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幕間 〜神様達は見ていた。神様とシャルの取り引き〜

「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!! あは、あははははは!!!」

「ティア様、なんでそんなに笑うんですか! 雪音ちゃん、すっごく可愛いじゃないですかー!」


「いや、だってさぁ、ブフッ! あ、あの雪音ちゃんが、自分からあんな格好して、ヒッヒッヒー、踊り出すなんて、くぅーー、くふっ、おも、思わないじゃないか!! あーはっはっはっはー、あー、お腹痛い!」


 神様であるティア様が地面を転げ回ったかと思えば、片手で地面をドンドン叩いています!


「ケモ耳つけたキュートな雪音ちゃんが、ちょっとエッチで可愛らしい格好をして踊っているんですよー? ティア様が言うところの萌え萌え〜ってヤツじゃないんですかー?」

「まあ、萌え萌えなのは確かだと思うんだけどね、ヒー、ヒー、お腹が、お腹が」


 コンコンコンコン!


 扉をノックする音がした後、扉が開き、シャルが入って来た!


「ティア様、先日頼まれていた書類の処理が終わ……」


 バサバサバサッ! ヒラッ、ヒラッ、ヒラッ。


 シャルが持っていた大量の書類が地面にばら撒かれた!


「きゃぁああーーー♡♡♡ ケモ耳バージョンの雪音ちゃんではありませんかぁーーー!!!」

「もう、シャル! 大切な書類を落とさないでくださいよー!」


 ちびっ子天使リルが、地面に散乱した大量の書類を拾いながらシャルに文句を言う。


「な、なんで、雪音ちゃんが踊っているんですのぉお!? それに、あの可愛らしい格好は!? あぁ〜ん♪ 雪音ちゃん、とぉーっても可愛らしいですわ〜♡ ティア様! この映像は! この映像は何枚でコピーさせてもらえるんですのぉおお!?」


 シャルがティア様の首根っこを(つか)んでグラグラ揺らしている!


「シャル、シャル! く、苦しいから、まずはその手をは、離してくれないか?」

「こ、これは失礼致しました! それで、あの映像は何枚の書類の処理と交換なんですの!!!」

「シャル、ティア様とそんな取り引きしてたんだ……。だから目の下の(くま)(すご)いことになっているんだね……。リル、(あき)れてものも言えないです」


「何枚の処理が妥当だとシャルは思うのさ?」

「なっ!? わ、(わたくし)が決めるんですのぉお!?」


「シャルにとって、この、普段の雪音ちゃんなら絶対に着ないであろうチアリーダーなる地球の衣装を着た雪音ちゃんが踊るレアな映像は、(のど)から手が出るほど欲しい逸品(いっぴん)だと思うのさ! 私がつける価値ではきっとシャルには納得してもらえないだろうと思ってね?」

「た、確かにそうかもしれませんが……。( くーーー! また、また、ティア様に(だま)されて大量の書類を処理する羽目になりそうですわ!! )」

「シャルー、そろそろ、ちゃんと寝ないと倒れちゃうんじゃないですかー? 雪音ちゃんのその映像がいくら可愛くてエッチだからって身体壊しちゃったら、元も子もないとリルは思うのですー」


「シャル、この映像には雪音ちゃんが足を大きく振り上げるシーンが何度も出てくるぞ?」


 ティア様が、雪音ちゃんが大きく足を振り上げ、パンチラさせながら、両手のポンポンを振り上げた足の下で交差させるシーンを大画面で流した! それも「がんばれ、がんばれ、お兄ちゃん♡」と萌え死にそうな応援の言葉とセットで!


「ティア様……」


 リルはジト目でティア様をじと〜っと見つめた。ティア様は私から顔を()らし、シャルに向かって、更なる悪魔の(ささや)きをした!


