表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/133

第10章 雪音ちゃんと村娘達 125 〜 目覚めると……②〜

(わたくし)の愛しい愛しい雪音ちゃんはもっと、もぉ〜〜っと痛かったに違いありませんわ! この程度の痛みで(ゆる)されると思わないでくださいまし! 落ちろ、天の(いかづち)・落龍!!」


 金髪縦ロール天使のシャルが叫ぶと上空から淫乱斬り裂き魔の身体を脳天から串刺しにしている雷神槍目掛け、雪音ちゃんが過去に創造した水龍や氷龍からインスパイアされた龍を模した特大の雷が落ち、淫乱斬り裂き魔の体内外を超高電圧雷電流が駆け巡った!


 バチバチバチバチバチバチ!!


「ギャあ゛あ゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


 淫乱斬り裂き魔は身体を激しく痙攣(けいれん)させながら絶叫している!


「反省致しましたか? もちろん、反省なんかしていませんわよね?」

「ま、待っ、ギャあ゛あ゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


 淫乱斬り裂き魔は金髪縦ロール天使のシャルに向かって手を伸ばし、反省したからこれ以上はもう止めてと懇願しようとするも、再び雷龍をその身に落とされ発言することすらさせてもらえなかった!


「あぁ、何も言わなくてよろしいですわ。形式的に1度言っておいただけですので」


 金髪縦ロール天使のシャルは冷たい視線を淫乱斬り裂き魔に向けながら1人会話を続ける!


(わたくし)の可愛い可愛い雪音ちゃんの傷ひとつなかった白く綺麗(きれい)な腕を斬り落とし、その痛みに苦しむ雪音ちゃんの声を聞いて(よろこ)んでいたあなたのような性根(しょうね)の腐った方をこの程度の痛みで終わらせて差し上げるわけがないでしょう? そうですわね、まずは100回、雷龍を落として差し上げますわ!」


 金髪縦ロール天使のシャルがそう言うや(いな)や、上空から龍の姿を模した特大の雷が何度も何度も淫乱斬り裂き魔の身体へと落ちて行った!


 バチバチバチバチバチバチ!!


「ギャあ゛あ゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


 度重なる雷龍の電撃攻撃を受け続けて意識が朦朧(もうろう)とする中、淫乱斬り裂き魔は思った。


「( ま、まさか、あの魔法使いちゃんが天使の愛し子だったなんて……。ついて、ない、わぁ〜、ん…… )」ガクッ!

「何を気絶していらっしゃるの? まだ半分もいっておりませんのに。回復魔法を掛けて差し上げますから、お目覚めなさ」

「あぁーーーー!!! もう、シャルったらダメじゃないですかぁ〜!? いくら雪音ちゃんが腕を斬り落とされたからって私情で勝手に地上界の(たましい)を召喚して私刑を執行しちゃうなんて〜〜!!」


 ちびっ子天使のリルが(たましい)の間に現れた!


「リル!? もうバレてしまいましたの!? ど、どうせ、いつかは神の裁きを受けるのです! それが少し早まっただけのことですわ!!」

「やれやれ。確かにそうかもしれないが、それは君の仕事ではないだろう、シャル?」


 転移の際に生じる青い光と共に女神ティア様が豊満な胸を乗せるようにして両腕を組みながら(たましい)の間に現れた!


「ティ、ティア様まで!?」

「とりあえず、私に無断で地上界の(たましい)を召喚した罰として1週間、私の仕事を肩代わりしてくれたまえ! それで今回のことは不問にしてあげよう!」

「ティア様、1週間もお仕事サボるつもりですか!? そんなこと、リルは許さないのですぅ!」


 ちびっ子天使のリルが手元に100t(トン)ハンマーを召喚し、地面にドンと置いた!


「ぐぬぬ。では3日だ! 3日なら良いだろう!?」

「3日なら、まあ許してあげます。でも、連続3日のお休みはダメですからね? 休むなら1日おきとかにしてくださいね?」


「なっ!? リル、それは(ひど)くないかね!?」

(ひど)くないのです! ( ハンマー、ドン! ) 連続でお休みあげたらティア様のことだから長期休み明けに仕事したくないって駄々こねるに決まっていますぅ!」


「そんなの当たり前ではないか!? 休み明けに誰が好き好んで退屈な仕事をしたいと思うのかね!?」

「その退屈なお仕事を誰がいつもお手伝いしてあげてると思っているのですぅ? ティア様が泣きついて来るからリルが仕方なく毎回お手伝いしてあげてますけどぉ、もうお手伝いしてあげな」


