第10章 雪音ちゃんと村娘達 145 〜 亡者を引き寄せる魔剣をダンジョンから持ち帰って来ちゃった冒険者達とのお別れ〜
山賊達の新鮮な死体を氷漬けにして私の下僕の白い大蛇ワイトが住んでる洞窟に転移魔法で送ってあげたあと、私は先に行っててもらったみんなと合流して山賊のアジトへと赴き、牢屋に閉じ込められていた目が死んでる無気力状態の女性冒険者2人を救出、ため込んだお宝は残念ながらなくて代わりにお酒と食料を大量にゲットし、私達は2日ほど掛けてアヴァリードの町へと帰って来た。
「行商のおじさん、荷台に乗せてくれてありがとね♪」
「いやいや、こっちこそ、道中の魔物倒してくれてありがとうよ、魔法使いのお嬢ちゃん達」
帰る途中、魔物に襲われていた行商の人達を助けてあげたら空になった荷台に乗せてもらうことができたので歩いて帰って来るより少し早く帰って来れた。荷台を引いていたのが気が弱いけど力持ちで人懐っこい魔物だったから、道中、餌あげとかさせてもらって楽しませてもらうことができたのは貴重な体験だった♪
「ドランも運んでくれてありがと〜♪」
「ギュ〜♪」
「がぉー」
「クゥーちゃん、お別れの挨拶ぐらいで拗ねなくても良いじゃないですかー?」
「拗ねるクゥー様、お可愛いのです!」
「やっとお風呂に入れるのですわね。嬉しくて涙が出て来てしまいましたわぁ〜ん」
「あ、あのね、ラスィヴィア? 言いにくいんだけど、これからギルドに行ってマッド達から預かってるドロップ品の数々を魔法の袋から出してあげないといけないから、まだ帰れないよ?」
「そ、そんな!? それはあんまりなのですわぁ〜ん!?」
ラスィヴィアが泣き崩れてしまった! そんなこと言われても私だって早くお風呂に入りたい。帰る途中に川で水浴びとかしたけど、水浴びじゃ疲れとか取れないし……。
「仕方ありませんねー。雪音ちゃん、ラスィヴィアさんや山賊に捕まってた女性冒険者さん達を連れて先に館に戻っても良いですかー?」
「あー、うん、ラピ、そうしてくれる?」
「お任せくださいなのですよー♪ ライトさん達、私がいないからって雪音ちゃんに変なことしたら分かっていますよねー?」
「ももも、もちろんです!」
「あんな拷問受けたくねえからな」
「聖女ちゃんも、もう行っちゃうの!? 俺っち、もう少しだけ一緒にいて欲しいとか思ってみたり」
「こら、マイケル、いい加減にしないか。聖女殿にはもう何度も振られているだろう?」
「マイケルさんのためではありませんが、雪音様おひとりを残すわけにはいきませんから、しばらくはまだご一緒しますよ」
「がぅがぅ! がぅがぅ!」ボクものこるからへいきだよー!
「そうでした! クゥー様も一緒でしたね♪」
ソフィーがクゥーの頭を撫で撫でした。
「それじゃー雪音ちゃん、先にラスィヴィアさん達と館に行ってますねー♪」
「うん、お願いね?」
「久し振りのお風呂が私を待っているのですわぁ〜ん♪」
ラピとラスィヴィアと虚ろな表情の女性冒険者2人がパーティーから離脱して行った。女性冒険者達はあとで私が魔法で色々とフォローするから心配いらないからね?
