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追放された人を目撃しました

作者: 紫音

唐突に書きたくなったお話です汗

割と勢いで書きましたw


「お前は今日限りでこのパーティーを出て行ってもらう。お前の能力じゃ、足手まといなんだよ」

「え⁉ なんで、急にそんなことっ」

「うるせぇ!」

「だってずっと一緒にやってきたじゃないか!」


 宿泊先を決めようと受付をしていたところに届いた会話。背後を振り返ってみれば、何やらもめごとを起こしている四人組がいた。この空間の端で一人の青年を囲むようにして三人が立っている。そのうちの二人は女性で、まくし立てている男性の腕に触れるようにしてくっついていた。不穏な空気が流れるそこに思わず眉を寄せる。


「……」

「あの……いかがなさいますか?」

「あぁ、すみません。二部屋一泊で」

「承知いたしました。こちらは前払いとなりますが――」

「わかったら二度と俺たちの前に現れるなよ!」


 受付をしている老齢男性の声に被せてきた怒鳴り声。あちらとしてはその意図はないのだろう。大きな音を立てながら、建物を出ていく三人。取り残された一人。何が起きたかなど一目瞭然だが、その前に一言だけ言わせてほしい。


「わざわざここでやるなよ……ったく」

「騒ぎを起こしてしまい申し訳ありません」

「謝る必要ありませんよ。あいつらが馬鹿だってだけなので」


 気にしないでくれと苦笑しながら、宿代を支払う。鍵を受け取ると、部屋まで案内してくれるというが、その前にちらりと取り残されたであろう一人へと視線を送った。

 宿のホールの端で立ち尽くしている一人の青年。詳細までは聞こえなかったけれど、パーティーを出ていけと追い出されたらしい。どれくらいの付き合いが彼らにあったのかはわからない。ただ、せめて人の目がないところでやるべきだったのではと思う。ここにいるのは彼らだけではない。宿で働く人たち、そしてここを利用する人たちもいるのだから。


「お客様?」

「いえ、何でもありません。案内よろしくお願いします」


 三階まで上がったところ、そこには四つほど部屋があるようだ。そのうちの端の部屋の前に案内される。


「はい、こちらでございます。もう一つのお部屋は隣をご利用ください」

「ありがとうございます」


 簡単な室内の説明を受けたところで一人となり、改めて部屋の中に入ると鍵を閉める。室内にあるのはベッドが二つ。隣の部屋も同じつくりになっているらしい。一泊する程度なら申し分ないだろう。軽く室内の様子を確認したところで、部屋を出た。


「さて、あっちはどうなっていることやら」


 廊下から階段を降り、もう一度受付の前を通る。その時には、先ほどまで端っこで呆然としていた青年の姿は見当たらなかった。流石に移動したのだろう。ともあれ厄介ごとにならなければいいと思いながら、宿を出た。



「おーい、キリル! こっち」

「アッシュ」


 ごちゃごちゃした街中を歩いていると、その先に大きな噴水広場が見える。その前、荷物を入れたであろう袋を地面に置き、手を大きく振りながら名を呼ぶ金髪碧眼の青年が見えた。応じるように手を挙げて、駆け足気味に彼に駆け寄る。


「待たせたか?」

「いや、丁度良かったよ。僕も今買い出しが終わったところだから。キリルの方は大丈夫だったかい?」

「あぁ、無事受付を終えてきた。あまりにも狭いとまたリティアが文句でもいいそうだけどな」

「うちのお嬢様はそういうところがあるからなぁ」

「誰が、お嬢様なのかしら?」


 その時、横から冷たい空気が漂ってきた。噴水の冷たさ、ではない。二人がゆっくりとその気配がする方へと身体を向ければ、腰まである赤髪を綺麗に巻いた女性が腰に手を当てながら立っていた。口は笑っているのに、その目が全く笑っていない。


