第10章 雪音ちゃんと村娘達 152 〜 雪音ちゃん、お店の下見に幽霊物件に行く!⑥〜
「ここがラグジュアリアントの森か〜。随分と鬱蒼とした感じの森だよねー? あっとっと!? ふぅー、危ない危ない。もう少しでコケるところだったよ」
「大丈夫ですか雪音様? 上を見て歩くのは危ないですよ? 地面のあちらこちらから木の根っこが顔を出していますから足元にご注意くだ、あっ!? 雪音様、雪音様! あそこの盛り上がった木の根っこの上にリスちゃんがいます! はぁ〜、なんて可愛いらしいのでしょう」
可愛いもの大好き紫髪碧眼巨乳聖女ソフィーがリスさんを見てうっとりしてる。
「あっ、ご主人様、ご主人様ぁ〜! ムクロージの実がいっぱい落ちてるよぉ〜♪」
そう言って金髪翠眼巨乳エルフのメリッサが腰に下げた魔法の袋を手に持って地面に落ちてるムクロージの実を拾い始めた。
「メリッサちん、私も手伝ってあげるね♪」
メリッサ大好き褐色肌娘のキアラが、メリッサがムクロージの実を拾うのを手伝い始めた。
ちなみに、ムクロージの実って言うのは黄色とか飴色の木の実で水に浸けてこするとキメの細かい白い泡が出る天然のエコ洗剤だよ!
「むっ!? あそこの木を登っているのはハニーポットアントではないか!?」
「あっ!? ザルガーニちゃん、どこに行ってしまうのですか!?」
聖女ソフィーに抱っこされてた青いお目目をしたキジトラ柄の猫ちゃんザルガーニが、ソフィーの腕の中から飛び出して遠くに生えてる木に向かって走って行ってしまった!
「ソフィー、ハニーポットアントって、なあに?」
「ハニーポットアントと言うのはですね雪音様、蜘蛛のような大きなお腹に花の蜜やカエーデ、シラカーバ、クルーミ、アーカシアなどの木の樹液を貯め込む蟻の一種でございます」
へぇ〜? オーストラリアのミツツボアリさんみたいなのがいるんだ?
「お腹の部分をプチッと引っこ抜いて口に入れると甘くてとても美味しいんですよ♪」
「えっ!? そ、それはちょっと残酷なんじゃ」
私がソフィーの発言にドン引きしてると、ソフィーが両手を振って慌てて言い訳し始めた!
「ち、違います雪音様!? お腹の部分をとは言いましたが、正確にはお腹ではなく、ハニーポットアントが蜜や樹液を貯めるためにその都度その都度作り出す透明な膜で出来た物なので!?」あたふた、あたふた。
めっちゃ焦ってるソフィー、可愛いね♪
「その都度その都度ってことは再生可能なんだ?」
「は、はい、その通りなのです!」
ってことは、モンハ◯の回復ミツム◯さんの蜜を覆ってる膜みたいな感じなのかな?
「でも、せっかく集めた蜜を貰っちゃうのはなんか可哀想だよね」
回復ミツム◯さんの集めた蜜は遠慮なく貰うけどね!
「そ、それは……。ハ、ハニーポットアントの蜜は甘くてとても美味しいのです、仕方がないのです……。っ! そうです! 雪音様だって蜂蜜をパンに塗って美味しそうに食べるではありませんか! 一生懸命集めた蜂蜜を人間に取られてしまうミツバチだって可哀想だと思います!」プイッ。
ソフィーは拗ねてしまった。でも、その拗ねた顔も可愛いね♪
「あはは。ごめんごめん。言われてみればそうだよね。でも、そんなに美味しいの?」
「はい、それはもう。雪音様もお試しになれば、きっと分かっていただけると思います」ツーン。
「そうなんだ? じゃあソフィー、ザルガーニのいる所に行ってみよっか?」
「はい、お伴します雪音様」にっこり。
「メリッサ〜、私とソフィー、ちょっと向こうに行って来るね?」
「はーい! あたしはここでキアラとムクロージの実拾ってるね♪」
「うん、お願いね♪」
「えっ!? 雪音っち行っちゃうの!?」
「大丈夫大丈夫! 何かあったらすぐに駆けつけるから!」
「大丈夫だよ、キアラ。あたし達はご主人様がくれた防御魔法が自動で発動するイヤリングつけてるんだから」
「そ、そうだよね? でも、やっぱりちょっと怖いかも」
「ほら、こうすれば怖くない怖くない♪」
金髪巨乳エルフのメリッサが褐色肌娘キアラをぎゅーっとした!
