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第1章 神様との対話 003 〜私、欲張りですか?〜

「いいよ、いいよ、全部が良いんだね。えっ!? 全部っ!?」と神様は驚愕(きょうがく)してます。


「えーっとね雪音(ゆきね)ちゃん、流石に全部は欲張りすぎだと神様は思うのさ」

「さっき、なんでも言ってごらんって言ったのに」


「でも「いいよ、いいよ、全部が良いんだねとも言ったのに」と私は神様の発言に被せて神様をジーっと見つめながら言ってみる。


「ほら、次は何の魔法を覚えよっかな〜みたいな感じで徐々に新しい魔法を覚えていく楽しみとか、この強い魔物は水に弱いから一旦退却して次は水の魔法を覚えてから再戦しよう!とか、魔物とギリギリの燃える戦いを楽しむためにも、最初から全部覚えちゃってると面白みが欠けるってゆーか、あの、その......」

「私は死にたくないので、魔物とギリギリの戦いなんてしたくないのです。あと、面白みが欠けるってどうゆうことですか? 私の命がかかってるんですよ? どんな魔物と出会っても死んじゃわないように、転生特典くれるって神様言ってくれたじゃないですか〜?」


と両手を組んで神様に祈るポーズを取り、目をうるうるさせて上目遣いで言ってみた。


「うっ、いや、まあ確かにそう言ったけどさ〜。全部だと詰まらな...」


 今この人、最後に小さな声で詰まらないって言おうとしませんでしたか? ハー、困ったのです。神様を楽しませないといけないんですか? そうなんですか?


「じゃあ1つの魔法で良いので、すっごい魔法を私にください。」


と、とびきりの笑顔で私はお願いしてみる。


「えっ、1つで良いの!? 1つで良いなら喜んですっごいの登録してあげるよ!」

「絶対の絶対ですか!?」


「絶対の絶対です。神様嘘つかない。っで、何の魔法が欲しいのさ?」

「想像を現実化する魔法が欲しいです」


「想像を現実化する?」

「はい、私がこんな魔法があったら良いなと想像した魔法を実際に使えるようにする魔法です。たしか神様は、地球のマンガやゲームで気に入ったのをこっちの世界で取り入れてるんですよね? 私、地球人です。きっと面白い魔法を作り出すと思いますよ?」


と言ってはみたものの、やっぱりダメだよね〜きっと。なんでもありになっちゃうもん。あんまり期待しないで神様の返事を待つ。


「う〜ん。全部の魔法を最初っから覚える訳ではないし、その魔法はいずれは全部の魔法を覚えることも可能だろうけれど、徐々に覚えていくと言う点で過程を楽しむ要素もある。魔物と戦っているときに状況に応じた魔法を想像して創造し行使する」


 神様ブツブツ言ってるです。これは期待しても良いのかな?


「悪くない。それに雪音(ゆきね)は地球人。こっちの世界に無い新しい魔法を創り出してくれるかもしれない。それは確かに面白そうだ。うん、決めた。良いよ、雪音ちゃん。あんたのために想像を現実化する魔法を新しく作って初期魔法として登録してあげよう!」

「ホントですか!? やったー! 神様、ありがとうございます。私、とっても嬉しいです!」


 ダメ元で言ってみるものなのです。これでハッピーな人生が送れるかもなのです。


「ただし、蘇生魔法に関しては制限をかけさせてもらうよ。簡単に生き返らせることが出来ちゃうと」

「詰まらないからですか?」と口を挟む私。


「たしかにそれもあるけど、そんな魔法を使えることがバレたら、世界中の国々から狙われるだろうね。っで、捕まれば監禁生活さ。魔法で逃げても指名手配されて逃亡生活になるだろうから、平穏な生活はできないと思うよ」


 うっ、監禁とか怖いのです。それに私、入院生活が長くてずっとベッドの上だったから、色んな所にお出掛けしてみたいのです。


「使えることがバレて監禁なんてされたくないので、蘇生魔法は使えなくても大丈夫です。でも、中には良い国もあって重宝されたりするんじゃないですか? それで裕福に暮らせたりとかは」


「出来る出来ないで言うなら出来るだろうさ。そんな国に運良く見つけてもらえたらの話だけど。ただ、(かご)の鳥になるのは間違いないし、そんな人物がいると他の国々に知られたら、誰かが、あんたをさらいにやって来るだろうね。喉から手が出るほど欲しくてたまらない人材だからね。結局、幸せは長く続かない。それでも良いのかい?」

「もちろん嫌なのです。」


 と私は顔を横にブルブルと振る。そんな日々安心できない環境で過ごしたくなんてないのです。


「そりゃそうさ私だって嫌さ。面白くないし。あ〜あと、面白くなくなる魔法も却下だよ。私が楽しめないからね。面白い魔法を作ってくれるんだろう? それじゃあ話はここまでだ。次に雪音(ゆきね)ちゃんが目覚めたとき、私が作った世界で生まれ変わっているはずさ。剣と魔法で魔物と戦う、楽しい楽しい世界だよ。与えた魔法で存分に楽しんでくれたまえ!」

「はい、神様どうもありがとうございました!」


「うむ、達者でな」


そう言って神様が指を鳴らすと、私の意識は途切れたのです。

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