「そうだね〜、今ならシャルのために、今の映像の『お兄ちゃん♡』って雪音ちゃんのセリフをだね、以前、お風呂場で雪音ちゃんがラピに向かって言った『お姉ちゃん♡』ってセリフに私が魔法を使って修正してあげようじゃないか!」


 ティア様、なんてあくどい!! まるで悪魔の所業です! 神様なのにやることがなんて鬼畜(きちく)なのでしょう!


「うぅ、うーーーー!!」


 シャルが頭を抱えてすっごく苦悩しています! でも、リルには分かります。シャルは間違いなく悪魔に(たましい)を差し出してしまいますね! なぜなら、 シャルの雪音ちゃん狂いは、他の追随(ついずい)を許さないですからね!


「なんだったら、今までの雪音ちゃんの音声を魔法で組み合わせて加工編集し、『シャルお姉ちゃん♡』と違和感のない音声にしてあげようじゃあないか! ああ、ただ、これは今この場でシャルが『うん』と言ってくれた場合に限って有効だと思ってくれたまえ! ほら、私にも一応やるべき仕事というものがあるからね!」


 ティア様、汚い! 女神様とは思えません!


「今日のティア様が処理する予定の書類で手を打ちますわ!!」

「取り引き成立だね♪ では、これと、これと、これの書類の束をお願いするとしよう!」


「こ、こんなにですの!?」

「シャル、なにか不服があるのかい?」


「い、いえ、不服などありませんわ〜。( な、なんですの、この量は!! うぅ、今夜も徹夜ですわ……。しくしく。でも、(わたくし)の愛する雪音ちゃんのためですの。(わたくし)、めげませんわ! )」

「えっと、なんか可哀相ですから、リルも書類をシャルのお部屋まで運ぶのぐらいは手伝ってあげますね?」


「リル、ありがとうございます。それでは、よろしくお願いします」

「ああ、待ちたまえ。シャル、君の映像プレートを出したまえ」


「こちらです」


 シャルが映像プレートを宙に召喚する。ティア様がそれに手を触れ、チアリーダー雪音ちゃん ( ケモ耳着用 ) の編集された映像をシャルの映像プレートにコピーした! ちなみに、前回の反省を踏まえて、映像はティア様の魔法で複製が出来ないようになっている!


「まあ、この映像があれば元気が出るだろう! 頑張って私の書類の処理をしてくれたまえ! 音声はすでに『シャルお姉ちゃん♡』に変わっている! あと、映像とは別に、こういった音声データもコピーしておいたぞ!」


 ティア様が指をパチンと鳴らして音声データを再生させる!


『がんばれ、がんばれ、シャルお姉ちゃん♡』

『シャルお姉ちゃん、負けないで♡』

『ご、ごめんなさい、シャルお姉ちゃん』


「といった音声データを10個ほど入れておいた。全書類の10分の1が終わる(ごと)に、1つの音声データと全映像の10分の1が再生可能になるようにしておいた。書類が全部終わるまで映像が見られないのは(つら)いだろう?」

「っ!? あ、ありがとうございます、ティア様! リル、急いで(わたくし)の部屋に行きますわよ♪」


 シャルが扉を開け、書類をティア様の机から持ち上げて、猛ダッシュで部屋から出て行った!


「えっと、それじゃあ、私もこれらの書類をシャルのお部屋に持って行きますねー。でも、ティア様が本来処理するべき書類をシャルに押し付けて、ティア様は今日何をするんですかー?」

「それはもちろん、ヴァーチャル雪音ちゃんの踊りの振り付けや歌詞の作成、天界の児童教育用アニメの物語作りに決まってるじゃあないか!」


「それ、どれぐらい出来上がっているんですかー? 今度、見せてくださいよー」

「うぐっ!? ま、まだ完成度に納得がいっていないのだよ! だから、まずは私が納得いくまでの出来になったら、リルにも見せてあげようじゃないか!」


「何人かに見せてダメ出ししてもらって修正した方が早いんじゃないですか? シャルに見せれば、きっとすっごく完成度の高い物ができると思うんですけど?」

「リル、それは私も考えた。だが、雪音ちゃんが(から)んだ時のシャルから、まともな意見が出て来るとは思えないのだよ。それに、私以上にこだわって収拾がつくとは思えないのさ……」


