幕間 〜 神様達は見ていた。シャル暴走?編②〜
雪音ちゃんがドラゴンを取り囲むように7つの氷の大蛇を新たに作り出し、元々残っていた氷の大蛇と合わせて8つの大蛇の口から極太の氷の槍を吐き出させた!
ドラゴンが今度は身体全体に炎を纏わせながら上昇して極太の氷の槍を躱していく! そして、すぐさま上空で宙返りして、氷の大蛇目掛けて滑降して行った! 氷の大蛇が口から極太の氷の槍をいくつも飛ばす! けれど、ドラゴンはそれをバレルロールで回避しながら接近し、氷の大蛇の頭を炎を纏った前脚で粉砕する! 残った氷の大蛇達がドラゴンに向かって次々と極太の氷の槍を飛ばすも、ドラゴンは上空へと飛んでそれらを回避し、同様の手段で別の氷の大蛇を壊していく!
「氷の大蛇が口から連続で飛ばす氷の魔法を華麗に回避しながら氷の大蛇を壊していくドラゴン、格好良いですねぇ〜♪」
「うむ、手に汗握る展開で楽しくて仕方がないな!」
「災厄の魔物、何をやっているのです! そんな氷の大蛇なんか放っておいて雪音ちゃんを攻撃するのです! 雪音ちゃんが怪我しないと私が助けに行くことができないではありませんか!!」
シャルが叫びながら床を両手でバンバン叩く度に床に亀裂が入っていく!
「ねぇ、ティア様。さっきからシャルが天使らしからぬ発言を繰り返しているんですけどぉ〜?」
「ま、まあ聞かなかったことにしてあげようではないか! おっ、氷の大蛇が残り1つになってしまったぞ?」
「雪音ちゃんのピンチ来たぁああああ!! 降臨しに行って良いですわよね? ほら! 雪音ちゃんのピンチですわピンチ!!!」
シャルが大画面に指をさしながら狂喜乱舞している!
「シャル、さっきも言ったけど雪音ちゃんはまだ怪我1つ、あっ!?」
「えっ!?」
ドラゴンが残り1つとなった氷の大蛇の頭を前脚で叩き壊そうとする瞬間、氷の大蛇の周りの海面から上空に向かって超高圧縮で際限なく撃ち出された水が、ドラゴンの纏った炎にさえ穴を穿ち、ついにはドラゴンの左右の翼をも次々と撃ち抜いていった! 災厄の魔物が絶叫をあげている!
そして、そのまま戦闘は終了してしまった。深紅のドラゴン・プラーミャは翼の傷口をぺろぺろと舐めている……。
シャル、絶句!
「えっと、雪音ちゃんの逆転勝ちみたいですねぇ〜」
「うむ、そのようだね。いやー、なかなか面白かったのさ! この調子で雪音ちゃんには他の災厄の魔物とも戦って欲しいものだね、うん」
放心状態から回復したシャルが叫び出した!
「ちょっとどういうことですのぉおおお!? 雪音ちゃんが勝っちゃったじゃないですかぁああ!!」
「いやいやいや、雪音ちゃんが怪我することなく勝利を収めたんだから、良いことじゃないかあ゛あ゛あ゛〜」
シャルがティア様の首を両手で掴んでグラグラ揺らしている!
「約束がぁああ、約束が違いますわぁああ!! 雪音ちゃんのピンチに颯爽と現れて悪い魔物から助け出して、雪音ちゃんからお礼のキッスをほっぺたにしてもらうつもりでしたのにぃいいい!!!」
「悪い魔物って、アレって災厄の魔物と呼ばれてはいますけど、一応神獣」
「リル、何か言いましたかしら?」
ティア様の首を両手で掴んでグラグラ揺らしているシャルが血走った目でギロリとリルを睨みつけた!
