超依存 学生生活
進藤渉、十八歳。誕生日は五月十四日。神田大学文学部社会学科在籍で、放任主義の井頭ゼミに所属。サークルにはまだ入っていない。無理して入学したせいで、理解力や文章力など脳のスペックは下の下。卒業研究とか、卒業後の進路のことは全く考えていない。理由は、小鷹がまだ決めていないから。もちろん小鷹……小鷹玲奈も同じ所属である。もっとも成績は上の上で、他ゼミ生からの信頼も厚い。
基本、大学でも僕は小鷹にべったりだ。あまりにずっと一緒にいたら真意に気づかれてしまうかもしれないから、あえて時間をずらしたり違う授業を履修することもあるけど、一日の全思考を百とすれば、五十くらいは小鷹のことを考えている気がする。
本人には全く怪しまれていない自信がある。だって、もしストーカーされているかもと疑っていたら、こんなに素敵な笑顔を浮かべることはないはずだろう?小鷹は聡明だが抜けている。そんな愛らしくて寛容な彼女のやさしさにつけこんで、僕の生活の中心にずっといてもらっている。幸せとは今この時のことだ。
もし、この関係性が変わるようなことがあれば、僕は簡単にこの命を捨ててしまうかもしれない。それほどに僕は小鷹以外の全ての他者に対して無関心で、恩知らずだ。