「( メ、メリッサちんからハグしてくれた!? うぅ〜、怖いけど、ふたりっきりになって怖いって言ったらメリッサちんがまたハグしてくれるかもしんないし…… ) ありがと、メリッサちんのおかげで怖くなくなったよ♪」
ピッグマン商会の奴らに襲われる不安よりメリッサからハグしてもらえる喜びの方が上回ってしまうキアラであった!
「じゃ、2人ともムクロージの実拾い、お願いね♪」
「「はーい!」」
っで、私がソフィーと一緒にテクテク歩いて猫ちゃんザルガーニの側まで行ったら、
「うむ、実に美味なのであ〜る! 我輩の血肉の一部になれて光栄に思うが良い!」
などと言いながら、猫ちゃんザルガーニはのんびりのんびりと木を登っているハニーポットアントさんの丸く膨らんだお腹に足の爪をプスっと刺してハニーポットアントさんを捕まえ、そのまま丸ごと口の中に放り込んで蜜の味を楽しんでいた!
それを見た私は思わず猫ちゃんザルガーニのお尻に向けて紫色の闇の針を飛ばしてしまった!
( ちなみに、闇魔法は相手を傷つけることなく痛みだけを与える魔法だから、お仕置きするのに超便利だったりするのである。)
「にゃ〜〜〜!? な、何をするのである雪音様!? い、痛いではないか!?」
猫ちゃんザルガーニが振り向いて私に抗議して来た!
「『何をする』って、ハニーポットアントさん丸呑みしちゃったら可哀想でしょ? 今度からお腹だけ取って逃がしてあげようよ」
「どうして我輩がそのような面倒なことを」
「私のお願いが聞けないの、ザルガーニ?」
私は指鉄砲の形を作って親指と人指し指を結んだ直線の上に闇の針を展開させた!
「雪音様、それはお願いではなく脅しなのである!?」
「ま、まあまあ、雪音様。ザルガーニちゃんのお手手は猫の手ですから、きっと上手にお腹の蜜の部分だけを取ることができないんですよ。ザルガーニちゃん、私が取ってあげますからハニーポットアントさんの丸呑みはやめてあげてくださいね?」
「う、うむ、仕方ないのである。では聖女よ。我輩のために蜜を取って来るのであ〜る」
「はい、良いですよ♪ その代わり、帰りも抱っこさせてくださいね♪」
「か、帰りもであるか?」
「はい、帰りもです♪」
「…………。我輩、急にお腹が痛くなって来たので嬉しい申し出ではあったのだが、今回はもう食べるのをやめておくのである」
「それでは食あたりを聖なる魔法で癒して差しあ」
「ト、トイレに行って来るのであ〜るぅ〜〜〜」
猫ちゃんザルガーニは走って逃げてしまった!
ザルガーニ、そんなにソフィーに抱っこ&モフられるのが嫌だったの? ひょっとしてソフィーから幸せオーラという名の聖なるオーラで抱っこされてる間ずっと地味にダメージ受け続けてたりとかしたのかなぁ?
◇◆◇
雪音ちゃん達がメリッサとキアラから離れてしばらくすると、今までなかなか接触して来なかったピッグマン商会のゴロツキどもがついにメリッサ達に声を掛けて来た!
「ムクロージ集めかい、嬢ちゃん達? 精が出るねぇ〜?」
「出ちまった精の代わりに俺らの精を入れてやろうか?」
「おい、ポール、犯る前に裸にして聖印がないこと確認してからじゃねえとダメなの覚えてるよな?」
「ポール、そのセリフ回し、いい加減やめろよ。寒いんだよ」
「な、なによ、あんた達!?」
「キアラはあたしの後ろに隠れてて! あんた達、あたし達に何の用!?」
ピッグマン商会のゴロツキを見て怖がるキアラを背後に庇う金髪巨乳エルフのメリッサ!
ちなみに、エルフ耳は雪音ちゃんの魔法でカモフラージュされてるのでピッグマン商会のゴロツキ達にメリッサがエルフだとはバレていない!
「へっへっへ。俺達はピッグマン商会の人間さ!」
「嬢ちゃん達も今日からピッグマン商会に入るんだよ!」
「そうそう、今日からお前達は俺達の女になるんだからな!」
「助けなんか来ねえから大人しく俺達の言うことを聞くんだな? とりあえず、さあ服を脱げ!」
ピッグマン商会のゴロツキどもはニヤニヤと笑っている!
「脱ぐわけないでしょ! ばーか!」
「雪音っち、早く戻って来てよ〜!?」
「かわい子ちゃん達のストリップショーが見たかったんだが、まっ、嫌がる女の服を剥ぐのも楽しいよな?」
「だな? 誰から行くよ?」
「んなもん、ジャンケンで決めるに決まってんだろう? 俺から行っていいなら俺から行くぞ?」
「はあ!? ダメに決まってんだろう!?」
「「「「ジャーンケーン」」」」
「キアラ、今のうちに逃げるよ!」
「う、うん! ( メリッサちん、カッコ良いよぉ〜♡)」
ピッグマン商会のゴロツキどもがジャンケンし始めたのを見てメリッサ達は逃げ出した!
