幕間 〜神様達は見ていた 解説編?〜
神様の執務室の壁に展開された特大映像プレートでは、雪音が広範囲に渡る大勢の魔物に向かって無数の青い雷を落としまくったシーンが再生されている。
ちびっ子天使リルは神様のティア様に質問をする。
「ほぇ〜、あの魔法凄いですね〜。リル、びっくりです! ティア様、ティア様ぁ。なんで、大勢の魔物が一撃の雷で凍っちゃったんですか?」
「ん? あの辺りで棲息している強い魔物は黒山羊ぐらいだからね。今の雪音ちゃんにとっては余裕で倒せる魔物だから、それ以外の弱い魔物は言うまでもないだろう? そもそも、魔法を加減しないで使えば一撃で倒せる相手なのだから、一撃の魔法で凍ってしまってもおかしくないだろう?」
「それはそうですけど、ティア様って魔物と人間が接戦で戦うのが好きじゃないですか? 一撃で終わっちゃったら詰まらないんじゃないですか? それで、あの魔法、今後は使えないようにしちゃったりするんですか〜?」
「まあ、詰まらないか詰まらなくないかで言えば詰まらないさ。ただね、リル。自分のレベルが上がっていくのに合わせて、以前倒したことがある種類の魔物も次に出会った時にだね、見た目が同じなのにレベルが自分と同様に上がっていたら嫌だと思わないかい?」
「はあ、また地球のゲームかなんかの話ですか?」
「ま、まあ、良いではないか? 特にイベントもなく、かつて倒したことのある魔物が脈絡なく強くなっていたら嫌じゃないか? だから、まあ、難なく倒せるようになった魔物を一撃で凍らせて行動不能にしたからと言って、その魔法を凍結してしまうような可哀相なことはしないさ。アレはアレで格好良いしな!!」
「確かに格好良かったですけどね? こんな映像、シャルが見ちゃったら、またシャルの部屋が凄いことになっちゃいますよ?」
「あー、あんまり聞きたくないんだけどさ、シャルの部屋はそんなに凄いことになっているのかい?」
「壁一面に雪音の色んな写真が貼ってありましたよ? こないだシャルの部屋に入ったら、狼化して四つん這いになってる雪音の特大ポスターや、雪狼によってビリビリに胸元の服を破かれて可愛いらしいお胸をぽろんと出しちゃった雪音の特大ポスターも貼ってありましたネー」
「oh〜、あの子って、そっちのけがあったのかい?」
「今まで、そんな素振りを見せたことは一度もなかったんですけどネー」
「一応聞いておくんだけど、その雪音ちゃんの写真が天界に出回ってる可能性はないよね? 大丈夫だよね?」
「さ、さあ? わ、私は何にも知らないですヨー?」
「待つんだ、リル! その顔は絶対に知ってる顔じゃないか!? シャルは私の許可なくあの子の写真をばら撒いているのかい!?」
「え、えっとですね、シャル曰く、こんなに可愛い子を隠しておくなんて私には出来ませんわ!って言っていましたネー……」
「な、なんてことだ……」
「ティア様、一応、雪音のことをちゃんと考えてあげてたんですね? リル、ティア様のこと少し見直しました!」
「くっ、なんて勿体無い!! 私の思った通り、雪音ちゃんはやっぱり金になるじゃないかっ!?」
「あー、やっぱりティア様はティア様でしたネー。ティア様、最低ですー」
ちびっ子天使リルはジト目で神様を見つめる。
「いいかい、リル? これは雪音ちゃんを天界のアイドルとして売り出すために必要なことなのだよ?」
「本人の許可なくそんなことしちゃダメだと思うんですけど?」
「良いじゃないか? 雪音ちゃんがここに来ることなんて出来ないんだから問題ない!」
「問題大有りです! ティア様、何考えてるんですかー!? ポカポカ!!」
「い、痛いから、リルの馬鹿力で私の頭をポカポカ叩かないでくれたまえ!」
「そもそも、本人がいないのにどうやって天界のアイドルとして売り出すんですか〜?」
「それは今までに撮り溜めた映像と音声を加工編集し、地球のヴァーチャルアイドルみたいな感じで売り出すのさ! 実はもう粗方出来ているんだよ?」
「ティア様、仕事サボってそんなことしてたんですかぁーーー!? それに、雪音は実在してるんだからヴァーチャルじゃないじゃないですか!?」
「ま、まあ、私の魔法で動かすから、CGっぽさもなく雪音ちゃんそのものが動いているように見えるんだけどね? それでコンサートでも開いて踊って歌ってもらうのさ! そのためにも雪音ちゃんのあられもない姿の写真や映像を出回らせる訳にはいかないのだよ!!」
そう言って、ティア様は気合を入れて超級の魔力波を天界中に飛ばし、雪音のあられもない姿の写真と映像の存在を天界から消し去った!!! (もちろん、ティア様自身が所有している映像と写真は別である。)
「ハー。ティア様、そんなことで貴重な魔力を大量に消費しないでくださいよ。そんなに雪音のコンサートを開きたいんですか?」
