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第5章 パジルーンという村での出来事 008 〜守り神ワイトスネイカ⑥〜

「あっ、そうだ、まだワイトに聞きたいことがあったんだ!」

「何を聞きたいのだ、我が(あるじ)よ。フシュー」


「あなたって敵を倒すのに、尻尾で薙ぎ払うのと、牙を突き立てて毒を流して相手を眠らせる他に何ができるの?」

「ふむ、広範囲の相手を眠らせる霧を発生させることが可能だ。シュルルー。牙を突き立てて毒を直接流すのに比べたら効果は薄まるがな。ただ興奮している相手には効かん。フシュー」


「へー、じゃあ黒山羊(ベーゼゴウト)を眠らせるときって、どうしてるの? アイツら、近寄っただけで攻撃してくるんだけど?」

「我には熱を感知する能力がある。それを使って黒山羊(ベーゼゴウト)に見えないよう物陰に隠れながら移動し、霧の効果範囲に入るまで近づいて霧を発生させるのだ。そうすれば黒山羊(ベーゼゴウト)の群れなど一網打尽(いちもうだじん)よ。シュルルルーーーシュル。群れでなく1頭なら近づいたのち、飛びかかって牙で仕留めるがな。フシュー」


「へー、熱感知か〜。良いね、それ便利そう♪」

「雪音ちゃん、雪音ちゃん、便利そう♪ って言っても雪音ちゃんに使えるのですかー?」


「んー、魔法で創り出すこともできると思うけど、作らなくても実は もうできるんだよ」

「はいー?」

(あるじ)は何を言っているのだ。フシュー」


「じゃあ、試してみよっか?」


 私は周りを見回して、祭壇の周りの蝋燭(ろうそく)と洞窟の壁に取り付けられて燃えている松明(たいまつ)の火をロックオンし、魔法で火の周りの酸素を奪った。火は消え、辺りが闇に包まれる。


「あわゎわ。雪音ちゃん、真っ暗で何も見えないですーーー!?」ラピが、あゎあゎしてる。

「ラピ、ちょっと動かないで、じっとしててね。単に真っ暗になっただけだから大丈夫だよ」


「雪音ちゃんの声が聞こえるのですが、なんか心細いですーー。ふぇーん」とラピの泣き言が聞こえる。

「実験が終わったらすぐ明るくするから、ちょっと待っててね? ワイト、右か左に移動してみてくれるかな?」

「わかった。これでよいか? 我が今どちらへと動いたか、(あるじ)はお分かりか? シュルルーー」


「あなたは右へ動いたよ! 私から見て左だね」

「私には見えないですーー。雪音ちゃーん。えーーん」

「うむ、たしかに我は今、右へと動いた。だが、それは吸血鬼の特殊技能を使っているのではないのか? シュルルーー」


「ええ、違うわ。今、私は吸血鬼ってゆーか蝙蝠(こうもり)? の超音波は使ってなくて、ワイトの能力の熱感知を使って、あなた達を見てるの。熱感知を使うと、温度の高い低いで、赤、黄色、青といった色で生き物かどうか判断できるでしょ?」


 そう今の私の視界は、赤、オレンジ、黄色、青などと言った色で見えている。サーモグラフィーとかサーマルビジョン? とか言われてたような気がする。


「それはそうなのだが……。フシュー」


 私は頭上に火の玉を発生させ、洞窟内を少し明るくした。先程消した灯火の位置がはっきりと把握できるようになったから、周りを見回して目標をロックオン、指をパチンッと鳴らして あちこちの松明(たいまつ)に魔法で火をつけた。


「あーー、明るくなったですーー。雪音様ー、ありがとうございますーー!」


 ラピーー! また、様に戻ってるじゃん……。私、人間の下僕(げぼく)はいらないの。私は人間のお友達が欲しいんだよ?


「あれー? 雪音ちゃんの両目の下になんか(くぼ)みができていますねーー。せっかくの可愛いお顔が台無しですーー」


 とラピがとんでもないことを口走った。


「あっ! ピット器官? だっけ。アレかー。人間の顔にアレができるのはちょっとなー。熱感知解除!」


  温度を赤、黄色、青などで表した視界から、いつもの視界に戻った。これで多分、元の顔に戻るはず!


「あー、雪音ちゃんの顔が元に戻ったですーー。変な穴ぼこが消えましたーー!」


 となぜかラピは大喜びだ。よかった、元に戻って! それにしても、熱感知を使うときは魔法でピット器官の(くぼ)みをカムフラージュしないと恥ずかしくて人前に出られないね。いや、恥ずかしさ関係なくやらないとダメか。人間に化け物ーとか言われて、きっと逃げられちゃうよ。


(あるじ)は規格外なのだな。なぜ、我の能力を我が(あるじ)はお使いになれるのであろうか? シュルシュルーー」

「私がワイトの尻尾を切り落とした時に、私があなたの血を飲んでたのを覚えてる?」


「あー、覚えているぞ。思い出したくはないがな……。フシュー。シュルル」

「私、相手の血を飲むと、相手の能力が使えるようになるんだよ。すごいよネー」


「そ、それは吸血鬼の能力ではないであろう! ありえん! シュルルルーーシュルン」

「雪音ちゃん、それも神様の贈り物だったりするのでしょうかー?」

「うん、実はそうなんだよネー」


「雪音ちゃんは、本当に神様に愛されておりますねー」

「愛されているどころのレベルではないと思うのだが……フシュー。つまり、我が(あるじ)は敵の血を飲めば飲むほどに強くなっていくということではないか? シュルルー」

「そうだね。どこまで強くなるんだろうネー。ははは。私、昔はただの女の子だったのに……」


 ちょっと人外になり過ぎた自分にヘコむ私。


「神様は、雪音ちゃんに強くなってもらって、世界各地のダンジョンの最奥(さいおう)にいると言われている災厄の魔物でも倒してもらおうとか考えていたりするのではないでしょうかー?」

「なるほど、たしかに(あるじ)の能力は規格外すぎるが、そのように考えれば、あながち規格外すぎるということも」


 私はワイトの言葉を(さえぎ)り、


「待って! 何、その災厄の魔物って!」


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