「じゃ、やることパパッと済ませちゃいましょっか?」
「これで雪音ちゃんともお別れなんですね」
ロリコンが悲しそうに言って来る。
「旅先で困ってる時に出くわしたら、また助けてあげるよ」
「つっても、どうせまた護衛料とるんだろ?」
マッドがイヤそうな顔して聞いて来た。
「当たり前じゃない? 何言ってるの?」
「雪音ちゃん達がこの町のどこに住んでるのか俺っちに教えてくんない? 俺っち、聖女ちゃんやラスィヴィアちゃんに時々会いに行きたいんだけど?」
「マイケル! 俺が聞きたくても我慢していたことをどうして聞いてしまうのですか!?」
「マイケル、しつこい男は嫌われるぞ?」
「いい加減諦めろや。100パー脈なしなんだからよお」
「前にも言ったけど教えるつもりないから諦めてね? 住んでる場所が分かっても押し掛けて来たらラピにお仕置きさせるからね?」
「ひぃ!? そ、それだけはマジで止めてくんない!? あれ、マジでヤバいから!?」
ラピのお仕置きに恐怖して股間を押さえるチャラ男!
館にはソフィーやラスィヴィアだけじゃなくて、良い年頃のお姉さん達がいっぱいいるからチャラ男を入れるわけには絶対にいかないんだよ。うささんの群れに狼さんを解き放つような真似、私がするわけないじゃない?
「じゃ、今度こそ、ギルドに行きましょ?」
私とロリコン達はギルドの中へと入って行き、ドロップ品や発掘品の換金所で、私は四つ足骸骨槍騎兵の落とした雷の槍や、腐った牛頭牛足人胴鬼の落とした斧を魔法の袋から取り出して、ロリコン達は普通の袋からコラプタ◯に大鎌の両腕つけたような黄金骸骨亡者の落とした大きな宝石付きの指輪を取り出してギルドの人に鑑定をしてもらった。
結果、かなりの大金をゲットすることができました! やったね♪
雷の槍が1本金貨5枚 ( 日本円にすると約500万円!)で、斧が1本金貨1枚 ( 日本円にすると約100万円!) で、宝石付きの指輪が1つ金貨10枚 ( 日本円にすると約1,000万円!!!) にもなったんだよ! もうびっくり! なんで、そんなに高価なのか聞いてみたら指輪に跳躍力強化と着地時の衝撃を吸収する効果なんかが付与されてて実用的だし、宝石はおっきいし、指輪の装飾も美術品として素晴らしい出来だからなんだって!
また持って来たら同じぐらいの金額で買い取ってもらえるのか聞いてみたら、「はっはっはー。これと同等の指輪がそんなに簡単に手に入るなら次回の買取からは値段を大幅に下げざるを得なくなってしまいますよ!」って言われちゃった。まっ、そんなもんだよネー。
ちなみに、買取金額を提示された時のマッド達の反応はと言うと……。
「マジかよ!? 酒場のツケが余裕で返せるじゃねえか!?」
「ちょ!? 金貨とかマジなん!? 大銀貨の間違いでしたとかじゃなくて!?」
「こ、これは夢ではないのだよな!? まさか指輪1つで金貨10枚にもなるとは、し、信じられん!?」
「これで可哀想な幼女達を救ってあげるための孤児院を作ることができます! 全て雪音ちゃん達のおかげです! 孤児院を作った暁には雪音ちゃんや聖女様達の名前入りの肖像画を飾りたいと思います!」
ロリコン、それ、冗談とかじゃなくて本気で作るつもりだったんだ……。そんなもの作って事案になるような不祥事起こさないでね?
「ゆゆゆ、雪音様!? 指輪1つで金貨10枚になるそうですよ!? どど、どうしたら良いのでしょう!? 私、この指輪をかなり気に入ってしまっているのですけれど!?」
ソフィーが指に嵌めた2つの指輪を私に見せながらすっごくうろたえている!
