第10章 雪音ちゃんと村娘達 136 〜 早く魔剣ディーアを元あった場所に戻しに行こう!⑥〜
チャラ男とロリコン、チャラ男とフトモモスキー、チャラ男とマッドのローテーションでゾンビ牛頭牛足人胴鬼の落とした斧を6本全部回収したあと ( チャラ男が全部の組み合わせに入ってるのは戦闘中に気絶してた罰だからだよ! ソフィーにセクハラ働いた罰でもあるから気にしないでね? ) 、私達は洞窟の下層目指して移動を再開してる。
「あっ、こっちです! この小川の向こうにある石灰華段丘をずーっと降りて行った先の通路の奥の部屋でこの試練の宝剣を手に入れたんです!」
そう言ってロリコンが横に流れていた底の浅い小川に入ってバシャバシャと音を立てながら小川が落ちて行く段差の向こう側へと降りて行った!
私達は小川に入らず横の細い道をそのまま段差のある所まで進んでみた。すると、段差の先には山口県の秋芳洞の百枚皿みたいな景色が広がっていた! 写真でしか見たことのない光景だから、もちろん感動はしてる! してるんだけど……。
「えっ!? ここを降りて行くのですか!?」
ロリコンの言葉と眼下に広がる景色にびっくりするソフィー!
うん、気持ちはよく分かる。だって段差の先には無数の池しかないんだもん。これ知ってたから、さっきロリコンは水に濡れるのも気にせず小川に入って行ったんだろうけど、初めてここに来たとき、よくここを降りてく気になったよね? 降りて行った先に何もなかったら骨折り損のくたびれ儲けなのに……。
「小池が階段状に沢山ありますねー? 一体いくつあるんですかねー?」
「がぅがぅ」
「私がラピ様のために数えて差し上げますわぁ〜ん!」
ラスィヴィアが眼下に見える石灰華段丘の小池の数を数え始めた!
「あっ、じゃあ私も一緒に数えるのですよー♪」
ラピまで一緒になって小池の数を数え始めちゃった……。
「ラピもラスィヴィアも、数えてる時に亡者達が襲って来たらどこまで数えたか忘れちゃうんだから、止めておいた方が良いんじゃない? ここが普通の鍾乳洞だったら私も止めたりしないんだけど……」
「あー、それもそうですねー。ラスィヴィアさん、今回は残念ですが止めておきましょうかー?」
「うぅ〜、ラピ様と一緒に数を数えたかったですわぁ〜ん」
さてっと、どうしよっかな〜? 水に濡れない魔法を創って使えば濡れずに下まで行けるんだけど……。
「聖女ちゃん、服が濡れるのがイヤなら俺っちがお姫様抱っこするか背負うかして運んであげるじゃん!」
「マイケルさんの行動には下心が透けて見えますので全力でお断りさせていただきます!」
「がぅがぅ!」ソフィーにちかよっちゃダメー! かんじゃうよー!
「そそそ、そんなことないって!?」
チャラ男はホント懲りないネー。いい加減ウザいから、あんまりしたくないんだけど魔法で人格矯正しちゃおうかなぁ〜って思ったら、ラスィヴィアが、
「悩む必要なんてありませんわぁ〜。こうしてしまえば良いのですわぁ〜ん」
と言って、かなり大きい溶岩弾を作り出し、それを眼下の石灰華段丘に向かって放つという荒技に出た!
はじめ、ラスィヴィアが「こうしてしまえば」って言ったのを「殺してしまえば」と聞き間違えた私が「流石に今のでチャラ男殺しちゃうのは可哀想だよ!?」って慌てて振り返ってラスィヴィアを止めようとしたら、ラピに「ぷぷぷ。雪音ちゃん、それは聞き間違いなのですよー?」って思いっきり笑われた……。
振り返った時、溶岩弾を作ってるラスィヴィアがチャラ男の方を見てなかったから私だってすぐに聞き間違いだったって気付いたもん……。そんなに笑わなくても良いじゃない……。ぶー。全部チャラ男のせいだ! 今度ソフィーにお願いして聖なる鞭とやらでチャラ男に取り憑いてる色魔を追い出してもらおう! 本当にそんなのがいるか分からないけどね?
