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第5章 パジルーンという村での出来事 004 〜守り神ワイトスネイカ②〜

「っん……。ここは?」


 私は周りを見回す。何も見えない。真っ暗だ。しかも(くさ)い。


 私は目を閉じて、アーーーーと声を出し続けて超音波を出す。すると、目を閉じてるのに周りの様子が白黒で分かるようになった。エコーロケーションによる情報の視覚化は健在だね♪ 1つ目の廃村で実験しておいて良かったよ。私は鼻歌で超音波を出すことにし、自分の周りを観察する。


 壁はまるで生きてるみたいに脈動してる。地面はぐにゃぐにゃしてるし、触るとパシャンとかピチャとか液体っぽい音がする。地面から手を離すと、よだれみたいにネバーっと大量の糸を引く。


「私、魔物か何かに食べられちゃった?」


 覚えてる最後の記憶は……あんの じじー、よっくも雪音ちゃんに薬を持ってくれたね! なんて奴だ! ラピもグルってことは…ないよ、ね? 私やクゥーと接していた時の楽しそうにしていたあの姿が嘘だったら、私、人間不信になっちゃうかも。私はラピを信じたい。じじーは許さないけどね!


 にしても、この状況、ひょっとして私は守り神様とやらに生け贄として差し出されちゃったのかもしれない。それでパックリと丸のみされたと……。バリバリ食べられなくて良かったけどネー。でも、ここ(くさ)いんだよ。くんくん。私は自分のにおいをかいでみる。早くここから出てお風呂に入りたい。クゥーがここにいたら鼻をやられて可哀相……。


「クゥーーーー! いるーーーーーー?」


 大声でクゥーを呼んでみたけど、クゥーの鳴き声は聞こえない。私はクゥーに流れていく魔力の光を視覚化した。コバルトブルーの青い光の筋が肉壁の外へと続いている。


 飲み込まれたのは私だけ…かな? それは不幸中の幸いだね。早くここから脱出してクゥーを迎えに行かないと。私は右手を頭上に掲げ、


「死神の大鎌よーーーー!」


 そう言って、私は手元に赤黒く怪しく光る大鎌を召喚する。即死効果は神様にないって言われてるけど、そんなのは気にしない。気分の問題だ。大鎌を両手で持って頭上でクルクル回転させる。


「さあて、この肉壁を切って外に出ちゃうよ〜っと。えーーーーぃ♪」


 私は白黒世界で目前の肉壁を大きく大鎌で縦に斬り裂いた!


「ぎゃあアアアアアーーーーーーー!?」


 肉壁にあいた隙間から光が見える。私は触りたくないけど光に両手を突っ込み、斬り裂かれた肉壁を左右に開いて外に出た。目を閉じて、スーーーーー、ハーーーーー、スーーーーー、と大きく深呼吸した。


「やーー、やっぱり外の空気は良いね〜。中は酷い(にお)いだったよ、まったく」


 私はそう言って後ろを振り返る。そこには白くて大きな蛇がいた。4〜5mぐらいの高さの所に頭があって、こっちを睨みつけている。


「あなたが、パジルーンの村の守り神様ってやつなのかな? よくも丸のみにしてくれたね? (くさ)くてたまらなかったんだけど! あとネバネバして気持ち悪かったし!」


 私は文句を言ったあと、自分の体を見回す。


「うっわ、あちこち液体でベチョベチョだー。もー最悪!」


 私は水の魔法を使って体の液体を落とす。ってゆーか、なんで私、ラピが着てたような衣装着てるの!? 誰が着せたの!?


「き、貴様、どうやって我の腹から出てきた! そんな武器は持っていなかったはずだ!!」


 フシュルルルルーーーーー! と白い大蛇はその長い舌を出したり引っ込めたりしてる。


「もー! こっちはそれどころじゃないのー! 誰が私を着替えさせたのか、そ・れ・が! 問題なのー!!」


 くそじじーが着替えさせたとかだったら絶対に許さないから! 氷漬けにしてくれる! ガルルルルゥ!


