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会津遊一 ホラー短編集

事故と友人

作者: 会津遊一
掲載日:2009/07/22

 「この交差点って、昔から交通事故が多いらしいぜ」

 「こんな見晴らしの良い所でか?」

 「ああ、何故だか人の方から、飛び込んでいくらしい。もしかしたら、呪われているのかもな」

そう笑いながら友人は言っていた。

だが、どう見てもこの辺りには視界を邪魔するようなモノは何もない。

遠くの方を走っている車だって、ちゃんと確認できていた。

 「あ、信号変わっちゃったよ。急いで渡ると危ないから次にしようか」

確かに、チカチカと赤や青が点滅し出していた。

走れば間に合う気もしたが、友人が言うので、そうすることにした。


何気なしに電柱を見ると、変色した錆のような跡を見つけた。

車が激しく衝突した事があるらしく、生々しい擦り傷も残っている。

その足下には壊れたサイドミラーの破片が飛び散ったりしていた。

かなり大きな事故だったのかもしれない。

 「なんだ、あれ?」

ふと、何かに気が付いた友人が道路を指さした。

見ると、歩道の白いラインの上に赤黒いシミのようなものがあった。

雨で流されて随分と色落ちしているみたいだったが、まだ微かにその面影が残っていた。

 「あれって、もしかして血文字じゃないのか?」

友人の言葉に背筋がゾッとした。

確かにそう見える。

いや、そう言われたからか、もう血文字にしか見えなかった。

もしかして交通事故にあった人が、最後の力を振り絞って書いたのかもしれない。

 「でも、ここからじゃ霞んでて読めないか。もう少し近づいてみようぜ。なんて書いてあるか気になるだろ」

 「そうだね」

そう言いつつ、シミに顔を近づけて確認しようとした。

刹那、骨が軋むほど強い力で誰かに肩を掴まれたのだ。

そして、目の前を大型のトラックが走り去っていった。

 「君、1人で何をやっているんだ。ボーッとしたら危ないじゃないか!」


初めは怒鳴られている理由が分からなかった。

だが、状況を説明されると、次第に自分が何をしたのか理解できていった。

どうやらフラフラと1人で歩いていた所、突然道路に飛び出そうとしていたらしい。

そして、すんでの所を助けられたようだった。

そんな記憶は無いのだが、足取りが怪しかったから気になったんだと、助けた人は言っていた。

 「そういえば昔も、そうやって死んだ奴がいたっけな。ただ、その時は、周りに人がいても誰も助けなかったらしいが」


とりあえず、ありがとう、とお礼を言って頭を下げた。

助けてくれた人は気にするなと言い残し、何処かに行ってしまった。

最後にあの血の跡を確認すると、此方を悔しそうに睨んでいる友人の顔にも見えたような気がした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 会津遊一先生のホラーは怖いですねー。 アイデアも展開も文章も、なるほどと唸らされます。特に『らしい』表現をしているワケではないのですが、しっかり怖く感じられるところはさすがですね。 お手本に…
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