「あっ!? 何逃げてんだよ!?」
「なんだって!? 待てや、こら!?」
「ちっ!? 逃げてんじゃねえぞ!?」
「よーし、追いかけっこの始まりだあ! 最初に捕まえた奴が最初に犯れる権利があるってことで良いよな!」
「「「異議なーし!」」」
ピッグマン商会のゴロツキどもはメリッサとキアラを追いかけ始めた!
◇◆◇
『ご、ご主人様ぁ〜! ピッグマン商会の奴らが襲って来たよぉ〜!』
金髪巨乳エルフのメリッサが、イヤリングに私が込めておいたテレパシーの魔法を発動させて助けを求めて来た!
私は『すぐ行くから待ってて!』とメリッサにテレパシーを返し、隣にいる聖女ソフィーに、
「メリッサ達が襲われたみたいだから助けに行って来るね! ソフィーは後からついて来て!」
と声を掛け、透明化の魔法と飛翔魔法を使って移動しながら、
『ザルガーニ! ソフィーが1人になっちゃうから今すぐに戻ってソフィーを守って! お仕事放棄してると約束のアイスクリームなしだからね!』
と猫ちゃんザルガーニにテレパシーを飛ばして命令しておいた!
「まったく、襲って来るなら一緒にいる時に襲って来てよね! 人数が少なくなってから襲って来るとか男の癖に情けないとは思わないのかな!?」
私はブツブツ文句を言いながら途中にある木々を躱して飛んでいく! メリッサ達とメリッサ達を追って来てるピッグマン商会の奴らの姿が見えたから私は一旦木の後ろに着地して透明化を解除し、それから木から飛び出してメリッサ達の前に姿を現し、声を掛けた!
「メリッサ、キアラ! こっち、こっち〜!」
「キアラ、ご主人様が来てくれたよ! もう少しだから頑張って!」
「ぜーぜー、はーはー、メ、メリッサちん、も、もうダメ、私、走れない」
体力不足のキアラは走り疲れて地面にへたり込んでしまった!
「キアラ!? 止まっちゃダメだよぉ!?」
金髪巨乳エルフのメリッサは慌てて振り返って褐色肌娘キアラの元へとダッシュした!
「おっ! 麗しい女の友情って奴か? 自分だけ逃げちまえば良いのに泣かせるね〜?」
「へっへっへー。このまま行けば追いかけっこは俺の勝ちだな! 金髪の巨乳ちゃんは俺のもんだぜ!」
「クソッ! じゃあ、俺は本紫色の髪の清楚な巨乳の姉ちゃんで我慢するか。近くにいるんだろ?」
「金髪の貧乳のガキがあそこにいるからな。側にいるんじゃねえの?」
ピッグマン商会の男達は走りながらそんなことを言い合っている!
「あっ!? 熊だー! 熊があなた達に向かって突進して来てるよ!」
褐色肌娘キアラを背後に庇うように立ってピッグマン商会のゴロツキどもを迎え討とうとしていた金髪巨乳エルフのメリッサが熊に向かって指を差しながら叫んでいる!
「はん! そんな言葉で俺らが騙されるわけ、ぐはっ!?」
1番後ろを走っていたピッグマン商会の巨漢の大男が横から突進して来た熊の体当たりを喰らって吹っ飛んだ!
「ポールどうした!? ひいっ!?」
ポールの悲鳴を聞いたマシューが後ろを振り返ってみると、そこには大きな熊が2本足で立ち上がってマシューを見下ろしていた! 振り上げられた右足の先に生えている短い鉤爪がシュルシュルシュルと伸びていく!
「ロロ、長鉤爪熊!?」
長鉤爪熊は腕の中にしまい込んでいた長鉤爪を限界まで長く伸ばした後、それをフリーズしてるマシューの右肩に向かって振り下ろした!
ザクッ!
「ぐわぁあああ!? 腕がぁああ!? 俺の腕がぁああああ!? あああああああ!?」
長鉤爪熊の攻撃によってマシューの右腕が宙を舞い、鮮血がブシャーとマシューの右肩から噴き出した!
「マジかよ!? 俺達の油断を誘うブラフじゃなかったのかよぉおお!? く、来るな!? こっちに来るんじゃ」
カーン! クルクルクルクル!