前に聞いた話だとソフィーのいた教会の人達ってみんな清貧を美徳とするような人達だったらしく、アクセサリーとかほとんど身につけてなかったらしいんだよね。だから、今回、指輪がお金をかけずにゲットできてすっごく嬉しかったみたいなんだけど、それが大金に変えられると知ってどうしたら良いか分からなくなっちゃったみたい。
「気に入ってるなら、その指輪はそのまま取っておけば良いんじゃないかな? 雷の槍だけでもかなりの金額になるし、指輪は何かあった時のために持っておいて、お金がなくなっちゃった時にでも換金したらどうかな?」
「そ、そうですね! 雪音様の言う通りにしたいと思います! あっ、でも、そんな大金になる指輪を身につけていたら誰かに狙われてしまうのでは!?」
「私と一緒に行動してれば大丈夫だよ、そんなことさせないから。不安だったら幻覚魔法でソフィーにしか見えないようにする魔法をあとでその指輪に掛けてあげるよ」
「は、はい、お願いします、雪音様! そうでもしてもらわないと私、怖くて町を1人で出歩けなくなってしまいます!」
「あはは、ソフィーは心配性さんだね?」
「うぅ〜、雪音様に笑われてしまいました。恥ずかしいですぅ」
「がぅがぅ? がぅがぅ?」
クゥーが首を左右に可愛く傾げながら、ボクが渡した指輪売らないのー?って聞いて来た。私はしゃがんでクゥーの頭を撫で撫でしながら、
「クゥーから貰った指輪なんだから売らないで大事に取っておくよ? クゥーからの初めてのプレゼントだもん♪」って言ってあげた。
「くぅ〜ん♪」ごしゅじんさま、ありがと〜♪
クゥーは嬉しそうだった。
ガヤガヤ、ガヤガヤ。
「おい、聞いたかよ? 指輪1つに金貨10枚だとよ? どんなすげえ効果が付与された古代の装飾品なんだろうな?」
「聞いた、聞いた。骸骨の嘆きのダンジョンの新しく発見された下層で遭遇した新種の魔物倒したらドロップしたらしいぜ?」
「なら、俺らも一山当てに行くか!」
「でもよ、その魔物、亡者の癖に聖属性の防御魔法で全身守られてるって言ってなかったか? どうやって、んなもん倒すんだよ? 俺ら闇属性の武器とか持ってねえぞ?」
「はぁ? んなもん、同業者に狩られまくらないようにするための出まかせに決まってんだろうが? そうと決まればとっとと出発すんぞ!」
喧騒の中から冒険者達がそんな会話をしているのが私の耳に聞こえて来た。
「出まかせじゃないんだけどなぁ?」
「雪音様、どうかしたのですか?」
「う〜うん、なんでもないよ。ほら、ソフィー。金貨を袋にしまって、ここを出よう? クゥーも行くよ〜」
「は、はい! うぅ〜、こんな大金持ち歩いたことがありませんのでスラれないかとても不安です……」
「がぅがぅ♪」
冒険者稼業は自己責任だし、どうせ引き止めて説明しても「利益を独占したいからそんなこと言ってんだろ!?」とか言って話聞いてもらえないと思うからスルーしたけど、別に大丈夫だよね? あの黄金骸骨亡者ってディーアが呼び寄せたドラゴンゾンビが第2形態に移行して骸骨竜になった時の雄叫びで戦いのお供として呼び出された感じだったから、ただあの場所に行っただけじゃ出て来ないと思うし……。
「いや〜儲かった、儲かった! 今日は祝い酒しこたま飲みまくるぞ〜!」
「マッド、飲み過ぎて金貨の入った腰袋を盗られないようにしてくださいね?」
「酔っ払っていなくても周りには気をつけた方が良いと思うぞ、ライト? 今や俺達は大金持ち様だからな! ぐふ、ぐふふふふ」
「気をつけろとか言っておいて大金持ちだって自分から大声でバラすとか、ピートの奴、頭おかしくなったんじゃね!?」
私達の後ろでは、マッドとフトモモスキーが超浮かれていた!
どっちかって言うと、お調子者のチャラ男が大金手にしてぼったくりバーとかでお姉さん達にカモられて翌朝一文無しさんになってそうなんだけど、マッドとフトモモスキーもなんかヤバそうだよね……。
しょーがない、ちょっとアフターフォローもしてあげるかな?
