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弥生不可思議相談事務所  作者: 芦田瞬
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プロローグ

 -プロローグー


 人が空を飛ぶのを見たことがあるだろうか。

 有名なところで言えばライト兄弟は人類が空を飛ぶ夢を追い続け、そして試行錯誤を重ねついに飛行機を作り上げた。それは実に革命的なことであっただろう。

 もちろん他にも、人類が空を飛ぶ方法なんていくらでもある。気球、ヘリコプター、スカイダイビング。ある意味ではバンジージャンプなんてのも、空を飛んでるといっていいのかもしれない。

 その夢はいつの時代だって人の心を刺激し、鳥人間コンテストなる大会まで開かれるほどに恋焦がれるものだ。いつかは人類が、単体で空を飛べる日だって来るのかもしれない。みんなそんな未来を待ち望んでいるんだ。もちろん、僕だってそんな素敵な近未来を待ち望んでいた。


 今日までは。


 大の大人が空を飛んだ。

 いや、僕だってなにを言っているのか分からないし、友人が鼻息荒く興奮しながらそんなことを言われても一切信じることは無いだろう。いや、無い。断言できる。

 だが今僕の目の前で藤井が空を飛んでいる。

 藤井先生。36歳。体育教師。既婚者。生徒から「暑苦しい」と言われるほど教育熱心で生徒達に時に厳しく、時に熱く接する、まぁ、さほど好かれてもいない恐い人だ。

 いやいやいや、そんな紹介をしてどうする。僕も少しパニくっているみたいだ。そりゃそうだ。筋骨隆々の大男が空中を舞うなんて、短い人生振り返っても見たことが無い。なんならちょっとスローモーションに飛んでる気がしないでも無い。

 藤井は(先生をつけるべきだろうか)はそのまま悠々と空を舞い、そして打ち上げられた野球ボールのように重力に逆らうこともなく、そのまんま廊下へ落ちた。

 うわ、ぐしゃりって言ったよ。ギャグアニメでしかみたことがない落ち方だ。

 さすがにいくら藤井でも、彼の無事を確かめたかったのだが、それは悲しいことに(もしくはラッキー?僕に変な疑いをかけられても困る)出来なかった。

 飛んでいる藤井を目撃していたという事は、離陸の瞬間も見ているということだ。

 ただ人が宙に浮いているだけでは「飛ぶ」などとは言わない。()()()()()()()()()()。とっさに出る表現は「落ちている」もしくは「弾け()()()()()」が普通だろう。なのに何故僕が「飛ぶ」という表現を使ったのか。

 簡単だ。

 離陸からのフライト、そして着陸の全てを見ていたからだ。もっと端的に言おう。

 藤井が()()()()()()()()()()()()()()()。そしてその少女は、投げ飛ばした姿勢のまま僕に目線を向けている。確実にロックオンされている。ガクブルだ。gkbrだ。


 さて、ここでもう一つ質問をさせてもらおう。

 人に飛ばされる恐怖って、どんな感じだと思う?

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