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集合住宅ストラテジー  作者: 有折葉縁
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後ろをついてくる男の子

 周りのみんなは「玲奈はやっぱりすごい」とか、「生きてる世界が違う」とか、「私らの何年も先が見えている気がする」とか言ってくれているけど、私ほど視野が狭くて世間を舐め腐っているやつはいないと思う。

 私ももう二年生。普通ならそろそろ就職のことが頭をよぎって憂鬱になり始める頃だろうけど、今日も一日、進藤君にどんな試練を乗り越えさせようかなんて想像で頭がいっぱいだった。お花畑がすぎますね。

 だけど、そんな毎日が楽しくて仕方ない。もし、進藤君が私に愛想を尽かすようなことがあれば、私はどうなってしまうんだろう。完全には一致しないように授業履修を組むあの愛おしい姿を見れば、そんなことはありえないと理解はできるけど、心配は心配。そろそろ何かエサをあげるというか、変化が必要なのかもしれない。

 そういえば、彼は私から何か直接的に与えられることを喜ぶだろうか?一歩踏み込んだ関係になって、追いかけてくれなくなってしまったら困るから、今までプレゼントとか気持ちとか、何もあげたことがなかった。来月の誕生日、何かあげたら喜ぶかな?それとも困惑するかな?もしかしたら、誕生日を知っていたことに驚くかもしれない。

 そう考えると、最高に幸せな今の関係は、どれほど歪な形をしているんだろう。これだけ長く一緒にいて、「互いに誕生日を知らないというてい」をずっと保ち、本音を見せたことが一度も無いなんて。

 あぁ。それに、私が老いたらそれでも彼は追いかけてくれるだろうか。怖い。なんて恐ろしい人生だ。憂鬱な、大学二年生になりました。

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