第9章 ちびドラゴン 012 〜 雪音ちゃん、焦る!〜
ちなみに、こんなに騒いでいるのに新たな兵士達がやって来ないのはなんでかって言うと、部屋の外の廊下から戦闘音が聞こえて来るので、ラピ達がきっと兵士達と戦ってくれてるに違いない。村娘達を助け終わるまでは穏便に済ます手筈だったのに予定を変更しちゃってごめんね? あっ、静かになった。
タッタッタッタ!
「雪音ちゃん、屋敷内の制圧終わったのですー♪」
「がぅがぅ♪」
「ったく、予定では村娘達をこっそりと収納するだけだったってえのに」
「あはは、ごめんね? クソ領主がこの娘に酷いことしようとしてたから、ついカッとなっちゃってね? 他の娘達の回収は終わったの?」
「ああ、この階の娘達もな」
「手間かけさせちゃって、ごめんなさい」
「気にするな。急ぎだったんだろう?」
「まあ、ね」
私がメリッサに目を向けながらそう答えたとき、部屋の窓から入ってくる光が大きな影によって遮れらた。次の瞬間、
「グワァォオオオーーーー!!!」
と言う凄まじい咆哮が窓の外から聞こえて来た!
私達は急いで窓から外を見てみると、
「う、嘘だろっ!? ア、アイツは!!」
「ドドド、ドラゴン!? ゆ、雪音ちゃん、ドラゴンですよ、ドラゴンーー!!」
「うっわ〜、アレって、ひょっとしてロウのおっちゃんが戦ってたドラゴンなんじゃ……」
「キューン、キューン」クゥーは尻尾をお股に挟んでブルブル震えている!
「キュウ♪ キュッキュウ♪ キュッキュウ♪」スカーレットちゃんは嬉しそうに鳴いている!
「ススス、スカーレットちゃん、ひょっとしてあのドラゴンさんってスカーレットちゃんのー」
「親御さんなのかな?」
「キュ〜♪」スカーレットちゃんは嬉しそうに首を縦に振ってくれました。
「この町、終わったな……」
「いえいえいえ、私達も終わっちゃいますよぉーーー!!」
「キュ〜ウ?」だいじょうぶだよー?
「キューン、キューン」むりー! むりー!
「まあ、戦闘開始前なら転移魔法で逃げちゃえば」
ドン! ドン! ドガーン! ドガーン!
「ありったけの魔法をぶつけるんだぁあああ!!」
「付与部隊! 早く次の槍に付与魔法を掛けてくれぇ!!」
「第2槍部隊、構えぇええ! 3、2、1、投擲開始ぃいいいい!!!」
「せ、戦闘始まっちゃいましたよ、雪音ちゃん!! どど、どうするんですかー!?」
「んー、とりあえず、スカーレットちゃんを連れてってみるよ」
「キュッキュウ♪」
「ご、ご主人様、危ないよ? 無理だよ、あんなの」
メリッサが泣きながら私にしがみついて私が行こうとするのを引き留めようとする。
「大丈夫だって。あのドラゴンが探してたのはそこにいる小さいドラゴンちゃんだから、その子の顔を見ればなんとかなると思うよ?」
「と言うことはだ。以前、俺が死にそうな目にあったのは全部そこの領主が悪いってことか?」
「そ、そういうことになるんじゃないですかー? ガッセルドの村が魔物に襲われる羽目になったのも、外のドラゴンさんが、兵士達に捕まってたスカーレットちゃんを探しにあちこち移動したからだと思いますよー?」
「私のせいじゃない。私のせいじゃない」クソ領主はガタガタ震えている!
「往生際の悪い奴だなあ?」おっちゃんがクソ領主のお腹に蹴りを入れる!
ドガッ!
「グハッ」
「あなたがドラゴンの子供を捕まえるように命じなければ、こんなことにはならなかったんだよ?」
「子ドラゴンには親ドラゴンから探知できなくなる首輪がついてるから大丈夫だと言われたんだ! だから、捕獲命令を出したんだ! それに、子ドラゴンは魔族のせいで逃げられたと報告を受けている! 親ドラゴンの襲撃は私のせいじゃない!」
げっ!? それって、さっき私が首輪の特殊効果を消したせいで、スカーレットちゃんの居場所が親ドラゴンさんに分かるようになっちゃったってことなんじゃ!?
「絶対にあなたのせいじゃないですかぁーー!! 兵士達は子ドラゴンを檻に入れてこの町の近くまで運んでいたんですよー!? 子供を攫われた親ドラゴンさんが怒って報復行為に出るのは当たり前じゃないですかー!!!」
「まあ、そう言うことだな」
ドシーン! ドシーン! ドシーン!
「あれ? 部屋がなんか急に暗く」
ドガァーーン! バキバキバキ! ガラガラガラ! ズドドドォーン!
ドラゴンの前脚が屋敷に振り下ろされ、私達のいた部屋の半分が崩壊した!
「へ、部屋が一撃で……」メリッサは絶句している!
「ひ、ひぃいいいい!? 私は悪くない! 私は悪くないぃいい!」ジョバジョバー。クソ領主は失禁した!
