第六話 敵
第六話になります!
1話から5話を読んでから読むのをおすすめします(^^)
かなり投稿するの遅くなってごめんなさい…!
○桐生姉妹の家○
お姉ちゃんと一緒に家に帰ったあと、やはり散々…
「静空が意外だなあ。あんなに積極的だなんてw」
「うっうるさい!」
「んーまぁよかったやん、友達なれたんでしょ?w」
「そうだけど……」
恥ずかしい…しずくはなんとか話題を変えた。
「…そっそういえばお姉ちゃん、そのベレー帽校則引っ掛かんないの?」
「本当は引っ掛かっちゃうんだけど、この前お父さんが帰ってきた日に学校の手続きしたじゃん?そんときにお父さんがお願いしてくれたの」
もちろんお姉ちゃんのケモミミのことはおとうさんは
知っている。
「そういや、ちゃんとそれ学校用に決めた服なんでしょ?みんなも私服とかと別なの?」
「わかんない。でもみんな昨日と今日で似たような服を着てたからそうなんじゃないかな。」
「そーゆーもん?せっかく小学生服自由なのにもったいない…」
すると、お姉ちゃんのスマホが鳴った。
「おっと。…前の学校の友達からだ。ちょっと出てくるね」
「ほいほい」
お姉ちゃんが部屋に入っていった。
お姉ちゃんは前の学校でも友達が結構居た。
一方、しずくは…
スマホのメールを開く。連絡先に登録されてるのは…
「氷花」、「桐生泉」。これはおとうさんの名前。
それから…それから…「❥Yuyu❦*」…結由。
…この人とは、約半年前から連絡が止まっている。
これで全てだ。これだけしかいない。
少し嫌なことを思い出してしまった。
スマホを閉じてため息をついた。
ふと、今日できた友人達の事を思い浮かべる。
…長続きしますように…できたら、ずっと。
優しそうに微笑むあの三人。
できたら、その姿をずっと見ていたい。
○学校 廊下○
翌日。今日は学校行くのにそこまで憂鬱な気分では
なかった。何なら、ちょっとワクワクしている。
まぁそれは言うまでもなく友達ができたから。
それも三人。
「おっはよーござ…」
教室のドアを開けると、なぜだか分からないが、一気に視線がこっちに集まった。
すると、生徒たちが何やらヒソヒソと話している。
…何だろう…?
まぁ気にしないことにして机に座った。まだちょっとだけ速い時間だから、あの三人はまだ来ていない。
早く来ないかなぁと待っていると、とある女子生徒
二人がニヤニヤしながらこっちに来た。
「ねぇ…もしかして桐生さん、津野達と友達になった感じ?」
突然のことに少し驚きながらも、
「津野…?ああ、光くん達。まあ、そんな感じかな」
と言っておいた。
「へぇーw」
…一体何を笑ってるんだろ?
「ここだけの話なんだけど…辞めておいた方が…ね?」
「うんw」
…ん…?何を言ってるんだ…?
「えっと…それはどうして?」
「わかんない?w」
「分かんないよ…」
少しイライラしてきた。
「だってあいつらキモいじゃん」
「は?」
は?
「まじそれな、あたしは特に里宮が嫌いw」
「わかるw絶対性格悪いし自称サバサバ的な?」
「あと津野もド陰キャだし男なのに髪結んでんの痛すぎ!」
「いや分かる、あと普通に石井は姉弟揃ってうざい。」
「うんうん、正義気取りなのほんとムカつく。それにさ、あいつって、」
なんなの、こいつら。
「…いやだよ、そんなの、知らないよ」
「…はぁ?」
「そんなの偏見じゃん…何も関係ない」
…どうしてだろう。
「…あんた本気?」
どうしてこのクラスの人達はこんななんだろう。
「本気。…お願いだからやめてよ」
「ふーん…。あっそ。警告したからね」
「……」
何が警告だ。
もっと……もっとガツンと、言ってやりたかった。
古田と目があった。だけどしずくは逸らさなかった。
思いっ切り、睨み付けてやった。
古田は慌てたように目を逸らした。クラスのみんなが
しずくを見ていた。
…どうしてこうなるんだ。最低共め。
耐えられない…
「おっはー!」
教室に快活な声が響いた。
バッとそこを向くと、水萌ちゃんとそらくんと光くんが入ってきた。
「しずっちおはー!たまたまそらとひかぴと合流したんだー。…しずっちがいれば完璧だったんだけど」
水萌ちゃんは光くんをひかぴって呼んでるのね…
…一方、光くんは周囲の様子に気づいたらしく、
気まずそうにしてる。
そうだった…
恐る恐るさっき悪口を言っていた女子二人を見ると、
まるで仲良くするなよ?と言わんばかりにこっちを見ている。
警告したからね、という言葉が頭の中で反芻する。
…何が警告だ。あんたらのために大切な友人達を
手放すもんか。水萌ちゃんに勢いで抱き着いた。そして水萌ちゃんの脇の下を通った腕でそらくんと光くんを引き寄せた。
クラスの人達が唖然とした。三人は頭の上がはてなだらけみたいだ。
「あんた…正気?」
さっきの女子の一人が言った。
これは確かに正気じゃないな…やっちゃった☆
その時、チャイムが鳴って、先生が入ってきた。
しずくは慌てて3人を解放して席についた。
三人は相変わらず状況が分かっていないっぽい。
後で説明しよう…
○とある地下室○
・黒い長髪 下ろしている
・犬のような 耳(黒)
・明るめなグリーンのワンピース
・手にはキャップの帽子
・隣にいる 金髪 ポニーテール 背は低め←妹?
