第10章 雪音ちゃんと村娘達 139 〜 両腕が蟷螂のような大鎌で、蟹のように先の尖った4本脚を持ち、蠍のような尻尾が生えている黄金骸骨亡者との戦い①〜
闇属性と聖属性の魔法を使う黄金骸骨竜と雪音ちゃんが戦っている頃、ラピ達は黄金骸骨竜の咆哮によって眠りから目覚めて地面の下から飛び出して来た黄金骸骨亡者達と戦っていた!
黄金骸骨亡者の肘から先が大鎌になっている両腕が、マッドの身体を左右から挟み込もうと大きく広がった!
「ちいっ!?」
「氷の柱!!」
ラピの魔法が発動し、黄金骸骨亡者の広がった大鎌型の両腕が閉じるのを阻害するように地面から氷の柱が2本出現した!
ガコッ!
大鎌型の両腕を大きく広げたところにラピによって氷の柱を差し込まれ、腕に力を思うように込めることが出来なかった黄金骸骨亡者は左右にそれぞれ作られた氷の柱を破壊することが出来ず、大鎌型の両腕でマッドの身体を上下真っ二つにしようとした挟み攻撃は不発に終わってしまった!
「銀髪の姉ちゃん、助かったぜ!」
タッタッタッタッタ!
「がぅ!」
ブオン!
口に氷の剣を咥え足下に氷の足場を作りながら宙を駆けていた雪狼のクゥーが、動きの止まった黄金骸骨亡者の上腕骨に向かって闇属性の紫炎が属性付与された氷の剣を叩き付ける!
ガンッ! ピシピシ!
けれど、クゥーの1撃は黄金骨に罅を入れただけで破壊するまでには至らなかった!
「がぅ!? くぅーん」こわれなかったー!? いちじてったーい。
クゥーがその場から離脱すると、クゥーが今しがた居た空間を黄金骸骨亡者の蠍のような尻尾が貫いた!
ヒュン! スカッ!
「っ!? が、がぉー」あ、あぶなかったー。
クゥーに向けて放った蠍尻尾による刺突攻撃を失敗した黄金骸骨亡者は、広げた両腕が2本の氷の柱に引っ掛かって前へ移動出来ないため、蟹の脚のように先が尖っている4本の、マリ◯のジャンプ台のバネみたいな【く】の字形の脚を屈伸させて大きく後方へとジャンプした!
「逃がさないのですよー。そーれっとー♪」
ラピが、バックジャンプした黄金骸骨亡者の着地点目掛けて上空から氷の塊を落っことした!
ヒューン、グシャ!
空中で方向転換なんて出来ない黄金骸骨亡者は地面に着地後、上から落ちて来た氷の塊によってペシャンと地面に押し付けられた!
通常の属性魔法で聖属性の黄金骨に大ダメージを与えることは出来なくても、魔法で生み出した氷の重量で身動きを封じることは可能だったようだ!
「よっしゃあ! 今のうちに氷の塊から飛び出してる大鎌の片方をぶっ壊してやるぜ!」
ガン! ガン! ガン!
マッドは闇属性の紫炎を纏った剣で黄金骸骨亡者の大鎌型の腕の肘関節部分を何度も攻撃していった! 聖属性の黄金骨にピシピシッ、ピシピシッと無数の罅が入っていく!
ピョーン!
「がぅがぅ!!」きけん、きけんー!
黄金骸骨亡者の行動をその重みで封じている氷の塊の上に向かって、別の黄金骸骨亡者がマリ◯のジャンプ台のバネみたいな【く】の字形の脚を屈伸させて大ジャンプした!
ヒューン! ザクッ!
落ちて来た黄金骸骨亡者の蟹の脚のように尖った4本の脚先が、まるで氷壁に打ち込まれたハーケンのように氷の塊に突き刺さる! そして、落ちて来た黄金骸骨亡者は仲間に攻撃しているマッドに向かって氷の塊の上から蠍尻尾の刺突3連続攻撃を繰り出した!