「もちろんさ! なんのために私が夜、寝る間も惜しんでヴァーチャル雪音ちゃんの完成度を高めるために苦労をしていると思ってるんだ!?」
「そんなこと知りませんよ!? そんなことしてるから日中のお仕事が杜撰なんですよね? リル、呆れてモノも言えませんよ!」
「それにコレは天界のためにもなるんだぞ?」
「ヴァーチャル雪音ちゃんのどこに、そんな要素があるんですか!?」
「例えば、さっきの雪音ちゃんの落とした青い雷で相手を凍らせる魔法なんだがね」
「えっと、ディヴァインジャッジメント・サンダーヴォルトですか? すっごく厨二っぽい名前ですよネー」
「リルも、なんだかんだ言いながら地球の文化に被れているじゃないか?」
「リ、リルのことは良いんです! それより、ディヴァインジャッジメント・サンダーヴォルトって魔法名がどうかしたんですか?」
「神の裁きの雷なんて格好良いじゃないか! ヴァーチャル雪音ちゃんが悪者を退治する時、魔法と共に決め台詞として使わせれば、天界に住んでいる子供達にウケること間違いなしさ!」
「あのー、ティア様。リル、話に全くついていけないんですけど……」
「あー、ごめんごめん。ヴァーチャル雪音ちゃんのアニメの話なんだけどね?」
「ティア様、仕事そっちのけで、そんなことばっかりしていたんですか!?」
「そ、そんなことないさ。仕事もしてるよ? (1割ぐらいだけど……) それで、天界の子供達の情操教育用に、悪い子や悪者はヴァーチャル雪音ちゃんによって懲らしめられちゃうよ?系のアニメを作っていてだね、懲らしめる時に使う魔法と台詞にちょうど良いと思ってね? リルも良いと思わないかい?」
「あー、はいはい、そうですネー。良いんじゃないですか?」
リルは思った。ああ、可哀相な雪音! あなたの与り知らぬ所でティア様による壮大な計画が始まってしまっていたようなのです! あなたが天界に来ることはまずないと思うのですが、こうなってしまったティア様を止めることは不可能です! リルには止められないので諦めてくださいね?
そんなことをリルが思っていた時、扉がバタンッ!と大きな音を立てて開きました!
「ティア様ぁああーーーーー!!!」
シャルがダッシュでティア様に駆け寄り、胸倉を掴んでティア様を持ち上げます!
「く、苦しいじゃないか! シャル、いきなり何をするんだい!?」
「わ、わわ、私の特大雪音ちゃんポスターと雪音ちゃんのエッチな映像集が消えてしまったのですわ!!! さっき、超級の魔力波が飛んで来たかと思ったら、思ったら、私の命より大事な雪音ちゃんグッズが根こそぎ消えてしまったのですわぁあーーー!!! 返してくださいまし!! 今すぐに返してくださいまし!!!」
「うわぁー……。シャル、あのね、今、ティア様が消したのって、雪音の」
「リルぅ〜? 貴女、私の雪音ちゃんを呼び捨てにするんですの? にこにこ」
ゾクッ!? や、殺られるです!?
「す、すみません、シャル。シャルがティア様に酷いことをしているから気が動転してしまって、ちゃんを付けるのをうっかり忘れちゃいました」
「そう? なら、許してあげるわ」
「リ、リル、私は今すぐに助けて欲しいのだが……グハッ!?」
「ティア様は、ちょーっと黙っててくださいまし。それで、リル、続きを」
「そ、それでですね、ティア様が先ほど消したのは、雪音ちゃんを天界のアイドルに仕立て上げるため、天界のアイドルに相応しくない雪音ちゃんの淫らな格好やあられもない姿を天界から消し去っただけなんですよ?」
「なっ!? て、天界のアイドルですって!? そ、その話、詳しく教えてくださいまし!」
「そ、それを推し進めているのはシャルが胸倉を掴んでる私なんだけど」
「も、申し訳ありませんでした、ティア様!」
シャルがティア様を地面に下ろし、ティア様の両肩に手を置いて食いつくように話し掛ける!
「そ、それでティア様!! 雪音ちゃんの天界のアイドル化について詳しく教えて欲しいですわ!!!」
ティア様が雪音ちゃんの天界アイドル化計画について熱く語り出すと、シャルはウンウン頷いて、「素晴らしいですわ!」とか「流石、ティア様ですわ!」とティア様を絶賛していました。
あれ、絶対にティア様を褒め殺しにして、消えちゃった雪音の淫らな格好やあられもない姿の写真とエッチな映像集を取り戻そうとしてますよネー。流石、シャル。やることが汚いよ!
リルも雪音は確かに可愛いと思うので、出来ればこっそり手に入れたい。でも、ティア様がさっき天界中から消しちゃったから、ティア様から入手するしか手段がないです……。仕方ありません。リルも神様を褒め殺しにして、雪音の可愛くてエッチな写真と映像をゲットすることに致しましょう!
「ティア様、ティア様〜!」
to be continued ......?