それはさておき、ラスィヴィアによって斜め下に放たれた溶岩弾が水を堰き止めている小池の石灰壁を次々とぶち抜いて行ったので、その穴の空いた所から水がドンドン下へと流れ落ちて行く。
「少し待てば濡れずに降りて行けそうですねー♪ ラスィヴィアさん、良い仕事をしたのですよー♪ ご褒美に頭を撫でてあげましょー♪」
「ラピ様に褒めて頂き光栄なのですわぁ〜ん。で、でも、ご褒美でしたら、その、違うものがですね?」
「あぁ〜、百枚皿がぁあああ!? こ、これ、環境破壊とかで、あとで怒られちゃったりしないのかな!?」
私はラスィヴィアの暴挙に思わず頭を抱えて叫んじゃった!
「金髪の嬢ちゃん、なに慌ててんだ? 別に天井を破壊して道を塞いだわけじゃねえんだから気にする必要もねえだろ?」
「まあ、珍しい光景だったのは確かだがな? そんなことより早く進もうではないか!」
「雪音ちゃん、形あるものはいずれ壊れる運命にあるのです。それが早いか遅いかの違いだけですから気に病まなくても良いと思いますよ。ただのダンジョンですし」
異世界人には綺麗な景観を持つ場所を守ろうって発想がないの!?
「のぉおおお!? 俺っちが聖女ちゃんに合法的に触る絶好の機会がぁあああ!? って、いってぇええええ!? た、たんま!? い、今の嘘! 嘘だから俺っちの尻、ガブガブ噛まないで欲しいじゃん!?」
「がるるるるるぅ!!」
チャラ男は1度やっぱりシメといた方が良さそうだよね?って思ったその時、クゥーがチャラ男のお尻にガブッと噛み付いて懲らしめてくれた!
うんうん♪ 流石、私の可愛いクゥー! 言わないでも私のやって欲しいことが分かるなんて! 『次に休憩するときに天上界の倉庫にしまってある美味しいお肉を焼いてあげるね!』ってクゥーにテレパシーを飛ばしたら『がぅ♪ ( わーい♪)』って返事がテレパシーで返って来た!
「ソフィー、マイケルはクゥーに任せて先行くよぉ〜?」
「え、えっと、治療はしなくても良いのでしょうか?」
「自業自得なのですから放って置けば良いのですわぁ〜ん」
「あっ! お魚さんがピチャピチャ跳ねているのですー!」
ラピが水のなくなった小池で跳ねてるお魚さんを捕まえて隣の水のある小池に放ってあげた!
「うちのラスィヴィアさんがごめんなさいなのですよー」
「んだよ? 逃がしちまうのか? 殺して魔法の袋にしまっておけば、あとで焼き魚に出来たのによお」
「マッド、本気なの!? 腐った魔物がいっぱいいるダンジョンで取れる魚なんて、よく食べる気になるね!?」
マッドの発言にびっくりする私!
「見た目は普通のお魚さんでも何食べてるか分かりませんからねー」
「死んだゾンビの腐肉とか、つついて食べている可能性もないとは限りませんから私は止めておいた方が良いと思います。聖なる魔法の中に亡者になってしまった人間を元に戻すような魔法は存在しませんので……」
「そこのチャラ男に食べさせて実験してみれば良いのですわぁ〜ん。そうすれば食べられる物か食べられない物かなんて、すぐに」
「ラ、ラスィヴィアちゃん酷くね!? もしそれで俺っちがゾンビになっちゃったら、どうするんだよ!?」
「あっ、その時は聖女であるこの私が聖なる魔法でマイケルさんを昇天させてあげますから安心してください! 聖なる炎で焼いて浄化して差し上げます!」
「それ、俺っち死んじゃうじゃん!?」
ソフィーもセクハラ野郎にうんざりしてたんだろうな〜、めっちゃ良い笑顔なんだけど……。
そんな会話をしながら石灰華段丘を降りて行くと、洞窟の天井の方からスケルトンガーゴイルや骸骨蝙蝠が襲って来た!
が、ソフィーが事前詠唱でストックしてた聖なる破邪の矢を飛ばしたり、私やラピ、クゥーが氷の槍を飛ばしたり、ラスィヴィアが小さめの溶岩弾を飛ばしたりしてあっけなく撃退し、私達は目的の部屋に入るための扉の前に到着した。
ちなみに、男性陣は全く活躍することが出来なかったので男性陣の空気が沈んでたのは言うまでもないことだろう。
「うーん、( リアルの ) 洞窟の中で豪華な扉見ると違和感ハンパないよね?」
「そうですけど、ダンジョンだから仕方ないんじゃないですかー?」
「ドラゴンの姿が左右の扉に装飾されているのですね。実に興味深いです」
「くぅーん」
クゥーはドラゴンが出て来たらヤダなーって思ってるのか、私の脚に身体を寄せて不安そうにしている。
「お前達が入ったとき、ドラゴンが出て来たりなどしなかったでしょうね?」
ラスィヴィアが振り返って後ろにいるマッドやロリコン達に尋ねた!