「わ、分かったのさ! 1日おきの休みで我慢しようではないか! だから、もう手伝わないなどと言わないでくれたまえ!」

「まったくティア様はリルがいないとホントだめだめなのですぅ♪ シャル、そーゆーことですから明日はティア様の代行、よろしくお願いしますね? あっ、1週間の罰になるところ3日で済んだのですから、今度ルトワーレの新作ケーキ全種類(おご)ってくださいね♪」

「リル、それは欲張り過ぎではありませんこと!?」


「ティア様のお仕事の代行、シャルだけで全部こなせるのです? こなせるのでしたら、リルはお手伝いしませんけど?」

「くっ!? し、仕方ありませんわ! それでよろしくてよ!」

「おっ、ならついでに私の分もお願いするとしよう! あそこのケーキはどれも絶品だからな!」


「ティア様、買って来るのは構いませんけれど、お金は先に渡してもらえませんこと? 今月は雪音ちゃんグッズをティア様からたくさん買ってしまったので、少しお財布事情がピンチなのですわ」

「ふむ、シャルがまだ持っていない雪音ちゃんのレアな写真がここに何枚かあるのだが」


 ティア様がおっきな胸の谷間から、雪音ちゃんがよだれを垂らして眠っている写真やお胸にアイスクリームを垂らしてしまった写真、ラピの血を幸せそうな顔でチューチュー吸っている写真などを取り出した!


「ティア様ぁ、流石(さすが)にケーキ代ぐらいは自分で払いましょうよぉ〜」リルはティア様のケチ臭さに(あき)れている!

「っ!? お金のことは(わたくし)にお任せくださいまし! その代わり、その写真を必ずくださいましね!? 必ずですわよ!?」

「あぁ、もちろんだとも! 今回は各種1枚ずつなどと言わず、特別に観賞用、実用用、保存用、布教用、予備用を用意しておいてあげよう!」


「本当ですの!? ティア様、感謝致しますわ!!」

「( うわぁ、シャルすっごく嬉しそうなのですぅ……。今月厳しいって今言ってたのに自分持ちでティア様の分のケーキまで買っちゃうのですか? 節制を美徳としてたシャルが自分のお財布事情も忘れて雪音ちゃん写真に飛びついちゃうなんてアホアホなのですぅ……。あとで『リルぅうう、お金を貸してくださいましぃいい!』って泣きついて来る未来が目に浮かぶのですぅ……。はぁ〜。) ところでティア様ぁ? シャルがここに召喚しちゃった、そこの人斬り妖刀の(たましい)はどうするんですかぁ?」

「ん? あー、ソレの処遇かね? ふむ」


 ティア様は鑑定魔法を使って淫乱斬り裂き魔のステータス画面を開き、キル数をチェックした!


「人間、エルフ、獣人、魔族など人型種の殺害数が99万9,687人か……」

「ず、随分と多いのですぅ」リルはドン引きしている!


「まぁ、その妖刀は古代人類に作られてから3,000年近くは経っているからね。1日1人殺していたら、そんな数になってもおかしくないのさ」

「それだけ殺していれば、お尋ね者になっていそうなものですが、今までよく討伐されずに生き残り続けて来ましたわね?」


 シャルは淫乱斬り裂き魔のゴキブリ並みのしぶとさに驚き(あき)れている!


 ティア様はステータス画面で妖刀の所有者(被憑依者)達の写真と職業、所有(被憑依)期間などを確認しながら、


「ふむ、斬り裂き魔としてお尋ね者になると妖刀は所有者(被憑依者)を乗り換えてやり過ごして来たようだね。ただ、聖女の身体を手に入れてから500年ほどは聖女の身体がよほど気に入ったのか乗り換えることはしなくなったようだがね?」


 と言ってステータス画面を閉じ、ちびっ子天使リルの方に身体を向けて言葉を続けた。


「とりあえず、その(たましい)はダンジョンのゴブリンに100万回の転生刑とかで良いんじゃないかね? もちろん、今の意識はそのままにね? そうすれば特殊技能を持ったゴブリンの出来上がりで、きっと面白いことに」

「わ、私をあの醜いゴブリンに!? そんなのイヤよ!? どうしてわた、ぎゃあ!?」


 気絶から復活していたけれど目を閉じたまま気絶したフリを続けていた淫乱斬り裂き魔は女神の言った内容に我慢できず思わず口を挟んでしまい、シャルから即座に雷を落とされ悲鳴を上げた!