「やられるかよ!?」
ガンガンガン!!!
マッドは黄金骸骨亡者の蠍尻尾が鎌首をもたげるように持ち上がったのを見て即座に盾を構えていたので、蠍尻尾に串刺しにされずに済んだ!
新たに現れた黄金骸骨亡者の注意がマッドに向いてる隙に、雪狼のクゥーは足下に氷の足場を生み出しながら上空へと駆け上がった! そして、上空から黄金骸骨亡者の大鎌が生えてる上腕骨目掛けてダイブし、口に咥えた闇属性の紫炎を纏う氷の剣を叩きつける!
クゥーの体重と氷の剣の重さが加わった上空からの闇属性落下攻撃によって聖属性の黄金骸骨亡者の上腕骨は両断され、パリィーンと粉々に砕け散った!
上腕骨を破壊されたことによってその延長上にあった尺骨や橈骨などの代わりに存在していた黄金骨で出来た大鎌が地面にゴトッと落ちると、こちらの黄金骨もパリーンと音を立てて砕け散った!
ただ、黄金の上腕骨が粉々になった時とは違って、地面に落ちた黄金骨の大鎌の方は表皮の薄皮1枚 ( 薄骨1枚? ) が砕けただけで、その下から白い骨の大鎌が姿を現した!
「ワン公、でかした! ってえ、なんで地面に落ちただけの大鎌まで砕け、あん!? 骨全部が聖属性ってことじゃねえのかよ!?」
判明した事実に驚きの声を上げるマッド!
「黄金の部分はどうやら聖属性の防御魔法だったみたいですねー。クゥーちゃんやマッドさん達が闇属性がエンチャントされた剣で黄金部分を破壊して中の白いお骨さんをこんにちはさせてくれたら、私の氷魔法でもダメージを与えることが出来るようになりそうなのですよー♪」
ラピはマッド達のお守り以外にやれることが出来て嬉しそうだ!
片腕を破壊されて氷の塊の上でのたうち回っていた黄金骸骨亡者が痛みから復活して起き上がり、蟹のように先の尖った4本の脚で地団駄を踏み始めた!
地団駄と言っても、ただの地団駄ではない。超高速の地団駄である! 4本の尖った脚が足元の氷の塊を突き刺しまくるせいで、氷の塊にピキピキピキと亀裂が入っていく!
「まずいのですー! このままだと氷の塊が割れちゃって、下で潰されてる黄金骸骨亡者さんが復活しちゃうのですよー!」
ラピは超高速地団駄を踏んでいる黄金骸骨亡者に向かって氷の破城槌( 丸太バージョン ) を飛ばした!
「クソッ!? 復活する前に片腕ぶっ壊しておかねえと!?」
マッドは氷の塊に潰されている方の黄金骸骨亡者の、氷の塊の下から飛び出ている大鎌型の腕の肘関節部分を急いで攻撃する!
4本の脚で足下の氷の塊に超高速地団駄攻撃をしていた黄金骸骨亡者は、ラピの氷の丸太攻撃を真上に大ジャンプして躱し、再び氷の塊の上に着地すると超高速地団駄攻撃を再開した! 氷の塊にドンドンと大きな亀裂が入って行く!
「させないのですよー!」
ラピが再び氷の丸太を飛ばすと、またもや黄金骸骨亡者は先ほどと同じように上空にピョーンと大ジャンプし、ラピの魔法攻撃を躱してしまう!
「どうして避けちゃうんですかー!? 大人しく当たってくださいなのですー!」
ラピはムキー!とお猿さんのように怒って、次々と氷の丸太を飛ばして行く!
ピョーン、ピョーン、ピョーン!
けれど、それらの魔法攻撃は黄金骸骨亡者の大ジャンプによって軽々と避けられてしまった!