「キリル、アッシュも。この私をお嬢様扱いしてくれていたなんて知らなかったわね。今度はお姫様抱っこでもしてもらおうかしら?」

「……面倒くさい」

「できたとしてもやりたくない、俺は」

「あら? 幻聴が聞こえたかしら?」


 そういいながら女性は背に背負っていた錫杖を手にとった。赤髪に強気な性格、だが扱う代物は錫杖。全くもって似合っていない武器を手に、手慣れた手付きでくるくると回すとその先をキリルの眼前へと突き出した。


「幻聴、よね? キ・リ・ル?」

「……リティア、お前のその強気な性格、直さないと誰にも嫁に貰ってもらえないと思う」

「相変わらずああ言えばこう言うのね。だから貴方も彼女の一人もできないのよ」

「お前にだけは言われたくない」


 突き出された錫杖の先を手の甲でやんわり払いのける。大して力を入れていないのはわかっていた。リティアもすんなりとその錫杖を下ろす。その様子を隣で見ていたアッシュは盛大な溜息を吐いた。


「いっつも思うけど、二人で付き合えばいいじゃない。その方が被害者も減るってのに」

「俺はガイルさんに殺されたくはないからな」

「そうね。兄さんに勝てるようになったら考えてあげてもいいわよ」

「……だからなんで上から目線なんだって。というか被害者って……俺はいいのかよ」


 アッシュを問い詰めても、明後日の方向を見て惚ける始末。文句の一つでも重ねようかと思っていると、一際デカい図体の男性がこちらに近づいてきていた。ゆっくりとキリルらの前まで来て足を止める。


「お前たち、公衆の面前で騒ぎ立てるな」

「兄さん、遅いわよ」

「会合が長引いていたんでな、すまん。それでキリル、宿の方は?」


 短髪赤髪、鋭い眼光でもってキリルを見つめる。知らない人が見れば、怖気づいてしまう雰囲気を持っているが、キリルにとっては頼れる兄貴分だ。


「キリル、宿の方は問題なさそうか?」

「はい、一泊で二部屋で取りましたよ」

「そうか。いつも助かる」

「いえ」

「色々と報告はあるが、宿で話をするとしよう」

「わかりました」


 何をいうでもなく、アッシュの足もとに置かれていた袋を持ち上げたガイル。その後ろを先ほどよりも機嫌が良さそうにリティアが追いかけていく。


「これもいつものことだね」

「だな」


 キリルとアッシュは顔を見合わせてから、二人の後を追った。


 キリル、アッシュ、そしてガイルとリティア。この四人はいわゆるパーティーという形で共に行動している冒険者だ。冒険者というのは、依頼を受けて金銭を稼ぐことで生計を立てている者のことを指す。依頼の授受は一般的に仲介屋を通して行われ、多くの場合は冒険者組合(クラン)で行われるものだ。

 冒険者組合は、冒険者同士の交流・支援を目的とした組織で、冒険者を引退した者たちが提案し作られたもの。今では冒険者を志す者たちから、ベテラン冒険者まで多くの者たちが集まる場所として使われている。

 組織を作るとなればそれを束ねる者が必要だ。有象無象の者たちが好き勝手していては、ただの荒くれ集団になり果てる。各都市ごとに置かれている冒険者組合を束ねる者は、そこにおける都市の長であることが多い。だが冒険者経験がない者が、冒険者を束ねることなど無理。ゆえに、冒険者組合は一定の経験を持ちそれなりの実績を上げた冒険者に対し、依頼という形で長と共に会合という名の情報共有をひと月に一度行うことにしていた。今回はその場に、キリルたちのリーダーであるガイルも出席していたのだ。


 キリルの案内により宿に着いた四人は一つの部屋に集まった。


「それで兄さん、会合はどうだったのよ」


 二つあるソファーにキリル、アッシュ。リティアとガイルとテーブルを挟み、向かい合う形で座った。


「いつも通りだ。だが、そうだな。最近はパーティーを組むことを勘違いしている者が多くいるように感じるということを耳にした」

「パーティーを組むことに勘違いって何? 別に馬が合う相手と組めばいいじゃないの」


 ガイルの言葉に対し、呆れたようにリティアは肩をすくませながら手のひらを上にする。パーティーを組む。冒険者をする上で、主に戦闘をメインにすることを目的とするならば、ほぼ全員がパーティーを組んでいるだろう。逆に運び屋などの戦闘をメインにしない冒険者はソロで活動している者もいる。