「罪人はお黙りなさい! ティア様の決定に逆らうなど言語道断ですわ!」

「よくティア様に雷神槍を突き付けてるシャルが言うべきセリフじゃないとリルは思うのですぅ」

「まったくだな」


「それは(わたくし)を怒らせるティア様がいけないのですわ!!」

「シャルはからかい甲斐があるから仕方ないのさ! はっはっはー!」

「『はっはっはー』じゃないのですぅ。シャルが暴れた後の部屋を片付けるリルの身にもなって欲しいのですぅ……。思い出したらムカムカして来ました! ちょっと、そこの串刺しになってる人で()さ晴らししても良いですかぁ?」


「好きにしたまえ。リルも雪音ちゃんを(いじ)めたソレに懲罰を加えたかったのだろう?」

「えへへ、バレちゃいましたぁ? じゃあ、行って来るのですぅ!」


 ちびっ子天使のリルは100t(トン)ハンマーをブンブン振り回しながら淫乱斬り裂き魔の元へと向かっていった!


「ひぃ!? こ、こっちに来ないでぇ〜!? 天使なんだから、せめて正々堂々と戦いなさいよぉ〜!?」

「えっ、リル、ズルいですわよ!? それでは罰を受ける分、(わたくし)が損ではありませんか!?」

「それは短絡的な行動を取ってしまったシャルの自業自得ではないかね? まぁ、おかげで私は3日の休日と美味しいケーキをゲットできるからシャルには感謝しているのだよ、はっはっはー!!」


 金髪縦ロール天使シャルの肩にポンと手を置き、そんなことを言う女神ティア様は実に愉快そうだ!


「くぅううううう!!!」


 シャルは握り拳を作って腕をプルプル(ふる)わせている!


「さぁ、その怒りは向こうでリルのハンマーにぶん殴られて空を飛んでった人斬り妖刀の(たましい)にぶつけて来ると良い! まだお仕置きしたりないのだろう?」

「ええ、そうさせていただきますわ!! 戻りなさい、雷神槍!」


 金髪縦ロール天使シャルは淫乱斬り裂き魔の頭から身体を串刺しにしていた雷神槍を手元に呼び戻し、身体に雷を(まと)わせて淫乱斬り裂き魔の元へと移動しようとした!


「ああ、そうそう! 雷化しての雷速行動は見ていてつまらないから禁止しておくのさ! リルと一緒に戦えば相手と同じ速度でも問題ないだろう?」

「っ!? も、もちろんです! 雷化できなくても問題ありませんわ!」


「雷化頼りだと腕が(にぶ)ってしまうからね? お仕置きするついでに鍛錬して来ると良い! 3,000年もの間、狡猾(こうかつ)に生き抜いて来た手練(てだ)れだから、それなりに楽しめるはずさ!」

「楽しいのはティア様だけですわ!? くっ、行って参ります!」


 ティア様によって雷化を解除されてしまったシャルは、理不尽な女神様に怒りを覚えながらも淫乱斬り裂き魔をハンマーでお空の彼方にぶっ飛ばしたちびっ子天使リルの横へと移動した!


「うーん、思いっきりハンマーでぶっ飛ばしてみたですが、無抵抗の(たましい)を殴るのはイマイチすっきりしないのですぅ。こう、向かって来た所を力でガツンとねじ伏せてあげたい所なのですが、あっ、シャルもお仕置きの続きしに来たのです?」

「もちのろんですわ! あれくらいのお仕置きで(わたくし)の怒りが収まるはずありませんわ!」


「でも、雷化してないのはどうしてなのです?」

「ティア様に禁止されたからですわ!」


「あぁ、ティア様はリル達が妖刀の(たましい)と戦うのを見るのがご所望と言う訳なのですねー? やれやれなのですぅ」

「そういうことですわ! では、行きますわよ!」


 そう言って金髪縦ロール天使シャルは背中に翼を生やして淫乱斬り裂き魔の元へと飛んで行った!


「まぁ、リルも棒立ちの(たましい)をただハンマーで殴るのはどうかと思っていたところでしたから別に構わないんですけどねー。それじゃあ、リルも行くとするのですぅ! 跳ね上がる大地(グラウンドピラー)!」


 ドゴォーーーン!!!


