第10章 雪音ちゃんと村娘達 104〜 雪音ちゃん、変態魔剣とお話する!②〜
少し透けてる黒水晶?の身体でできた魔剣ディーアの意識体に向かって、私はさっきディーアの言った聞き捨てならない発言に関してもっと突っ込んで聞いてみることにした!
『あ、あのねディーア。ご機嫌なところ悪いんだけど、ディーアは私の質問に前者でもあり後者でもあるって言ったよね? さっき亡者の群れが村にやって来たんだけど、それってもしかしてディーアが呼び寄せたの?』
すると、魔剣ディーアはエッヘンとメロンみたいにおっきなお胸を張って ( 黒水晶で出来てる身体だからか、ぷるるんと揺れたりはしなかった! ) ドヤ顔しながら、こう言ってのけた!
———— もちろんなのじゃ! それが妾の使命じゃからな! ————
のぉ〜〜!? それってもしかして、もしかしちゃうのかな!? 私は聞くのが怖かったけど、さらに聞いてみた!
『ね、ねぇ、ディーア? もしかして私が貴女に流し込んだ魔力って亡者達を呼び寄せるのに一役買っちゃってたりとかするのかな?』
———— うむ! お主のおかげでいっぱい亡者どもを呼び寄せるができたのじゃ! 注がれた魔力が極上だったからか亡者どもの食い付きが凄くて妾もびっくりだったのじゃ♪ ————
あぁあああああああ!? 村に亡者の群れが来たの、私のせいだったよぉおおおおお!? 村のみなさん、ごめんなさいぃいいい!!! で、でもでも、私が魔力注いで割とすぐに亡者の群れが村に入り込んだんだから、全部が私のせいじゃないよね!?
『ねぇ、ディーア!? さっき私が出させた黒い炎って魔物を呼び寄せる合図とかだったりしないよね!? さっき村に入り込んだ亡者達って時間的に私がディーアに注いだ魔力に引き寄せられちゃった亡者じゃないよね!? あれはディーアを発見したロリコン剣士さんとそのお仲間さん達がダンジョンでディーアに注ぎ込んだ魔力の分だよね!?』
雪音ちゃんは責任転嫁に必死であった!
———— そのように早口でまくし立てないでもよかろうに。お主はせっかちじゃのう? 妾のことは散々焦らしておいて、いや、焦らされるもアレはアレで良いものなのじゃが ————
『良いから早く私の質問に答えて!!』
私の身体から青い電撃がバチバチッと放電された!!
———— わ、分かったのじゃ! では、お主の質問に1つずつ答えていくのじゃ! ま、まず、黒い炎を発動させることで亡者どもを強制的に呼び寄せることも可能なのじゃ! そして、妾がお主に言われて黒い炎を発動させた時、当然亡者どもに呼び掛けておいたのじゃ! ただ黒い炎を発動させるだけではせっかくの魔力がもったいないと思ったのじゃ! ————
『な、なんて余計なことを……』
プルプルと震える私の握り拳! 青い電撃が私の手で激しくスパークする!
———— じゃ、じゃが、黒い炎など出さなくとも妾の存在自体が一定時間毎に亡者どもを引き寄せるのじゃ! 先程、村に入って来た亡者どもがそれなのじゃ! スケルトンズ・ウエイルの亡者どもは妾の魅力にメロメロじゃからな! ————
村に入って来た亡者達は私のせいじゃなかった!? セェーーーフ! 私、セェーーフ!!
ってことは私が魔剣に魔力注ぎ込んで黒い炎をディーアに使わせた時にディーアに呼び掛けられた亡者達はこれからやって来るってことだよね!? うん、それは村に辿り着く前に私が責任持って退治しておくよ!! あー、もう、変な汗かいちゃったじゃない……。
———— さぁ、妾はお主の質問に答えたのじゃ♪ はよぅ、お主の魔力を妾の身体に注ぎ込むのじゃ♪ ————
『あともう1つ質問があるんだけど、ディーアは亡者達に近寄って来るのを禁止したりダンジョンに帰れとかって命令を出せたりはしないの?』
———— 妾の身体に魔力が残っている限り、それは無理な相談なのじゃ! ただ、接近禁止の命令などはできぬが黒い炎を発動した状態の妾の身体で亡者どもを斬れば、亡者どもは無数の白い光の粒子となって消滅するのじゃ! 試練の宝剣の所有者が絶体絶命の状況に陥ってしまった時の救済措置という奴じゃな! ————
ほうほう、魔力が残ってなければ亡者達が引き寄せられることはないと!