「あわわわ!?」ラピはすっごく動揺している!
「キューン、キューン」クゥーは私の足にしがみついて尻尾をお股に挟んで震えている!
「お、おい、雪音、どうすんだ!?」
「念のため、おっちゃん達はそのエルフの娘連れて屋敷から避難して! 私はスカーレットちゃん連れて親ドラゴンさんを宥めに行って来るよ!」
私は全員の身体の周りに強固な魔法障壁を張りながら答えた! あと、クソ領主は意識ごと氷漬けにして天上界の倉庫に回収しておいた!
「今の聞いたか!? ほら、早く立ち上がるんだ!!」
「さ、触らないで! じ、自分で立ち上がるから」
「雪音ちゃん! お話が通じなかったら、すぐに逃げて欲しいのですー!」
「がぅがぅ! がぅがぅ!」にげよー! にげよー!
「大丈夫だよ。クゥーは先に逃げててね?」
私はクゥーを持ち上げながら、クゥーに軽くなる魔法を掛けてラピに託した!
「ラピ、クゥーをお願いね? スカーレットちゃん、行くよ!」
「うぅ、気をつけてくださいなのですー!」
「キュッキュウ♪」
「キューン! キューン!」いっちゃやだー!
「無茶すんじゃねえぞ!? ヤバかったら逃げるんだぞ!?」
私とスカーレットちゃんは破壊された所から外へと飛んで出て行った!
「キュ〜ウ♪」
と嬉しそうに鳴いてスカーレットちゃんが親ドラゴンさんに向かって飛んで行く!
「グルルルルルゥ」
兵士達を相手に暴れていた親ドラゴンさんはスカーレットちゃんを見て大人しくなった! この調子なら大丈
ドン! ドン! ドガーン! ドガーン!
夫じゃなかったよぉおお!? どうして魔法で攻撃しちゃうのよぉおお!? このドラゴンさん傷1つ付いてないんだから諦めてよぉおおお!!
「グワァォオオオーーーー!!!」
スカーレットちゃんを見て一瞬大人しくなった親ドラゴンさんが、兵士達が魔法で攻撃したせいで暴れるのを再開してしまった! ドラゴンさんが尻尾を振って多くの兵士達を吹っ飛ばし、息を大きく吸い込み、大きく吸い込みぃいいい!? ダメダメダメ! そんなの受けたら流石に死んじゃう!!
私は大急ぎで眼下にいる兵士達をロックオンして青の雷を落として氷漬けにし、辺り一帯にブリザードを発生させた! その直後、親ドラゴンさんが炎のブレスを吐いた! 眼下が炎で真っ赤に燃え上がり、火の海となった!
嘘ぉおおお!? 私のブリザードが炎のブレスで消されちゃった!? ドラゴンの炎のブレスに対抗するにはブリザードの量と勢いが足りなかったっぽい。だから私はブリザードをもっともぉっと強く吹雪かせた! ブリザードの中で飛ばす雪を氷に変えて吹雪かせた!
親ドラゴンさんが炎のブレスを吐くのを止めたから、私もブリザードを出すのを止めた。眼下の兵士達は氷漬けになったままだ! 良かった、死んでない! 悪いことをした人達にはしっかり後悔してから死んでもらわないと困るんだよ! あっけなく死んじゃうとか私が許さないよ?
「グルルゥ。なぜ、邪魔をする魔族の子よ? お主は人の味方をするのか? お主は我が敵となるのか?」
「キュー!? キュッキュウ! キュッキュウ!」えー!? ママ、まってー! やめてよー!
「なぜって聞かれたら、一瞬の苦しみを与えるだけで殺しちゃうのが許せないから、かな? 罪を反省させるためには継続した苦しみを与えたり、同じ苦しみを味わってもらわないとダメだと思うの。あと、スカーレットちゃんの親御さんであるあなたと敵になんてなりたくないわ」
「グルルゥ。変わったことを言う子よ。どうして、そのようなまだるっこしいことを我がせねばならんのだ。我が子に手を出した馬鹿者など死んで当然。焼いてしまえば一瞬で終わる。どうせ人などすぐに数が増えるのだ。馬鹿が死んでも問題ないであろう?」
「確かにスカーレットちゃんに手を出すような馬鹿な人達は死んでも問題ないと思うんだけど、私は苦しませて反省させたいの」
「グルルゥ。反省させてどうする? 時間が経てば痛みなど忘れて過去と同じ愚行を繰り返すのではないか? 人の言葉であったであろう? 喉元過ぎれば熱さを忘れる、だったか?」
「そうね。そうゆー人もいると思うけれど、私が管理する分には同じことは繰り返させないわ。だから、あなたが殺しちゃうくらいなら、私に譲ってくれないかな? こき使う手駒が欲しいのよ」
「グルルルル。ふむ、良かろう」
「本当っ!?」
やった! 死亡フラグ回避だよぉおお!!
「我と戦って、我を満足させたら、褒美として見逃してやろう」
「えっ? えぇえええーーーー!?」
死亡フラグ回避してなかったよぉおおおおお!?




