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第4章 村を目指して 015 〜ねえコイツらって、スライムの代わりかなんかなの?〜

 私は地面すれすれまで降下する。そして、螺旋状の槍みたいな角を持つ黒山羊に向かって指をビシッと突きつけ、


「お前のその気持ち悪い笑いを永久に止めてあげるから覚悟するのね!」と宣言する。


 黒山羊は不気味な笑顔で「ヴァひゃ、ゔぁヒャ、ヴァびゃーー!」と私を嘲笑う。


 その笑いホント腹が立つ!


 私は鎌を敵に向け「えぃっ!」と叫んで、赤い電撃を放ち「クゥーーー!」と合図を送る!


 黒山羊は私の赤い電撃を華麗なステップでかわすが、クゥーが上から広範囲に落とした大量の つららによって黒山羊の動きを鈍くさせる。今だ!と思った私は鎌の刃先から赤い電撃を黒山羊に向かって放つ!!今度は黒山羊も避けられない!赤い電撃がヤツに当たった瞬間、私は鎌に魔力を込めて叫ぶ。


「燃えちゃえーーー!!」


 そして、黒山羊は発火する!


「ヴェあーヴァーゔぉオーーー!?」


 黒山羊は悲鳴をあげている。


 その時、上から でっかい氷塊が落ちてきた。


「ゔぉヴェ!?」と鳴いて黒山羊は氷塊に押しつぶされた。


「はっ?」


 私はポカンと口を開け、間抜けな顔をさらす。そして上からクゥーの「あぉ〜〜ん♪あぉ〜〜ん♪」という、とても嬉しそうな勝利の雄叫び声が聞こえてくる。雄叫びなんだろうけど、勇ましくなく、むしろ微笑ましい鳴き声だ。


「うん、間違いなく今回のMVPはクゥーだよね♪ クゥー、降りておいで〜、なでなでしてあげるよ〜!」


 そう声を掛けると、クゥーは「くぅ〜ん♪」と鳴いて降りてきた。上機嫌である。


「クゥー、よくやったね♪ 大量の つららをタイミングよく落として相手の動きを止めてくれたし、最後に とどめまで刺しちゃったし。うん、クゥーはすごい子だね〜、偉い偉い♪」と私は もふりながらクゥーを盛大に褒めてあげた。クゥーはとっても誇らしげである。その姿がとても愛らしい。


「それにしても、コイツらって見た目は山羊っぽいけど、やっぱり異世界だね。草食じゃないっぽいよね? 肉食? だから私達を襲って来るのかな?」


「がぅ!」と大きくクゥーが頷く。


「あ〜肉食なんだー。見た目が似てるからって地球と同じだと思って油断しちゃいけないんだねー」


「がぅ!」と、またもや大きく頷くクゥー。


「クゥーは知ってたから、最初アイツらと遭遇した時、私の後ろに隠れたんだね? いっぱい吠えて警告してくれれば良かったのに」


 って言ったら、クゥーが顔を逸らした。


 私はクゥーの頭をガシッと掴んで前を向かせ、視線を合わせた。


「クゥ〜ウ〜? そう言うことは、ちゃんと教えてくれないとダメだよね?」


 と言って私は目を怪しく赤〜く光らせる。


「くぅーん」と鳴いてしょげるクゥー。


「次から知ってるときには、ちゃ〜んと吠えるとかして教えてね。私が油断してやられちゃったら、クゥーだって危ないんだからね? 私が危険なときに魔力をクゥーに渡してあげることができるかは分かんないし」


「がぉ」と下を向いたまま返事をするクゥー。


「分かってくれたなら、この話はここでお仕舞い! 私の魔力を自由に使える今のクゥーなら、怖くて隠れちゃうようなこと、もうないよね?」とウィンクして明るい声で聞いてみる。


「がぅ♪」とクゥーから元気な返事が来た。


「うん、じゃあコイツら、しまっちゃうからクゥーはちょっと休んでてね? あっ、水とか飲む?」


 そう言って私は木の器を召喚してクゥーの前に置く。そして、水の魔法で器を満たす。


「じゃあ、しまってくるね〜」


 クゥーの落とした でっかい氷塊に潰された螺旋状の槍みたいな角を持つ黒山羊の所に私は来た。コイツの風の槍は今後の戦いに使えそうだと思ったから、すぐにコイツの血を飲むことにした。鎌を召喚し氷塊から飛び出てる頭を斬り落とす。そして、頭から溢れ出す血を氷で作ったコップで受けていっぱいになるのを待つ。


 ちなみにコイツの血は普通に赤かった。クールビューティーは氷の精霊?だから青い血の色だったのかな〜とか考えながら、いっぱいになった氷のコップに口をつけ、一気に血を飲み干す。


「うん、なんか力が溢れてくる感じだね?」


 そして耳の上に手を当ててみると、


「あぁ〜やっぱり生えてきたネー。ってゆーか早くないですか、生えてくるの? お昼に お肉食べてる時には生えてなかったよね?私が美味しさに夢中で気づかなかっただけ?それとも血の量によって固有技覚えるのに時間の差が出てくるのかな?」


