地球SOS 1
2022年。
地球は魔王に侵略される。
街中にモンスターが現れ、
各国の軍隊との激しい戦いを繰り広げる。
強い戦士を育てるために世界各国は
小学生の授業に剣と魔法を必修とした。
地球SOS!?
「明日から僕は小学一年生だ! 友達100人作るぞ! アハッ!」
道を歩いている佐藤蒼は小学一年生になる。
「ウワアアアアアー!」
ある日、何かが蒼の頭上に猛スピードで落ちてきて命中した。
(蒼。蒼。目を覚ませ。)
何者かが寝ている蒼に声をかける。
「ん? んん? ここはどこ?」
蒼は目を覚ます。
(ここは蒼の心の中だ。)
そこに一人の男性が現れる。
「僕の心の中? あなたはいったい誰ですか?」
(私は神ゼウスだ。)
現れたのは神ゼウスだった。
「神様!?」
(そうだ。私は神だ。)
神に驚く蒼。
「どうして神様が?」
(このままでは地球が魔王に支配されてしまう。それを阻止するために私は人間界にやって来た。私の体は人間界にはないので、蒼、おまえの体をいざという時は貸してほしい。)
神様は蒼の体が狙いだった。
「いいですよ。よく分からないけど、これも地球の平和のためです。アハッ!」
(ありがとう。蒼。なんて純粋で素直な子なんだ。)
蒼は深く考えずに神に憑依されることを了承した。
(お礼に天使を遣わそう。)
「天使?」
(蒼、地球の平和は君にかかっている。さらばだ!)
こうして神様は去って行った。
「ふあ~! よく寝た。」
蒼は道端で寝ていた。
「あれ? 神様がいない。夢でも見ていたのかな?」
首を傾げる蒼。
「夢な訳ないでしょ!」
女の声が聞こえる。
「へ、へ、へ、変な小さなぬいぐるみが喋った!?」
蒼は浮いている小さな女おこのぬいぐるみに驚く。
「失礼な! 誰が変な小さなぬいぐるみよ!」
「なら呪いのぬいぐるみ?」
「そうです。私は呪いのぬいぐるみです・・・・・・違う! 私は天使です! 私の名前は天使エルエルです!」
ノリツッコミできる天使エルエルが現れた。
「神様に言われたでしょ! 天使を遣わすって!」
「おお。そういえば。」
蒼は夢の中の神様の言葉を思い出した。
「でも、どう見ても堕天使って感じだよな。」
「堕天使言うな! これでも私は立派な天使です! エッヘン!」
自尊心の高い手のひらサイズの天使エルエル。
「じゃあ、そういうことで。」
「こら! 逃げるな!」
逃げだす蒼。
「私は神様にあなたの面倒を見るように言われたんだから離れませんよ! どこまでもついていきますよ!」
「ついてくるな! こいつやっぱり堕天使だ!」
「堕天使言うな! 私は天使だ!」
こうして蒼とエルエルの共同生活が始まった。
「蒼、明日からおまえも小学生だな。」
入学式前日。蒼の家では家族団らんな夕食が行われていた。夕飯はすき焼きである。蒼の家族は父、母と蒼の3人家族だった。
「蒼も大きくなったものね。」
蒼パパと蒼ママは蒼の成長を喜んだ。
「これもお父さんとお母さんのおかげです。アハッ!」
蒼は優しい両親の愛情をいっぱい受けて育てられた幸せな家庭の子だった。
「蒼、ご飯をもっと食べる?」
「はい! ごはん、おかわり!」
「いっぱい食べて大きくなるんだぞ!」
蒼の毎日の幸せな夕食時だったが何か違和感があった。
「私もお代わり!」
食卓に見たこともない小動物が紛れ込んでいた。
「蒼、となりいるのは誰?」
「堕天使。」
「堕天使言うな! 初めまして私は天使のエルエルです。神様の命令で蒼の面倒を見ることになりました。これから一緒に暮らしますので、蒼パパ、蒼ママ、よろしくお願いします。アハッ!」
エルエルは自己紹介する。
「・・・・・・。」
一瞬時間が止まり見つめ合う蒼のパパママ。
「警察に電話しよう。それとも保健所に引き取ってもらおうか?」
「天使を通報するな!」
常識人間の蒼パパ。
「ダメよ! エルエルちゃんが可哀そうでしょ!」
「おお! 蒼ママ! 優しい!」
天使エルエルは蒼ママの母なる愛に感動する。