 戦闘行為は下手をすれば命に係わるもの。そこで重要視されるのは相性だろう。性格、考え方、価値観。どれか一つでもかみ合わなければ、協力しあうことは難しくなる。それが厳しい局面であればあるほど。


「ガイルさん、勘違いって一言で言っても色々あるんじゃないのですか? バランスを考えすぎるとか、見た目だけで選ぶとか」

「アッシュ、それを言えば俺たちも大分バランス悪い」

「……それは否定できないね」


 キリルたちのパーティーは、他の者たちから見ればかなり歪だ。何せ、四人のうち三人が前衛。支援をメインとするのはリティアのみなのだから。

 冒険者となることに資格などは必要ない。年齢も合ってないようなモノ。自己責任の下で選ぶ道だ。だから街中で簡単な依頼のみを受けるだけの者もいる。合う合わないもすべて自分で判断しなければならない。

 キリルたちは戦闘をメインに行っているパーティーである。リーダーであるガイルは屈強な体格に恵まれており、体力もある。装備は斧と盾。斧での攻撃を主にとし、戦いながら盾の役割も果たすパーティーの主軸だ。その妹であるリティアは、人目で強烈な印象を与える赤髪の巻き毛を持つ細身の女性。その雰囲気とは異なり、後方でパーティーをサポートする役割を担っている。錫杖を使って魔法を唱えるリティアだが、攻撃系の魔法を使うことはできない。これも見た目の印象からは想像できないだろう。時として突っ走り錫杖で攻撃をすることもあるが、あれはもはや戦闘と言える代物ではないので除外しておくとして。

 アッシュは腰の丈ほどもある長い剣を扱う前衛。それなりに体格もあるが、着やせをするのか普段の恰好からは筋肉がついているようには見えない。それでもガイルには遠く及ばないけれども。格式にのっとったような剣技ではあるものの、実力は確かなもの。ガイルと共に常に前衛にいることが多い。戦闘以外は穏やかな青年なのだが、戦闘になるととたんに碧眼の瞳が鋭さを増す。

 そして最後にキリル。灰色の髪に紫瞳。長めの髪は首元で結び、戦闘の邪魔にならないようにしている。身長だけでいえばアッシュよりわずかに高い程度で長身といえるかギリギリのライン。武器はアッシュの扱う長剣の6割程度の長さを持つ二振りの剣。ガイルとアッシュと違うのは、キリルには攻撃魔法が扱えるという点だ。時と場合により、前衛と後衛をこなすことができる。ただもっぱら前衛にいることが多いので、やはりバランスがいいとは言えない部類だ。


「キリルが優柔不断なのはともかくとして、役割をきちんとこなしているんだから、私たちはマシな方でしょう」

「俺が優柔不断ってなんだよ」

「どっちつかずだからよ。というか出来ても貴方は全然後方に下がらないじゃない! 私一人にやらせてばっかりで」

「そうする必要がないからだ。必要があれば下がっているだろ」


 このパーティーで戦闘をする場合、指示役を担っているのはキリルだ。前衛も後衛も可能だからということもあるが、リーダーのガイルが力押しすることが多いし、アッシュもあの見た目で戦闘狂であるため、必然的にそうなってしまったのだが。


「リティア。俺たちのパーティーは自分たちのため、自分たちが暮らしていけるだけのものがこなせればいい。自分たちに分不相応な依頼は受けない。命がけに戦うことが悪いとは言わないが、その必要もない。キリルはその上で必要ないと言っているだけだ」

