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 03話 魔術ってなに?

授業の始まり


「キミ、夢はある?」




「ユメ?」



「そ、なりたいものはないの?」



「ないよ。そんなものいらないでしょ。……あるの?」



「うん、当然。魔法使いになりたい!」

 






 かつて、夢を語った。



 それは潔白至純な美しいユメ。


 誰もが一度は抱いた脆い理想をかつて、語った。




……その夢を抱くことの意味を知らずに。

 

 

 

 この世界には魔法(きせき)はない。

 

 この世界には憧れ(りそう)はない。


 

 少し大人になって知ったのは当然で呆気ない現実だった。

 魔法というオカルトじみた物は無く、ただの子供に救えない人を助ける奇跡など持ち合わせていない。

 


 更に時が過ぎて僕は創作物(フィクション)の影響もあり“魔法で人を助ける”と“魔法を使う”という二つの理想が混ざったらしい。

 そして僕は“魔法を使う”と言う名の過程だけに執着していたのだろう。


 きっと、昔は人を助ける事が出来るなら、魔法じゃなくても、何でも良かったのだろう。

 けれど宝坂叶一は夢に囚われ過ぎた。

 

 即ちそれは、

 誰もが知らぬ異常。誰もが理解せぬ理想。




ーーああ知ってるよ。

 本当は、昔からそんなこと。


 けれど、本当に全てを願うならーーーーーー


 

……故に、理想の剣は夢の丘を受け入れる。






 カーテンから、温かい日差しが差し込んだ。

 

 ああ、違和感を感じる天井………そうだ、ココは違う世界だった。

 なかなか上がらないまぶたを擦り、手を伸ばして、伸びをする。


 そして、チラリと壁掛けの時計を見ると、

「ヤバッ‼︎」

  今日は初回の授業がある。始業時刻は午前九時半からだが、疲れで多く寝ていたのだろう。想定していた起床時間をとうに過ぎていたらしい。


「八時二十分!」

 今日から通う場所、ルーンテール学園から支給された制服を急いで着る。小さいローブが付いている長袖の制服で、とても着やすくなっているようだ。

 次に僕は日本で配られた金色のバングルを付ける。黄金を加工したような高級そうな腕輪。コレがなんなのか僕は伝えられてないので知らない。

 ただ、「後で分かる」とだけ言われた

 正直怪しいが特になにかある訳でもないので身につけている。

 

 

 朝食を済ませ、部屋から出た。その時、向かい側のドアも同時に開く。


「あっ!叶一(きょういち)君、おはよう!」

 元気に挨拶する天木さん。

「天木さんも、おはよう。今から学園に向かうけど一緒に行く?」

「うん、行こう! ゆっくりしてたら、初日から遅刻するかもしれないし」


(天木さんは朝から元気だな〜)

 

 そんな事を考えながら、教えて貰った場所に急いで向かう。

 

 学園は大きく、左右対称(シンメトリー)な建物であり学園の形自体が一つの絵にも出来そうなくらい壮大だった。しかし、景観を楽しむ余裕も無い。

 僕らはそのまま入り口に駆けて行った。




 職員に案内されるまま、僕らは、教室まで歩いて行った。中に入ると、怒鳴り声が教室中に響いた。

「遅いわよ!十分前到着は基本じゃない!」

……むぅ。朝からアイリに怒られてしまった。しかも、指摘は正論だ。


「しょうがないよ、昨日は大変だったんだし」

 因幡さんが、フォローしてくれた。

「僕の名前は、因幡優斗(いなばゆうと)、宜しくね」


 この青年をはじめに見たときに抱いた感想は『優しそう』。表情豊かなのがいいと思う。

 

「僕は宝坂叶一です。昨日は挨拶出来なくてすみませんでした」

「天木凪輝です!よろしくお願いします!」

「うん、宜しく」

 

 自己紹介をしつつ談笑してると、椅子にずっと座っている、女の子と話すのを忘れていた。ふと、思い出して、「こんにちは、宝坂(ほうさか)です。君の名前は?」と聞くと。

 女の子はため息をつき、「弓野里香(きゅうのりか)」とだけ言った。

 そうこうしていると、


「ヤッホー。元気にしてる?魔術の時間が始まるよ!」


 ジエルと名乗っていた教師が、ダッシュしながら入って来た。

 すると、アイリは、「遅いわよ」と小さく呟く。


(えー、流石に舐め過ぎじゃね)

 僕はそんな事を思いながら、着席した。


「では、この世界を知っていく授業、第一講座を始めよう。最初のテーマは“魔術とは何か?”だよ」

 そう言うと、ジエルは教壇に立った。


「さてまずは、君たちは、魔術に対してどんなイメージがある?魔法とかでも良いよ」と言葉を投げかけて来た。

 

 因幡さんは、「とても凄い力!」と、

 弓野ちゃんは、「……オカルト」と、

 天木さんは、「願いを叶えるモノ?」と、それぞれの考えを口にする。


「…………なるほど、じゃあ二人はどう考える?」

「そんなの、ただの“化学”や“科学”の昔の呼び方に決まってるじゃない!」

 

 アイリの言い分は理解できる。僕らにとって魔術というものはオカルトの一種であり、同時に化学の一歩手前の存在なのだ。

 だが、僕はそうは思わない。

 灰かぶりを助けた魔女のように、人を助ける奇跡。それこそが魔法だと考える。

 だから、

 「誰かを助ける奇跡?」と答えた。


 するとジエルは、少し考える仕草をした。


「確かに、化学世界の一般認識と大体同じだね。けどね、この世界での魔術の定義は少し違うんだ」


 そう言って彼は人差し指を上に向けた。


(なにしてんの?)

 思っていた。

 するとその教師の人差し指から、僅か青い光が漏れてるのが分かった。揺れながら、(かす)かに輝く力。

 光が蝋燭(ろうそく)のように揺れた、と思った時、指先から離れた光は青だったモノから赤く変化し、(ほのお)となった。

 力を喰い破り、呑み込み熱エネルギーとなる。

 

…………そう、指から“火”が出たのである。

 

(えーーーー⁉︎)

 

 火です、炎です、ファイアーです!?

 指から火が出てマース!

 (みな)が初めて心を一つにした瞬間だった。

 それはジエルの指に火が灯されたという『事実』である。


「何よそれ、指から火が出て熱くないワケ!?」


(……流石、正直ツインテール。)

 

 アイリが全員の思った事を言ってくれたが、目の付け所がなんか違う。

 ジエルは満足げに放心状態の僕たちに声を掛ける。


「これはね、魔術の中でも、魔法陣(コード)を介入しないで使える魔力の燃焼だ。“魔術(Magic)”と()えて、分けるなら“呪術(Curse)”ってとこかな」

 

「さて、じゃあ話を戻そう。魔術とは何なのか? 

 それは……『現実に起きる事象を拡張する、この世界の生物本来の現象(システム)』のことだ!」

 ジエルはそうハッキリと述べた。


 「そう。本来、自然には起こり得ない筈の“事象の逆転”や“神話の再現”。これらを星産みの残りの力…………魔力(エネルギー)を使い、創り出す。これが『(Magic)(System)』だ。

 

 「星のエネルギー云々(うんぬん)についてはいつか説明するとして、まずは魔術の原理について説明していくよ」

Q 魔術世界とは何か?

 

A正式名称「剣と魔術の世界」化学世界の方でとても似ている創作物から命名。

 魔術世界の住民から剣要素なくね?ってツッコまれる始末。

 

 

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