第10章 雪音ちゃんと村娘達 127 〜 淫乱斬り裂き魔は淫乱斬り裂き魔じゃなくて聖女様!?④〜
「もうディーア!? これ数多過ぎぃいい!! あなた、なんか必殺技とか持ってないの!? 魔力込めて剣振ったらおっきな黒い炎の鳥が飛び出すとかさ!?」
———— 主様、黒い炎を発動した妾で一太刀入れれば亡者どもは光の粒になって消えて行くと言うのに、それでは満足してもらえぬのか!? なんと言うことなのじゃ!? 初めは綺麗綺麗と喜んでくれたのに妾は悲しいのじゃ〜!? ————
私は魔剣ディーアを使って次から次へとやって来るゾンビ牙棘背生竜達を斬っては光に帰し、斬っては光に帰しを続けていた!
最初は魔剣ディーアで亡者をスパッと斬ると光の粒子になって消えていく様が綺麗で良かったんだけど、流石にただ斬ってるだけだと面白くもなんともなくて飽きて来た! ゆえにディーアになんか必殺技を持ってないか聞いてみたんだけど、ディーアから返って来た言葉は私の欲しかった言葉じゃなかった……。
「うん、わかった。じゃあ私がディーアに必殺技を授けてあげるよ!」
私は魔剣を振ったらおっきな黒い炎の鳥が飛んで行く魔法を創ってあげた!
「ふっふっふー♪ 漆黒の炎で光塵に帰すがいい♪ 飛んでけ、黒い炎の鳥!」
私はカッコつけて魔剣ディーアを横一文字に振ってみた! すると、魔剣ディーアの黒水晶のような刀身が纏っている黒い炎からイヌワシさんの姿をした黒い炎が翼を大きく広げて飛び出し ( ちなみにサイズは横幅2mぐらい? ) 、こっちに2列になって突進して来た8頭ぐらいのゾンビ牙棘背生竜達の身体を次々と光の粒子へと変えて行った!
———— ほぇえええええ!? 主様、主様!? なんなのじゃ今のは!? 妾の身体から凄いモノが出ちゃったのじゃ!? ————
魔剣ディーアがすっごく興奮した声で私の頭の中に話し掛けて来た!
「私の魔法で触れた亡者を消滅させるディーアの黒い炎を鳥型にまとめて空を飛んで行くようにしたんだよ♪ カッコ良かったでしょ?」
———— うむ! とっても凄かったのじゃ! じゃが、妾の魔力がゴッソリと持って行かれてしもうたのじゃ…… ————
「妾の魔力って、それって元々私が注いであげたヤツじゃん……。また後で入れてあげるから気落ちしないの!」
———— そうか!? ならば、問題ないのじゃ! むっ!? 今度は左右から来たのじゃ! ————
「了解っと!」
私は洞窟の天井へと飛翔して左右から突進して来た4頭のゾンビ牙棘背生竜達の攻撃を躱し、地上で頭ごっつんこしてるゾンビ牙棘背生竜達目掛けて魔剣を振って黒い炎の鳥を飛ばし、光へと帰した!
ラピ達はロリコン達が気絶してるから遠慮することなく魔法をバンバン使ってゾンビ牙棘背生竜達を倒してて問題なし! 問題があるとすれば、それは倒しても倒してもひっきりなしにやって来るゾンビ牙棘背生竜達だけだった……。
◇◆◇
「これでおーわりっと!」
私は3頭のゾンビ牙棘背生竜を残して最後の1頭にとどめを刺した!
「ラスィヴィア〜、そっちに行ったゾンビ牙棘背生竜達を魅了で支配してくれる〜?」
「わっかりましたわぁ〜ん。さあ、お前達? 今からお前達は私の下僕ですわぁ〜ん♪ そこで大人しく待機しているが良いですわぁ〜」
ラスィヴィアが金色の目を赤く怪しく光らせて迫り来るゾンビ牙棘背生竜達を魅了した! ゾンビ牙棘背生竜達は突進をやめてラスィヴィアの指示に素直に従った!
