第10章 雪音ちゃんと村娘達 089〜 雪音ちゃん、魔法の盾の弱体化を宣告される!②〜
「あんまりですわ、あんまりなのですわぁ〜!! せっかく生雪音ちゃんと会話できる貴重な機会でしたのにぃいいいい!!!」
天上界では茫然自失状態から復活したシャルが、雪音ちゃんとまったく会話できなかった八つ当たりから、雷をバチバチと迸らせた雷神槍をティア様に向かって振るっていた! けれど、ティア様はそんなシャルの攻撃を電撃無効化の魔法を付与した左右の腕で受け流したり体捌きで華麗に避けて行く!
「よっと。それをふいにしたのはっと、シャル、ほっ、自分であろう? おっと。私のせいでは、ないのだよっと?」
「シャルぅ〜、ティア様に八つ当たりするの止めようよぉ〜? シャルがお務めを果たさなかったのが悪いんだよぉ〜?」
「あんなにも可愛いらしい雪音ちゃんの姿を!! 触ることができる本物の雪音ちゃんを目の前にして愛でないでいられるはずがありませんわぁあああ!!!」
そして、さらにシャルの攻撃スピードが上がって行く! ティア様はそれを捌きながら、『あの時もう少し様子を見ていれば……、だが、シャルのことだから雪音ちゃんが朝目覚めるまであのまま抱きついていた可能性があるしなぁ〜』などと考えているうちに徐々に部屋の角へと追い詰められ、
「あぁ〜ティア様、そっちに行ったら!?」
「むっ!? しまった!?」
「もう逃げられませんわ!!」キラーン!
シャルは腰を落として左手を前に、雷神槍を持ってる右手を後方へと持って行きタメを作る! そして、雷神槍に雷を今まで以上に大きくバチバチと帯電させた次の瞬間!
シャルは雷の如き速さで雷神槍をティア様に向かって繰り出した!
けれど、左右に逃げ場がないことに気付いた時点でティア様は奥の手を使っていた! 胸元に手を突っ込み1枚の写真を取り出していたのだ!
シャルはティア様のおっきなお胸の谷間から取り出された写真に目を剥き、慌てて腕の動きを止めようとする!
そして、繰り出した雷神槍をなんとかティア様が取り出した雪音ちゃんの写真の手前で寸止めすることができた!
シャルはホッと一安心して目を閉じ長いため息をはく! けれど、ボッと何かが燃え上がる音を聞いて慌てて目を開けると、一気に顔が青ざめた!
雷神槍に纏わせていた雷のせいで雪音ちゃんが写ってる写真に火がついてしまったのだ!
「あぁあああああ!? 雪音ちゃんの写真がぁあああああ!?」
「あー、燃えてしまったね? 本人のサイン入り写真だったのに実にもったいないことをしてしまったねぇ、シャル?」
「本人の、サイン入り?」
ギギギと顔を上げてティア様の顔を見るシャル!
「あぁ、そうだよ? さっき、リルが雪音ちゃんに書いてもらったも」
「ほげー」
シャルは口から魂が抜け出たみたいに真っ白になって地面にへたり込んでしまった!
「おや、あまりにもショックで気絶してしまったようだね?」
「ティ、ティア様、今、燃えちゃったのって!?」
「あ〜、リル、安心したまえ。今のは魔法で複製した方だから。こちらがリルから借り受けたものなのさ」
そう言ってティア様は手元に召喚した雪音ちゃん直筆のサイン付き生写真をちびっ子天使のリルに返した!