「ネットオークションに出すのよ! 超レアな天使だから1億円ぐらいになるんじゃない! キラーン!」
「やめてー!」
家計の足しにしたかった蒼ママ。
「・・・・・・。」
エルエルを見つめる蒼のパパママ。
「道端にモンスターがいる時代だ。天使がいても不思議ではない!?」
「きっと誰かが捨てた天使ね。食費が一人分上がってしまうわ!?」
捨て犬、捨て猫に続く、捨て天使を飼うか飼わないか真剣に悩む蒼パパママ。
「神の使徒の私を何だと思っている! この罰当たりどもめが! エンジェル・キッス!」
自己利益ばかり追求する人間に怒り爆発した天使エルエルは蒼のパパママにキスする。
「エルエル。蒼をよろしく頼むよ。」
「エルエルちゃん、ご飯をいっぱい食べてね。はい。大盛りよ。お供にノリや梅干しもあるわよ。」
「ありがとうございます。こちらこそよろしくです! アハッ!」
一瞬で蒼のパパママの態度がエルエルに友好的になった。
「フン。最初からこうしていれば早かった。ご飯、美味しい! アハッ!」
エルエルは満足そうにご飯を食べる
「おまえ!? 僕のお父さんとお母さんにいったい何をしたんだ!?」
事態が把握できずに天使エルエルを疑う蒼。
「素直に私を受け入れるように洗脳しました。アハッ!」
「洗脳!?」
そう。蒼のパパママは天使エルエルにキスされることにより、天使エルエルを受け入れるように洗脳されたのだった。
「やっぱり、おまえは天使じゃない! 堕天使だ!」
「堕天使言うな! これも天使の特権です! これで平和にご飯が食べられる。アハッ!」
天使エルエルは美味しそうにご飯を食べ続けるのであった。
「今日から僕は小学生だ! がんばるぞ!」
蒼は小学校の入学式を迎える。
「蒼、小学校入学おめでとう。」
「ありがとう。エルエル。」
天使エルエルも蒼の小学校入学を祝う。
「さあ、私も入学式の礼服に着替えなくっちゃ。アハッ!」
「え!? エルエルも入学式に来るの?」
「もちろんです。神様の命令ですからね。蒼の行く所、私もいるのです。アハッ!」
「大丈夫かな? 何事も起こらなければいいけど。」
天使が入学式に出席することに心配な蒼。
「大丈夫ですよ。ランドセルにぬいぐるみとしてついていきますから。」
「やっぱりぬいぐるみじゃん。」
「大丈夫です。なんてったって私は可愛い天使ですから! アハッ!」
絶好調の天使エルエル。
「それに神の使徒である私に歯向かう者がいたら全員洗脳してやります! ギラーン!」
「おまえ、本当は堕天使だろ。」
「堕天使言うな!」
こうして入学式に臨む蒼であった。
「新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます。私が好調の渡辺です。校長とは偉いのです。」
入学式が始まった。校長先生の自分は偉いという長い話が始まった。
「退屈だな。早く終わらないかな。」
椅子に座っている蒼は馬の耳に念仏状態で校長先生の話など聞いてはいなかった。
「あんな大人にはなりたくないよね。」
「そうですね。」
蒼の隣の男の子も校長先生の長い話にうんざりしていた。
「俺は鈴木樹。よろしく。」
「僕は佐藤蒼。こちらこそよろしく。」
蒼は樹とお友達になった。蒼のお友達1人目。
「僕は地球の平和のためがんばります!」
「俺も世界一の剣士になってみせるぞ!」
「樹くん。お互いにがんばろう!」
「おお! 男同士の約束だ!」
蒼と樹はお互いの夢を語り合った。
「私は世界一の魔法使いになるわよ!」
そこに樹の横の女の子が蒼たちに声をかけてきた。
「私は高橋詩。よろしくね。」
「僕は佐藤蒼。高橋さんよろしく。」
「俺は鈴木樹。よろ。」
蒼は詩ともお友達になった。蒼のお友達2人目。
「で、この子が田中笑よ。私の友達なの。」
「キャアアアアア!?」
詩が自分の隣に座っている女の子を強引に引き寄せ蒼たちに消化する。
「笑、自己紹介しなさい。」
「た、田中笑です。よ、よろしくお願いします。」