「そう言えば前にラスィヴィアさんが私に魅了を使って雪音ちゃんを激怒させたことがありましたよねー? 懐かしいですねー」
「あ〜、そう言えばそんなこともあったよね? そのせいで今やラスィヴィアは私の下僕に」
「い、今さらそんな話、持ち出さないでくださいまし!? ですが、私はあの時の判断に後悔はしておりませんわ!」
「ラピにお尻踏まれるのが気に入っちゃったんだもんね?」
「ラピ様が気まぐれにくださる血も大好きですわ!」
「くすくす♪ ラスィヴィアさんは私がいないとダメな身体になっちゃったんですよねー? でも、私の1番は雪音ちゃんですからそこは忘れちゃダメですよー?」
「そんなこと、言われずとも十分わかっておりますわぁ〜ん」ツーン。
ラスィヴィアが拗ねてしまった! ちょっと可愛い♪
「まぁ、冗談はそれくらいにして、聖女さんを私達のパーティーに合流させるためのお芝居の打ち合わせするよ〜?」
「はーい♪」
「がぅがぅ♪」
「ぴぃ♪」
———— 妾も! 妾も参加するのじゃ! ————
◇◆◇
打ち合わせ終了後、私はラスィヴィアに頼んで3頭のゾンビ牙棘背生竜達を少し離れた所にある大きな岩の後ろに待機させた!
次に気絶しているロリコン達の意識は凍結したまま回復魔法を掛けて傷を癒し、私は竜人モードにチェンジしてロリコン達を地面に立たせて武器を持たせ、倒れないように氷漬けにした!
あと、魔剣ディーアを元々の所有者であるロリコンの腰に差しておいたんだけど、その時ディーアに
———— い、嫌なのじゃ!? 妾は主様から離れとうないのじゃ〜〜〜!? ————
と駄々をこねられたのは言うまでもないことだろう……。とりあえず魔力を魔剣の金色の柄に埋め込まれてる5つのおっきなエメラルドの魔石にたっぷりと注いであげたら大人しくなったけどね?
それから、私に意識凍結されて地面で横たわっている聖女さんに透明化の魔法を掛けて、創造魔法で、“転移魔石を使って転移して来た聖女さんが、近くにいたゾンビ牙棘背生竜達を見て気絶する映像”を作った!
最後にロリコン達と聖女さんの記憶を弄って一芝居打つための準備完了っと! あとはお芝居を演じるだけだね♪
こうして、私達はロリコン達の氷漬けと意識の凍結を解除して茶番劇を開始したのだった!
まず始めに、ラスィヴィアが魅了で3頭のゾンビ牙棘背生竜達を操って、ゆっくりとこっちに向かって歩かせた!
「お、おい! 腐った牙棘背生竜どもがこっちに向かって来るぞ!」
「マジかよマッド!? しかも、3頭もいるじゃん!? ヤバくね!?」
「ライト、魔剣の黒い炎を発動させるんだ!」
「お任せください! “全てを無に帰する浄化の黒い炎よ!”」
ロリコンが掲げた魔剣ディーアの黒水晶のような刀身から黒い炎が溢れ出た!
今だ!
私は私達とゾンビ牙棘背生竜達の間に、聖女さんが転移して来る映像を流した!
「なっ、こんな所に転移して来ただと!?」
「しかも、あの服装、確か神聖帝国の聖女が着るヤツじゃなかったか!?」
マッド、正解! よく知ってるね?
「マジかよ!? おい、ライト! その魔剣、俺っちに貸すじゃん!」
「マイケル、今はそんなこと言ってる場合では!? あっ!?」
チャラ男がロリコンから黒い炎を発動させている魔剣ディーアを強引に奪い取った!
「これを使って聖女ちゃんに格好良いところを見せて来るじゃん!」
チャラ男ってば、記憶消したのに前とおんなじことしちゃうんだ!? でも、残念! 本物の聖女さんは気絶してるから格好良いところは見せられないよ!
「まったくマイケルは仕方ないですね!」
ロリコンは反対側の腰に差した自分がいつも使っている剣を手に取ってチャラ男のあとを追った!