「も、もう、ティア様! リル、すっごくびっくりしちゃったじゃないですか!!」
「こ、こら、リル、ポカポカ叩くのは止めるのさ!? 本物のそれには時間停止の魔法を掛けておいたから折れ曲がったり破れたりするようなことはないし、火事で焼失することもない。仮に飲み物をこぼして汚してしまっても液体は綺麗に洗い流せるようにしてある。それは金になる元、雪音ちゃんファン垂涎ものの逸品だからね。みすみす失うようなことをこの私がするはずないだろう?」
「それにしても一体いつ複製なんかしてたんですかぁ? リルが渡してからティア様のそのような素振り見てないんですけど?」
「預かった瞬間からなのさ。今も無限保管庫内で複製し続けているよ?」
「あぁ、無限保管庫内で……。ティア様はホントそういうお仕事に関係ないことだと無駄にやること早いですよね〜? お仕事にその力を発揮して欲しいとリルは思うのです……。はぁ〜。ところで、複製品に時間停止の魔法を掛けなかったのは」
「破損したら、また買ってもらえるからに決まっているじゃあないか!」
「ですよネー。( さっきみたいなことがあったシャルなら、観賞用、実用用、保存用、布教用、予備用で10枚以上は買っちゃうんだろうなぁ〜。ティア様、ボロ儲けですね〜。) それで、そこで抜け殻になってるシャルはどうするんです、ティア様? このままだと明日のお仕事に支障が出ちゃいますよ?」
「こうするだけなのさ」
そう言ってティア様は地面にしゃがみこんでいるシャルの顔の前に雪音ちゃんが天使のような笑顔をしているサイン付き写真 ( 複製品 ) を差し出した!
すると、シャルのハイライトが消えてた目に光が戻り、シャルは嬉しくて号泣しながら雪音ちゃんの写真を両手でガシッと掴んだ! 鼻水もちょびっと垂れてたりするのは内緒である!
「ざ、ざっぎの゛雪音ぢゃんの゛写真ぅうううう!!!」ズビッ!
「そうだよ、シャル。欲しいかね?」
ブンブンと首を縦に振るシャル!
「あげても良いのだが、シャルは今日、私が与えた簡単なお仕事をこなすことができなかったのさ。どうしてもシャルが行きたいって言うからやらせてあげたのにだよ?」
「ゔっ!?」
「シャルの暴走を考えて本当はリルが行く予定だったんですけどねー」
「だって、だってぇ〜、雪音ちゃんに会いたかったんですものぉ〜」ぐすんぐすん。
「シャルが暴走しなければ私達が深夜に出張する必要もなかったのだよ? 夜更かしは美容の大敵だと言うのにね」
「連日、夜更かしして雪音ちゃんの振り付け考えてるとかティア様言ってませんでしたっけ〜?」
小声でティア様に突っ込む、ちびっ子天使リル!
「リル、余計なことは言わないでくれたまえ!」
そして、やはり小声でリルに言葉を返すティア様!
「コホン! 加えて、戻って来たら暴れて部屋を散らかす始末。さて、この写真を手に入れたかったら自分が何をすれば良いか分かっているね、シャル?」
「はい、部屋を綺麗に片付けて明日のティア様のお仕事を代わりに致しますわ」
「うむ、ならば今日のことは不問にしよう! その写真はシャルにあげるので、しっかりと部屋を綺麗にしておくように!」
「あ、ありがとうございます!! ん〜、雪音ちゃんのサイン入り写真ですわぁ〜♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」
「ティア様ぁ、先に渡しちゃって良かったんですか〜?」
「あぁ、明日の私の仕事を代わりにやってくれたら、こちらの写真をあげようと思っているからね?」
そう言って、おっきなお胸の谷間から新たに1枚の写真を取り出すティア様!
「なっ、なんですかティア様、その、小悪魔的でエッチな笑みを浮かべてる雪音ちゃんの写真は!?」
「っ!?」ピクッ!?
リルの言葉に今見てる写真から顔を離し、ティア様の持ってる写真へ顔をギュインと向けるシャル!
「そ、それも欲しいですわぁああ!!」
シャルが、ガバッと立ち上がってティア様の持ってる写真を奪おうとする!
「どーどー。シャル、落ち着きたまえ!」
ティア様はシャルに奪われないように写真をサッと空高く掲げながら、もう片方の手で鼻息を荒くして迫って来たシャルの頭を押さえ、その動きを封じ込めた! そして、ティア様はリルの方に顔を向け、リルの先程の質問に答えた!
