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第4章 村を目指して 010 〜変な声で鳴く生き物〜

 

「あっ、クゥー!あの岩壁(がんぺき)の高い所に山羊(やぎ)っぽいのがいるよ、山羊(やぎ)っぽいの!」


 へぇ〜山羊(やぎ)?ってあんなすごい所、登っちゃうんだね〜びっくりだよ〜。って思ってたら、クゥーの動きが何かおかしい。


「クゥーン、クゥーン」と鳴いてクゥーは私の後ろに隠れてしまった。


 えっ、どういうこと? あの山羊(やぎ)って魔物なの?と思ったら、岩壁(がんぺき)の上の方にいた黒山羊(やぎ)が物凄いスピードで岩壁(がんぺき)をぴょんぴょん飛んで降りてくる!


「えっ!? なに、あのスピード!! クゥー、狩りの話はなし! アイツら、なんかヤバそう!!」


 2頭のうちの1頭は途中で止まり、こちらの様子を(うかが)っている。残る1頭は下まで降りて来た。そして、


「ヴァーービャひゃぁーーー!」

「ヴォーーーーゔぉオーーー!」


 と、2頭の黒山羊(やぎ)が、すごく高い鳴き声と すごく低い鳴き声を発した。


 聞いた瞬間、背筋がゾクゾクっとするような、そんな酷い鳴き声だった。


 こっちが鳴き声に(ひる)んでいると、降りて来た1頭がこっちに向かって走って来た。なんと頭に(つの)が4本も()えている!


 迫り来る黒山羊(やぎ)の金色の()が怪しく光った。その瞬間、黒山羊(やぎ)が4本の(つの)を連続でこちらに飛ばして来た!


「なにそれっ!?」


 後ろにクゥーがいるから私は避けられない!


「盾よ!!!」


 私は前方に両手を突き出し、4重の盾を張った!


 その瞬間、盾に(つの)が激突する。


 ドガッ!ドガッ!ガシャン!

 ドガッ!ドガッ!ガシャン!


 盾が2枚まで壊された。なかなかに強い。黒山羊(やぎ)(つの)がなくても構わず「ヴェえぇエーーーー!」と鳴きながらこちらへ突進してくる。私は(いま)壊れた盾よりも、もっと強い盾をイメージして、残った盾に魔力を流す!!


 ドスンッ!!


 と黒山羊やぎが盾と激突するも、今度の盾は壊れない!黒山羊(やぎ)は盾に(はじ)かれ倒れている。私は盾を消して鎌を出し、前方の倒れてる黒山羊(やぎ)にとどめを刺そうとしたら、クゥーが「キューン、キューン。」言いながら、私のスカートを横へ引っ張ろうとするので、すぐさましゃがんでクゥーを抱き上げ横に飛ぶ。


 すると、ズガンッ!と後ろから大きな音がする。振り返ってみると地面がえぐれていた。


 倒れた黒山羊(やぎ)の向こうから、もう1頭の黒山羊(やぎ)がそのグルグル巻きの(つの)から、さっき私がいた所へ電撃を飛ばして来たようだ。アンモナイトみたいな、その巻き(づの)に電気がバチバチと帯電している。


 クゥーに教えてもらわなかったら、あそこで電撃を受けてたね。


「クゥー、教えてくれて、ありがとね。でも、ちょっと離れててね? 危ないから!」


 そう言って、クゥーを地面に下ろし、赤黒く怪しく光る鎌を頭上に構える。


「あなたの電撃と私の電撃どっちが強いか勝負だよ?」


 私は鎌を振り下ろす。今回は鎌の刃先から(あか)い電撃が敵に向かって放たれる!


 黒山羊(やぎ)金眼(きんめ)が光り、グルグル巻きの(つの)からも電撃が放たれる!


 両者から放たれた(あか)と黄色の電撃が、バチバチとぶつかり合い拮抗(きっこう)する。


「これでーどうだぁあーーーー!!」


 私は、私の(あか)い電撃が黒山羊(やぎ)の黄色い電撃を上回って押し返すイメージを強く強く念じ、鎌に魔力を込めた! その瞬間、(あか)い電撃の威力が増し、黒山羊(やぎ)の電撃をすさまじい勢いで飲み込んで押し返して行く。そして、そのまま黒山羊(やぎ)をも(あか)い電撃で包み込むが、やはり黒山羊(やぎ)に電撃のダメージはあまり与えられないらしい。だけど私の(あか)い電撃は普通の電撃じゃない。(あか)いんだ。(あか)いんだから燃えるんだよ?


「燃えちゃえーーーーー!!!」


 鎌に更なる魔力を込めた。その瞬間、黒山羊(やぎ)が発火した!


 黒山羊(やぎ)は「ゔぁーヴィびゃーゔぃーヴェーーー!?」と悲鳴をあげながら地面に倒れ燃えている。バタバタ暴れているが私の火は消えない。


「うん、燃えてる、燃えてる♪ 電撃はダメでも、燃えるのには弱いみたいだね!」


 コイツはもうほっといても平気そう。あともう1頭はっと!


 4本の(つの)を失った黒山羊(やぎ)は逃げていた。ここで見逃(みのが)(わけ)にはいかない!あんな威力の高い(つの)を再生でもされたら困る。ファンタジーの世界は何があるか分からない。木の魔物の枝も遠くまで伸びて来たし、あの(つの)に再生能力があっても不思議じゃない。


さて、飛んで行きたいけど羽は出せない。服が破れちゃうから! なら、飛行魔法で飛んで行こう! 私は飛べる。空を自由に飛べる。私の体が宙に浮く! うん、さすが私の魔法だね♪


「さあ、鬼ごっこを始めましょう?鬼は、わっ、た、しぃ〜♪ だって私って吸血鬼だも〜ん♪ じゃあ、追いかけるよ〜、そーれっと!」


 私は打ち出された弾丸のように黒山羊(やぎ)の所へと飛んで行った。だから、鬼ごっこは、あっけなく終わる。追いついた私は黒山羊(やぎ)と並走し、


「これで、おーわっり、っと、えい♪」


 横からの回転斬りで首を斬り落とした。首のなくなった体は、首がないまま走りつづけ、しばらくして倒れた。


「鬼ごっこは私の勝ちだったね、黒山羊(やぎ)さん。あなた達は私達が後で美味しく食べてあげるからね♪」


 これで金眼(きんめ)の黒山羊(やぎ)達との戦いが終わった。でも、大きな課題が残った。クゥーのパワーアップを考えないとまずい。あんなのに一度にたくさんから襲われたら、私は大丈夫でもクゥーがやられちゃう!



Q. 雪音ちゃんが、ウサギと戯れる前に龍の杖をしまってたけど、移動を再開した時、なんで杖とか鎌とか取り出さなかったの?魔物と遭遇する可能性とか考えないの?


A. 雪音ちゃん、アホな子なんで……。結構忘れっぽいんです。服を洗濯機に回したまま寝ちゃったり、朝起きてパンツはかずに行動してたり……。あとはウサギを見て気が緩んで、またウサギに会えるかな〜とか思ってたのかもしれません。まー龍の杖には威力をあげるような効果はないので持っていても持っていなくても関係ないとか考えていたのかもしれません。仮に持っていなくても、手に瞬時に取り出せるので問題ないんですけどね。あー、村人に出会っちゃったらまずいですね!手ぶらで白いワンピースの女の子が旅をしている。しかも白い狼を連れて。怪しさ全開ですよね?


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