私は魔法の袋に手を突っ込んで、以前、私の血で作った宝石のように見える赤玉を天上界の倉庫から召喚し、魔法の袋の中で赤玉にマッド達以外の人が悪意を持って腰袋に触ろうとするとバチンと電気ショックが発動して相手を気絶させる魔法と緊急時に私とテレパシーで会話できるようにする魔法を掛けた。
それから、後ろにいる4人に声を掛けて赤玉を手渡しながら説明してあげる。
「はい、あなた達にコレあげる。常に腰袋に入れておいてね?」
「雪音ちゃん、こんな綺麗な赤い宝石、貰ってしまっても良いのですか?」
「金髪の魔法使い殿、どうして俺達にこれを?」
「その宝石を腰袋に入れておけば、所有者以外の人が悪意を持って腰袋に触ろうとするといた〜い思いをすることになる魔法が発動するんだよ。今のあなた達には必要かなぁと思ってね♪」
「それはありがたいな!」
「俺達の身の安全を考えてこれを!? 雪音ちゃんは本当に俺達の幸運の女神様ですね! 一生これを雪音ちゃんだと思って肌身離さず持ち歩くことにします!」
ロリコン、その言い方はキモいから止めて!
「ってこたあ、コイツも古代の装飾品みてえなもんか? 良いのか、こんな高そうな物を俺らにくれちま、はっ!? まさか、コイツを俺らに高く売りつけようと!?」
「マッドはいい加減、私のこと強欲魔法使い扱いするの止めてよね!? そんなことゆーなら、マッドからだけお金徴収しても良いんだからね!」
「わ、悪かった。俺が悪かったから、それは勘弁してくれ。タダで貰えるってんなら、ありがたく貰っておくぜ。ありがとよ!」
「分かればよろしい!」
私は両腕を組んで、えっへんポーズを取った!
「なぁなぁ、これって魔力切れになって魔法が発動しなくなっちまったら俺っち達どうすれば」
「毎日寝る前に残ってる魔力を込めてから寝るようにすれば多分大丈夫じゃないかな? 当分の間は私が込めておいた魔力で問題なく発動すると思うし」
本当は当分の間じゃなくて私から空間を超えて流れて行く魔力を私が意図的に止めない限りずっと続くんだけどね?
「それは助かります。それにしても、こんな貴重な物をいただいてしまって俺達は一体何を雪音ちゃんにお返しすれば」
「えっ、別にいらないけど……。あっ! でも、ライトにはお願いしたいことがあったよ!」
「本当ですか!? それは一体どんなお願いごとでしょう!? 俺が雪音ちゃんにできることならなんでも致しますよ!」
「ライトは手に入れた大金使って幼女専門の孤児院開くんでしょ?」
「雪音ちゃんもそこに入りたいと言うことですね!」
「ちっがうわよ!!! さっき私とかソフィーの肖像画を名前入りで飾るとか言ってたじゃない? ソフィーはともかく私の肖像画は恥ずかしいから止めて欲しいなと思ったの」
「ま、待ってください雪音様!? 私もイヤなのですが!?」
「どど、どうしてですか!? 俺が孤児院を開けるのは雪音ちゃんや聖女様達のおかげなのですから、その功労者達のお名前を幼女達に知ってもらって毎日の食事の際に感謝を捧げさせてから食べさせてあげようと思っていたのに!?」
「恥ずかしいから絶対に止めてちょーだい!!!」
「恥ずかしいから絶対に止めてください!!!」
私とソフィーはロリコンの提案を全力で拒否った!
