第10章 雪音ちゃんと村娘達 123 〜 淫乱斬り裂き魔は淫乱斬り裂き魔じゃなくて聖女様!?②〜
「お、おい待て!? なんだ、その蛇みてえな電げギギギギギギギギ!?」
「ちょ、マジかよ!? 刺されたんだから、ちょっとぐらい良い思いしても良いんじゃババババババババ!?」
「ご、誤解だ!? 俺は決して疚しい気持ちで聖女殿の素晴らしい太ももを見ていた訳ではなバババババババババ!?」
プスプスプス、バタン!
私の放った雷蛇型の電撃によって髪の毛がアフロヘアーになった3人の変態どもは地面へと倒れ気絶した!
「ふん! 女性の柔肌をジロジロ見る不届き者への乙女の怒りの鉄槌だよ!」
私は両手を腰に当て、地べたで身体からプスプス煙を上げている変態どもを軽蔑の眼差しで見下ろした!
「ゆ、雪音ちゃん、殺しちゃったりはしていないですよね!?」
冒険者4人組の中で唯一ロリコンで聖女さんの巨乳ボディーに興味がなく私からの電撃制裁を受けなかったライトが仲間達の安否を私に聞いて来た!
「威力は抑えたから大丈夫じゃないかな?」
「わ、私はあれが女神様のお与えになった罰であれば、どのような辱めであっても甘んじて受け入れましたのに」
「そんなの罰になる訳ないでしょ?」
「っ!? で、では、やはり死をもって私の犯した罪をつぐな」
私は指をパチンと鳴らして水魔法を使った!
バシャーン!
聖女さんの頭の上に私が魔法で作り出した大量の水が落下して、聖女さんの身体を水浸しにした!
「ひゃん!? なな、何をするんですか!? 冷たいではありませんか!?」
「頭冷やしてあげようと思ってね? あなたは妖刀に身体を乗っ取られてただけで、あなた自身が望んで人を殺めて来た訳じゃないでしょう? あなたに罪はないんだか」
「罪ならばあります! 司教様が浄化をお命じになった妖刀の赤く美しく光る刀身に私が目を奪われさえしなければ、あ、あのような惨事を引き起こすことはなかったのです!」
前髪から水を滴らせながら聖女さんが私に言い返して来た!
「それだって妖刀が魅了のスキルとか魔法を使ってあなたを操った結果かもしれないんだよ? それに、あなたが悪いと言うなら、あなたに妖刀の浄化を命じた司教様だって悪いことになるんじゃない? 妖刀が危険なものだって分かっていたなら司教様が人に任せず自分で浄化すれば良かったのよ。司教様って言うぐらいなんだから浄化の魔法も自分で使えたはずでしょ?」
「司教様のことを悪く言わないでください! あの方はとてもお優しい方で幼少の頃から私に聖なる魔法や聖女としての在り方を教えてくださった方なのです! 私にも問題なく浄化できると信じ、私にあの妖刀の浄化をお任せくださったのです! それなのに、それなのに私はそのご期待を裏切って司教様達を……。うぅ、司教様ぁ……」
聖女さんは両手で顔を覆ってまた泣き始めてしまった!
「美しい……。なんて心の美しい人なんだ! その心の在りようはまるで穢れなき純粋な幼女そのもの! そして、水に濡れたその姿はまるで水の精霊様のように美しい!」
ちょっとロリコン、空気読みなさいよ!? なんでロリコンの癖に巨乳美女に反応してるのよ!?
「ちょっと黙ってて!!」
私は手の平から水色半透明のイヌワシさん型氷爆弾をロリコン目掛けて飛ばした!
「はっ!? 俺が雪音ちゃん以外の人を褒めたから雪音ちゃんが嫉妬、がはっ!?」カチンコチン!
私の放った水色半透明のイヌワシさんがロリコンにぶつかって弾け、ロリコンの身体は氷漬けになった!
「あなたに興味ないんだから嫉妬なんてしないわよ! まったく!」
「雪音ちゃーん、後方のお掃除がようやく終わったのですよー♪」
「がぅがぅ♪」ボクもおわったよー!
遠くからラピとクゥーの声が聞こえて来た! 声の方に振り向くとラピとクゥーがこっちに向かって走って来ていた! その後ろの方からはラスィヴィアが吸血鬼の翼を生やして飛んで来ている!
『ちょ、ラスィヴィア!? 蝙蝠の翼生やして飛んで来ちゃダメだよね!? すぐに翼しまって!!』
私は慌ててテレパシーの魔法をラスィヴィアに飛ばした!
『うっかりしていましたわぁ〜ん』
ラスィヴィアが地面に降りて翼をしまい、こちらに向かって移動を再開する!