「僕は佐藤蒼。よろしく。」
「俺は鈴木樹。よろ。」
蒼は笑とお友達になった。蒼のお友達3人目。
「この子。大人しくて少し引っ込み思案なの。」
「詩。おまえが怖いから笑がビビってるんじゃないか?」
「いじめ反対!」
「なんですって!? 誰もいじめなんてやってないわよ! ウッキー!」
仲良しになった蒼、樹、詩。
「や、やめて。あ、暴れないで。」
笑の小さな声は蒼たちには届かない。
「大丈夫?」
「え? う、うん。だ、大丈夫。」
笑の隣の男の子が声をかけてくる。
「私は伊藤朧。よろしく。田中さん。」
「こ、こちらこそ。よ、よろしくお願いします。」
笑と朧はお友達になった。
「ああー! 私の笑に気軽に声をかけるな! この俗物が!」
「わ、私は詩ちゃんのものでもないよ!?」
笑と話している朧に歌が気づいて嫉妬している。
「俗物って・・・・・・何?」
小学一年生の蒼には分からない。
「それでは私の話は終わります。」
校長先生の長い話が終わる頃には蒼たちは仲の良いお友達になっていた。それほど校長先生の話は長くて面白くなかったのだった。
「それではホームルームを始めます。私が皆さんの担当の山田です。よろしくお願いしますね。」
「は~い!」
1年2組の担任の山田先生。山田先生は普通の小学校の先生である。
「今年から学校では国語、算数、英語だけでなく、剣と魔法も勉強することになりました。」
「やったー!」
勉強が嫌いな子供たちは大喜びである。
「それでは教科書を渡すので、しっかり予習してきてね。」
「ええー!」
やっぱり子供なので勉強は嫌いなのだ。
「それでは今日のホームルームを終わります。皆さん、さようなら。」
「先生、さようなら。」
こうして小学校初日は終わった。
「よし! がんばって地球を守れる勇者になるぞ!」
学校からの帰り道、蒼は燃えていた。
「ああ~! 退屈だった。ぬいぐるみのフリをして動けないのも体に悪いわ。学校の全員を洗脳しようかしら?」
天使エルエルはぬいぐるみの気持ちがよく分かった。
「やっぱり堕天使だ。」
「堕天使言うな! 私は立派な天使です! アハッ!」
息のピッタリな蒼とエルエル。
「キャアアアアアアー!」
その時、一般人の悲鳴が聞こえてくる。
「何があったんだ!?」
「蒼! 行ってみましょう!」
「いや。怖いのでお家に帰ります。さようなら。」
ビビって逃げだす蒼。
「こら! 逃げるな!」
「嫌だ! 僕は死にたくない! 離せ! 僕は逃げるんだ!」
「蒼! あんたは地球を守る勇者になるんでしょ!」
「ギャアアアアアアー!」
蒼は逃げ出した。しかし天使エルエルに捕まって事件の現場に連れていかれる。
「これは!? モンスター!?」
町にスライムやゴブリンが溢れていた。
「キャアアアアアアー!」
人々は恐怖して逃げ出していた。
「俺の名前はバエル! 人間なんて皆殺しだ! ワッハッハー! いけ! モンスターたち!」
魔王の手下の悪魔バエルがモンスターを引き連れて現れて、町を破壊し人々を襲って暴れていた。
「警察はどこだ!? 自衛隊はまだ来ないのか!? キャアアアアアアー!」
人々は自分では戦わないで、困った時は他人に責任を転換する。
「さあ! 戦いなさい! 蒼! あなたは地球を救う勇者になるのです!」
「バカ言うな!? 小学一年生の僕に死ねというのですか!?」
「その通り!」
「やっぱりおまえは堕天使だ!」
「堕天使言うな!」
小学一年生と天使の仲の良い会話である。
「スラスラ!」
「ゴブゴブ!」
蒼はスライムとゴブリンに笑われながら囲まれた。
「ギャアアアアアアー! ミンチにされる!? お父さん! お母さん! 僕を産んでくれてありがとう! 先立つ不孝をお許しください!」
蒼は死を覚悟した。
「長いセリフだな。おまえ早く死ねよ。さもないと神様が出てこれないだろうが。」
「え?」
「スラスラ!」
「ゴブゴブ!」
「ギャアアアアアアー!」
蒼はスライムとゴブリンの一斉攻撃を受けミンチにされた。
ピカーン!