「そこまでイヤがらなくても……。分かりました。では、ラピさんとラスィヴィアさんの肖像画を代わりに」
「お願いだから、それも止めてくれるかな?」
「で、では、せめて森で俺を助けてくれたキジトラ柄でキリリとした青い目をお持ちの体の大きい猫様の銅像を建てさせてもらえないでしょうか? ラスィヴィアさんがたしかザルガーニと呼んでいた猫様なのですが」
「ザルガーニの銅像なら別に作っても良いけど、一応本人から許可貰ってからにしてね? ザルガーニならアヴァリードの町の正門の外で日中はゴロゴロしてると思うから」
「あ、ありがとうございます! あとで探しに行って猫様に声を掛けてみます!」
「がぅがぅ? がぅがぅ?」ボクのはー? ボクのはー?
「クゥー、ひょっとして孤児院にクゥーの銅像作って欲しかったりするの?」
「がぅ♪」
クゥーは私に期待に満ちた目を向けながら尻尾をふりふり振っている!
「クゥーが作って欲しいなら私は別に構わないよ?」
「がぅ! がぅがぅ♪ がぅがぅ♪」やったー! つくって、つくってー♪
クゥーがロリコンに近づいて尻尾をふりふりさせながら、おねだりしてる! 可愛すぎるから、今見た光景をあとでラピ達にも見せてあげようっと♪
「作らせてもらえるなら、ぜひお願いします! きっと幼女達も大喜びで跨ってキャッキャフフフと楽しんでくれるはずです!」
置き物としてじゃなくて公園によくある動物の遊具扱いにしちゃうんだ!? ま、まぁ、クゥー ( の銅像 ) が孤児院の幼女達の人気者みたいになって愛されるなら別に良いかな? クゥーも嬉しそうだし。
「じゃあ、ライトには特別にクゥーちゃん人形を渡しといてあげるよ! ちょっと待っててね?」
私は魔法の袋に手を突っ込んで、天上界の倉庫にしまってある私の血で出来た赤玉をたくさん召喚して魔法の袋の中で合成&着色してクゥーの姿形をしたミニチュアクゥーちゃんを作成した! ついでに、ロリコンが孤児院の幼女に事案になるようなことをしないようにする魔力波を定期的に周囲に放つようにミニチュアクゥーちゃんに仕込んでおく!
うん、これでロリコンは健全に幼女専門の孤児院を経営できるはず! いやぁ〜、雪音ちゃん良い仕事したなぁ〜。
私は魔法の袋からミニチュアクゥーちゃんを取り出してロリコンに渡してあげた!
「はい、これ参考にして幼女を喜ばせるクゥーの銅像作ってあげてね♪」
「あ、ありがとうございます、雪音ちゃん! こ、これは!? なんて精巧な作りをした造形物なのでしょう!?」
「おお、すげえな。白いのとソックリじゃねえか? こんなに小せえのによく出来ていやがる。流石お貴族様は金かける所が違うわな?」
「ライトだけズルくね? 俺っちは聖女ちゃんの石像とか欲しいな〜」
「マイケル、そんな物あるはずないだろう? 金髪の魔法使い殿が聖女殿と出会ったのはダンジョン内でなのだぞ?」
「ゆ、雪音様? クゥー様の像をもう1つお持ちだったりとかはしないでしょうか? 可愛らしいので私もですね、その、1つ頂けたら嬉しいなぁ〜なんて思ってみたりするのですが……」
ソフィーが恥ずかしそうにモジモジしながら私に聞いて来た! ロリコンを除いた男性陣はそんなソフィーの素ぶりに見惚れている! 周囲にいる冒険者達も「おぉ〜!?」と言ってどよめいていた!
