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会者定離

作者: 不謎

もし、輪廻転生というものが出来たなら。

もし、違う種族の恋愛が存在するのなら。

そんなことを考えながら書きました。

初投稿なので、温かな目で読んでもらえると嬉しいです。

 僕たち生き物には、与えられた時間が違う。小さな輪の中を一生懸命に生きる生き物もいれば、その小さな輪を何周も出来るほどの大きな輪の中で生きる生き物もいる。人間は多くの生き物のうち大きな輪の中を生きてはいるが、もちろん人間よりも大きな輪の中を生きる者だっている。この世は、千差万別なのだから。

 これで何周目だろうな、待ち人よ。僕たちはこの世界の歴史をこの目で見てきた。刀を、銃を、そして、兵器を使って愚かな同種族の殺し合いをした時もあれば、幸せの文字すら知らない、ただ時間が去り行くままに生きていく時もあった。あの頃が恋しい。

 覚えているか、待ち人よ。初めて出会った時のことを。君は本当の姿を見た僕をすぐ殺そうとしたよね。仕方の無いことって今ではわかるけど。僕が君に一目惚れして言ってなかったらどうなっていたのか。君の驚いた顔、今でも忘れない。とても綺麗で、とても神秘的だった。

 なあ。待ち人よ。僕たちの輪が繋がる時は来るのだろうか。僕が眠っている間、いつも思うことがあるんだ。君が今どんな顔をしているのか、どれだけの泪を流しているのか。君はいつも僕に本当の気持ちを隠すのだから。僕が気付いていないとでも思っているのだろうな。いつも笑顔で看取ってくれてありがとう。

 さあ、だんだんと君の元に近付いて来た。今世の待ち合わせ場所は君の家だ。前に別れた時に知らされたんだ、君の輪がもうすぐ繋がることを。覚悟は出来ている。大切な人の最期を見届けることはとても幸せだ。だが、それと同じほどの悲しみもある。だが僕は君に絶対に見せない、君が僕にそうしたように。全然隠せてなくたっていい。全然隠せてないよって。酷い顔だって。君が笑ってくれればそれでいいんだ。こんなにも難しいことをいつもしていたんだね。

 彼女の瞳が閉じていく。僕は君を待たせすぎた。次は僕が君を待つ番だ。僕の輪が何周しようが、その度に僕は君の家に行く。君に会える確信なんてどこにもないさ。あるか分からないほどの可能性に、自分の人生を幾らでも捧げることが出来るのは、僕に君の人生を捧げてくれたから。僕は、彼女の手を両手で包み、震える声を必死に抑えてこう言った。

「また、ここで会おう。」


男は結局、彼女に出逢えたのでしょうか。

彼女にも、輪廻転生は出来るのでしょうか。

もし私がこんな恋愛をしたならば、待っている時の不安に押しつぶされてしまいそうです。そして、逢いに行く時に待ってくれているかの心配もしちゃいそうです。

きっとこの2人の愛の前には、ちっぽけなものなのでしょうね。


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