第10章 雪音ちゃんと村娘達 130 〜 淫乱斬り裂き魔は淫乱斬り裂き魔じゃなくて聖女様!?⑦〜
私がため息をついているとチャラ男の「聖女ちゃんの仮の名前を俺っちがつけてあげるよ! エリーゼとかどうかな? 悪くないっしょ!」とか言ってる声が聞こえて来た!
聖女さんは「えっ、あの、私は別に聖女さんや聖女様って呼ばれ方で特に問題ないのですが!?」と困っている!
ちゃん付けはさり気なく止めてくださいって言外に含まれている気がするのは気のせいかな?
それにしても、エリーゼかぁ? エリーゼはないかな? なんか有名な曲とか車とかお菓子の名前思い出しちゃうし。できたら他の名前に……。
そうだ! ここは1つ、私も名前付け大会に参戦することにしよう!
私は妄想の世界にトリップしてるラピから離れ、聖女さん達に近付いて名前を提案してみた!
「じゃあ、私も呼び方の候補を1つ挙げさせてもらうね? ソフィーとかどうかな?」
「は、はい! 私、ソフィーが良いです! 雪音様、素晴らしい名前をお付けくださり感謝いたします!」
聖女さんが私の手を両手でガシッと掴んで満面の笑顔でお礼を言って来た!
「う、うん、どういたしまして?」
えっ、そんな簡単に決めちゃって良いの? 聖女さんがそれで良いなら良いんだけど……。そんなにチャラ男に名前を付けられるのがイヤだったのかなぁ?
そのチャラ男はと言うと、肩を落として超ガッカリしてるところをフトモモスキーに肩をポンポンと叩かれ慰められていた。
「うふふ、良かったですねー、ソフィーさん! 雪音ちゃんに名前を付けてもらえて!」
ラピが後ろから私を両腕で強く抱き締めながら、聖女さん改めソフィーさんに声を掛けた!
ラピ? ソフィーさんが私をラピから取り上げるわけじゃないんだから『雪音ちゃんは渡しませんよー?』とか『雪音ちゃんは私のですからねー?』みたいな態度を取るのはどうかと思うんだけど……。さっきあんだけ恥ずかしいこと言ってあげたのに私の言ったこと信用してないの?
でも、ラピをまた怒らせたくなかった私は大人しくラピに抱き締められていることにした! ってか妄想の世界から帰って来るの早くない?
「はい! 雪音様に名前を付けてもらえて私とても嬉しいです! 雪音様、私のことはどうかソフィーと呼び捨てにして呼んでくださいね? ソフィーお姉ちゃんって呼んでくださっても構いませんよ?」
ソフィーはラピの牽制に気付いていないのか私を見ながらニコニコしてるんだけど、今の発言はちょっとマズい気が!? 私が「ソフィーお姉ちゃん」なんて呼んだりしたら私がソフィーの妹扱いになってラピが怒り出しちゃうかもしれないから、ここは無難に呼び捨てで行くことにしよう!
「じゃ、じゃあ、ソフィーって呼ぶことにするね? ところで、ソフィーはどうして私のこと、様付けで呼ぶのかな?」
「そう言えばそうですねぇ〜? どうしてなのでしょう?」
可愛く首を傾げるソフィーの頭の上にハテナマークが浮かび上がった!
うーん、妖刀に関連する記憶は全部消してあげたはずなんだけどなぁ? 妖刀に身体を乗っ取られて罪のない人達をたくさん殺して来ちゃったソフィーがどうしても自分を赦せなくて死にたいってゆーから、ソフィーの願い通り氷漬けにして安らかに死なせてあげた ( ように思い込ませた ) 時の私の印象がどこかに強く残っちゃったのかなぁ? 記憶は忘れても身体が覚えてる的な?
「雪音ちゃんは可愛いだけでなく尊いですからねー♪ ソフィーさんが雪音ちゃんを様付けしたくなるのも無理ないことなのですー♪」
さっきの嫉妬深いラピはどこに消えちゃったの!? 超機嫌良いじゃん!?
