第2章 新世界の幕開け 002 〜出発の準備なのです〜
ベッドを降りようと思ったけど靴がない。魔法の袋に何か入ってないか見てみるも、何も入ってない。
裸足で外行かないといけないの? なんで袋に何も入ってないの? せめて食料とか何か入っていても良くないですか? えーっと、えーっと、あっ、そうだ!
「メニューオープン!」
そう言うと、私の目の前に半透明の板が現れた。ほぇ〜、なんかファンタジーってゆーより、未来感満載な感じが......いや、そんなことよりも......。
「魔法の袋、魔法の袋、あった!」
空中に浮かぶ半透明の板の、魔法の袋って書いてある所をタッチすると、魔法の袋の中身の一覧が出てきた。
「えっと中身は〜、リンゴ×10、水袋500mL×10、薬草×10、毒消し×10、冒険者の服一式、魔法使いの服一式っと」
水袋をタッチしてみると、水袋の説明とその横には個数を何個取り出すか確認する画面が表示された。
「とりあえず1個っと」
私は1の数字をタッチした。何も起きない。あっれ〜?と思い、実物の魔法の袋の中を覗いてみる。なんか膨らんだ小さな袋が入ってた。手に取り振ってみるとチャプチャプ音がする。水だ〜!と思って袋を縛ってある紐をほどいて水を飲む。ゴク、ゴク、ゴク。
「ぷっはー。生き返るのです。いや死んじゃって転生したのだから、生き返るはおかしいのです? ま、いっか。それよりも、同じ要領で服も魔法の袋から出せるはず!」
そう言って私はメニュー画面から冒険者の服一式と魔法の服一式と、ついでにリンゴを一個を選び、魔法の袋から取り出した。魔法使いの服はローブの上下一続きで足首近くまである。
「う〜ん、これは動き辛そうだし、色も真っ黒で可愛くないのです。冒険者の服のほうはっと。うん、こっちのほうが動き易そうだし、さっきのよりマシかな〜?」
とりあえず着ている服を脱いでみたら、以前より肉付きが良くなってることに気づく。さっき両手両足を見たときは慌ててたから気づかなかったけど、改めて体のあちこちを見てみると、健康的な体に生まれ変わったんだな〜と実感できる。目が覚めてからずっと体は痛くないし、お胸もちょっと大きくなってて嬉しかったり。生まれ変わってから良いことずくめなのです。顔がにやけちゃうのです。
さてと、そろそろ服を着ないと風邪ひいちゃうね。冒険者の服を着て、靴を履いてみる。うん、サイズはピッタリ。さすが神様だね。でも、できればもう少し可愛い服が良かったです。アトリエのエス○ちゃんみたいな服とかないんですかね?
とりあえず無い物は仕方ないので、お金を稼いで町で可愛い服を探すことを拳を握って決意する。そして、脱いだ服と魔法使いの服と龍の杖を魔法の袋にしまって袋を肩に下げ、リンゴを手に取って私は洞窟の出口に向かって歩き出す。さあ今度こそ洞窟の外に出よう。
私はリンゴをかじりながら遠くに見える光を目指して進む。リンゴは地球で食べたのと変わらない味だった。地球産のリンゴなのかもしれない。魔法の袋に入ってた10個を全部食べちゃったら、もう食べられないかもと思って、よく味わいながら食べることにした。
それにしても、この洞窟って生き物がまったく居ないのです。神様の配慮とかなのかな。あれっ? それって、洞窟の外に出たら魔物と出会っちゃう可能性が高いってことじゃ...。汗タラリ。
まずいじゃないですか!? とりあえず何か魔法を考えておかないと! ゲームだと火の魔法とか定番だけど、敵に当たって敵が燃えたとして、燃えたままこっちに突っ込んできたらアウトなのです! ってゆーか当てただけで燃えるのかな? 火炎瓶だったら油とか燃える燃料があるから一気に燃えそうだけど。
う〜ん……。私が神様から貰った魔法は、想像を現実化する魔法……。当てたら必ず燃える魔法ってイメージで使えば燃えるのかもしれない。かもじゃなくて、きっとそうなのです。思い(込み)の力が現実を変えるのです! そもそも魔法なんて超常現象なんだから現実の法則とか気にしちゃダメなのです!
とか考えていたら洞窟の外に出ちゃったよ。うっ、まぶしい。目を手で覆い光を遮る。目が明るさに慣れたので、周りを見てみると辺り一面銀世界。
「おぉ〜雪がいっぱいなので〜す。えいっ♪」
テンション上がった私は雪に向かってダイブしてみた。ズボッと雪に埋まる私。ん? あれっ? 多少ひんやりするけど、そこまで冷たく感じない。雪から起き上がり考える。周りが雪だらけなのに全然寒く感じないのは、体が吸血鬼だからなのかな?この服ってそんなに厚手じゃないし、きっとそう言うことなんだよね。
「キシャー!!」
「なにっ!?」
急いで音がした方に顔を向けると、そこには目の赤い5m位の高さの木の魔物がいた。