第4章 村を目指して 016 〜あるのは、また廃村だった〜
クゥーとのお空のお散歩してる時に見えた村にようやく着いた。着いたのに……。
「えっ、また、また廃村なのぉおおおーーーー!?」
私はがっくりと膝をつく。この世界に神様はいないのか?あー、いや、いたね、あの人が……。人間と魔物の命を懸けた血湧き肉躍る戦いが好きな神様が……。
でも、あの人って下界の人間に手とか差し伸べてくれなさそうだよね。じゃなかったら、廃村2つもこんな簡単に見つかるはずがないよ!
人間は楽な方へ走りたくなる生き物だ。だから、もし人間が困ったときに神様が手を差し伸べたら、人間は神様を当てにする。困るたんびに神様から助けられてたら、人間は自分達で努力しなくなる。
あの神様は人間に知恵と勇気を振り絞って魔物と戦わせたい人だから、簡単に人間に手を差し伸べてくれなさそうだけど、でも、みんな死んじゃったら人間がいなくて神様は楽しめないはず……。
なのに廃村が2つもあるってことは、神様が時々やらかして失敗しちゃうことがあるって言ってたけど、これがそうなの? あの人、ホントに神様なの? 実は破壊神だったりしないのかな? 私の体、魔族だし……。
そんな時、私の耳に女の子の悲鳴が聞こえてきた。
「キャァアーーーーー!! 来ないで! あっちへ行ってぇええーーーーーー!!!」
「人がいた!? クゥー、行くよっ!!」
私は急いで声のする方へ向かう。そしたら、またあの金眼の黒山羊達がいた。ひょっとしてコイツらのせいで村人達はいなくなったの? とりあえず、あの女の子を助けなきゃ!
「クゥー、私が注意を引きつけるから、あの女の子についていてあげて!」
「がぅ!」と返事してクゥーは空に氷の足場を創り出し空を駆けていく。
私は右手で龍の杖を左から右に向かって振り、5匹の金眼の黒山羊をロックオンしてから、
「サンダーボルト5連撃ぃーーーーー!!」
金眼の黒山羊の頭に向かって天からかなり強めの雷を落とした。雷の余波で地面がえぐられている。5頭の黒山羊に大したダメージは与えられなかったが、十分注意は引けたみたいだ。5頭ともが私を見ている。そして不気味な笑みを浮かべながら気味の悪い声を出す。
「ヴァあアアあーーーゔぇエーーー!」
「ゔぇヒャひヒャーーーーーーー!!」
「ヴァひゃゔぇヒャあーーーーヒャ!」
「ヴェーーゔぇヒャひゃゔぇヒャ!!」
「ヴォーーーーーーゔぉーーーーー!」
背筋がゾクゾクっとする。
「あぁもう! きっと、お前達のせいで村が廃村になったんだよねえ! 2つもっ! 私の、私の苦労が分かる!? お前達は私の中で滅殺確定なの!! 相手してあげるから、ちょっと待ってなよ?」
そう言って、腕をぷるぷる震わせながら私は金眼の黒山羊達を睨みつける。雪音ちゃんキレる一歩手前なんだよ?
「そこの女の子ぉおおーーー! コイツらは私が相手するから早く逃げてくださーーーい!!」
「は、はい!ありがとうございますーーー!!」
そう言って女の子は私にお辞儀した。クゥーはすでに女の子の前にいて、私を見ている金眼の黒山羊の後ろからコイツらを警戒している。女の子が走って行ったので、クゥーも後を追いかけて行った。
「うん、目撃者は消えたから、約束通り相手してあげるね? あはっ♪ 雪音ちゃんを怒らせた報いを受けると良いよ?」
雪音は目を赤く怪しく光らせて、鎌を召喚し、赤黒いオーラを纏わせた。雪音の体中からも赤黒いオーラが吹き出ている。雪音ちゃん怒モードである。
「ヴァぁアァあーーーーーーーー!」
「うヒャびゃヒャーーーーーー!!」
「ヴァひゃビャあーーーーーーー!」
「ヴェーーひゃヴェーーーーー!!」
「ヴォーーーぶゔぉーーーーーー!」
金眼の黒山羊達が、私を威嚇する。
そして、金眼の黒山羊との戦いが始まった。
「ゔぇフェえーーーーーーー!!」「ヴェヒャゔぇーーーーーー!!」と2頭が鳴いた後、2頭のグルグル巻き角の黒山羊の金眼が光る。そして、巻き角をバチバチ帯電させている。
私は、急いで龍の杖に避雷針の効果(雷を吸い寄せるタイプ)を付与して地面に突き刺す!
2頭の黒山羊のバチバチと帯電した巻き角から電撃が放たれたが、それは避雷針と化した龍の杖に吸い寄せられる!
巻き角2頭が電撃を放ち続けてる間に、私は飛行魔法で2頭の黒山羊の間に着地し、鎌をくるんと1回転させ2頭の首を斬り落とす!
「まず2頭っと♪」
それを見た4本のとんがった角を生やした黒山羊が「ヴェぁアァーーーーー!」と鳴いて金眼を光らせ、4本のその鋭利な角をこちらへと飛ばしてきた。
私は盾を前面に4重に展開する。しかし、4本の角が盾にぶつかり盾を壊す。盾が壊された瞬間、私は飛行魔法で上空へと急上昇した。
盾は破壊された時に爆発し、辺りがブリザードによって真っ白になる。視界が悪くなったため、黒山羊は私の姿を見失い「ゔぉぁアァーーーヴォあァーーー!」と鳴いて怒っている。
けれど、私の視界はブリザードの影響を受けないため、眼下の黒山羊の位置がはっきり分かる。黒山羊があたふたしている その隙を狙って4本の角を失った黒山羊に向かって私は急降下し、首に向かって鎌を振り下ろす。
首を斬り落としたと思ったら、別の黒山羊が「ヴォーーぶゔぉーーーーー!」と鳴きながら、その螺旋状の槍みたいな角に緑色の風をまとわせて私を突き刺そうと後ろから猛スピードで突進して来ていた。
私は避けようとしたが右脇腹を後ろからゴッソリとえぐられてしまい、血が大量に噴き出る。
「っ痛!? いっ、たいなーーーもーーーーー!!」
私は両手で鎌を握り、全力で鎌を横に振るった。風をまとった槍のような角を持つ黒山羊の体が、上下に真っ二つに切り裂かれ、地面にドサっと崩れ落ちる。
「うぅーーー痛いよぉーーー」
私は地面にうずくまる。私は右脇腹を抑えながらハイヒールを唱えた。オレンジ色の優しい光が右脇腹を癒す。
「ま、まだ、あと1匹いたはず……」
私は辺りを見回す。
「いない!? なんで!?」
もしかして、あの女の子とクゥーを追いかけて行ったの!? 急いで追いかけなきゃ!!
「クゥーと女の子!! 待ってて、今、行くからね!!!」