ボリスは手に持った剣をブンブン振り回していたが、長鉤爪熊が斜め下からブォンと振り上げた右足の長鉤爪によって剣を空中に弾き飛ばされてしまった!
「嘘だろ!? ぎゃあああああああ!?」
そして、剣をなくしたボリスの胸に向かって長鉤爪熊は振り上げた右腕を返す刀ならぬ返す長鉤爪で攻撃を加え、ボリスの胸をザックリ斬り割いた! ボリスの胸に出来た5本の爪痕から鮮血が噴き出し宙を赤く染める!
「クソッ!? やってられるかよ!?」
仲間が次々とやられていく様子を見てダニエルは逃げ出していた!
「ちょっと、なんでこっちに逃げて来るの!? こっちに来ないでよ!?」
地面にへたり込んでいる褐色肌娘キアラが自分達の方に走って逃げて来るピッグマン商会のゴロツキに文句を言った!
「はっ! んなの、お前らを囮にして逃げるために決まってんだろ! 俺のために囮になって死んでくれや!」
そう言って、ダニエルはキアラ達の横を駆け抜けていく! 褐色肌娘キアラは迫り来る長鉤爪熊を見て半泣きになりながら自分を抱きしめてくれている金髪巨乳エルフのメリッサに声を掛ける。
「メ、メリッサちんも早く逃げて! わ、私はいいからメリッサちんだけでも」
「キアラ、落ち着いて? 大丈夫だよ。あの熊、ずっと視線をあの逃げてく男の方に向けてるから」
メリッサはキアラの背中をポンポンしながらキアラを宥めようとしている。
「そんな優しい嘘いらないから早く逃げ、きゃああああ!?」
キアラはすぐ側まで来てしまった長鉤爪熊の姿を見て目を瞑りメリッサを抱きしめた!
ダッダッダッダッダッ!
長鉤爪熊はキアラ達に目もくれず、キアラ達の横を4本足で走って通り抜けていく!
「ほら、キアラ。あたしの言った通り大丈夫だったで、あ、あれ? キアラひょっとして」
金髪巨乳エルフのメリッサは地面に水たまりが出来ているのを見て、あははと苦笑いし、
「怖くて漏らしちゃったんだね♪ キアラ可愛い♪」
「もう! メリッサちんのばかばかばかぁ〜〜〜!? 怖かったんだから仕方ないじゃん! うぇ〜ん、メリッサちんの前でお漏らしとか、もう最悪だよぉ〜!」
褐色肌娘キアラはメリッサの体をポカポカ叩いて恥ずかしがっている!
「怒らない怒らない♪ ほら、ちょっと場所移動しよ? ご主人様に水たまり見られるのはイヤだよね?」
「うん……」
メリッサ達は水たまりから離れて木の陰へと移動した! メリッサはキアラの前垂れを腰帯からスルリと抜き去って魔法の袋から取り出したタオルをキアラの股間に当てて拭き拭きし始めた。
「っ!? ちょちょ、メリッサちん!?」
「手早く綺麗にしないとね♪」
「( メ、メリッサちんにお股を、お股を拭かれちゃってるよぉ〜!? もうお嫁に行けな……。う〜うん、もうメリッサちんのお嫁に行くしかないよね! 私の大事な所触った責任取ってもらわなきゃ!)」
「(照れるキアラ可愛いなぁ〜♪) はい、太ももについちゃったおしっこも拭いて綺麗にしてあげたから、この新しい前垂れをつけてね♪」
メリッサは汚れたタオルを魔法の袋に収納して、新しい前垂れを魔法の袋から取り出し、それをキアラに渡してあげた。
「ふ、拭いてくれて、あ、ありがと♪」
褐色肌娘キアラは受け取った前垂れを腰帯に引っ掛けながらメリッサにお礼を言った後、またお漏らししちゃったら、メリッサちん、お股拭いてくれるのかな? 拭いてくれるなら、またお漏らししちゃおっかなぁ〜♪などと考えていた。
金髪巨乳エルフのメリッサは恥ずかしがってるキアラ可愛いなぁ〜♪ またお漏らししてくれたら可愛いキアラが見られるのかなぁ?なーんてことを考えながら、「どういたしまして♪」と返しの言葉を言った。
変態百合コンビが誕生した瞬間であった!