「うっかりじゃないわよ、もう……」
私は色んな意味で疲れてヘトヘトだった! もう、おうち帰りたい……。
そんな私の気持ちを知る由もないラピが両手を広げて無邪気に私に抱きついて来た!
「お待たせしました、雪音ちゃん♪ って、地面にしゃがみ込んで泣いているのは先程ゾンビ牙棘背生竜さん達に追いかけられていた女冒険者さんでー、こちらには電撃で焼け焦げになってるチャラ男さん達と氷漬けになってるロリコンさんがいるのですよー……」
ポクポクポク、チーン!
「はっ!? もしかしてコイツら、私達がいない隙に雪音ちゃん達を手籠めにしようと!?」
「がぅ!? ガルルルルルルゥ!!!」
銀髪日焼け巨乳美少女のラピと雪狼のクゥーの身体から水色の冷気がブワッと立ち昇った!
「わー!? 違う違う、そうじゃないから、ふたりとも落ち着いて!? まずは私の話を聞いて欲しいな!? あっ! あと、話聞いても怒らないでね?」
「がぅ? がぅがぅ」そうなのー? うん、わかったー!
「そうなんですかー? 分かりました、とりあえず雪音ちゃんのお話を聞くことにしますねー。( でも、雪音ちゃんがワザワザ『怒らないでね?』って前置きをするくらいですから、きっと何かあったことは間違いないのですよー! )」
ラピとクゥーが身体から冷気を放出するのを止めてくれた! 私はラピとクゥーに、あと、遅れてやって来たラスィヴィアに事情を説明した!
「とゆー訳なのよ……」
「雪音ちゃん、その女、ここで裸にして氷漬けにして晒し者にしても良いですかー? 良いですよねー? だって、本人が罰を望んでいるんですよー? 罰を与えてあげたら良いじゃないですかー?」にっこり。
ラピさんがお怒りだよ!? しかも、激おこだ!? 私の腕が妖刀に身体を乗っ取られてた聖女さんに斬り落とされちゃった話を聞いた直後、ラピの身体からさっき放出された以上の冷気がブワッと溢れ出ちゃったんだけど、その時は私があらかじめ怒らないでね?って言った言葉を思い出してくれたのか、すぐに冷気の放出は止めてくれたのに、どうして今になって怒り出しちゃうの!? 最後はちゃんと『聖女さんはまったく悪くないんだから彼女を責めないであげてね?』って言って締めくくったのに!?
今、ラピの身体からはこれでもかってぐらい強烈に冷気が溢れ出している!
「ダ、ダメに決まってるでしょ!? 今、何聞いてたの!? この人も妖刀の被害者なんだよ!?」
凍てつく猛吹雪を辺りに撒き散らしながらラピが聖女さんに向かって歩き出そうとするから私は飛行魔法を使って宙に浮かんで ( 背が届かないからだよ! ) ラピを後ろから羽交い締めにしながら説得を試みた!
「雪音ちゃんが赦しても、この私が赦さないのですよーー! 私の愛する可愛い可愛い雪音ちゃんの腕を斬り落としたんですよねー!? 氷漬けの裸体像にして一生晒し者にしてくれるのですーー!!」
ジタバタ、ジタバタ!
私によって羽交い締めにされ少し宙に浮いているラピが手足をバタつかせ、もがいている!
「やはり赦されるものではありませんよね。そちらの金髪のお嬢さんが女神様のように慈悲深い方だっただけで……。分かりました! あなたの気が済むよう私のこの身体、好きにしてください! 私は罰せられるべき存在なのですから!」
そう言って聖女さんはセクシー系レースアップクロックトップキャミみたいな服のフロントの紐を解いて形の整ったそこそこおっきなお胸をぽろんと晒け出し、マイクロミニデニムのダメージ付きショートパンツを脱ぎ始めた!
こんな所でストリップショー始めないでよぉおおおお!? なんで、そんなに死にたがるのよぉおおお!!!
「雪音様ぁ? 本人が罰せられることを望んでいるのですから氷漬けにして差し上げればよろしいかと思いますわぁ〜ん」
ラスィヴィアまで余計なこと言わないでくれる!?
「その通りです! 私の意識がなかったとしても、この身体が数多の罪なき尊い人命を奪って来たのは逃れられようもない事実! その縁者が私を見れば、そこの銀髪の女性のように怒り狂うことは必然! どうか私をこのままここで永遠の眠りにつかせてください! 私が裸で氷漬けになった姿を見れば、殺された方の縁者の皆様方の溜飲も幾分か下がることでしょう!」
すっぽんぽんになった聖女さんが、『さぁ、とどめを!』と言わんばかりに目を閉じ両手を斜め下に広げて待ち構えている!