「えっ!? えっ!? み、みなさん、どうして私の方を見ているのですか!? ゆ、雪音様! クゥー様の像のことは外に出てから再度お話しさせてください! は、早くギルドからお暇致しましょう!」
私は恥ずかしがるソフィーに手を引かれてギルドの出入り口の扉へと早歩きで移動した。
「恥ずかしがる聖女ちゃん、良いなぁ〜」
「惚けてると置いてくぞ、マイケル?」
「ギルドから外に出たら雪音ちゃん達とはお別れなのですから早く追いかけましょう!」
「だな。最後ぐらいはきちんと挨拶せねば!」
◇◆◇
「うぅ〜、とても恥ずかしい思いをしました。どうして、みなさん、私のことを見ていたのでしょう? 聖女なのに人様の物を欲しがる浅ましさを見てお笑いになっていたのでしょうか?」
「違う違う。ソフィーが物欲しそうにモジモジしてる可愛い素ぶりが注目を浴びてただけだから」
「そ、それはそれで恥ずかしいじゃないですか!? あぁ〜、女神様! 物欲に囚われて浅ましい姿を世間に晒して聖女の評判を貶めてしまい誠に申し訳ありません!」
ソフィーが両手を組んでお空を見上げ、懺悔し始めてしまった!
人間とか魔族を魔物と戦わせるためにダンジョン内に宝箱とか魔剣置いたり、ダンジョン内の魔物倒したらドロップ品が出るような世界を作ってる神様なんだから、そんなこと気にしないと思うんだけどなぁ?
「お、追いつきました。聖女様はよっぽど恥ずかしかったようですね」
「だが、実に良いものを見せていただいた! あの姿を思い出すだけでご飯3杯はいけるな! もっとも今の俺は大金持ちだからオカズのないご飯だけの寂しい生活とはおさらばだがな!」
「ピートさぁ? 大金が手に入って嬉しいのは分かるけど、大金持ち大金持ち連呼すんの止めね? 俺っち、めっちゃ恥ずかしいんだけど?」
「俺らの金狙って襲って来る輩が出て来るかもしんねえからな? つっても、金髪の嬢ちゃんがくれた宝石があるから、その心配をする必要もねえのか?」
マッドの問いに私は答えてあげることにした。
「さっき私が渡した宝石に付与された魔法が発動するのは、あくまで悪意を持ってその腰袋に触ろうとする盗っ人なんかがいた場合で、本人が危害を加えられても発動はしないからね? 自分からわざわざ馬鹿が寄って来るような真似は控えた方が良いと思うよ?」
「だとよ、ピート?」
「な、なんということだ!? くっ、こっちを見ている者達が皆、俺の金貨を狙っているように思え始めてしまったぞ!?」
「自業自得ですね」
「金貨目当てで寄って来るのが可愛いこちゃんだったら最高なんだけどな〜」
フトモモスキーとチャラ男は大丈夫かなぁ? 自業自得で大金なくなっちゃっても、そこまでは面倒見ないからね?
「まぁ、もし、命の危険とか感じるようなことがあったら、さっき渡した赤い宝石を手に取って私のことを思い浮かべながら『助けて!』って喚んでくれれば助けに行ってあげるから、赤い宝石を入れた腰袋を常に身につけてると良いんじゃないかな?」
「えっ!? この宝石を使えば雪音ちゃんと会話できるんですか!?」
「それ以前に、助けに来てくれるとは一体どういう」
「ラスィヴィアちゃんが大きい猫の魔物を召喚した時みたいに転移魔石とか使って来てくれるんじゃね?」
「マイケル正解! 転移魔石は流石に貴重品だから喚ぶのは本当に危険な時だけにしてね?」
「流石にそれはタダじゃあねえよな?」
「当然じゃない、マッド。転移魔石は貴重なんだよ? あと、特急手当も貰うから喚ぶ時は覚悟してね?」
「金髪の魔法使い殿、特急手当は銀貨何枚なのだろうか?」
「銀貨5枚ね!」
「それで喚ぶのが深夜だったら深夜手当でさらに銀貨5枚追加されるんだろ?」
「マッド、よく覚えてるね! その通りだよ!」
「雪音ちゃん、そもそもの通常料金は銀貨何枚なのですか?」