◇◆◇
時は長鉤爪熊が登場する少し前に遡る。
「2人の女の子を4人で追いかける最低な奴らに地獄の苦しみを与えてあげる! アイツらを啄め! 闇の啄木鳥?」
私は胸にアルマジロドラゴンのアルを抱えて走りながら12羽の紫色の闇の啄木鳥を作り出してピッグマン商会のゴロツキどもの目や股間をつつかせようと思ったんだけど、その前に横から猛ダッシュして来た熊さんがその勢いのままピッグマン商会のゴロツキの1人を熊さんタックルで吹っ飛ばしたのを見て闇の啄木鳥を展開するのを中断した。
「え、えっと、熊さんの縄張りに入っちゃったから、熊さんが怒ってるのかな? とりあえず、メリッサとキアラが攻撃されないように周囲に盾の魔法を多重展開しておこうかな? えぃ!」
私はメリッサ達の周囲に六角形の小さい盾をいくつも並べて作る蜂の巣型半球状の透明な盾を多重展開しておいた。
「あとは熊さんの怒りの矛先を視覚化して、メリッサ達も襲おうとして来るようだったら闇魔法使ってちょっと痛い目に遭わせて帰ってもらえば良いよね?」
私は魔法を使って熊さんの視線がどこに行ってるかを赤い線で視覚化してみた! 分かりやすく言えば銃から出る赤い線 (レーザーサイトだっけ?) が熊さんの目から出てると思えば良いかな?
熊さんの目から出てる赤い視線から察するに、どうやら熊さんの獲物はピッグマン商会の奴らだけみたいだ。熊さん、ピッグマン商会の奴らに恨みでもあるのかな?
なら、メリッサ達は大丈夫だね。私も熊さんに痛い思いさせないで済むし、ピッグマン商会の奴らは私の手を汚さないでも痛い目に遭ってくれるしで万々歳だね♪
あっ、3人目がやられたと思ったら4人目はこっちに逃げ始めちゃったよ!? 熊さん頑張って!
◇◆◇
「クソッ!? なんで女ども素通りして俺を追っかけて来やがるんだ!? 冗談じゃねえぞ!? うおっ!?」
時折、後ろをチラ見していたダニエルは地面で盛り上がっていた木の根っこに躓いて豪快に転んでしまった! そして、追いついた長鉤爪熊がダニエルの右足に噛み付いてダニエルを振り回し、側に生えていた太い木に叩きつけた!
「がはっ!?」
木に背中を叩きつけられ、苦痛の声をあげるダニエル!
しかし、ダニエルを襲った衝撃は背中だけでは済まなかった! 長鉤爪熊はダニエルを木に叩きつけた後、そのままダニエルの右足を噛み切ってしまったのだ!
「ぐぁあああああああ!?」
ドサッ!
「ぐぉおおおお!? お、俺の足を喰いちぎりやがって!? に、逃げないと! 逃げな、うわぁあああああああ!?」
両手で這って逃げようとしていたダニエルの左足に長鉤爪熊が噛み付いて、再びダニエルの体を木に叩きつけようと振り回した!
「がはっ!?」
長鉤爪熊は先程同様にダニエルを木に叩きつけた後、今度はダニエルの左足を噛み切った!
「ぎゃあああああああ!?」
ドサッ!
「がぁあああああ!? いてぇ、足がいてぇよぉおおお!? おおお、俺がいったい何をしたって言うんだよぉおおおお!?」
長鉤爪熊は泣きわめくダニエルの右腕に噛み付いてダニエルの体を持ち上げた!
「う、嘘だろ!? や、やめろ!? やめ、うわぁあああ、がはっ!?」
ダニエルは三度木に背中から叩きつけられ、今度は右腕を喰いちぎられてしまった!
「ぎゃあああああああああ!?」
◇◆◇
「うわぁ……」
熊さんの度重なる残虐行為を見て私はドン引きしてしまった!
「あれ? でも、あのゴロツキの顔、なんか見覚えがあるような……」
ポクポクポク、チーン!
「あーーー!? あの顔、アイツ、アンラキさんの家に押し入ってアンラキさん連れて行っちゃった奴じゃん!? えっ、じゃあひょっとして、殺されちゃったアンラキさんが悪霊と化してあの熊さんに憑依して恨みを晴らしてる真っ最中ってことなのかな!?」
私がびっくりしてると、私に追いついた聖女ソフィーが私の思い付きを肯定する言葉を後ろから投げて来た。
「はい、その通りだと思います、雪音様。私にはあの熊から2つの魂の存在を感じます」
「聖女ってそんなことも分かっちゃうの? 凄い能力だね!」
「雪音様にお褒め頂き恐縮です♪」
「うむ、なかなかに荒ぶっていて結構なのであ〜る。我輩が元のキマイラの体であったなら是非、力比べをしたいものであるな!」
猫ちゃんザルガーニは残虐行為を繰り広げている熊さんを見てハッスルしてる!
