幕間 〜 一方、神様達は③〜
神様はそう言って映像を再開させた。
雪音が赤い雷で氷の槍を迎撃し、グレイシャの背後から首元に鎌の刃を引っ掛け、王手をかけた。
すると、グレイシャが氷の柩で、雪音と自分自身を氷塊に閉じ込めた。
と思ったら、氷塊がパリーンと砕け散る。
「ティア様、これも、さっきティア様が言ってた、血から取り込んだ遺伝子情報が、行使された魔法を誤認させるとかゆーのですか?」
「そうだろうね。本来、グレイシャ自身が氷の柩を解除しなければ、2人は未来永劫、氷塊のままだっただろうさ。2人とも不死だからね。でも、行使された魔法が雪音ちゃんをグレイシャと誤認したため、雪音ちゃんにも氷の柩を解除できるようになってしまった。まさに今の雪音ちゃんは、グレイシャキラーだね」
「あのー、ティア様。雪音ばかりに注目していないでグレイシャ様をご覧ください」
そう言って、リルが映像のグレイシャを指差す。
「グレイシャ様が打ちひしがれております……。って、奮起を促すどころか、がっつり心を折っちゃってる気がします! あれ、やばくないですか!?」
「えっ!? オーー、マイ、ガッーーー!!」
「オーマイガッ!! では、ありませんよ!? ティア様ご自身が神様ではありませんか! どうするんですか、これ!? なんかフォローを入れませんと!!」
神様は途方にくれている。ちびっ子天使は頭をフルに回転させている。
映像では、氷の精霊グレイシャを取り囲むように雪狼達がちょこんと座って、「アォーン、アォーン」と鳴いている。グレイシャもおーぃおぃおぃ泣いている。
神様は映像を停止し、映像プレートを消した。そして、
「さあ、仕事を再開しようか。グレイシャの悲しみは時間が癒してくれるさ」
「ティア様、最低です。ちゃんとフォローを考えてあげて下さいませ!!」
リルは天使の羽をはばたかせ、神様の頭をポカポカ叩く。
「痛い! 痛いぞ、リル! リルは怪力なんだから、こら、ちょっとやめないか!? わ、悪かった。ちゃんと考える、考えるさ! だから、私の頭をその怪力で叩くのは止めてはくれないか!?」
その後、神様はリルの進言を受け、氷の精霊グレイシャにレジェンダリーウェポンを与えることにした。
敗北したものの魔族と勇敢に戦い、そして、配下のものを守るため身命を賭して魔族を封印しようとした、その心意気に感動した。よって、そなたに次は魔族に負けぬよう新たな力を授ける。
そう言った名目で。
後日、天からレジェンダリーウェポンを授かった氷の精霊グレイシャは、神様にそれはそれは感謝をし、日々、雪狼達と一緒に鍛錬に勤しんだそうな。雪音と再び相見えるその日が来るまで……
< 解説コーナー >
クールビューティー(もしくは残念ビューティー)でお馴染みの氷の精霊グレイシャに与えられたレジェンダリーウェポンは氷属性の蛇腹剣です。剣が鞭のようにしなり、遠くまで攻撃できるロマン武器です。かっこいいですよね、アレ!
この物語内の氷属性の蛇腹剣は、
①切った所を凍らせ相手の体温を奪う。
②地面や壁にぶつけたら、ぶつかった所から、工事現場の三角コーンみたいな太いトゲが地面や壁に沿って5連撃で相手に向かって追随する。
③鞭のように相手に巻きつけ、相手と接触している刃から無数の氷の針を生み出し、相手を串刺しにする。
などのことができます。ただ本編で出てくる頃には武器の設定が変わっているかもしれませんが……。
ちなみに、雪音がクールビューティーと再戦する時にこの武器を見て、雪音は自分の鎌に蛇腹剣の特性を加えて棒の部分を鞭のようにしならせて使えるようにすることを思いつきます。っで、鎖鎌みたいにも使えるようにしちゃいます。近距離は鎌で、遠距離になったら鎖鎌で攻撃って感じですかね?ただ、氷の精霊のリベンジ戦はいつか書きたいとは思っていますが、話の進行次第になるかと。