「んなもんが出て来てたら今頃俺ら死んでるぜ?」
「天井に無数のグローワーム達がいたぐらいでドラゴンはおろか、他の生物もいなかったですね」
「それに奥の方は大きな崖になっていたから、中に入ってこの扉を閉じておけば安全な場所のはずだ。奥の崖の上や下の方から飛行系の亡者どもが飛んで来ない限りは、だがな」
「そうそう、大丈夫だって! 前回は何も出なかったし、ラスィヴィアちゃんも聖女ちゃんも安心すると良いじゃん!」
チャラ男がラスィヴィアとソフィーに声を掛けてるけど、ふたりに冷たくあしらわれている!
ラピがお胸の前で両手をパンと合わせて、
「そう言えば、今話題に上がったグローワームさん達ですけど、一斉に青く光って綺麗だったと前にライトさん言ってましたよねー? 雪音ちゃん、中に入るのが楽しみですねー♪」
と言って、はしゃいでる!
「がぅがぅ♪」たのしみー♪
「ぴぃぴぃ♪」ねー♪
クゥーとピーちゃんもはしゃいでる!
「うん、言ってた、言ってた。ここまで苦労してやって来て良かったって思える景色だと良いね♪」
オーストラリアとかニュージーランドの洞窟で土ボタル ( 本当はホタルじゃなくて、ヒカリキノコバエの幼虫が光を発してるんだよ!) が見せてくれる幻想的な光景みたいな感じなのかな? これもネットの写真でしか見たことないから、ちょっとワクワクするね!
「では、開けるぞ? マイケルはそっちの扉を開けてくれ」
「はぁ〜、俺っちの印象を良くするにはどうしたら」
「無理無理。お前の印象はもうこれ以上ないほど最悪なんだから諦めるんだな!」
「ですね。戦闘中に迷惑を掛けた後で先程の発言ですからね。反省の色が見られません」
「お前ら酷くね!? 俺っち達仲間なんだから、なんかこう俺っちの印象が良くなる考えを」
「グダグダ言ってないで早くお開けなさい! ラピ様や雪音様が扉が開くのを今か今かとお待ちなのですわぁ〜ん!!」
「は、はい! 今すぐに開けるっす!」
ラスィヴィアの一喝にビビったチャラ男は即座に扉を開け始めた!
ズズズズズズ……。
扉の向こうは入り口から入り込んだ光によってかろうじて入り口付近が見えるぐらいで奥は真っ暗だ。でも、
「魔物がいないって話なんだから、このまま中に入ろっか?」
「そうですねー♪ あっ、ピートさんとマイケルさん。真っ暗な方がグローワームさん達がより綺麗に光って見えると思いますから全員が中に入ったら扉は閉めちゃってくださいねー♪」
「了解した」
私達が扉から中に入って少し奥に進むと、フトモモスキー達が扉を閉め始めた。
ズズズズズズ……。
「真っ暗で何も見えなくて石に躓いたフリして聖女ちゃんに……」ボソボソ。
「おい、マイケル。またなんか変なこと考えてんだろ? いい加減にしろよ? さっきの魚捕まえて来て無理やりお前に食わせんぞ?」
「マイケルのせいで俺達のパーティーの品位が下がりっぱなしですからね。それも良いんじゃないでしょうか?」
「も、妄想するぐらい良いじゃんかよ!?」
「妄想するだけならな? とりあえず二人はマイケルがまたやらかさないように左右から腕を拘束してくれ!」
「マジか!? 男と腕なんか組みたくねえぞ!?」
「マッド、我慢してください。ここで雪音ちゃん達に愛想尽かされたら困るのは俺達ですよ? 俺だって男なんかと腕を組みたくないんですから」
「ちょ!? お前ら、少しは俺っちのこと信用しろよ!?」
チャラ男はマッドとロリコンによって左右から拘束されてしまうのだった!
◇◆◇
扉が閉まって部屋が再び真っ暗になると洞窟の天井のあちこちが青く光り出した!