「アンラキさん、ピッグマン商会の奴らに殺されちゃった後、化けて出て熊さんに憑依しちゃってたんだね。でも、熊さんの姿だとピッグマン商会の奴らに復讐したくても町に入ることなんて出来ないから、この森で復讐の機会が来るのをきっとずーっと待ってたんだろうね」
「雪音様がお抱きのアルちゃんをアンラキさんに会わせてあげませんか? 怒りが収まって会話をすることが可能かもしれません」
「そうだね。じゃあ近付いて話し掛けてみようか?」
「はい」
「おい、聖女よ。向こうの地面で蹲っている連中の治療はしてやらぬのであるか?」
猫ちゃんザルガーニが不思議そうにソフィーに質問をした。
「アルちゃんとアンラキさんの感動の御対面を前にして、そのようなことをしている暇はありませんから治療は後回しですね」
「そ、そうであるか?」
猫ちゃんザルガーニはソフィーの回答に若干引いていた。
「あはは、とりあえず片腕飛ばされちゃって出血多量で死んじゃいそうなのもいるから私が回復して氷漬けにしておいてあげるよ。えぃ!」
私はピッグマン商会の3人に遠距離から治癒魔法を掛けて氷漬けにしておいた。
「雪音様、お手数をおかけして申し訳ありません」しょんぼり。
「気にしない気にしない。ほら行くよ、ソフィー?」
「はい、雪音様♪」
◇◆◇
っで、私達は熊さんに近付いて声を掛けてみた。
「アンラキさん、アンラキさん! それ以上やっちゃうと、その人死んじゃうよ?」
私は四肢を喰いちぎられて虫の息のピッグマン商会の男に回復魔法を掛けながら熊さんに憑依しているアンラキさんに声を掛けてみた。
「た、助けてくれるのか?」
私の声に最初に答えたのは熊さんに憑依しているアンラキさんじゃなくて四肢を喰いちぎられて虫の息のピッグマン商会の男だった。
「えっ? アンラキさんを殺したあんたを善意で助けるつもりなんてないよ? 回復してあげたのは元気になったところをまた熊さんに甚振ってもらうためだもん」
「ど、どうしてお前がそれを知って!? 復讐か!? 復讐なのか!? 殺るならひと思いに殺ってくれ、んぐ!? んー! んー!」
私はわめく男の口を氷漬けにしてから反応のない熊さんの顔を見上げてみた。
熊さんは立ち上がったまま私が抱っこしてるアルマジロドラゴンのアルに視線を固定してプルプルと震えていた!
「はい、どうぞ。力入れて持ったりしちゃダメだからね?」
私が両手に乗せたアル ( すぴー、すぴーと私の魔法で睡眠中 ) を差し出すと、熊さんが両手でお皿を作って私の差し出した両手の下に移動させたから、私はアルを熊さんの両手に乗せてあげた。すると、熊さんは目から涙を流して「がおー」と鳴きながらアルに頬擦りし始めた。
「感動の御対面ですね、雪音様」グスン。
ソフィーが目元を拭いながら私に言って来た。
「そうだね」
「ご主人様ぁ、どうして熊がアルちゃんに頬擦りをして、あっ!? ひょっとしてその熊さん、アンラキさんなのぉ!?」
私の横にやって来たメリッサが私に質問して来た。
「どうもそうみたいだよ? っで、そこで四肢を喰いちぎられちゃってるのがアンラキさんを殺した奴みたい」
「あぁ〜、それで他の奴らより酷いことになってるんだぁ。でも自業自得だよね、ご主人様!」
「メ、メリッサちん、よくアレ直視できるね? グロくて私吐きそうなんだけど、うっ」
メリッサの後ろにピトっと張り付いているキアラは顔を真っ青にして口を押さえてしまった。
「大丈夫、キアラぁ? お水飲む?」
メリッサがキアラの背中をさすりながら優しく声を掛けている。
「( はっ!? もしこのまま吐いちゃって服汚しちゃったらメリッサちんに体拭いてもら……、いや、ダメダメダメ、流石にそれは女の子としてアウト過ぎるでしょ!?)」
「だ、大丈夫、キアラ!? は、はい、これお水だよ!」
キアラのそんな様子を傍から見てた私は、人間が四肢を喰いちぎられてて地面が大量の血で染まってるのを見たら普通の女の子は気分悪くなるのもしょうがないよね?と思って、とりあえず、男の四肢を回復魔法で再生してあげた!
男はなくなったはずの自分の手足が再生したことに目を見開いて驚いた後、なぜか絶望したような表情を浮かべ白目を剥いて気絶してしまった。再生した四肢を熊さんにまた喰いちぎられる自分の未来でも想像しちゃったのかな? いい気味だよね?