「……わかってるわよ。でも私だって戦いたいのに」

「だからといって錫杖を振り回すな。あれは相手を痛めつける武器ではない」

「なら剣でも覚えようかしら」


 別の武器を手にすればいいのではと考え出したリティアにガイルが頭を抱えだす。そもそも支援がリティアの役割だと言っているのに、どうしてこうも戦おうとするのか。


「アッシュを見てると、ストレス解消になりそうでやってみたくなるのよ」

「僕の所為にしないでよ」

「あんた性格変わりすぎなの!」


 話が脱線しすぎているが、リティアの言葉には同意できる。普段の温厚さからは絶対に想像できないのがアッシュの戦闘時の姿だから。


「ともかくだ。パーティーには人数制限もなければ、誰が何をしなければならないといった決まりもない。俺たちはともかく、回復を担う者を置いていないパーティーもある。前衛がいないパーティーもある。そこは各々が決めるべきことだ」

「それはそうだけれど、それで兄さん。何が問題なわけ? 別に勘違いしているパーティーがいようとどうでもいいじゃない。そこまで面倒見る必要ないでしょ?」

「そうなんだが……冒険者組合で勧誘まがいのことをする連中がいるようでな」

「勧誘まがい?」


 キリルとアッシュは顔を見合わせた。冒険者組合で勧誘する。そのこと自体は大して珍しいことではない。ただ、ガイルは勧誘()()()と称した。勧誘ではあるが、そこには別の意図があるということか。それとも……。


「お前たちは、この前の合同依頼で共に居たパーティー、やたら前衛に行きたがっていた奴のことを覚えているか?」


 合同依頼とは、冒険者組合で戦闘を得意とする複数パーティーに直接名指し依頼をする依頼のことだった。そもそもこの街に来たのも、その依頼を終えた後、拠点がある街に移動するための補給と休息のためだった。 

 冒険者は特定の居住地を持たずに行動する者と、居住地を決めてその付近で活動する者とに分かれる。キリルたちは後者だ。ガイルが冒険者の中でも名が通った存在なので、時折こうして遠出をすることはあるけれども。


「あー、確か倒した分だけの報酬を貰うべきだとか、分配に文句を言っていた人ね。私にも一緒にパーティー組まないかって言ってきた人だわ」

「……リティアに声を掛けるとか、どれだけ飢えてるんだろう」

「アッシュ、何か言った?」

「いいえ、何も」


 見た目だけならばリティアは美人だ。黙っていれば、間違いなく。

 それはおいて置いて、確かにそういう者がいた気がする。どんな奴だったかと思い返して、キリルはふと先ほどの光景が脳裏に浮かんだ。


「あ……」

「キリル?」

「そいつ……たぶん、さっき見た気がするな」

「へぇーどこで?」


 キリルは三人に宿の受付をしていた時のことを伝えた。うろ覚えだけれど、同一人物な可能性もあるとして。話を聞いた三人は、絶句している様子で全員がソファーへと背中を預けるようにして項垂れる。


「……キリル、お前ってほんと巻き込まれる奴だよな」

「あれはあそこでやる連中が悪い。そもそも、人がいる場所でやるなと言いたい」

「そうね……せめて誰もいない場所でやるべきだけれど、その前に言いたいこともあるわ」

「何だよ」


 ビシッと効果音が付きそうな勢いでリティアはまっすぐに目の前のキリルの方へと人差し指を突き出した。


「貴方、いつものお人好しはどうしたのよ! なんで声かけないわけ? 面白そうだったのに」

「……お人好しって、別に知らない相手に声をかけているわけじゃないだろう。そもそも面白いって」

「最近、面白い話題がないからつまらないのよね。まぁ別に誰がどうなろうと、他人の私たちがとやかくいうことはできないけれど」

「なら首を突っ込もうとするな」

「でも、いつもなら声かけるじゃないの。困っていたんでしょ?」


 困っていたならば、確かに声を掛けていたかもしれない。だがそれ以前の問題だ。相手は呆然としていた。それにリティアの言う通り、ただの他人でしかない。会話をした記憶もないし、合同依頼をこなしたといっても、それ以上でもそれ以下でもない。相手だって、声を掛けられても困っただろう。


「キリルがどうしたかはこの際別にいい。ただ、そいつが後方支援の攻撃役を勧誘しているところを見かけたらしい。それも、声を掛けられた全員が女だ」

「うわー、露骨」

「だな」


 あの時、残りの二人も女性だった。一人残されたのは青年。能力とかではなく、ただの自己満足のための人集めといったところか。


「でも兄さん、あのパーティーって……私は後ろから見ていたけれど、残りの男の人が支援をやっていたわよね? 他の人にバフを掛けていたけれど、それなりに綿密な魔法操作ができていたように見えたわよ」

