を私がゾンビ黒山羊の周囲の地面に電撃を吸い寄せる魔法の杭を新たに撃ち込んで電撃を逸らしてあげたからと、ラピがゾンビ黒山羊達の足に氷の槍を飛ばして貫き、その足を凍らせて逃げられないようにしてあげたからだよ!
「ふー、なかなか大変だったのですよー」
「がぅがぅ」
「うぅ、身体にアイツらの臭いが移って臭くて臭くてたまりませんわぁ〜ん」
「みんな、お疲れ様〜。はい、消臭魔法だよ? どうかな?」
「雪音様、感謝致しますわぁ〜ん♪ できれば私、お風呂にも入りたいところなのですけれど?」
「がぅがぅ♪」ぼくも入りたーい!
「それは私も同じ気持ちだけど流石にお風呂は我慢してね?」
「近くに川でも流れていたら水浴びができるんですけどねー?」
「えー、ロリコン剣士さんとそのお仲間さん達が一緒だから川が近くにあってもヤなんだけど?」
「目を潰してしまえば問題ないのですわぁ〜ん」
「ラスィヴィア、ザルガーニの目みたいに簡単に潰そうとしないでくれる?」
「残念ですわぁ〜ん」
「別に服を脱がなくても、そのまま川に入っちゃえば良いと思いますよー?」
「がぅがぅ♪」
「服が透けて地肌が見えちゃうからダメに決まってるでしょ! 特にラピは私と違ってブラつけてないんだから、お胸のポッチとか見えちゃうでしょ!?」
「雪音ちゃん、私のこと心配してくれるんですねー♪ 嬉しいのですー♪」
「当たり前じゃん!」
「雪音様、私の心配もして欲しいのですわぁ〜ん」
「えっ、ラスィヴィアの着てるゴスロリっぽい服は生地が厚いんだから水に濡れても透けなさそうだよね?」
「うぅ、雪音様は私に冷たいのですわぁ〜ん」
むむむ、透けないと思ったから声掛けなかっただけなのにラスィヴィアめんどくさいなぁ〜?
「とりあえず、どうせすぐにまた次の亡者の団体さんがやって来て、のん気に川で水浴びなんてしていられないんだから、この話はおしまい! ラスィヴィアには今度私の血で出来た鉤爪型の武器作ってあげるって言ったでしょ? 私のこと冷たいとか言うなら作ってあげないよ?」
「雪音様、それはラピ様の血で作っていただけると言う話になったのではなかったかしらぁ〜ん?」
突っ込み入る所そこ!? でも、ラピの血はすっごく美味しいからそこを譲ることができないラスィヴィアの気持ちも分からないではないけどね? それは置いといてっと。
「血で武器を作るには結構な量の血が必要だから、右手の鉤爪を私の血で、左手の鉤爪をラピの血で作った方が良いかなって思ったからだよ! 日数掛かっても良いなら両方ラピの血で作っても良いんだけどね? でも、ラピの血を使うにしても武器を作るのは私なんだよ、ラスィヴィア? 血の提供はラピからのご褒美だけど、私はラスィヴィアからなんにもしてもらってないよね? それなのにラスィヴィアは私のこと冷たいってゆーの?」
「ラ、ラピ様ぁ〜、雪音様が私のことをいじめて来るのですわぁ〜ん」ぐすんぐすん。
そう言ってラスィヴィアはラピに抱きつき泣き真似をした! その際、おっきなお胸同士がぶつかりあって、その形を大きく変えている!
「雪音ちゃんは私にぞっこんですから仕方ないのですよー♪ ラスィヴィアさんには帰ったらさっき頑張ってくれたご褒美にお尻を足でグリグリして可愛いがってあげますので泣かないでくださいねー♪」
ちょ、いじめてないし!? 冷たいとか言われてショックだったから無償で武器作ってあげる私、優しいよね?って言いたかっただけなのに!?
ってか、ラスィヴィア! ラピに抱きつきながら「はぁはぁ♡ ラピ様柔らかくて美味しそうで私興奮して来てしまいましたわぁ〜ん♡」とか言ってラピに頬擦りし始めるの止めてくれる!? 氷漬けにしちゃうわよ!?