そして、黄金骸骨亡者がラピの放った氷の丸太を避けようと何度目かの大ジャンプをした瞬間、ラピは雪狼のクゥーにテレパシーで合図を飛ばした!
『クゥーちゃん、今なのですー!』
「がぅ!」ゆだんたいてきー!
ドガッ!! ピキピキピキッ!
上空で待ち構えていた雪狼のクゥーが口に咥えた闇属性の紫炎を纏う氷の剣を下からジャンプして来た黄金骸骨亡者の背中に叩き付け、聖属性の防御魔法に大きな罅を入れた!
ヒューン、グシャ!
調子に乗ってピョンピョンと大ジャンプしていた黄金骸骨亡者は跳び上がった先の上空でクゥーからの手痛い1撃を受け、元いた真下にある氷の塊の上に叩き落とされた!
実は、ラピが黄金骸骨亡者に当てようとムキになって単調な魔法攻撃をしていたのは黄金骸骨亡者の油断を誘うための罠だったのである! 雪狼のクゥーはラピのテレパシーによる指示で黄金骸骨亡者に気付かれないよう足元に氷の足場を作り出して上空へと駆け昇り、そこで次のラピの指示を待っていたのだった!
「クゥーちゃん、やったのですー♪」
「あぉ〜ん♪」だいせいこー♪
クゥーは嬉しそうにひと鳴きしたあと、落ちて行った黄金骸骨亡者に追撃を入れるべく地上へと落下して行った!
◇◆◇
ほんの少し時間を遡った地上では、マッドが闇属性の紫炎を属性付与された剣で氷の塊の下敷きになってる黄金骸骨亡者の、氷の塊の下から飛び出している大鎌型の腕の肘関節部分を集中攻撃していた!
パリィーン!
黄金骸骨亡者の肘関節部分の白い骨を守るように存在していた黄金の膜が音を立てて砕け散った!
「よっしゃあ! 聖属性の防御魔法を破壊してやったぜ! その剥き出しになった白い骨も今、壊してやるぜ! おらよ!!」
ブォン! バキバキバキ!!
マッドの剣による攻撃で氷の塊の下敷きになってる黄金骸骨亡者の攻撃手段の1つ、大鎌型の片腕が破壊された!
そんな時、上から雪狼のクゥーによって叩き落とされた黄金骸骨亡者が氷の塊の上にグシャッとぶつかった!
続けてクゥーが落ちて来て黄金骸骨亡者の蠍尻尾の付け根に口に咥えた闇属性の紫炎を纏う氷の剣を叩き付け、聖属性の防御魔法である黄金膜とそれが保護していた白い骨を粉砕する!
けれど、クゥーは勢い余って下の氷の塊にまで攻撃を加えてしまい、別の黄金骸骨亡者を押し潰している氷の塊にダメージを与えてしまった!
「がぅ!?」やっちゃったー!?
黄金骸骨亡者の鋭く尖った4本の脚による超高速地団駄攻撃や黄金骸骨亡者が上空から落ちて来た衝撃などの度重なるダメージを受けて亀裂が無数に入っていた氷の塊は、クゥーの勢い余ってやってしまった攻撃によってトドメを刺され砕けてしまった!
「おい、白いの!? 何やらかしてんだ、てめえ!?」
「くぅーん」
クゥーは申し訳なさそうな顔をしている!
「クゥーちゃん、やっちゃいましたねー。失敗は私がふぉろーしてあげ」
「ちょお!? ちょちょちょぉおおわぁああああ!?」
チャラ男の切羽詰まった情けない叫び声が聞こえて来た!
「ることは無理みたいなので、そこの2体はお任せするのですよー」
黄金骸骨亡者2体のうち1体は大鎌型の片腕と蠍尻尾が破壊され、もう1体は大鎌型の片腕が破壊されているから、あとはマッドと雪狼のクゥーに任せておいても大丈夫だろうと判断したラピはチャラ男とフトモモスキーの援護に回ることにした!
◇◆◇