「銀貨20枚だよ! っで、特急手当が銀貨5枚だから、あなた達が赤い宝石を使って私を喚んだら銀貨25枚ちょうだいね♪ 深夜だったら銀貨30枚だよ♪」
「大金を持ってると知ってて俺達に要求する金額がその額で良いのか、金髪の魔法使い殿?」
「ピート、雪音ちゃんがそれで良いって言ってんだからそれで良くね!? 金額上がっちゃったらどうすんだよ!?」
「上げても良いんだけど、マイケルが可哀想だからそのままにしておいてあげるよ。じゃ、機会があったら、またね。大金手に入ったんだから今度ダンジョンに行くときは古代文字が読める人を雇って連れて行くようにしたら良いんじゃないかな?」
「ああ、そうだな。ダンジョンに行くときはそうしよう。金髪の魔法使い殿、聖女殿、世話になった!」
「雪音ちゃん、値上げしないでくれて俺っち感激だよ! ラスィヴィアちゃんやラピちゃんにもよろしく伝えておいて欲しいじゃん! 聖女ちゃん、今度この町の教会に会いに行くから、そのときにまた会おうね!」
「マイケルさん、ごめんなさい。私、雪音様にお仕えすることに決めましたので教会に行っても私には会えません」
「マジ!? うっそ〜ん!? ゆ、雪音ちゃん、どこに住んでるか俺っちに」
「女性がいっぱいいるから、ナンパしまくりそうなマイケルには絶対に教えないよ!」
「嬢ちゃん、その言い方だと余計にマイケルを煽ることになるんじゃねえか?」
「でも、これで私が断固拒否する理由が分かったでしょ? 自分の住んでる所に毎日のようにマイケルがナンパしにやって来たらウザいと思わない?」
「ウ、ウザいって、雪音ちゃん、酷くね!?」
「たしかにそれはウザいですね。納得です。ところでですね、雪音ちゃん。孤児院が出来てクゥー様とお猫様の銅像が出来たら雪音ちゃんにぜひ見ていただきたいと思うのですが、その場合はどう連絡を取れば? できれば連絡先を教えてもらえると嬉しいのですが……」
「ちょ!? なに自分だけ、ちゃっかり居場所聞き出そうとしてんだよ、ライト!?」
「雪音ちゃんにウザがられてるマイケルは引っ込んでいてくれませんか? 今、大事な話をしているところなのですから」
「はいはい、喧嘩しないの! 連絡手段かぁ〜? うーん……。じゃ、銅像が出来たらギルドの受付嬢のクレーレさんに私宛ての手紙でも渡しておいてくれる?」
「ギルド嬢のクレーレさんですね? 分かりました!」
「じゃ、じゃあ、俺っちは聖女ちゃん宛てに手紙書いて渡しても」
「ラブレターやデートのお誘いの類は却下だよ! クレーレさんは私の指名受付嬢さんであって、ソフィーの指名受付嬢さんじゃないからね!」
「マイケルさん、私、女性に手当たり次第、手を出そうとする殿方はちょっと無理ですのでお諦めください。ひとりの女性だけに目を向けて、その方だけを愛することができるような、そんな誠実な男性にいつかなれることを雪音様のお側で時折お祈りして女神様に願って差し上げます」
「くっくっく。良かったな、マイケル! 聖女さんがお前のことを時折思い出してくれるとよ!」
マッドがチャラ男をからかった!
「思い出してもらっても、それじゃ聖女ちゃんとよろしくできないじゃん!?」
「マイケル、いい加減諦めるんだ。脈なしなのは分かっただろう?」
フトモモスキーがチャラ男を宥めている!
「うぅ、聖女ちゃん。今まで俺っちみたいなウザい男の話に付き合ってくれてありがとう。聖女ちゃんの言うような男になれるよう頑張ってみるじゃん!」
「私が過去から転移して来て不安で気分が沈んでいた時、マイケルさんの明るさが私に元気を与えてくださったことは忘れませんので、素敵な女性を見つけて持ち前の明るさでその子だけを笑わせてあげてくださいね? 応援していますから」
ソフィーは聖母のような微笑みをチャラ男に向けてにっこりと笑った!
