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桜花爛漫に約束を  作者: 暁桜
少年、入学する
2/3

舞架

2024.12.22.


-大阪・神戸奪還作戦-





 「おいテメエ! 何で裏切った!? まさか今まで過ごしてきた日が全部演技だったとか、ふざけたことを言うつもりか!!?」


「…そんなわけないじゃない。私だってできることなら、こんなことしたくなかった。だけど、だけど…仕方ないじゃない……!!」


彼女は涙を滲ませながら小さな手で拳をつくる。



「鵠也を、鵠也を救うために……!!」




頬から涙が伝り、潤む瞳が鵠也を見つめる。


鵠也は驚いた様なショックをうけた様な、複雑な表情を浮かべたまま刀を構え直す。



「詳しい説明を聞かせろ...」


「駄目。今は時間がない。でも鵠也。二つだけ貴方に言わなければいけないことがあるの。


一つは貴方が持ってるその刀を絶対に手放さないで」



彼女は片手を広げ、鵠也の足首についた鎖をキツく締め、自分の刀を構える。



「ぐぁっ!!」


「もう一つはこの戦いの後、鵠也には一時の平和な時間が流れるわ。でもそれも一時。

貴方にとって平和な冬は今年だけ。

来年の冬、私と貴方はもう一度会える。


だけど今度は敵同士として」


 彼女はもう涙を流していなかった。



「どういうことだ…。お前…一体何を企んで…!」


「この刀は菊一文字。嘆きの刀と呼ばれた妖刀。桜花爛漫と並ぶ、この世界最強の妖刀」


「なんで、お前がそんな…。それは消えた筈の、名刀…...」


鵠也の言葉を聞いた彼女は悲しげに目を細める。


「そう...やっぱり知らないのね。貴方が持っているその刀。一緒に戦ってきて確信したわ。


その刀…桜花爛漫でしょ?」


「な…!!?」


「戦いの時、その刀から桜の花びらが止まることなく散っていたわ。…ほら、今も少し」


「そんなこと、戦ってる俺にだって分かってる!!」


声を張り上げる鵠也を余所に、彼女は黒いゲートを作り、漆黒のマントを羽織る。



「話したかったのはそれだけ。さよなら鵠也。また会いましょう」




彼女は振り向きもせず、ゲートの中に足を踏み入れる。







「待て、ちゃんと説明しろ! 何で裏切った!?










  行くな、舞架!! 舞架!!!」










必死に血まみれの手を伸ばすも、その手は彼女に届かなかった。


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