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トリスの裏日記  作者: 春生まれの秋。
2/5

ベリアルさん、お見事です ①

前回、注意書もしましたが、分からない方は、リターンでお願いします。

分かる方にお伝え出来れば良いのです。


1、


 私の最初のライバルと言えば、誰あろう、この方だろう。

 私に、『悪』の権化として、『交渉の余地の無い悪人』たる姿を示してくれた、魔神ベリアルさんである。

 極寒の北の大地で、相対した彼は、とても尊大で、ふてぶてしくて、しかし、悪のカリスマに溢れた方だった。『悪い事を悪い事として、楽しんで行う』という、存外難しい事を平然と出来てしまえる、圧倒的な『悪』の塊にして、帝王。そして、何より、その事に対する理念が、強固で揺るがない、そんな黒い輝きに満ち満ちている存在だ。



 彼は、カイル君によって、二度と帰って来れない様に、『真の死』を与えられた…筈だった。

 氷の奥に閉ざされた神殿に眠る女神により、魔神ベリアルに『真の死』を与える能力を授けられた私達は、確かに、魔神ベリアルに、止めを刺した。

 これは、揺るがない事実。



 ・・・なのだけど・・・



 彼は、ただ素直に自分の消滅を受け入れて、自分を諦める様な、そんな生易しい精神構造をしていなかった。彼は、とても粘り強く、自分らしく自分を存在させようとする、しぶとさがあった。自己の尊厳に対する絶対的なプライドと、悪として君臨する事への渇望があった。どうにか此処に残れないかと、根気強く方法を探す、見事なまでの、ハングリー精神の持ち主だった。




 どういう事なのか、と言うと。



 ここからが、禁忌に触れる、厄介な事態、と言うことになるのだが。



 実は、ハイルランドを含む『この世界』には、時空や次元、時系列が沢山ある。『幽世を含む世界』の他にも、外があり、多重に、かつ、多次元に存在するのである。パラレルワールド、と考えて貰えば分かりやすいかも知れない。

 そして、恐ろしい事に、その中を自在に行き来できる存在すら、いるのである。


 そういった超常的かつ、管理者の手すら離れて存在する、ソレ。


 その一つが、デウスライナーである。

 アリ君と付き合い始めた当初、幽世に潜る際、愛しいトロメア(パンドラ)を託した存在でもある。

 私が、彼等デウスライナーの関係者と繋がりを持てた一件こそ、消滅の間際にあった、魔神ベリアルさんの起こした事件なのである。





 





 その日、私達は、王国自由都市ケルバーの南門前に鎮座する、カイル君の実家、湧水亭に呼び出されていた。

 呼び出した相手は、酒場のマスターこと、カイル君のお父さんである、アーサガ・オニッツさん。

 集った相手は、私、トリスティーファ・ラスティンと、私の軍師アリス・トートス、戦友カイル・オニッツ、アーサガさんの盟友(?)マリオン・アウルム・ダグラス2世さん、野次馬に来た、友人の、アルヴィン君にリースさん、クレアさんに、教皇庁からの出向人エステルさん、更には、当時ふらふら遊んでた魔神ケロロさんである。

 多分に戦力過多なのだが、事は簡単ではなかった。

このメンバー構成にも、実は問題があるのだ。



まず、一神教を社会システムの軸に組み込んでいる(真教が生活・文化に根付いている)ハイルランド文明下において、教会という組織は、国を越えて権威を持つ組織である。そのため、真教の中に派閥はあれど、神とは、唯一神アーであり、それ以外に神は居ない、他の「神」は、「魔神」であり、それを信仰するのは、異教徒である。

つまりは、ハイルランドという地域は、『異教徒=悪』が、スタンダードな社会なのである。

それを踏まえると、教皇庁から出向している(異端審問官である)エステルさんと、魔神であるケロロさん(←ある種の超常的な力を持っている上位生命体)は、本来敵対関係にあるはずである。

そして、『真教』という一神教以外の宗教を認識し、他の地域の文化圏において、『真教』以外の宗教の神様も、『神様(←人には出来ない力を持っている、何らかの力の権能を有している、崇める対象である、等)』として敬意を払っている私も、教皇庁という組織からは、異端と見なされる事が多い。…私は、誇張無しに、唯一神アーを『神様』として信仰しているし、教皇様を敬っているし、宗教活動をしている教会の神父様・シスターにも敬意を払っているし、聖書(ここでは『真実の書』)の教えを守っているのだが。何故だか、教皇庁という組織との相性は、悪い。

