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Seven years later

作者: 芝月

夢を見る。7年後を。


少女は空想した。


それがどんなものなのか思い描くことはできないが、それでも夢を見た。


なんせ7年という歳月を少女はまだ過ごしたことがない。


その時間が短いのか長いのか、はたまた別の感情をもってしてやってくるのか少女には知る由もなかった。


7年後の未来が、自らの知り得る世界とまるっきり違うものであったなら?


喋る可愛いうさぎや優しい王子様がいる世界ならいいかもしれない。


そのときお気に入りのくまさんはまだ一緒に寝てくれているだろうか。


とりとめのないことを考えながら少女は未来の自分を思い描いた。


何にだってなれるのだ。


お姫様にも、花屋さんにも、動物にだって。


未来の少女の姿はいくつでもあった。


思い耽っているうちに夢に浮かされたようだ。眠気は瞼を侵食し、気持ちよくまどろみながら眠りに落ちる。


次に少女が目を覚ますとき、それは7年後の世界である。


気だるげに意識を戻し、気配を感じた少女は憂いを帯びた瞳を宿して遠くの幼い少女を見る。


あれは自分だ。

ちぐはぐな夢を見ていたあのころの。


少女はなおも見つめつづけた。

幼い少女の透き通るような大きい瞳は成長した少女を、捉えてはいなかった。


昔から変わらず透き通った瞳に光を受け入れながら視線をそらし、少女は想像する。


7年後を。


そのときには、少女も立派な大人の女性である。

そこには当然、喋るうさぎも、王子様も、いないだろう。

大事にしているくまのぬいぐるみは、何年経とうと捨てるつもりはなかった。


成長した少女にとっての7年後は、もう未知の世界ではない。

未来は自分の意志でどうにでもなる、或いはどうにもならなくなるということを成長した少女は薄々感じていた。


前を見据える。

何もない景色を、少女は迷いと望みの入り混じった顔で見た。



一人の女性が遠くから少女を見つめていた。

しかし向かいあっている二つの視線は交わらない。

不安げな少女の顔と微笑む女性。


先に目をそらしたのは、どちらだったろうか。

女性は向きを変えて嬉しそうとも悲しそうともとれる足取りで歩く。

それは何か大事なものを抱えたような、ゆっくりと、そしてしっかりしたものでもあった。


その歩みの中で、女性は予想した。


夢見る少女の行く先を。





読んでくださりありがとうございました。


あかつきが計画失敗したときの報道で、次は7年後~的なことを言っていたので思いつきました。


なんかそのうちチャンスは6年後、になっててあれ、とか思ったんですが勘違いだったんだろうか。



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