 ちびっ子天使リルが軽々と振り上げた100t(トン)ハンマーを地面に叩きつけると、遠く離れた、淫乱斬り裂き魔が着地しようとしていた大地に無数の亀裂が生まれた!


「えっ、大地が割れ!? ごふっ!? ぐえ!? ぷぎゃあ!?」


 そして、大地から突如隆起(りゅうき)したぶっとい石柱達によってなす(すべ)なくお腹やお尻、両手足や顔などを突き上げられた淫乱斬り裂き魔は空へと再び舞い上がった!


「リル、良いお仕事ですわ!!」


 そこへタイミング良く飛翔して来た金髪縦ロール天使シャルが、打ち上がって来た淫乱斬り裂き魔に向かって雷神槍を振り下ろす!


「がはっ!?」


 ヒューーーーン! ドガッ!!


 シャルの攻撃によって淫乱斬り裂き魔は地面へと叩きつけられた!


「くっ、こ、この……」


 ヨロヨロとしながらもなんとか立ち上がり、妖刀と小太刀を構える淫乱斬り裂き魔!


 その正面の地面へと舞い降り、天使の翼を背中にしまった金髪縦ロール天使シャルは不本意そうな顔をしながら淫乱斬り裂き魔に次のことを告げた!


「ティア様があなたに抵抗する機会を与えてくださいました。先ほどの雷化による雷速移動は使いませんので精一杯足掻(あが)いてティア様を楽しませてくださいまし」

「ただ拷問するんじゃなくて動く獲物を甚振(いたぶ)って弱くなっていく様を見たいだなんて女神様は随分と良いご趣味をお持ちなのねぇ〜?」


 淫乱斬り裂き魔は女神様を馬鹿にする発言をしてシャルを挑発した! 女神様を冒涜(ぼうとく)された怒りで目の前の天使の攻撃が単調になってくれれば(もう)けもの、もしくは、向こうがこちらの話に乗って時間が稼げれば大量の赤いナイフを作り出すことができると思ったからであった!


「ティア様の性癖がアレなのは否定しようがない事実で、残念でならない所ではありますが」

「おい、シャル!? その言い草はないのではないか!? 私は妖刀の(たましい)が天使と戦いたいと言う要望も、シャルがお仕置きをしたいと言う要望も、リルが無抵抗な(たましい)を殴るのは嫌と言う要望も全て叶えているではないか!?」

「ティア様ぁ? たまたま結果としてそう言う状況になっただけだとリルは思うんですけどぉ?」


 ちびっ子天使リルは足を止めてティア様の方に振り返り、(あき)れながら言葉を投げつけた!


「そ、そんなことはないのだよ、リル!? ほら、余所見(よそみ)をしていると危ないから戦闘に集中すると良いのさ!」


 ティア様は(ひたい)に汗を垂らしながら、そんなことをのたまった!


「まだ妖刀の(たましい)さんとは距離が大分離れているから問題な」

「あーーー!!! ほら、向こうで戦闘が始まっちゃったのさ! リル、早くシャルの援護に向かいたまえ! シャルの雷化を禁止してしまったからシャル1人だと万が(いち)と言うことがー」


「ティア様、そう思うんでしたら雷化禁止とかしなければ良かったじゃないですかぁ?」

「あー!? シャルに向かって大量の赤いナイフがーーー!!」


「はぁ〜。ティア様ぁ、あからさまな棒読みで大声出すの、恥ずかしいから止めて欲しいのですぅ……。それじゃあ、リルも参戦して来るのですよー」


 ちびっ子天使リルは淫乱斬り裂き魔と戦っているシャルを援護するべく2人の元へと走っていったのであった!







 ◇◆◇


 そして、ハンマー使いのちびっ子天使リル&雷神槍使いの金髪縦ロール天使シャルのコンビと、妖刀と小太刀の二刀を扱う淫乱斬り裂き魔との戦いは翌朝近くまで続き、淫乱斬り裂き魔は2人の天使達によって完膚(かんぷ)なきまでボッコボコにされた後、女神ティア様によって100万回ゴブリンに転生する魔法を掛けられてしまったのでしたとさ。


 おしまい♪







 ◇◆◇


「『おしまい♪』じゃないわよ!? イヤよ!? どうして私がこんな醜いゴブリンなんかに転生しないといけないのよぉおおおお!? こんなの、こんなのはイヤぁああああああああああああ!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