「ですが、ソフィーさん? 尊いお方にご本人からのお許しをいただくこともせず軽々しくそのお身体に触れるような行為は控えた方がよろしいと思いませんかー? ソフィーさんは教会のお偉い方々に感謝の気持ちを述べる時、その身体にベタベタと触れたりするのですかー?」
oh〜、機嫌良いと見せかけての威嚇攻撃だったよ……_| ̄|○
「がぉー」
「ぴー」
ほら、クゥーも、私の腕輪に擬態しているスライムのピーちゃんも呆れてるよ……。
「そ、それは!? た、確かに教皇様や大司教様にこのような態度を取ることは致しませんが……。ゆ、雪音様、いきなり貴女様のお手を取ってしまい申し訳ありませんでした」
ソフィーが捨てられた仔犬のようにシュンとなってしまった!
「だ、大丈夫だから気にしないで、ソフィー! ラピがソフィーに嫉妬してるだけなんだから!」
「嫉妬、ですか? 雪音様とラピさんはその、ご姉妹か何かでいらっしゃるのですか?」
ソフィーが私とラピの顔を交互に見て不思議そうに首を傾げている!
いくら見ても私達姉妹じゃないから似てる所なんてないよソフィー?
「私は雪音ちゃんのお嫁さんなのですよー♪ ですから、私の雪音ちゃんに気軽に触らないでくださいねー?」
「そうなんですか、雪音様のお嫁さんだから嫉妬で……。えっ、お嫁さん!? そんな、雪音様は女の子ですよね!? えっ、実は男の子だったりするのですか!? いえ、小ぶりですが可愛いらしい胸の膨らみが服の上からでもきちんと確認できます! ということは女性同士で!? まさか、そんな!?」
聖女ソフィーはお口をお魚さんのようにパクパクさせて驚いている!
もう、ラピったら余計なこと言っちゃうんだから……。ソフィーが混乱しちゃったじゃん……。
「マジか!?」
「ラスィヴィアちゃんとラピちゃんもなんか百合百合してたじゃん!? えっ、実は3人ともそういう仲なの!? ヤバ、俺っち鼻血出そう!?」
ちょっとチャラ男!? なにを想像したの!? 私達、健全な関係だから変な妄想するの止めてくれる!?
「それが雪音ちゃんが俺に靡かなかった理由だったのですね!? くっ、ラピさんやラスィヴィアさんのように俺の胸にも無駄な脂肪がついていれば!?」
ロリコン気持ち悪いこと言わないでくれる!? あなたのお胸がおっきくなっても私が靡くわけないじゃない!?
「2人の巨乳美女と1人の貧乳美少女が揃いも揃って女好きとは!? なんともったいない!!」
大きなお世話だよ!? ってか、フトモモスキーさん? 今、私のこと貧乳呼ばわりしたでしょ!? あとで覚えておきなさいよ!? これでもラピの豊胸マッサージのおかげで日々少しずつ成長してるんだからね!?
「カオスなのですわぁ〜ん」
「がぅがぅ」
「ぴー」
「ゆ、雪音様は女性がお好きなのですか? ( もし、女性がお好きなのでしたら私も側に置いていただけるかもしれません! 天使のように可愛らしいこのお方にお仕えして頼りにされたいです! お世話したいです! む、胸ならラスィヴィアさんほど大きくはありませんが、ラピさんと同じぐらいはありますし! )」
混乱から復活したソフィーが頬をほんのりと赤く染めながら私に質問して来た!
なんで頬赤らめてるの、ソフィー? ひょっとしてチャラ男達が変なこと言うからそれを真に受けてなんかエッチな想像しちゃったりしてないよね?