「た、確かにそうかもしれませんね……。それでは、ちょっと行って来ます」

「ああ、よろしく頼む」


 ちびっ子天使リルが、両手に大量の書類を載せて部屋を出て行った。


「ふぅー、リルもいなくなったことだし、まずは先程のチアリーダー雪音ちゃんの可愛い踊りを特大画面で堪能(たんのう)するとしようじゃあないか♪ ほーほー、こんな踊りもあるのか? チラリと見えるおへそがなんとも……。これがチラリズムというヤツか!」


 ティア様が、衣装を着たヴァーチャル雪音ちゃんと映像の雪音ちゃんを見比べて考えている。


「清純な感じの衣装も良いと思うんだが、見えそうで見えない衣装も悪くない……。うーむ、どうしたものか。毎回、違う服を着て魔物と戦わせるのも見ていて面白そうだが、衣装を考えるのがなぁ〜。そうかっ! 思い付いた時に衣装は作れば良い! そして、戦闘シーンでの衣装は視聴者の好みで変えられるようにしてしまおう! タイトル画面で衣装を選択する項目を作って、固定、ランダム、実装されている衣装を1話(ごと)に変更するチェックボタンなんか作ると良いのではないか? うむ、これなら後から衣装をいくらでも追加出来るし、同じ話を見たとしても衣装が変えられれば、同じ話を何度でも新鮮な感覚で楽しめるのではないだろうか? はっはっは!!! イケる! これは絶対に受けるはずだ! 早速、衣装作りに取り掛からなくては!!」


 ティア様は、地上界の洋服カタログと天界の洋服カタログを手に、衣装創作に取り掛かるのであった。もちろん、(かたわ)らに置いてある日本のアニメ・マンガ・ゲーム・アイドルなどの衣装カタログも参考にする予定である。


 to be continued……?

.





< 雪音ちゃんとラピのマナー講座 >


雪音ちゃん「ねえ、ラピ。なんで4回もノックするの? 2回で良いと思わない?」

ラピ「雪音ちゃん、雪音ちゃん、ノック2回はですねー、トイレに誰か入っているか確認する時に使うんですよー?」


雪音ちゃん「そうなの!?」

ラピ「このスマホって箱で検索するとー、トイレノック2回、親しい間柄・家族・恋人の部屋なんかだと3回、ビジネス4回って書いてありますねー。ただ、日本の会社だと3回でー、外国が絡む会社は4回のノックって書いてある所が多いですよー?」


雪音ちゃん「4回のノックって多くないかな?」

ラピ「そんなこと私に言われても困りますー。面接で3回ノックしたら、そんなに叩くんじゃないって怒られた人もいるみたいですからねー。正式な4回を叩いていたらどうなっていたんですかねー? お茶が入ったコップとか投げつけられちゃったりするんですかねー?」


雪音ちゃん「なに、その面接官!? 自分の無知を棚に上げて応募者叱りつけるなんて頭おかしいんじゃないの!?」

ラピ「説明会の時に扉のノック回数は何回か聞いておくと良いんじゃないですかねー? でもー、面接でそんなことされたら、こっちからお断りですよねー♪」


雪音ちゃん「私がそんなことされたら氷漬けにしてあげるわ!」

ラピ「あははー、それはそれで問題があるようなー」


雪音ちゃん「良いのよ! ブラック企業なんて潰れちゃえば良いんだわ!」

ラピ「でも、雪音ちゃんが会社作ったらー、思いつきで色々やらかしてー、社員が振り回されるようなブラック会社の社長になっちゃいそうですよねー?」


雪音ちゃん「っ!?」



おしまい。ちゃんちゃん♪

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