私は男を氷漬けにして天上界の倉庫に収納し、アルマジロドラゴンに頬擦りしてる熊さんに、じゃなくてアンラキさんに声を掛けた。
「アンラキさん、アンラキさん」
「がお?」
熊さんに憑依してるアンラキさんは人語が喋れないみたいだ。私はテレパシーの魔法を使ってアンラキさんの言いたいことが私達の頭の中に人語で響いて来るようにしてからアンラキさんに話し掛けた。
「私の名前は雪音だよ。あなたはピッグマン商会の奴らにこの森で殺されちゃったアンラキさんで合ってる?」
『ああ、そうだ。って言っても伝わらないよな? 木の棒でも拾って地面に文字でも』
「そんなことしないでも大丈夫だよ。私の魔法でアンラキさんが頭の中で考えてることが私達の頭の中に聞こえて来るようにしたから」
『マジかよ!? あんた、すげえ魔法使いなんだな! 礼を言うのが遅くなっちまったが、俺を再びアルと引き会わせてくれてありがとよ! いやあ〜、殺された後、気づいたら幽霊になってたもんだから、近くにいた長鉤爪熊を見て、コイツに取り憑いてアイツらに復讐してやろうと思ったんだけどよぉ、取り憑いた後になってこの姿じゃあ町に入れねえって気づいて家に残したアルに会いに行くことも出来ず困ってたんだ。本当にありがとうよ!』
熊さん姿のアンラキさんがアルマジロドラゴンのアルを片手で抱きかかえ、もう片方の熊手で頭をかきながらお礼を言って来た。
「その姿で町に入ろうとしたら町の衛兵や冒険者達に討伐されちゃうもんね! でも、ご主人様ぁ? アンラキさんが熊の姿のままだと一緒に町に帰れないよぉ?」
金髪巨乳エルフのメリッサが困った顔をしている。
「他の小動物に乗り移ることが出来れば問題解決だけどさ〜、町に行こうと思ったアンラキさんが熊のままなんだから、他には乗り移れないってことじゃん? だからメリッサちん、一緒に帰るのは無理なんじゃない?」
そう言って褐色肌娘キアラはメリッサに渡された水袋に再び口をつけて水を飲み始めた。
「それは大丈夫! 私の魔法でなんとかするよ!」
「本当、ご主人様ぁ!? 良かったね、アンラキさん♪」
『ほ、本当か!? そんなことが出来るのか!?』
「雪音様は死者を復活させる魔法までお使いになることが出来るのですか!?」
「雪音様の魔法はなんでもありだから我輩は驚かないのであ〜る」
「雪音っち、なんとかするってどうやるの? ソフィーの言う通り死者復活の魔法が使えるの?」
「えうっ!? し、死者を復活させるのは流石に無理だけど、地上界に存在する魂なら別の物に移すことは可能だよ! はい、ここでアンラキさんに質問! アンラキさんは向こうで氷漬けになってる3人のうち、憑依したい容姿の人間はいる? いれば、私の魔法で熊さんから出して希望の人間に憑依させてあげることが出来るけど?」
『そ、そいつは嬉しい申し出なんだが、ピッグマン商会の人間に取り憑くってえのはなあ?』
アンラキさんの反応は微妙だった!
「雪音っち〜、アイツらすっごく不細工な顔してたからアイツらに憑依するって酷い罰ゲームだと思うんだけど……」
「キアラぁ、人の生まれ持った容姿を馬鹿にする発言は、あたし良くないと思うんだけど?」
「た、魂をそのように扱えるなんて雪音様は穢らわしい死霊使いだったのですか!? そ、そんな!?」ガーン!?
ま、まずい!? 聖女のソフィーがすっごくショック受けちゃってるよ!? な、なんとかして誤魔化さないと!? えーっと、えーっと、そうだ!
「ち、違うよ、ソフィー! これは魂の救済なんだよ!」
「魂の救済、ですか?」
「そう! 魂の救済! 理不尽に殺されちゃった人の魂を慈悲深い女神様の力でなんとかしてあげるの! 極悪人が憑依されて体の自由を奪われるのは天罰なの! 人を殺して善良な魂の宿る尊い体を奪ったんだから、天罰として体を奪われちゃっても仕方ないよね? これは等価交換なんだよ!」
「そ、そうですよね! 慈悲深い女神様なら非業の死を遂げてしまった方に人生をやり直す機会をお与えになることもありますよね! 雪音様のことを穢らわしい死霊使いなんかと一緒にしてしまって大変申し訳ありませんでした!」
聖女のソフィーが深々と頭を垂れて私に謝って来た!
「う、うん、分かってくれて嬉しいよ! (な、なんとか誤魔化せたよー!)」
「魂を操るんだから、どう言い繕おうと死霊使いなんじゃ、んぐ!? (メ、メリッサちん!?)」
「キアラ、シーッ! ご主人様が困るようなこと言っちゃダメだよぉ! もう、メッ! なんだからぁ!」
キアラはメリッサに後ろから口を手で塞がれ一瞬慌てたけれど、メリッサに羽交い締めにされて嬉しそうだった!