剣聖卿のマリオンさんも、あまり教皇庁との関係はよろしくないらしい。


本来ならば、このメンバー、結託してはならないのである。



・・・真教的には・・・。




 集った面々を、アーサガさんは、酒場の奥の、秘密の小部屋に案内した。

 この小部屋は、やはりちょっと特殊な小部屋である。現世にして、アーサガさんの領域に当たるのだ。アーサガさんには、異階(異怪・異界などの場合もある。)からのお客様や、異階へのお出掛けもあるらしい。その対応の為の『おもてなしの部屋』であり、準備の為の部屋でもあるこの部屋は、入った本人が持つ育っている分の潜在能力を解放する効果がある。勿論、代償はかかるが。これから私達は、その『アーサガさんちの秘匿された小部屋』で、待っているお客様に、お会いする事になるのだ。

 暫く湧水亭で生活していたから分かる、その特異な現状からして、ただ事では無い『何か』があることは確かである。

 私は内心緊張しながらも、扉をくぐった。



 部屋の中では、優雅に紅茶を嗜む、実に姿勢の良い、初老の男性が待っていた。


 彼は、私達が入室したことに気付くと、カップを持ち上げ、大きく香りを楽しんだ後、こちらを眺めてから、ゆっくりとアーサガさんの方を見やった。

 アーサガさんは、それを受けて、一つ頷いた。


「では、紹介しよう。彼は、刻の運航を管理するデウスライナーのオーナー。今回の依頼人だ。」


 アーサガさんの紹介を受けて、満足気に立ち上がると、彼は慇懃に頭を下げる。


「どうも。私が、デウスライナーのオーナーです。」


 こちらを油断なく観察する、超越者の視線だった。




 彼からの依頼は、本来、アーサガさんにと持って来られたモノだったらしい。

けれど、


「自分はただの酒場のオヤジだヨ。戦士を引退した俺は一般人だぜ?」


という、アーサガさんの説得力の無い戯れ言の様な主張により、私達へと紹介がなされた、と言うのが、今回の召集の表向きの由来である。

 では、真実は、というと。

 私、カイル君、アリ君に因縁の深い魔神ベリアルが、消滅の間際に悪足掻きして、刻の列車をジャックしたから、責任をとって何とかしなさい、という身も蓋もない事情だった。


 私達3人はそれで良いとして、野次馬以外のエステルさんは、教会の戦闘職の者(異端審問官)として、「異端は滅する」という信念の下、異変を察知しての参戦。


 マリオンさんは、偶々アーサガさんと一戦しようと立ち寄ったら面白そうな事件が起きていると面白がっての参戦。


 魔神ケロロさんは、


「そろそろ我輩も魔神として活動しないと、魔神会議での立場が悪くなるでありますからなぁ。蹴落とせそうな奴がいたら、蹴落としてやるでありますよ。我輩、我が身が可愛いでありますからなぁ。チャンスは逃さないのであります♪ケロケロリ。」


と、いう理由での参戦らしい。



 尚、宿敵であろうエステルさんとケロロさんは、


「目の前にある倒せそうな奴をやっつけるまではひとまず休戦であります。敵は強大でありますからな。」


「そッスね。ひとまず手を組むのも、戦略の内ッス。」


と、利害が一致した様で、停戦中という状態である。

私から見ると、この二人は、『敵対』という寧ろ、『気の合う相棒』の様な緩い空気を醸し出している様に見える。お友達を作るのが苦手な私には、すごく仲良しな間柄に見えるのである。




・・・羨ましい・・・。





この『トリスの裏日記』、エイプリルフールネタだと思いましたか?

違いますよ~?

単に、私の執筆が進まないのです┐('~`;)┌

この1ヶ月、ちっとも時間が作れなかった、不甲斐ない自分が悔しいです。

が、無理はしない予定です。

現実生活、大事ですし。




でも、諦めない為に、メッセージをくれても、良いんですよ~?(←さみしんぼの戯言)


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