『じゃあ、さっき黒い炎出した時、最後の方ってドンドン火の勢いが弱まって勝手に消えちゃったよね? なら、魔力ってもうほとんど残ってないんじゃ』
———— あれは演出なのじゃ! ————
はい? 演、出?
———— お主が黒い炎を見たいと言っておったからの! 黒い炎が消えればまた妾に魔力を注ぎ込んでもらえると思ったのじゃ! ————
な、なんですとぉおおお!?
『えっ、じゃあ、今ディーアの中にある魔力ってどれぐらいの時間、亡者達を引き寄せちゃうの!?』
———— 1年近くは引き寄せられるのじゃ! ————
『なっ!? 1年近くも亡者達を引き寄せることが可能な魔力が補充されてるんだったら、もうこれ以上私の魔力欲しがらなくても良いじゃん!?』
———— 妾がダンジョンで発見されたのは実に100年ぶりのことなのじゃ! それで妾の魔力も尽き掛けておったから、あと99年分の魔力は欲しいのじゃ! ————
危険人物に ( 魔剣だけど! ) 100年分の魔力なんてあげられないよ!? よし! とっとと、この亡者ホイホイの魔剣をダンジョンに捨てに行くことにしよう!!
『えっとね、ディーア、先に謝っておくけど貴女にこれ以上ここで魔力をあげることはできないの!』
———— どど、どうしてなのじゃ!? 妾はお主の質問にきちんと答えたではないか!? お主、妾を謀ったのか!? ————
『貴女に魔力をあげると魔物を引き寄せちゃうんでしょ? ここは貴女のいたダンジョンの中じゃないの。ダンジョンの外には亡者達と戦えない一般人もいっぱいいるから、その人達が引き寄せられた亡者達の被害を受けないように、これから貴女をダンジョンに戻しに行こうと思うの!』
———— なんじゃと!? 妾のご主人様になってくれぬと申すのか!? 妾に期待させておいて、それはあんまりな仕打ちなのじゃ!? ————
『ちょ、魔力をあげるとは言ったけど貴女のご主人様になってあげるだなんて私一言も言ってないからね!? ダンジョンの元あった場所に戻したあとにだったら魔力をいっぱい注いであげるから、それで我慢して欲しいな!?』
魔剣ディーアがダンジョンの外に出られないように私がダンジョンの入り口に厳重な結界魔法を張ったあとに魔力を注いであげるんだったら多分問題ないよね!? 元々、ダンジョン内専用・持ち出し禁止の武器だった訳だし!
———— イヤなのじゃ、イヤなのじゃ! 今、欲しいのじゃ! お主がそのように妾に冷たいことを言うのであれば妾にも考えがあるのじゃ! ————
魔剣ディーアの意識体が地面に突き刺さっていた魔剣を引き抜き、剣先をビシッと私に向けて来た!
『な、何をするつもりなの!?』
———— ここに亡者どもをいっぱい呼び寄せるのじゃ! ————
『そ、それはダメぇええええ!!』
倒すのは簡単でも数が多いのはめんどくさ過ぎるからイヤぁあああ!!!
———— ならば今すぐ妾にお主の魔力を注ぎ込むのじゃ! ————
『じゃあ交換条件!! 亡者達を消滅させる黒い炎を出すための呪文なり言葉を教えて! さっきピンチの時の救済措置って言ってたでしょ? 知らなきゃ使えないんだから黒い炎の出し方を教えてちょうだい! 教えてくれたらお腹いっぱいになるまで魔力を注いであげる!』
———— むぅ〜、妾が命令しておると言うのに、どうしてお主がまた命令を……。まぁ良い、教えてやるのじゃ! 亡者どもを無に帰する黒い炎は冒険者達に試練の続行はもう無理じゃな!と妾が判断した時に妾の意思で発動するものなのじゃ! ゆえに、それは無理な相談なのじゃ! ————
なっ、自分の好きな時に発動できないってゆーの!? そんなことないよね!?
