第5章 パジルーンという村での出来事 017 〜ラピは雪音ちゃんの眷属になりたい④〜
私はラピの豹変ぶりに頭がついていかなかった。ど、ど、ど、どういうことなの!? さっき私やクゥーと一緒に悠久の時を過ごしても良いって言ったじゃない!? あれは不老不死の吸血鬼になりたいための演技だったの!?
私はぺしゃんと地面に女の子座りで座り込み、両目から大粒の涙をぼろぼろ流し、声を上げて泣きじゃくる。
「くぅーん、くぅーん」と2本足で立ったクゥーが私の顔の涙をぺろぺろと舐めてくれる。
「あわゎわわ!? 冗談です! 雪音ちゃん、冗談なのですー!! ごめんなさい、悪ふざけが過ぎたのですぅーーー!!!」
「ヒック、ヒック。じょう、だん? ヒック」
「はい! 冗談ですー! 雪音ちゃんがあんまりにも簡単に人を信用し過ぎるので、ちょーっと人を疑って欲しいなって思いまして、あの、えっと、そのー、ごめんなさいなのですー」
「本当に? ヒック。それも嘘だったり、ヒック。しない?」
「はい! さっきのは演技ですー。私の本心ではないのですー。あっ、でもー」
「ヒック。やっぱり嘘なの? 私を騙してたの?」
「あー、えーっとですねー、雪音ちゃんに吸血鬼にしてもらえたのは、とっても嬉しかったのですー」
「ヒック。さっき私に言ったセリフは吸血鬼になるための、ヒック。出鱈目の嘘、ヒック。だったの?」
「雪音ちゃんとクゥーちゃんと私の3人で悠久の時を過ごしたいって言った言葉は私の本心ですー」
「その言葉を、ヒック。私は信じても、ヒック。良いのかな?」
「はい。信じてください。私は心の底から、そう思っておりますー」
「……」私は少し冷静さを取り戻してきた。
「あとですねー」
「まだ、あるの? やっぱり、さっきのは嘘とか言い出すの?」
そんなこと言われたら私の心は張り裂けちゃうよ。修復不可能だよ。だから、そんなこと言わないで。
「違います。一緒にいたいと言った言葉に嘘偽りはないですよー」
そう言ってラピは私に近づき、私の背後に回って後ろから私を抱きしめた。
「雪音ちゃんがお人好しって言ったのも私の本心なのですー。だから、もう少し、今の雪音ちゃんみたいに人を疑ってかかるようにして欲しいかなって、ふと思ってしまいましてー、それがさっきの演技なのですよー。雪音ちゃんを泣かせてしまって本当にごめんなさい」
「私、ラピを信じても良いの?」
「はい、私を信じてください」
「私を裏切ったら許さないよ?」
「私は雪音ちゃんの下僕ですー。今後、雪音ちゃんを泣かせるようなことは絶対にしないのですー」
「下僕はやめて欲しい」
「えー、それはちょっと無理なのですー」
「なんでよ!」そう言って振り向いたら、泣いてるラピの顔がすぐ側にあった。
「なんでラピが泣いているのよ?」
「雪音ちゃんを泣かせてしまったからですよー」
「あなたが泣く必要ないじゃない」
「泣きたいから、泣くんですよー」
「ばか」
「はい、馬鹿なので雪音ちゃんを泣かせてしまいましたー」
「もういいわよ。ラピは私のために演技した。ラピは私を裏切ってなんていなかった。だから、これで許してあげるわ」
そう言って私はラピのおデコにデコピンをした。
「雪音ちゃん、痛いですー。えへへ♪」
ラピは泣き止み、私に微笑んだ。
はー、この子は、まったくもー。私の心をこんなにかき乱すなんてどうしてくれよう? 出会って数日も経ってないっていうのに……。私がそれだけこの子に心を許してるってことだよね。
私にとって初めてできたお友達。それは思ってた以上に私の心を強く揺さぶる存在だった。ずっと1人だった私にできたかけがえのない存在。もう手放すことなんて出来なさそう。
でも、この子は私の血を飲んだ。私の眷属になったんだ。これからも私の血を与え続ければ、私の体にどんどん近づいていくかもしれない。そうすれば、本当に一緒に悠久の時をこの子と過ごすことができるかもしれない。あはっ♪
「私はラピを信じる。だから、あなたは私を裏切らないでね。裏切ったら、また泣いちゃうからね?」
「雪音ちゃんは泣き虫さんですからねー。泣かれたら困ってしまうので裏切らないですよー。私は雪音様の忠実なる下僕なのでー」
「ちょ、ラピ!様と下僕はやめてって言ってるでしょ? なんで両方使うのよ!」
「がぅ!がぅ!」とクゥーが僕を忘れないで!って感じで吠えている。
うん、みんながいれば、転生したこの異世界でも楽しくやっていけそうだね♪
さあ、朝ごはんを食べて、旅の支度をして、新しい町を目指して出発だー!
※ あらすじにも書きましたが【なろう】で本編を通して読めるのはここまでになっております。以降のお話は色々あって削除した関係で虫食い状態になっております(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
次話のお話は【ミッドナイト】の方で投稿されている
【雪音ちゃんの異世界転生 〜私、転生したら吸血鬼になっちゃった!?相手の血を飲んだら相手の能力がコピーできる!?私がお願いしたのは想像を現実化する魔法なんだけど!?〜(R18版)】の
【第1章 新世界の幕開け015〜朝ご飯食べて朝の散歩に出掛けよう!〜】になっております。
成人の方で続きをお読みになりたい読者様はお手数ですが、なろうの18禁版である【ミッドナイトノベルズ】の方でお読み頂ければと思いますm(_ _)m ぺこぺこ。
成人でない良い子の皆さんは成人になってから【ミッドナイトノベルズ】でお読み頂ければと思います。フリではないですからね? 良い子の皆さんは訪問しちゃダメですよ?