「これはだねリル、今日の夜、ああ、もう日付が変わっているから昨夜だが、雪音ちゃんがラピちゃんにちょっとエッチな報復をしようとした時に見せた表情を激写した貴重な写真なのさ!」
「ま、待ってください! それ、リルも欲しいですぅ!! リルが明日のティア様のお仕事を代わりにしますから、シャルじゃなくてリルにお任せください!」
「リル、あなた何を言って!? ふざけないでくださいまし!! 私がティア様に頼まれたのですから私が致しますわ!!」
「シャルにはさっきリルのお仕事譲ってあげたじゃないですか! 今度はリルにシャルのお仕事譲ってください! はい、決まりなのです! と言うことでティア様、明日のティア様のお仕事はリルにお任せくださいね♪」
「なっ!? 雪音ちゃんと会話して魔法の盾弱体化の宣告をしたのは結局リルなのでしょう!? ズルいですわ!!」
「あー、写真は2枚用意するので、2人で仲良く分担して私の仕事をこなしてくれたまえ」
「はい、ティア様! 分かりました!」
「はい、ティア様! 分かりましたわ!」
「よろしい! では、私は自分の部屋で休むことにする。明日も朝早いからリルもシャルも早めに休むように」
「「はい!」」
ティア様はリルとシャルに自分の仕事を上手く押し付けることができたので上機嫌で神様の執務室を出て行きました!
「リルは雪音ちゃんと会話したのですわよね、羨ましいですわぁ〜」
「シャルは雪音ちゃんに抱きついていたじゃないですか〜? そっちの方が羨ましいと思いますけどねー?」
「とっても柔らかくて良い匂いがしましたわぁ〜♡」
「うぅ〜、リルも抱きついておけば良かったですぅ〜」
その後、シャルが雪音ちゃんの抱き心地がいかに良かったかを熱く語り出してしまったせいでイラッとしたリルがどでかいハンマーを召喚してシャルを叩き出し、大げんかになってしまいました!
そして、2人が我に返った時、神様の執務室は滅茶苦茶になってしまっていたので、その後片付けでリルとシャルは寝不足に、次の日の仕事はミスの連発でティア様から雪音ちゃんの小悪魔的でエッチな笑みを浮かべている写真をゲットできなかったりするのでした!
そこで2人がティア様に懇願すると、ティア様に「ならば、明日こそ、私の代わりをしっかりと務めるように! さすれば、雪音ちゃんがラピちゃんの豊胸マッサージを受けて気持ち良さそうな顔をしてるこの写真もつけてあげようではないか!」と言われ、2人はティア様の仕事をまたもや押し付けられることになってしまうのでした♪
「うぅ、ティア様に謀られたのですぅ〜。なんか今日のお仕事、昨日の量より多くないですかぁ?」
「この雪音ちゃんの表情、あぁ、たまりませんわぁ〜♡ はぁはぁ♡ これだけでご飯3杯はいけますわぁ〜♡」
「シャルは幸せそうだよねー?」
「もちろんですわぁ〜♡ だって、このようにエッチな表情をしてる雪音ちゃんの写真はティア様が清純派アイドルとしてのイメージが崩れるとか言って今まで貰えなかったではありませんか!」
「それはそうだけど……」
「あぁ〜、私の雪音ちゃん、もし、こんな顔した雪音ちゃんにエッチな命令を出されてしまったら、きっと私、その命令に逆らうことなんてできないのですわ〜♡ そしたら、そしたら、きゃ〜♡ は、恥ずかしいですわぁ〜(//∇//)」
「シャルぅ〜、ありえない妄想なんかしてないで、そろそろお仕事再開しようよぉ〜? この調子じゃ今日のお仕事終わらないよ?」
「あぁ〜、雪音ちゃんダメですわ! そこは、そこは〜(//∇//)」
「あー、もう!!」
妄想で興奮して身体をクネクネさせているシャルを見てリルはブチ切れ、どでかいハンマーを召喚しました!
「この淫乱戦乙女! こんな所で発情してないで、とっととお仕事するのですぅううう!!」ドガーン!
ちびっ子天使リルの気苦労は今日も絶えないのでしたとさ。おしまい。ちゃんちゃん♪