『雪音ちゃん! この人はこう言っていますけど、きっと本当は自分の大事な人達を自分の手で殺めてしまったことが辛いから、一刻も早くこの世から消え去りたいんですよー! 生きていても自分のことを赦せないと思いますし、殺された方の身内の方々に恨まれていると思いながら生き続けるのは辛いことだと思うのですー! ですから、このまま氷漬けにして安らかに眠らせてあげた方が良いと思うのですー!』
唐突にラピがテレパシーの魔法で私の頭の中に話し掛けて来た!
さっきのアレ、演技だったの!? いや、ラピの言うことも分かるけど、でも私はその考え方は好きじゃない! 悪いのは身体を乗っ取って酷いことした妖刀であって聖女さんは悪くないもん! そんな聖女さんが悲しい想いを胸に抱きながら死ぬなんて結末、私は認めない!
「大丈夫です、痛みもなく私が一瞬で氷漬けにして、あっ!? ゆ、雪音ちゃん!? どうして今、私の血を、はうっ!?」
私はラピの首筋に噛み付いて、さっきの戦いで失った血を補充するかのようにラピの血をチューチュー吸った! もちろん、血を吸われると気持ち良くなっちゃう魔法付きで!
ラピは私に一気に血を吸われたことと血を吸われた時に生じる快感のせいで身体に力が入らなくなってしまった!
聖女さんが何事かと驚いて閉じていた目を開け、私がラピの血を吸っている様子を見てさらにびっくりする!
「きゅ、吸血鬼!?」
「そ、私は吸血鬼だよ? あなたは聖女さんなんだよね? 人間に害を与える存在は浄化の対象なんじゃないかな? そんな存在を残したまま、ここで死んじゃっても良いの?」
私は聖女さんの質問に答えながら、腰砕けになって自分の力で立てないラピを私達の側で『ラピ様は私にお任せくださいまし!』と言わんばかりに両手を差し出して待ち構えていたラスィヴィアに託しつつ、聖女さんに質問を投げ返した!
「そう、ですね。ですが、貴女は人間に害を与えるような邪悪な存在には思えません」
「今、私が人間の血を吸ったところを見てるのに?」
「はい。貴女は銀髪の彼女が私を氷漬けにしようとするのを止めるべく吸血といった手段を取ったようにしか思えません」
「討伐しないで良いの?」
「討伐する必要性を感じません。それに討伐されるべきは穢れた聖女になってしまった私の方です」
「そんなに自分が赦せない?」
「はい、赦せません。私を教え導いてくださった司教様や日々を共に過ごしたとても、とても仲の良かったシスター達をこの手に掛けた記憶が鮮明に残っているのです」
聖女さんは自分の両手を見つめながらワナワナと震えている!
「それ以降、人を斬った記憶がありませんので、私が殺めてしまった方々の顔を思い出しながら懺悔することができないのは非常に申し訳ないとは思いますが……。ですから、どうかこのまま私を死なせてください。先程見せていただいた過去の記憶の残滓によれば、貴女にもご迷惑を掛けてしまった様子。どうぞ好きなだけ私の血をお吸いください」
「そう。決意は変わらないのね?」
「はい、お手を汚させてしまい誠に申し訳ありませんが」
聖女さんは哀しそうに微笑みながら私にそう言った。私は「はぁ〜」とため息をついてから、こう返事を返した。
「じゃあ、あなたの身体、私の好きにさせてもらうね?」
私は魔法で背中に天使の翼をバサッと生やして聖女さんの背後へと飛んでいく。自前の蝙蝠の翼じゃないのは気分の問題だよ。だって、天に召されるなら天使に連れられて行った方が良いよね?
「っ!? ( あぁ、貴女様は女神様が私の元へと遣わしてくださった御使い様だったのですね…… ) はい、貴女様に全てお委ね致します」
私は聖女さんの後ろから両手を伸ばして聖女さんの身体を抱きしめ、白く綺麗な首筋にカプッと牙を突き立てた!
「んっ」
そして、私は聖女さんの甘くて優しい血を吸いながら聖女さんの手足からゆっくりと凍らせていった!
「私の願いを叶えてくださってありがとうございます。貴女様にお会い出来たことを女神様に感謝致します。最後に、貴女様のお名前をお伺いしても?」
聖女さんが、抱きしめている私の両腕に自分の手を重ねながら感謝と質問の言葉を言って来た。
『大神雪音だよ。過去を変える魔法が使えなくてごめんね? 過去改変はティア様に許されていないから』
血を吸ってて喋れない私はテレパシーの魔法を使って聖女さんの頭の中にそう言葉を返した。
「大神、雪音様……。私の凶行を止めてくださり、本当に、ありが、とう、ござい…………」
聖女さんの全身が氷に包まれ、本人の希望通り氷の裸体像が完成したのであった……。




