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第4章 村を目指して 006 〜今日は疲れたよ〜

 私は湯船(ゆぶね)から出て、簡易洗濯機に近づき、下着を手に取って優しく(しぼ)る。暖炉(だんろ)の前で干しておけば明日までに(かわ)くかな〜? とりあえず下着を消してメニュー画面のアイテム欄に移動させた。


 さて、どうしよう。タオルがない。う〜ん、あっ! あれがあった! 私は手に魔法使いの服を出現させた。上下一続きの服で長いから、これをタオルがわりにしよう!


 私は服の正面側を髪に当てて水分を吸わせてく。その後、体をしっかり()く。それから、服の背中側をクゥーの体に当てて水分を吸わせてく。


「こんなものかな? クゥー、あとは暖炉(だんろ)の前に行って毛を(かわ)かすんだよ? 先に行っててね」と言って、クゥーの頭を()でる。


「がぅ♪」と鳴いてクゥーは走って行った。

 

 私はタオル代わりにした魔法使いの服を簡易洗濯機に入れ、(うず)を回転させる。あと時々(ときどき)逆回転も命じた。あとで取りに来て、これも暖炉(だんろ)の前に干さないとね。なんか取りに来るの忘れそうだけど。


 私は脱衣所に入り、穴だらけの冒険者の服を手に取る。


「これはもう使えないから、ここに置いていこっと。あと、服はワンピースがあったよね」


 私は手に白いワンピースを出現させ、それを着る。ノーブラ、ノーパンツなのにスースーしない。魔族の体って、こういうところが不便(ふべん)だよね。うっかりパンツはかないで外に出ちゃったら大変だ。風なんか吹いてスカートがめくれちゃったら、私の心が恥ずかしさで死んじゃうよ!魔族の体、恐るべし。なんて危険な体なんだ……。私は体をぶるっと(ふる)わせ(注:寒いわけではない)、クゥーのいる暖炉(だんろ)の部屋を目指す。


 クゥーは暖炉(だんろ)の前で寝っ転がっている。かなりリラックスしているようだ。


 私は部屋にあったコートハンガー?を暖炉(だんろ)の横に置き、さっき洗った下着を引っ掛ける。それから、ソファーっぽいものにダイブし、明日からどうするか考える。


 この村は廃村だった。次はどこを目指せば良いのかな? 湖からここまでの間に他の町や村は見当たらなかったし。なら、とりあえず、ここから湖とは逆の方向に進んで行けば、いつか人里に出れるのかな?


 でも、この村が魔物にやられたんだとすると、近くの村もやられてるかもしれない……。むー、雪音ちゃん平和に暮らしたいだけなのに、その平和が遠いのです……。しくしく。


 だいたい生まれ変わって初日で、①木の化け物と戦う。②茶色い狼達と戦う。③氷の精霊っぽいのと戦う、とか、何なの、もーーー!


 ソファーの上で手足をバタバタさせる私。クゥーがビクッ!?として、顔を上げ、こちらを向く。


「あっ、クゥー、ごめんね? びっくりさせて。なんでもないから寝てて良いよ。起こしちゃって、ごめんね」


 クゥーは「くぅ〜ん」と鳴いて丸まった。


 失敗、失敗。クゥーをびっくりさせちゃったよ。少し落ち着こー。


 茶色のアイツらも雪狼(フェンリル)だったのかな? でも、ゲームとかのフェンリルってイメージと比べるとかなり弱かったから、雪狼(フェンリル)と共存してる狼達だったのかな? それとも魔物? でも、あの氷の精霊?は魔族が嫌いみたいだったし、あの茶色い狼達は魔物じゃないのかな? でも、普通の狼だったら魔法とか使わないよね? それとも、この世界の動物は魔法も使ったりするのかな?


 いくら考えても、この世界のことは魔物がいっぱいいることぐらいしか分からないんだから考えるだけ無駄なのかもしれない。せめて、この世界の人に出会えれば、いろいろこの世界のことについて聞けるのに!


 人里を探さないと話にならないね、考えが堂々巡りだよーなどと考えていたら眠くなってしまった。くー



 雪音はソファーに突っ伏し、そのまま眠ってしまった……。

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