う〜ん、ソフィーに変な勘違いされたままだとここ出てから私達の館に一緒について来てくれないかもしれないから誤解は解いておかないと……。
「あのね、ソフィー。女性だから好きなわけじゃなくて、ラピだから好きなの。別に私が女性が好きだからラピやラスィヴィアと一緒にいるわけじゃないし、私達3人仲良いけどマイケルやピートが言ってるような変な関係じゃないから安心してね?」
「そ、そうですか……」ショボーン。
あ、あれ? 安心するんじゃなくて、しょんぼりしちゃったよ? ↙︎
「( 仕方ありません! ここはお姉ちゃん枠で我慢して雪音様に頼ってもらえるよう頑張ることに致しましょう! 幸い、ここは亡者系の魔物がたくさん出るダンジョンとマイケルさんに聞きました! 私の聖なる魔法が最大限発揮できます! いっぱい活躍すれば『ソフィーお姉ちゃん凄いね!』とか『ソフィーお姉ちゃん、頼りになるね!』って雪音様に言ってもらえるかもしれません! )」
↗︎ と思ったら、今度は両手で握り拳作って気合入れてるし、ソフィーってちょっと情緒不安定なのかな? あっ、でもそれって私のせいかも……。ソフィーが部分的記憶喪失なの、私の魔法のせいだし……。
「雪音ちゃん、雪音ちゃん、聞いてるんですかー!? もう1回みんなの前で『ラピだから好き』って言って欲しいのですー!」
ラピが私を身体ごと振り向かせて、そんなことを要求して来た! 実はさっきからラピが私の身体を揺らしながら、おんなじことずっと言ってたんだよネー。スルーしてたんだけどラピの我慢が限界を越えちゃったか……。でも、
「恥ずかしいからヤダ!」
「そんなー!? 雪音ちゃん、もう1回だけで良いですからー! 『ラピ、愛してるよ』でも良いですからー! みんなの前で私を雪音ちゃんのもの宣言して欲しいのですー!」
「もっと恥ずかしいよね、それ!? 結婚式でもないのに、どうして人前で言わなきゃいけないのよ!? ( さっきみたいにテレパシーでの会話じゃないんだから、みんなの前で言うなんて無理に決まってるでしょぉおおお!? )」
「ぶー、言ってくれても良いじゃないですかー!? 分かりました! じゃー、さっきのお仕置きの件ですが」
「私、お仕置きは館に帰ってからって言ったよね!?」
「はい、分かってますよー? ですから、これは館に帰ってからのお話なのですがー」
ふー、みんなの前じゃなくて館に帰ってからなら何度でも言ってあげるよ! それなら、そこまで恥ずかしくないし!
私の心に平穏が訪れた! ↙︎
「お風呂で雪音ちゃんが自分の身体を使って私の身体を洗ってくれる時に『ラピ、愛してるよ。こんなことしてあげるのはラピにだけなんだからね?』って言いながら洗ってくださいねー。それで赦してあげるのですー♪ それがお仕置きなのですよー♪」
↗︎ と思ったのに、私の心の平穏はラピの爆弾発言によって一瞬にして壊されてしまった!
「ば、馬鹿!? ラピってば、どうして今その話を持ち出すのよ!?」
チャラ男とかロリコンが反応しちゃうじゃない!?
「えっ、あのちびっ子が身体でラピちゃんの身体を洗う!? えっ、布で洗うじゃなくて身体で!? じゃ、じゃあ、ラピちゃんもちびっ子の身体を洗う時はその身体で、おっふ」
チャラ男はブシャーと鼻血を噴射して地面に後ろ向きに倒れた!
「なんて羨ましい!? 俺も雪音ちゃんに身体を洗って欲しいです!」
「おい、ライト。俺はお前を詰め所に差し出したくはない。だから、分かるな? 馬鹿なことは考えるんじゃないぞ?」
「金髪の嬢ちゃんじゃなくて銀髪の姉ちゃんに洗ってもらえたら最高だけどな?」
「みなさん、最低です、穢らわしい……。( 雪音様をこの方達に任せてはおけません! ラピさんと一緒に色欲の塊どもから守って差し上げなくては! そして、いつか私も雪音様と一緒にお風呂で洗いっこを〜♡ はっ!? 女神様、違いますよ!? 普通の洗いっこの話ですから! 決して聖女としてあるまじき行為に想いを馳せていたわけではありませんから聖なる魔法を取りあげるようなことはしないでくださいませ〜! )」
あっ!? ソフィーが汚物を見るような目でマッド達のことを見てるかと思ったら両手を組んで女神様に祈りを捧げ始めちゃったよ!? 目が覚めたら500年以上も時が過ぎてて周りに変態しかいないと分かったら嘆きたくもなるよね!? ごめんね、ソフィー! 貴女のことは私が守るから悲しまないで!
もう、ラピが暴走しちゃったせいで雰囲気最悪になっちゃったじゃん!? どうするのよ、これ!?