「な、なんにも言ってないヨ? ホントダヨ?」
「リル、そんなこと言ってないで助けてくれないかな? そろそろ私も息が苦しくなって来たのだがね?」
「ティア様、ご自分が蒔いた種ですので、ご自分で刈り取ってくださいねー? リル、そんな凶暴なシャルを相手にしたくないのですぅ〜」
「なっ!? リル、それは薄情では」
「ティア様ぁ〜? 私が質問していますのに、ど・う・し・て、リルと会話なさっているのかしらぁあああ!?」
「あー、そもそもだね、シャルが助けに行ってもシャルでは災厄の魔物に勝てなかっただろう?」
「勝てなくても私が活動限界ギリギリの生命力だけ取っておいて、それ以外の生命力を注ぎ込んだ雷神槍を放てば、たとえ相手が災厄の魔物であっても電撃による捕縛で一定時間は行動を不能にさせることができましたわぁあ!!」
「まぁ、そこまですれば確かに一定時間は行動不能に持ち込めるね、うん。でも、シャルはヘロヘロになってしまうんじゃあないのかい?」
「それが狙いなんですの! ヘロヘロになってまで助けた私を雪音ちゃんがお嬢様抱っこして、その場を離脱! どこかの民家で私は雪音ちゃんに介抱される予定だったんですの! 雪音ちゃんが私の服を脱がして裸にし、汗をかいた私の肌を濡れた布で拭いて、拭いて……。じゅるり」
ティア様の首から離した両手を自分の両頬へと持っていき、身体をくねくねさせながら膨らませた妄想を恍惚とした表情で語るシャル!
「ねぇ、シャル。戦闘から離脱が成功したら回復魔法で完全回復できるんだから、そんな展開にはならないんじゃないかなぁ?」
ピキッ。バチッ!
「そうだね、その場合、雪音ちゃんは優しいからすぐに回復魔法を使ってくれただろう。ゆえに、シャルの妄想は実現しなかったんじゃない、か、な」
ピキピキッ。バチバチバチッ!
「あー、シャル。雷神槍に電撃を走らせて何をするつもりなのかな?」
「待って、シャル! 落ち着こう!? ねっ!? そんなものここで振り回したら、せっかくの処理した書類が一からやり直しに」
ちびっ子天使リルがシャルを宥めようと近付こうとする!
「そんなの私の知ったことではありませんわぁあああ!!」
シャルの怒りが雷神槍に伝わり、その身に何者をも寄せ付けない黄色い雷を強く纏わせた!
バチンッ!
「きゃあ!?」
ドガッ!
「きゅ〜」
リルは雷神槍に生じた雷によって弾かれて気絶してしまった!
「私の、私の雪音ちゃんとの逢瀬の機会がぁああ!!」
ティア様はあとずさった! けれど、後ろにあった机のせいでこれ以上さがれない!
錯乱したシャルが雷神槍をティア様に向かって振りあげた!
バチバチバチ! ブォン! バキバキバキ!
振り下ろされた雷神槍をティア様が横に回避したため、机が木っ端微塵になった!
「あー、私の仕事机が……。まぁ、これで新しいのが来るまで仕事しなくて済むか。結果オーライだな。はっはっはっは! あだっ!?」
馬鹿笑いしていたティア様の横っ腹にシャルの振るった雷神槍の横薙ぎが炸裂した!
「ティア様の、ティア様の馬鹿ぁああ!!」
ガシ! ガシ! ガシ!
シャル、ティア様を雷神槍でめっちゃタコ殴りする!
「いだっ! こ、こらシャル、止めないか!」
ティア様は急いでシャルのタコ殴り空間から後方へと回避した! けれど、すぐさまシャルが雷神槍を突き出し、黄色い電撃を前方へと飛ばす! ティア様は高速移動でそれを避けた!
ドガーンと大きな音がして電撃の当たった壁に大穴が空き、外から新鮮な空気が流れ込んで来る。
「雪音ちゃんとの逢瀬、雪音ちゃんとの逢瀬……ブツブツ」
ブォン! ザクッ! ブォン! ブォン! ガシャーン! ブォン!
「ふむ、どうやらイジり過ぎてしまったようだね。うん、ここは一旦、 逃げるとしよう。おっと、危ない危ない。あー、シャル、聞こえていないかもしれないが、よっと、今度雪音ちゃんの貴重な映像をあげるから、それで許してくれ給え。では、私はちょっと外に休憩に行ってくるよ」
ティア様はシャルの攻撃を紙一重で避けながら謝罪っぽいことを言いつつ転移魔法を使って部屋からいなくなった!
にっくき対象を見失ったシャルはぺたんと床に座り込み、両手で目をこすりながら泣きじゃくるのだった。
「ふぇ〜ん。雪音ちゃ〜ん、どうして勝っちゃったんですのぉお! せっかく私が、私が……。ぐすっ、ぐすっ」
to be continued…… ?