その時、蒼の体から光が溢れ出す。
「スラ!?」
「ゴブ!?」
一瞬でスライムとゴブリンが溶けた。
「なんで小学生なんかを私の体に選んだのか? これも運命か。エルエル。しっかり私の体を守れよ。」
「はい。ゼウス様。」
蒼の体から神ゼウスが現れた。見た目は蒼のままである。ミンチにされた蒼の体は元に戻っている。
「なんだ? おかしな人間がいるな。子供か。まあ、いいだろう。このバエル様が直々に殺してやろう! 俺は悪魔だが光魔法が使えるのだ! 有難く死ぬがいい!」
まだバエルは神ゼウスの存在は知らない。
「くらえ! ちびっ子! これが俺の光魔法だ! ライト!」
光魔法でバエルが蒼を攻撃する。
ドカーン!
バエルの光魔法が蒼に命中する。
「人間界は魔王様が支配するのだ! ワッハッハー!」
楽勝に高笑いするバエル。
「滑稽な。悪魔が光魔法を使うとは。さらに神に光魔法を放つとは。」
しかし爆発の煙が晴れてくると中から普通に立っている蒼が現れた。
「なに!? あのガキは化け物か!? 信じられん!? たかが人間如きが!?」
予想外の出来事にパニックになる悪魔バエル。
「愚かな。相手を攻撃すれば、相手に反撃する権利を与えるということを知るがいい。神に歯向かったことを悔やむがいい。神サンダー!」
ゼウスは雷魔法のサンダーの神様バージョンを放つ。マジ神である。
ゴロゴロピッシャンー!
空が曇り暗雲が立ち込め、悪魔バエルを目掛けて稲妻が雷鳴と共に降り注ぐ。
「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」
悪魔バエルに雷が命中。バエルは真っ黒に焦げながら魔界に撤退していく。
「神である私が負けることはないのだ。」
「さすが! ゼウス様! 宇宙一!」
よいしょを忘れない天使エルエル。
「だが子供の体では長時間は人間界では活動できないみたいだ・・・・・・。」
力を使い果たしたゼウスは消えてしまい、気絶している蒼が道端に倒れ込む。
「ゼウス様!? どうしよう? 動かない?」
心配する天使エルエル。弱い天使の力では蒼を運ぶことはできなかった。
「zzz。」
幸い蒼は神ゼウスの力で傷一つないのであった。
つづく。
1年2組
佐藤 蒼 剣士
鈴木 樹 剣士
高橋 詩 魔法使い
田中 笑 回復職
伊藤 朧 剣士
1年2組
井上 楓 魔法剣士
木村 築 魔法
林 空 魔法
斎藤 蛍 魔法
清水 心 魔法
校長 渡辺
購買のおばちゃん。 山本
保健の先生 中村
剣の先生 小林
魔法の先生 加藤
悪役で教頭。吉田
担任の先生。山田
VR全否定の普通の授業の先生。佐々木
掃除のおっちゃん。山口
給食のおばちゃん。松本
神ゼウス
天使エルエル
蒼パパ
蒼ママ
魔王シュベルト
悪魔バエル 光魔法
悪魔アガレス 地震
悪魔ウァサゴ 暗殺
悪魔ガミジン 召喚