プロローグ 霊界と魔界
”人界の総て” ーーー著書ピリカ
第一節
ー今から約4000年前、世界を統べる者は大地を変動させ、人界を分断し霊界と魔界を創り出した。
霊界と魔界の間には、標高数千メートルの山、通称”暗黒山”が立ち並んでいる。
麓の地表からは暗黒霧と呼ばれるものが吹き出し、暗黒山と人界を丸ごと覆っている。
かつては世界に充満していた霊魔エネルギーは暗黒霧を境に、霊気と魔素に分かれた。
霊界側には、生気に満ち溢れた霊気が充満し、魔界側には、魔素だけが残った。
霊界は全体を暗黒山で囲まれ、麓には森が形成されている。霊気の影響で、木々は背が高く幹も太い。
そこには霊獣と呼ばれる生物が棲む。性格は温厚なものが多い。
少し内側に入ると、ポッサム川が流れ、その先に人々が住む大陸が広がっている。
大陸は中心にあるポッサム湖を囲うように、リュドーレン西方王国とハイド東方王国に分かれる。
魔界は未知の動植物が多く生息している。その多くは魔獣と呼ばれ、中には魔人と呼ばれる知能が高い人型の魔獣も存在している。
暗黒霧は、膨大な霊気と魔素が含まれており、霊気に対抗することのできない魔界の生物達は霊界へと足を踏み入れることすらできない。
仮に霊界へ到達できても、魔素が存在しない人界では、すぐにエネルギー切れを起こし消滅するだろう。
魔素に関して言えば、霊気のみを持って対抗することができ、魔界へ行くことも可能である。
しかし魔界にいる生物達は血中に魔素を取り込んでおり強靭な肉体と凶暴性を秘めていて、並の霊界の住人では到底対抗することができないとされいてる。
霊界と魔界とが分断されたことにより、世界の多くは謎に包まれたままである。