「俺達も行くぞ!」
「おう!」
むっつりスケベとマッドも剣を片手に聖女さんの元へと駆け出した!
4人が向かった先では、聖女さんがゾンビ牙棘背生竜達の姿を見てフラッと意識を失い、地面に倒れて行く映像が流れている!
私は映像の聖女さんが地面に倒れて気絶している本物の聖女さんの姿と重なった時、私は映像を消して本物の聖女さんの透明化を解除した!
『ラスィヴィア、突進させて!』
『わっかりましたわぁ〜ん!』
私がテレパシーで合図を送ると、ラスィヴィアによって魅了で操られた3頭のゾンビ牙棘背生竜達が地面で気絶している本物の聖女さんに向かって突進を開始した!
『ラピ! 氷の壁お願いね!』
『了解なのですよー! それー♪』
私の合図でラピが氷魔法を使って気絶している聖女さんを守るように地面から分厚い氷の壁を噴出させた!
3頭のゾンビ牙棘背生竜達はラスィヴィアの魅了によって突進することを命令されているので分厚い氷の壁が出現しようと構わずそのまま突っ込んで来る!
私は氷の龍を地面から出現させて氷龍アッパーを食らわせたかったんだけど、さっきと違って今はロリコン達の目があるから自重して、ラピの作った分厚い氷の壁の向こう側、ゾンビ牙棘背生竜達の身体の下の地面から勢いよく3本の氷の柱を噴出させた!
ドゴン!と凄い音を立てながら氷の柱に吹っ飛ばされてひっくり返るゾンビ牙棘背生竜達!
そこへ逸早く駆けつけたチャラ男が、斬った亡者を消滅させる黒い炎を発動させた状態の魔剣ディーアでゾンビ牙棘背生竜の首を斬り落とすと、ゾンビ牙棘背生竜は斬られた所から無数の光の粒子となって消えていった!
「1頭倒したじゃん! この剣、マジ最高! あっ!? ドロップアイテム、見ーっけ!」
———— はぁ〜、威力を褒められても、まったく嬉しくないのじゃ……。あのように動きを止められた腐った牙棘背生竜を倒して何がそんなに嬉しいのか妾には理解できないのじゃ…… ————
マイケルに聞こえないと分かっていても愚痴をこぼさずにはいられない魔剣ディーアであった!
『クゥー、氷の槍落として身動き封じて!』
『がぅ!』まかせてー!
私とクゥーは残った2頭のひっくり返ったゾンビ牙棘背生竜の手足や尻尾に氷の槍を上空から落として地面に縫い付け、ロリコン達が攻撃し易いようにしてあげた!
「身動きを封じてあげたから今のうちに攻撃するのよ!」
「おうよ!」
「お任せください、雪音ちゃん!」
「おい、マイケル! ドロップアイテムなんか拾ってないで早くもう1頭にとどめを刺してくれ!」
むっつりはそう文句を言いながら、ひっくり返ってるゾンビ牙棘背生竜の左前足の付け根に剣を振り下ろし、続けて左後ろ足の付け根を切断した!
「まったくです! たった1撃で亡者を消滅させることができる宝剣を手にして、あなたは何をしているのですか!?」
ロリコンはむっつりの反対側でゾンビ牙棘背生竜の前足や後ろ足の付け根を切断しながらチャラ男に叱責を飛ばした!
「そうだぜ、マイケル! ライトから宝剣奪っといて、そりゃあねえだろう? とっとともう1頭を片付けやがれ!」
マッドはゾンビ牙棘背生竜の首に何度も剣を振り下ろし、やっとのことでその首を斬り落とした!
「な、なんだよ、みんなして!? 亡者どもって滅多にドロップアイテム落とさないから、つい反応しちまっただけじゃんかよぉ!?」
そうは言ったものの、後ろめたさを少し感じたチャラ男が急いで残る1頭のゾンビ牙棘背生竜の首元へと移動し、魔剣ディーアでその首を斬り落として光へと変えたことでラスィヴィアに魅了で操られた憐れなゾンビ牙棘背生竜達は全滅した!
