第4章 村を目指して 008 〜クゥーは狩りが苦手なの?〜
「クゥー、狩りしたことないの?」
クゥーは顔を逸らした。しっぽの動きは止まってる。むー、お肉は食べたいけど狩りはイヤなんだ。あぁ、そう言えばクールビューティーがクゥーは力が弱く、弱気って言ってたっけ……。
「クゥーは魔法使えるの? ほら、茶色い狼達が使ってた つららの魔法みたいなの。そう言えば昨日、お風呂で使ってたよね?」
私は茶色い狼達が使ってた つららをイメージして手元に1本出してみる。クゥーはそれを見て自分の頭上に つららを1本浮かべた。
「じゃあ2本以上は出せるかな〜?」
私は手元に3本つららを出してみた。でも、クゥーは「クゥーン」と悲しそうな声を出し、下を向いてしまった。
「あぁ〜クゥー、別に怒ってる訳じゃないから気にしないで? クゥーがどんなことできるか知りたかっただけだから」
そう言いながら私はクゥーの頭をなでなでする。
「1本でも相手の弱点につららを当てれば良いんだから使い方次第だよ、きっと! 別にクゥーだけを戦わせる訳ないし、私と一緒に戦うんだから安心でしょ? ほらっ、私そこそこ強いし?クゥーも知ってるでしょ?」
クゥーはしょんぼりして私の後ろに隠れてしまう。
むー、これは狩りで自信をつけてもらわないと元気にならないかもしれない……。狩りで獲物を自分で取れれば、自信に繋がるかな?
でも、どうすれば良いかな?つらら1本……。相手が口を開いたときに、上手く口の中に入れられればイケるかな?
まずは私が手本を見せて倒す。次の獲物が現れたら、私が弱らせてクゥーに とどめを刺させる。こんな感じかな?よしっ!
「クゥー、作戦を伝えるよ!まず獲物が現れたら私が手本を見せるよ。この時、クゥーは見てるだけで良いからね。っで、2匹目の獲物が現れたら、まず私が弱らせるから、クゥーが最後に私の真似をして、とどめを刺す。分かったかな?」
「クゥーン」と乗り気でないクゥーの鳴き声が返ってくる。
「まあ、無理そうだったら見てるだけで良いよ? でもチャンスがあったら、ちょっとだけ頑張ってみてね? じゃあ、少ししたらお外で集合! トイレとか済ませておくんだよ? あっトイレって、おしっことかウンチのことね。では、かいさ〜ん」
そう言って私は、お花を摘みに行く。この世界にもトイレはあった。紙もあって良かった。ウォッシュ◯ットがないのは残念だけど、そもそも、ここ廃村だし、紙があるだけマシなんだよね。っで、はいてないことに気づく。そう言えば干したままだった……。トイレを使用後、私は水の魔法を使ってトイレを流した。
トイレから出た私はすっぽんぽんになって、下着を身につけ、再び白いワンピースを着る。スカートは短いから動き辛くはない。ただ羽を出すと冒険者の服みたいに穴あけちゃうから、羽が出せなくなるのは痛いかなー。うーん……。そう言えば、神様が羽出して上手く飛べなかったら、魔法で飛べば良いって言ってたから、あとで練習してみようかな? 魔物と戦闘になったとき、飛べないのはやっぱり困るしね!
私は魔法の袋を肩に下げて龍の杖を手に取り外に出た。クゥーが近寄ってくる。
「じゃあ行こっか? まずは、お風呂場の裏に行くよ〜。薪を貰ってから、新しい村目指して出発するよ〜♪」
「がぅ♪」
そう言って私達はお風呂場の裏へ行き、私は薪をあるだけメニュー画面のアイテム欄に収納した。村や町が見つからなければ野宿する羽目になる。そのため、薪は必要だったから全部貰って行くことにした。廃村だし大丈夫だよね?ありがたく貰っていくね。
私は、その代わりと言ってはなんだけど、リンゴの種を地面に2、3個埋めておいた。異世界の地で芽吹くか分からないけど。いつかリンゴの実がなって誰かの役に立ってくれると嬉しいなと思いながら。
「それじゃあ、次の村目指してレッツゴ〜♪」