メリッサ、グッジョブ! そのまま押さえてて!
『町に帰るにはピッグマン商会の奴らの体に入るしかないのか……。でもアイツらの体に入るのはなあ……』
アンラキさんはすっごく嫌そうだった!
ひょっとしてアルマジロドラゴンのアルが目が覚めた時にアイツらの体だと近寄って来てくれないかもと思って不安なのかな?
うーん。じゃあ、魔力で服を作るみたいに過去視で見たアンラキさんの姿を魔力で再現してみるとしますか!
「じゃあ、これならどうかな? えぇ〜〜〜い!!!」
私は両手を前にかざして魔力を大量に前方に飛ばし続け、アンラキさんの体を作り始めた!
『お、俺の生首ぃいいい!?』
「あわわ!? ご主人様すっごぉ〜い!」
「( メ、メリッサちんがはしゃぐから私の背中にメリッサちんの胸がむにゅむにゅと押し付けられて!? はぁ〜幸せ〜♡)」
「ゆ、雪音様!? は、裸はいけませんよ、裸は〜!? って、あ、あれ? 首から下は服を着ているのですね」
「そうだよ、ソフィー? 私の知ってるアンラキさんの姿って過去視で見た奴だけだもん。お風呂場で過去視発動させればアンラキさんの裸の部分も作ろうと思えば作れるけど」
「ダ、ダメです、雪音様! 雪音様のお目が汚れてしまいます!」
『おい、あんた!? 俺の体をばっちいもの扱いするんじゃねえよ!?』
「でもソフィー? ご主人様がアンラキさんの裸作ってあげないと、アンラキさんお風呂に入れなくて可哀想だよぉ? お風呂に入れないのは不衛生で良くないと思うんだけどなぁ?」
「うっ!? そ、それはそうですけど……」
「ソフィー心配してくれてありがと♪ でもね、私がアンラキさんのお風呂シーン見てアンラキさんの裸作った後に、その記憶を魔法で消しちゃえば良いんだから気にしなくても大丈夫だよ!」
「うぅ、分かりました。雪音様がそうおっしゃるなら……」
「雪音っち、私思ったんだけどさ〜、その体っておしっことか出るの? 出ないんだったら私達と同じにしちゃえば良いじゃん? そうすれば、わざわざお風呂シーン見てお◯ん◯ん観察しなくて済むと思うんだけど?」
「それは良い考えですね、キアラさん! 雪音様、是非そうしてください! そうすれば雪音様のお目を汚さずに済みますから!」
「でも、ソフィー? それってご主人様のお股と瓜二つのものがアンラキさんのお股に出来ちゃうと思うんだけど、そこは問題ないのかなぁ?」
「っ!? 問題大有りです! 雪音様、やっぱりキアラさんの案はダメです! 最悪です!」
『おい!? 最悪ってどういうことだよ!? あんた、俺が何するのを想像したんだ!?』
「今のメリッサちんの一言でそんな言葉が出て来るなんて、ソフィーっち、実は夜な夜な◯◯ってる淫乱聖女だったりして」
「誰が淫乱聖女ですか!? 毎日はしていませんよ!? はっ!? ああ!? あ〜〜〜〜〜!?」
ソフィーは真っ赤にした顔に両手を当てて蹲ってしまった!
あ、あはは。聖女のソフィーも普通にエッチな女の子だったんだね。ちょっとびっくり。
「ご、ごめんソフィーっち。まさか自爆しちゃうなんて思わなくて……」
「キアラさんなんて知りません! もう放っておいてください! うぅ〜、恥ずかしいです、死んじゃいます。昔は我慢していたのです。未来で目覚めてから体が疼くようになってしまったのですから仕方ないじゃないですか……」グスングスン。
「ソフィー、ソフィー。そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫だよ! あたしも時々してるから! 気持ち良いから時々したくなっちゃうよね♪」
何言ってるのメリッサ!? 男の人の前でそんな堂々とぶっちゃけちゃダメだよぉ!? ソフィーの羞恥心を少しでも軽くしてあげようと思ったんだろうけど私には真似できない荒技だよ……。
ん? そう言えばソフィー、未来で目覚めてからとか言ってなかった? じゃあ、ひょっとして淫乱妖刀に体乗っ取られてた影響なのかも? あ、ありえる……。うん、可哀想だから、後でみんなの頭の中から今の記憶を消してあげるね! ただ、今はソフィーがいじけて泣いてる滅多に見られない姿がすっごく可愛いから、もうちょっとその姿を拝ませてね?