「うんうん、終わった終わった♪ これで一件落着だね!」
「がぅがぅ!」めでたし、めでたしー!
「ぴぃぴぃ♪」
「酷い茶番だったのですわぁ〜ん」
「ラスィヴィアさん、事実であっても、それは言っちゃダメなのですよー? 作戦を考えた雪音ちゃんが傷付いちゃうじゃないですかー?」
「良いよ、ラピ、実際茶番なんだから。でも、これで仮になんかしらのきっかけで私が魔法で消したロリコン達の記憶が戻っちゃったとしても、その記憶は夢なんじゃないかって思ってもらえるんじゃないかな? そのために敢えて似たような状況作って聖女さんを助けさせたんだし」
「アイツら、お馬鹿ですから、そんな手間を掛けなくても良かったのでは?と私思うのですわぁ〜ん」
「ラスィヴィアさーん? 面倒だと思うのでしたら1人で先に帰っても良いんですよー? 怖いと思っていたゾンビさんにも大分慣れて来ましたしー」
「そんな!? 私はラピ様の影! どんな時でもお側について行きますわぁ〜ん!」
それって影踏みのように「えい♪」っと思いっきりお尻を踏んで欲しいってアピールなのかな? こんな所で発情しないで欲しいよねー、クゥー?
私はクゥーの頭を撫で撫でしながら同意を求めた!
「くぅ〜ん、くぅ〜ん♪」
けれど、クゥーは私に撫でられるのが嬉しくて返事を返してくれなかった! むぅ、ピーちゃんに聞けば良かった……。
「でしたら、先程みたいにボヤくのはもう止めましょうねー? お口に“ちゃっく”なのですよー? ラスィヴィアさん、分かりましたかー?」
「っ!? ( こ、これはラピ様の血の匂い!? ひょ、ひょっとして舐めても良いのかしら? 良いに決まっていますわよね! いただきますなのですわぁ〜ん♪ )」
ラピが風魔法で切り傷を付けた人差し指をラスィヴィアの唇に押し当てると、ラスィヴィアは嬉しそうに首を縦に振ったあと、ラピの指をパクッと咥えて美味しそうにしゃぶりだす!
そんなことしてるなんて知らない私は、ピチャピチャという音が上から聞こえて来て、顔を上げてビックリ! 思わず叫んじゃった!
「ちょ!? あなた達、こんな所で何してんの!?」
「がぉー」ご主人様のナデナデおわっちゃったー。
しかも、なんかそっちからラピの美味しそうな血の匂いがするんですけどぉおお!?
「ラスィヴィアさんの欲求不満解消策、そのいち、なのですよー♪ 流石にここでラスィヴィアさんのお尻をグリグリするのは止めた方が良いかなーと思いましたのでー」
ラピはさっきのラスィヴィアの発言からラスィヴィアの意図を正確に把握していたようだ!
「そ、それはそうだけど……」
「それに、さっきお風呂の件、却下しちゃいましたからー、アレもダメ、コレもダメだとラスィヴィアさんが可哀想かなーって思ったのですよー♪」にっこり。
うぅ〜、だからってラスィヴィアだけズルくない!? ずっとお預けされてたワンちゃんが尻尾ブンブン振って餌を食べるみたいに、すっごく嬉しそうにラピの指しゃぶってるよ!? はっ!? ひょっとしてさっきまでのラピの塩対応はラスィヴィアの調教の一環だった!?
でも、やっぱりラスィヴィアだけズルい……。こ、こうなったら凍てつく猛吹雪放って全員氷漬けにして目撃者消してから私もラピの指をぺろぺろってダメダメダメ! そんなことしたらラピに絶対からかわれるに決まってるよ! これはラピの狡猾な罠に決まってるもん! ほら、こっち見て笑ってるし!
「( うふふ♪ 悩んでます、悩んでます、雪音ちゃんは可愛いですねー♪ 一体どんなことを想像して百面相しちゃってるんですかねー? 雪音ちゃんは見てて飽きないのですよー♪ )」
ラピは特に深く考えてはいなかったのであった!