「そうなのか? 俺にはよくわからんが」

「キリルはわかるわよね?」

「あぁ」


 同じ魔法を扱う者同士。魔法使いは魔法の流れを読むことが可能だ。魔法を扱うことは才能によるところが大きい。持って生まれた因子がなければ、そもそも魔法は扱えない。そして生まれ持った因子があっても、その能力を育て上げなければならず、才能だけでは魔法使いにはなれないのだ。

 キリルが攻撃魔法のみ扱えて、リティアが回復・支援魔法のみしか扱えないのも、己の才能によるもの。魔法は因子の陰陽によって大きく二つに分けられる。陰の因子が強ければ攻撃魔法、陽の因子が強ければ回復・支援魔法といったように。稀に双方を扱える者もいるけれど、そんな存在は一握り。

 魔法使いとなれば、魔法の力の流れが読み取れるのはそれだけの研鑽を積み重ねてきたから。リティアもキリルも、そうなるまでに経験を積み重ねてきたからこそわかる。彼が、どれだけの力を持つのかを。


「支援も回復も行っていただけでなく、規模は小さいが攻撃も行っていた。俺やリティアとは違って、双方の因子を持つ珍しい部類の魔法使いだろうな」

「そうよね……そんな相手を手放すかしら、普通は」

「……お前たちとは違い、どちらにも特化していないから誤解されたとみるべきか」


 確かに双方の魔法を扱えるものは、どちらかに特化した者たちに比べると地味に見えるかもしれない。だがそもそもその存在自体が珍しいのだ。


「ガイルさん、それで勧誘された人たちはどうしたんですか?」

「前にいた魔法使いの特徴を聞いて、俺たちに相談を持ち掛けてきた。攻撃、回復の双方を扱えるのが当然だと思っているらしいからな。そのパーティーのリーダーとやらは」

「馬鹿なの? っていうかリーダーなら、メンバーの特徴くらい覚えておきなさいよ」


 リティアの指摘はごもっともだ。何が得意か、何が苦手か。それを踏まえた上で依頼を受ける。それが当たり前だ。欠員が出た場合に新しいメンバーを勧誘することはある。ただ今回の場合、出ていけと言われたメンバーは特に問題があったようには見えない。


「能力的な問題じゃないなら、性格の不一致とかじゃないの?」

「足手まとい、って言ってたけどな」

「……それはもう、なんというか。代わりに女性ばかりを誘っているところを見るに、ちょっと露骨すぎて嫌だな」


 ガイルたちの会合でも、その勧誘は断った方がいいという結論が出たという。相談してきた者たちには結果を報告。そして万が一にも、無理やりに勧誘している場面に出くわした場合、保護をするということになったと。


「そういうことなら、キリルの得意分野だね」

「そうね。せっかくなんだから、その無駄に整った顔を生かしてきてよ」

「無駄ってなんだよ……アッシュの方が女受けはいいだろう」

「散々やってきたから懲りたんだよ、僕は。だからその役目は君に譲る」

「いらない」


 こんな会話をしていた数日後、そのパーティーを追い出されたという青年とすれ違うことがあった。その彼の周りは全員が女性で、あの時呆然と立ち尽くしていた人物と同じ人物には見えぬほど、どこか満ち足りた表情をしていた。


「キリル、どうかした?」

「いや……案外、どっちもどっちだったと言えるのかもしれないなと」

「何が?」

「丸く収まったならいいってことだ」


 訳が分からないと言った風のアッシュに、キリルは背中を叩く。


「ほら、行くぞ。リティアに怒られる前に」

「……わかったよ」


 一方、追放した側であるパーティーはというと、最近その姿は見られなくなったという……。


ファンタジーって難しいですね;

ジャンルがファンタジーでいいのかもわかりませんが、間違っていたらご指摘ください。

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