・場所 路地裏←油断していた?
そこまで書いて、改めて新聞の切り抜きを見る。
この写真が撮られたとされる年は…2046年。
今から6年も前だ。この写真の背丈からすると…
この写真が撮られたときに犬耳少女は小…1…それより小さいか…?となると今は中学生あたり…だと思う。
だがこの隣で手を繋いでいるこいつは?身長がこの
犬耳野郎より小さい…未就学児か。だとすると今は小学中学年か高学年あたりだな。こいつは特に変わった特徴はなさそうだ。こいつらの関係性はこの写真を見ると姉妹…ぽいが、髪色が全然違う。まぁここは後回しでいいだろ。…後ろからの写真だから顔の特徴が分からない。後は名前や学校などを突き止めなければ。
○学食○
「そーゆーことだったの。しずっち随分思い切ったことしたねぇ」
「ソウカナ…」
今しずくたちは、水萌ちゃん、光くん、そらくんとお昼を食べている。
「うん!俺らなんかクラスで浮いてるっぽいの何でなんだろーって前から思ってたんだけど…そいつら俺等のことなんて言ってたの?」
そらくんが無邪気な顔で言ってきた。
ぶっちゃけすごい言いづらいので黙ってしまった。
「あー…まぁそれはいいとして…その…桐生…さんは
何か言われなかったの?」
光くんが話題を変えてはくれたんだけど…
「ま、まぁしずっ、私は特に…何も…あー、全然呼び捨てで構わないよ、しずくで大丈夫。慣れてないし、」
「…それはちょっと…じゃあ…桐生」
「それも慣れてないけど……あっ」
…まぁ、それが一番いいかもしれない。
「…そういえば…あの女子二人も前からいじめっ子気質だったの?」
「しずっちが話した感じだと…多分あの二人は坂口と
…本杉だっけ?いじめっていうか、なんというか…」
「俺らのこと陰口言ったりしてたよー。まぁバレバレだったけどね。でもそれくらいじゃない?一番古田が酷かったから」
「ふーん…なんかしてこなければいいけどな」
「まぁなんかしてきても返り討ちにしてやろうね!」
「み、水萌ちゃん…笑顔で怖いこと言わないでよw」
「あ、なあ光、古田がしずくをいじめたときの証拠って先生に見せたの?」
「え?…あー…見せたは見せたんだけど…その…」
光くんはどこか浮かない顔をしている。
「…いつも古田はこういう感じだろ、桐生もそのうち慣れるだろとか言ってて…あと動画とか撮るの、隠し撮りになるからやめろって怒られた」
「え…」
「はぁ!?嘘でしょ信じらんない!あんなこと言ったのにありえねー」
「ごめん光…俺らも一緒に行けばよかった…」
「…お前は悪くねーよ」
「そう…だったんだ、ごめんね光くん、私が言い返せなかったばっかりに…」
「いやいや全然、大丈…夫」
「…光くん…?」
光くんの様子が変わった。その視線の先を追った水萌ちゃんとそらくんも、途端に目つきが変わった。
しずくもその先を辿ってみると…
古田がこっちを見ていた。正確に言えば、しずくを。
古田だけじゃない。…恐らく今学食にいる1組の人がほとんどこっちを見ていた。坂口と本杉もそこに混じっていた。
…あれ?
古田がこっちに歩いてきた。
読んでくれてありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!