「わぁ〜、すっごく綺麗だね!」
「はい、とっても綺麗で神秘的な光景なのですー♪」
「がぅがぅ!」きれい、きれいー!
「ぴぃぴぃ♪」
「これが噂に聞いたことがあるグローワームの青光ですか! 実に素晴らしい光景です! こんな幻想的な光景、私初めて見ました! あぁ、女神様! このような機会を私にお与えくださり感謝致します!」
「あれ? ラスィヴィアはあんまり感動してないみたいだね?」
「ダンジョンに潜っていれば時々目にする光景ですので、私にとっては今さら感動する程のものでもないのですわぁ〜ん。綺麗だとは思いますけれども」
「せっかくこの感動をラスィヴィアさんとも分かち合いたいと思ったんですけど、それは残念ですねー」
がっかりしているラピを見てラスィヴィアが騒ぎ出した!
「ゆ、雪音様! 私の頭を弄ってこの光景を見た記憶を消してくださいましぃいいいい!!」
「いや、もう遅いんじゃない?」
「そのようなイジワルなことおっしゃらず、なにとぞ、なにとぞぉ〜〜〜」
ラスィヴィアが大粒の涙を流しながら私に縋りついて来た!
「雪音ちゃん、可哀想ですから弄ってあげてくれませんかー?」
「ラピがそう言うなら弄るけど……」
「あ、ありがとうございます、雪音様ぁ〜♪」
そう言ってラスィヴィアが私に抱きついて来た!
もう、仕方ないなぁ?
「じゃあ、ラスィヴィア、目を瞑って?」
「わっかりましたわぁ〜ん♪」
私は目を瞑ったラスィヴィアのおデコに手をかざし、夜空に浮かぶ満天の星空のような、グローワームが放つ青い光を見た過去の記憶全てを消してあげた!
「ゆ、雪音様? もう目を開けてもよろしいかしらぁ〜ん?」
「まだそのまま閉じててね? ラピ、あと、お願いね?」
「はーい! ではラスィヴィアさん、そのまま立ち上がってくださいねー♪ 目はまだ開けちゃダメですよー?」
ラピがラスィヴィアの背後に回って両肩に手を置き、こう言った。
「次は上を見上げてくださいねー?」
「こうですの?」
「はい、じゃあ目を開けてみましょー♪」
「こ、これは!? ラピ様、ご覧くださいまし、この素晴らしい光景を!」
「はい、見てますよー♪ とっても綺麗ですよねー♪」
「私、こんな美しい光景、初めて見ましたわ! しかも、その光景を一緒に見たのがラピ様とだなんて、私、私嬉しくて仕方ありませんわぁ〜ん♪」
そう言ってラスィヴィアが背後に振り返ってラピに抱きついた!
「それは良かったですねー♪ 私もラスィヴィアさんと一緒にこの光景を見れて嬉しいのですよー♪」
「あぁ〜、ラピ様ぁ♡」
はいはい、良かったね、ラスィヴィア?
さて、あとは魔剣ディーアを元の場所に戻すだけなんだけど、あの子、ヤダヤダ離れたくないってうるさかったのにヤケに静かなんだよね? 流石に諦めてくれたのかな?
「せっかく手に入れた試練の宝剣ですが、亡者に延々と襲われるのはもう御免ですからね。ここでお別れです」
金色の石碑の横に立っているロリコンが黄金造りの柄に大きなエメラルドの魔石が5つ埋め込まれている、黒水晶のような剣身の剣を名残惜しそうに眺めたあと、それを以前刺さっていたであろう地面に突き刺した!
「命あっての物種だからな。仕方あるまい」
「あれ売ったら、俺ら、どんぐらい儲かったんだろうな?」
「マッドは酒場のツケぐらいは余裕で返せたんじゃね?」
———— ふっふっふー、真の試練はここからなのじゃ〜!! 出でよ、ドラゴンゾンビぃいいい!!! ————
地面に刺さった試練の宝剣から黒い炎がブワッと噴き出した!
「い、いきなり黒い炎が発動しましたよ!?」
「どど、どういうことだ!?」
「お、俺っちイヤな予感がするんだけど、ひょっとして、なんかヤバいんじゃね!?」
「んなこと言うんじゃねえよ、マイケル!? 本当に何か来たらどうすんだ、この馬鹿!?」
私はロリコンを押しのけて地面に刺さった魔剣ディーアを引っこ抜き、ディーアに詰問した!