『ディーア、脅すようなことはしたくないんだけど、私ってティア様って言うこの世界の神様から魔法の袋貰ってるの。知ってるよね、魔法の袋? 袋の中は時間が止まってる場所なんだけど、そこに入ってずぅーーっとお外に出られなくなるのと、素直に話して私から魔力を補充してもらってダンジョンに大人しく帰るの、どっちが良いかなぁ?』
私は悪魔のような笑みを浮かべながら魔剣ディーアを脅迫した! あっ、私、見た目は人間だけど魔族だから「ような」は要らなかったね!
———— ま、魔法の袋じゃと!? 仲間に聞いたことがあるのじゃ! そこに入れられ、うっかり存在を忘れられてしまうと永久にそこから出してもらえなくなると言う悪魔のような袋の話を! わわ、分かったのじゃ! 今作るから、ちょっとだけ待つのじゃ! ど、どのような言葉にすれば、あわわわ!? ( 魔法の袋に閉じ込められるのは真っ平ごめんなのじゃ! ) ————
ポク、ポク、ポク、チーン♪
————ひ、閃いたのじゃ! “全てを無に帰する浄化の黒い炎よ!” それが黒い炎を発動させるための言葉なのじゃ! ————
『“全てを無に帰する浄化の黒い炎よ!” ね? 嘘だったら魔法の袋行きだからね?』
———— 嘘など言っておらんのじゃ! あっ、でもうっかり居眠りしている時に言われると発動できぬゆえ、詠唱前に柄に埋め込まれているエメラルドの魔石に魔力を注ぎ込んで欲しいのじゃ! さすれば妾の身体にビビビッと気持ちの良い刺激が走って眠気も吹っ飛び、お目目パッチリになるのじゃ! 黒い炎を発動し損ねることもないのじゃ! うむ、名案なのじゃ! ————
なんか嘘っぽーい。少しでも魔力を流してもらいたいための方便なんじゃ……。
———— き、きちんと教えたのじゃから、はよぅ妾にお主の魔力を注ぎ込んで欲しいのじゃ! ————
『試してみて、きちんと黒い炎が出たらね? あと、最初の1回だけ黒い炎が出ても、ディーアをダンジョンから持ち出した冒険者達が使おうとした時に黒い炎が出なかったら、その場合も魔法の袋行きにするからね?』
———— わ、分かっておるのじゃ! ————
『じゃあ、ちょっと待っててね?』
私は現実世界のリアルボディの目を開けてディーアに教えてもらった言葉を唱えると魔剣から黒い炎がちゃんと出るかどうか試してみることにした!
◇◆◇
雪音ちゃんが魔剣オーディーアル ( 愛称ディーア ) と会話している間、他の者達がどうしていたかと言うと……。
「あっ、雪音ちゃん、俺の名前はライトって言います! さっきの雪音ちゃんの話が本当だとするとこの宝剣、どうしたら良いと思いますか?」
「クソッ、ライトまで!? おい、ライト!! ソイツらの話を鵜呑みにするな!! 俺達はソイツらのせいで、こんな夜中に村を追い出されたんだぞ!?」
「マッド、この人達はそんな俺達と一緒に行動を共にしてくれているんだ。俺も思う所はあるが、この人達とケンカ別れして俺達だけのパーティーになってしまった時にまた亡者どもに襲われでもしたらどうするんだ? 今度はデッバーやバーゲルの兄貴達も助けに来てくれないんだぞ?」
「うっ!? ………………。ちっ、分かったぜ、ピート。だけど、俺はアイツらとは馴れ合わないからな!」
「それは構わない。ただ、向こうの機嫌を損ねるような発言は控えて欲しい」
「ああ、我慢できたらな? でも、あんな女達が本当に強いのかよ?」
「俺達を助けてくれたデッバーやバーゲルの兄貴達が強いって言ってたじゃないか? それを信じるしかないさ」
◇◆◇
「ねぇねぇ、そこのゴスロリちっくな服着てるナイスバディーのおっ姉さぁ〜〜ん! お名前なんて言うの〜? 俺、マイケルって言うんだけどさぁ〜?」
「下等な人間に教える名など持ち合わせておりませんわぁ〜ん」
「お姉さん、ひょっとして高貴な貴族の人だったりするの? だから服装もイケてるんだね!」
「っ!? あなた、見る目がありますわぁ〜ん! 良いですわ、私の名前を特別に教えて差し上げますわ!」
「ラスィヴィアさん、服を褒められたくらいで、ちょろ過ぎなのですー」
「がぅがぅ」ラピの言葉にクゥーはうんうんと頷いた!
◇◆◇