「なんだ、この娘は話が通じないではないか!? フシューーー、フシュルルーー」

「ゆ、雪音ちゃん?」


 その声に私は振り向く。ラピが洞窟の壁際で倒れている! 私は急いで飛行魔法を使ってラピの元へと滑空する。


「ラピ! ラピ! 大丈夫なの!?」


 私はすぐに魔法を使ってラピを癒す。オレンジ色の優しい光が彼女を包み込む。


「か、体がっ!? こ、これって雪音ちゃんが?」

「そうだよラピ、もう大丈夫だからね?」


「ご、ごめんなさい、雪音ちゃん。私が雪音ちゃんを村へ連れてきてしまったから……。グスッ」


 ラピが両手で目を覆い泣き出してしまった。


「気にしなくて良いよ、ラピ。悪いのは、じじーとコイツだから!」


 ラピにそう声を掛け、私はキッと白い大蛇を睨みつける。


「フシュルルーーー。やっと話ができそうだな。膨大な魔力をその身に宿す娘よ。して、どうする? 我と戦うのか?」

「うん、戦うよ? だってラピが倒れてたのも、ラピが今 泣いてるのも、あなたのせいでしょ? とりあえず、おいたをしたと思われる その尻尾、細切れにしてあげるね。あはっ♪」


 私は大鎌を右手に、白い大蛇の尻尾へと飛行魔法で飛んでいく。


「ふん、なんて好戦的な娘だ! これでも喰らうが良い! フシャァアーーーーーー!」


 猛スピードで向かってくる白い大蛇の尻尾を、私は天使の翼を生やして大きくはばたかせ急上昇した! 私の下を尻尾が通り過ぎていく! 私は急上昇後、その勢いのまま宙返りしつつ尻尾を追う。尻尾の動きが止まったところ目掛けて、


「もーーーらいっと♪」


 大鎌を一気に振り下ろす!


「グヮあアアアーーーーーーー!! ぬぅうーー、おのれぇえーー小娘の分際でーーーー!」

「その小娘に尻尾を切られちゃったのは、どこの誰なのかな〜?」


 私の手には今切り取った尻尾がある。私はそれを見せびらかすようにブラブラさせる。


「フシャァアーーーーーーーー!!」


 それを見て逆上した白い大蛇が残ってる部分の尻尾で再度、私を狙う。私は迫り来る尻尾を、大鎌を下にし、棒の部分で受けて押しとどめる!


「な、なんだ貴様のその怪力はーーー!? フシャアアーーー!」

「女の子に向かって怪力はないんじゃないかな? よいしょっと♪」


 私は大鎌を切り上げ、短くなった尻尾をさらに短くさせる。


「ッギャアあぁアアーーーー!!」


 白い大蛇が再び悲鳴をあげる。


 切り取られて輪切りになった尻尾から血がボタボタと流れ落ちる。もったいないので私は氷のコップを作り出し、コップが満タンになったところで一気に血を飲み干す。うん、なかなか美味しい味だね? また飲みたいからしまっておこう! 私は2つの切り取った尻尾を収納した。口元を手でぬぐい白い大蛇を見る。


「き、貴様、人間ではないのか? フシューー。シュルルルーーー。」


 しまった!? うっかりやっちゃったよ!! オーマイ、ガーーーーッ!? 私は両手で頭をかかえる。ここにはラピもいるって言うのに! 恐る恐る振り返ってラピを見てみる。どうか怖がられてませんよーにーーーー!


「ゆ、雪音ちゃん……」


 そこには呆然としたラピの姿が。私は急いでラピに背を向ける。


 お、おわった……。私の異世界転生初の人間のお友達に、私が魔族ってことがバレちゃいました! ぐぬぬぬ、それもこれも全部コイツが悪い! そーだ! コイツが悪い!


 私は怒りで青い目が赤へと変わり、怒りの赤いオーラを身にまとって大鎌を構える。


「貴様、我の話を聞いているのか! フシャアーー!」

「答える必要があるのかなっと」


 私は天使の翼をはばたかせ、白い大蛇のとぐろを巻いていない起き上がってる所へと一気に近づく!


「おいたが過ぎたヘビさんにお仕置きだよ♪」


 と言って、赤黒く光った大鎌を下から引っ掛け、螺旋を描くようにしながら白い大蛇の頭を目指し上昇していく! それを追うように鎌が切った所から炎が吹き出し、炎が鎌を追う! まるで大蛇に もう1匹の炎蛇が絡みついて登っていくかのように!


 螺旋状に体を切り裂かれ、下から順に燃やされていく白い大蛇は絶叫をあげる!


「ぐギャあぁアアーーーー! やめろ、やめてくれぇえエーーーー!!」


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