それを見たチャラ男は後ろを向いて泣きながら走って去って行った!
「聖女ちゃ〜ん、いい思い出をありがとぉおおおおおお、うぉおおおん!」
「まったく世話が焼けるな。では、金髪の魔法使い殿に、聖女殿、お元気で」
「ピートもね」
「ピートさん。マイケルさんのこと、よろしくお願いしますね。私が言うのもなんですけれど……」
「お任せください。では!」
そう言ってフトモモスキーがチャラ男を追いかけて去って行った。
「まあ、なんだ。最初に会った時は色々と悪態ついて悪かったな。俺らを見捨てることなく最後まで付き合ってくれてありがとよ。じゃあな、金髪の嬢ちゃんに、聖女さん。あと、白いのもな?」
「縁があればまたお会いしましょう」
「がぅ♪」またねー♪
「マッド、大金手に入れたからって、お酒飲み過ぎて体壊さないようにね?」
「はっ、大きなお世話だぜ! じゃあな!」
なによ、せっかく人が心配してあげたのに。
私の言葉を鼻で笑いながらマッドもまた去って行った!
「それでは、雪音ちゃん、聖女様、俺もこの辺で。今回のダンジョン探索は俺の中で生涯の記憶に残るものになると思います。それもこれも全て雪音ちゃん達が俺達を助けてくれたおかげです。本当にどうもありがとうございました。幼女専門の孤児院を作ると言う俺の夢も叶えられそうですし、これから薔薇色の人生が始まりそうです。孤児院が出来たらお呼びしますので、ぜひいらしてくださいね?」
「クゥーとザルガーニの銅像、楽しみにしてるね!」
「ええ、楽しみにしていてください。雪音ちゃんにいつかまた会える日が来るのを楽しみにしています。クゥー様も楽しみにしていてくださいね?」
「がぅ♪」かっこよく作ってねー♪
クゥーは尻尾ふりふりしながらロリコンに返事した!
ロリコンはクゥーの頭を撫で撫でしたあと、
「それでは、いつかまたお会いしましょう。それまでどうかそのままのお姿でお元気で」
と言って、前髪をキザったらしくファサッとかき上げてから立ち去って行った。
「うん、またね!」
「ライトさんもお元気で」
「がぅがぅ♪」またねー♪
去って行くロリコンに後ろから声を掛ける私達。
「じゃ、私達も帰ろっか?」
「はい、雪音様」
「がぅがぅ♪ がぅがぅ♪」おふろー♪ おふろー♪
「雪音様、先ほど女性がたくさんいるとおっしゃっていましたが、何人ぐらいの女性がいらっしゃるのですか?」
「えっ、あー、よ、40人以上かなぁ?」
「そ、そんなにいらっしゃるのですか!? 雪音様とラピ様のお世話係かなにかなのでしょうか!? ( 40人以上もいたら私の存在が埋もれてしまうではありませんか!? )」
ソフィーが物凄くうろたえている!
「ま、待って、そうじゃないから! 山賊に攫われて奴隷商人とかこの町の領主に売られちゃった女性達を保護してるだけだから!?」
「えっ!? えっ!? 奴隷商人はまだ分かりますが、この町の領主もですか!? あ、ありえません! なんと度し難い! 雪音様、今すぐ乗り込みに行きましょう!! 場所はきっと町の奥にあるあの豪華なお屋敷ですよね!?」
「ちょ、ソフィー待って!? もう終わってるから落ち着いてぇ〜!?」
「がぉー」
雪音ちゃんは怒りで興奮しているソフィーに冷静になる魔法を掛けて、ソフィーに事情を色々と説明しながらラピ達が待っている奴隷商人の館へと帰っていったのであった。