「ちょっとディーア!? 貴女、今なにしたの!?」
———— うむ! 妾は主様と離れとうないから器を変えることにしたのじゃ! ————
「う、器を変える?」
———— そうなのじゃ! 今ここに呼び寄せたものを倒せばドロップ品で妾の模造品が手に入るのじゃ! 模造品ゆえ、亡者を引き寄せたり呼び寄せたりする力はなくなってしまうのじゃが、それ以外は今の器と遜色ないからのう! 亡者さえ引き寄せなければ主様と一緒にいても良いのであろう? そう思った妾はお引越しすることにしたのじゃ! ————
『お引越しすることにしたのじゃ!』って、そんな、劣化品に乗り換えるのに嬉しそうにしないでよ!? って、待って! 『今ここに呼び寄せたものを倒せば』とか言わなかった!?
ヒュゥウウウウウウウウ!!
「ディーア、一体ここに何を呼び寄せ、た、の」
風切り音と共に前方の崖の下から現れたドラゴンに口をあんぐりさせて絶句する私!
バサッ! バサッ!
「お、おい、あれ!?」
「なっ!? ド、ドラゴンだと!? 一体どこから!?」
「向こうは大きな崖になっていましたから崖の下か上から飛んでやって来たのではないかと!?」
「しかも、アイツ腐ってやがるぞ!?」
「ドラゴンゾンビとか最悪じゃん!? せ、聖女ちゃ」
「がるるるるるぅ!!」
ソフィーを守るようにソフィーの前に出てチャラ男を威嚇するクゥー!
「わ、分かってるって!? もう抱きつかないからこんな時に唸らないでくれよぉおお!?」
チャラ男の馬鹿さ加減は死なないと直らないのかな? そんなチャラ男に向かって唸ってるクゥーの後ろでは、ソフィーが聖なる魔法を詠唱してる。いつもとフレーズが違うから聖なる破邪の矢じゃない魔法っぽいね?
「ガァアアアアアアア!!!」
空中で滞空しているドラゴンゾンビが咆哮を上げると、空中に何本もの紫色の円錐形ランスのようなエネルギー体が出現した!
「あ、あれは当たると死ぬほど痛い闇属性の悪魔の槍ですわ!?」
痛みに快感を覚えるようになったはずのラスィヴィアが動揺している!
「攻撃魔法なんて当たればどれも痛いでしょ! そんなこと言ってないで早く撃ち落とす! 私は中央やるから!」
「なら私は右側ですねー!」
「がぅがぅ!」ぼく、ひだりー!
私達が飛ばした沢山の水色の氷の槍が、こっちに飛んで来る紫色の悪魔の槍に当たって相殺し、ないですり抜けちゃったぁああ!? な、なにそれぇえええ!?
私は慌ててみんなの前に魔法の盾を作った!
「雪音様、闇属性の魔法は通常の魔法では防げないのですわぁ〜ん!!」
「はぁ!? なにそれ、最初に教えなさいよ!?」
「ラスィヴィアさん、終わったらお仕置きなのですー!!」
「がぅがぅ!」おしおき、おしおきー!
「ぴぃぴぃ!」
迫り来る紫色の悪魔の槍!
ヤバッ、当たる!?
って思ったその時、魔法名を叫ぶソフィーの声が聞こえた!
「聖なる盾!!」
ガンガンガンガンガン!!
危機一髪! 私達の前に展開された黄金の光を纏う白銀の盾が、飛んで来た紫色の悪魔の槍の攻撃を完全に防いでくれた!
「ま、間に合いました! 雪音様方、お怪我はありませんか!?」
「ソフィー、助かったよ!」
「ぴぃぴぃ♪」
「ソフィーさん、ありがとうございますー!」
「がぅがぅ♪」ありがとー♪
「助かりましたわぁ〜ん」
「それは良かったです! 私は次の詠唱に移ります!」
「うん、お願いね、ソフィー! あと、ラスィヴィア! さっきの紫色の魔法に対抗するには聖属性の魔法じゃないとダメってことで合ってる!?」
「はい、それで合っておりますわ!」
「ディーア! 貴女の黒い炎は亡者を消滅させることが出来るんだから聖属性なんだよね!?」
———— もちろんなのじゃ! さぁ、主様や! 妾のために彼奴を倒すのじゃ〜♪ ————
あぁ〜もう、この子はぁあああああ!! これ終わってお引越しも終わったら罰としてしばらく天上界の倉庫送りにしてあげるんだから覚えておきなさいよ!?




