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【コミカライズ!】気弱な令嬢と追放殿下のイチャイチャ領地経営! ~一途で可愛い婚約者を、わたしが一流の領主にしてみせます!~  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第一部第五章 アリサとアレクの対決

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第1話 新たな危機は……アレク様自身

異世界ラブコメ『やり直し悪役令嬢は、幼い弟(天使)を溺愛します@COMIC』の連載がニコニコ漫画やピッコマで開始です! 同じ世界観の『追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる@COMIC』の単行本も発売されました。


最新短編『婚約破棄されました。でも、優しくてかっこいい幼なじみ執事と結婚することにしたから幸せです!』もなろうにあります!

 無事、ニーノルスクとの交渉は終わった。


 ニーノルスクからアルハンゲリスクに戻り、港の船着き場に近づく。


 船着き場には、アレク様、エレナやアナスタシアさんが並んでいた。


 こちら側も、フェリックス君はもちろん、バラキレフさんも体調は全快して帰ることができた。


「アリサ!」


 わたしが船から降りるのとほぼ同時に、アレク様がわたしを抱きしめようと両手を広げ……それから、みんなが見ているせいか、ためらってやめてしまった。

 

 だ、抱きしめてくれても良いのに……。

 わたしが小声でそう言うと、アレク様は顔を赤くした。


「いや、でも……」


 アレク様はきょろきょろと周りを見回した。

 みんな……エレナもアナスタシアさんも、真面目そうなバラキレフさんまで、にこにこしている。


 フェリックス君もにやけながら言う。


「そんなことを恥ずかしがっていてはダメですよ、殿下。抱きついてキスしてもいいぐらいなんですから」


「そ、それを人前でするのは……照れるな」


 アレク様はそうつぶやいた。わたしはくすっと笑う。


「人前でなかったら、してくれるんですか?」


「も、もちろん……」


「キスもですか?」


 アレク様はますます頬を赤くした。わたしたちはキスをしたことなんて一度もない。


 何も言わず、突然、アレク様はわたしを抱きしめた。

 ぎゅっと大きな手で力強く抱きしめられ、わたしはどきりとする。エレナたちが「おお!」とどよめく。


 み、みんな面白がってる……!

 でも、すぐにわたしの意識は目の前のアレク様に引き戻された。


「無事で良かった。それに、これで……」


 アレク様がわたしの耳元でささやく。少しくすぐったい。

 でも、それよりも嬉しい気持ちでいっぱいだ。


「はい。アレク様は……アルハンゲリスクの辺境伯でいることができます」


 スターリング連合王国からの借金を返還する目処が立った。おかげでわたしたちはアルハンゲリスクと港を失わずに済んだし、つまり、わたしとアレク様は一緒にいることができる!


 問題はすべて解決したんだ。アレク様の身体の温かさを感じながら、わたしはそう思う。

 そのとき、船着き場に一人の男性が現れた。


 スターリングの商人クライブだ。慌てて、わたしとアレク様は互いから離れた。

 彼は不気味な笑みを浮かべていた。わたしたちをはめて、アルハンゲリスクの港を奪おうとした張本人だ。


 何をしにきたんだろう?

 わたしは身構えた。


「いやはや、ニーノルスク共和国からの資金の借り入れに成功したとのことで、おめでとうございます」


「ええ。あなたの狙いは外れましたね」


「残念ながら、今回は諦めることにいたしましょう」

 

 クライブの計画はうまくいかなかったとはいえ、損をしたというわけでもない。わたしたちに貸し付けた資金は全額戻ってくる。


 とはいえ、あまりにもあっさりと諦めるというクライブの姿勢がわたしには不気味だった。

 アルハンゲリスクの港を手に入れることが、クライブたちの第一目標だったはずだ。「今回は」諦めるということは、まだ他に策があるのかもしれない。


 警戒していると、クライブはアレク様に近づき、そっと何かを耳打ちした。アレク様は最初は平然とした顔で聞いていたが、突然、顔色を変えた。

 

 アレク様の顔は……青くなっていた。

 ど、どうしたんだろう?


 問題は解決したはずなのに、何が起こったんだろう?

 クライブはにやりと笑うと、今度はわたしの方をちらりと見た。


 妙に優しげな表情だ。


「アリサ様は立派な方ですね。お若いのに、一人でニーノルスクとの交渉を成立させました。勇気も決断力もある方です」


「そ、そんなことは……ありません」


「いいえ、アリサ様は十分に聡明です。そうであれば、もしアリサ様がアルハンゲリスクの女辺境伯となったとしても、アレクサンドル殿下よりも良い統治ができるでしょう」


「え?」


「あなたは一人でも領主としてやっていけるのですよ。それなのに、なぜ、無力な上に王国政府から疎まれている王子とともにいる必要があるのです?」


「そ、それは……わたしはアレク様の婚約者ですし、アルハンゲリスクの領主はアレク様です!」


「なら、その事実を変えれば良いのです」


 不穏なことをクライブは言った。アレク様はそれを笑い飛ばすかと思いきや、暗い顔でわたしとクライブを見比べている。


 クライブはそのまま去った。でも、アレク様の顔色は晴れなかった。


「アリサ……悪いけど、寝室に来てくれないか。二人きりで話したいことがある」


「は、はい……」


 わたしは不安になった。いったい、何が起きているんだろう?


 確かに一つの危機は去ったんだ。

 

 けれど、それが新しい問題につながるとは……ある意味では最大の危機になるなんて、思いもしなかった。

二度目ですが、おねショタ異世界ラブコメものの『やり直し悪役令嬢は、幼い弟(天使)を溺愛します@COMIC』の連載がニコニコ漫画やピッコマで開始です!


同じ世界観の年の差ラブコメ『追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる@COMIC』の単行本も発売されました。


最新短編『婚約破棄されました。でも、優しくてかっこいい幼なじみ執事と結婚することにしたから幸せです!』もなろうにあります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 一筋縄ではいかないですね… 次はどんな難問なんですかね…
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