 私はそんなことをブツブツ言いながら、手に持ってる黒山羊の頭と、氷塊に潰されている黒山羊の体を(メニュー画面のアイテム欄に) 収納した。そして、離れた所で こんがり焼けている巻き角の黒山羊の頭と体も収納した。


 クゥーのいる所へ戻ると、水の入った木の器は置いてあるけどクゥーがいない。


「あれ? クゥーー?」


 って呼んだら、「がぅ!」と返事したクゥーが後ろにいた。


「あぁ、クゥー! 魔法の袋を拾って来てくれたんだね!ありがと〜♪」


 そう言って魔法の袋を拾い上げて肩に掛け、クゥーの頭をなでなでしてあげる。


「クゥーは本当に良い子だね〜。よしよし♪ ねぇ、クゥー。あの黒山羊達ってスライムの代わりかなんかなの? うようよいるの? アイツらがスライムの代わりで、しかも、あの強さで うようよいたらヤなんだけど……」


「がぉ」と大きく頷くクゥー。


「そっかー、いっぱいいるんだー。はー。肉食で好戦的だから、出会うたんびに駆除してけば良いのかな? まー、お肉は美味しいからね!」


「がぅ♪」とお肉に反応するクゥー。しっぽをふりふりだ!


「ところでね、クゥー。雪音ちゃんの、この角を見てください。この螺旋状の槍のような角って、緑色の風を纏った時にすごーい力を感じたんだよ。見た瞬間ヤバいって思ったんだー」


「がぉ?」何が言いたいのかな?って感じでクゥーが首をかしげる。


「それでね、クゥー。これをクゥーの頭につけたいと雪音ちゃんは思うのです!」


「がぅっ!?」クゥーが後ずさった。


「ほら、氷の槍10本使っても黒山羊に避けられちゃったでしょ? だから、攻撃手段は増えるに越したことはないと思うんだあ。えへへ♪」


「がぅー」と言ってクゥーは渋々近づいてくる。


「この風を纏った槍のような角を頭につけて、敵に突進してって相手に当てれば大ダメージだと思うんだよ!」


 と力説してみたがクゥーの反応は、かな〜り微妙だった。近づいて来たけど、やっぱりヤダって感じで後ろ向いちゃったよ。


「えーー、良いアイディアだと思ったんだけどな〜。これ、雪音ちゃんの頭についてるから雪音ちゃんには使えないし……。あっ、そうだっ!」


 そう言って私はイメージを固める。よしっ!


「えっと、近くに大きい石〜、大きい石〜。あ、みーっけ! クゥーちょっと見ててごらん」


「がぅー?」そんな変なのつけたくないよ?みたいな感じでクゥーがこっちを見る。


「じゃあ、いっくよー♪」


 と言って大きな石に向かって右手の手の平を押し出すようにして突き出す。そして、こう叫んだ。


「風の槍よ!」


 その瞬間、私の手の平の前に、螺旋状の槍のような角が出現した。そして、螺旋の隙間から緑色の風が吹き出し、まるでドリルが回転しているみたいに緑色の風が動き出す。


「目の前の大きな石を貫け!」


 と叫ぶと凄い勢いで緑色の風を纏った角が大きな石に向かって飛んでいく。そして、その大きな石をくりぬいて拳大の穴を開けた。穴の向こうの景色がよく見える。威力もなかなかだ!


「うん、イメージ通り! やったね♪ どう、クゥー? すごいでしょ?」


 と聞いたがクゥーはびっくりしてて何も答えられない。


「でも、無理強いはしないから、力が欲しくなったら教えてね?」


 クゥーは固まっている。しばらくそっとしておこう。


 でも、これって人前では使えないよね? こんな技、人間だったら絶対に使えないし……。私が使ったら人間じゃないってバレちゃうよ。使えないといえば、赤の雷とか赤の電撃もアウトだよね。


 人前でアイツらと戦うことになるとしたら、どうすれば……。


 黒山羊の電撃……。1頭だけなら盾で防げるけど、前と横から同時に放たれたら厳しいかな。雷、雷……雷よけ……避雷針? 避雷針って確か、雷を集めるタイプと寄せつけないタイプがあったよね。龍の杖に雷を集めるタイプの避雷針の効果を魔法で付与して、龍の杖を地面に突き刺しておけば、アイツらの雷を吸い寄せてくれる! それで、雷を吸い寄せてる間に鎌で首斬り落としちゃえば問題ないかな?


 あとはー、盾って壊れちゃうときがあるけど、その壊れるのを何かに利用できないかな?壊れたときに目くらましができたら、相手の隙をついて移動ができるかも! 盾が壊れたら爆発して煙を出して視界を悪くする。煙はクールビューティーのブリザード使えばいいかな? あれ、辺り一帯真っ白になったし! 範囲はもっと絞って使うけどね。


 うん、道具を使ったり、相手をうまく欺いて戦う。これなら人間っぽいよね! 雪音ちゃん、あったま良い〜ので〜す♪




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