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振りかざした正義の行方  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 僕が僕であるために望んだもの
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謎の文言

僕が変われたのは、間違いなくその言葉のおかげだ。

だから、今の僕がある。

家族との距離も元通りになったし、極少ないが友人関係の構築も出来るようになった。

皆には、感謝しかない。

チャット欄に打ち込まれた文章。

簡潔に終わっていて、何を伝えたいのかが分かりやすい。



「じゃ、そろそろ落ちる。」



「まったねー!」



「お疲れ様です。」



「また次な。」



**********


非常にすがすがしい気持ちで、朝の準備をする。

正しい時間に起きて、朝ご飯を食べ、歯を磨き、服を着替える。

妹の美帆も現在進行形で、同じ動作を取っている。

キッチンの方では、母さんが洗い物をしている。

父さんが出ていく時間は、僕と妹より早いので、この時間に会うことはまずない。



「どうしたの?お兄ちゃん。なんかご機嫌だね。いいことでもあった?」



「ああ、パーティーメンバーの実情を深く知ることが出来たと思う。これはもっとより良い方向に行くためのチャンスに違いない。」



「そう笑顔だとなんか不気味、、、無理して笑ってない?」



「無理なわけあるか。人生で一番の時間と言ってもいい。」



妹と二人で話し込んでいると、横から母さんの言葉が通過する。



「元気なのはいいことよ。でも、自分に素直にね。思ってることは、はっきりと吐き出せばいいし、我慢はしちゃだめ。」



「二人そろって、、、いいよ。大丈夫。」



多少の動揺を隠すために、腕を大きく振る。

その腕が思いっきり、飲み物の入っているコップに当たってしまった。

お茶がこぼれる。



「ああ、もう何やってんの、、、」



「ほら、無理してそうじゃん、、、」



母が濡れてしまったところを片付ける。

いつも机に置いてある新聞紙が、変色していた。



「、、、後で読もうと思ってたんだけどな、、、」



母が名残惜しそうにしている新聞を見る。

そこには、大きな見出しで、こう書かれていた。



未だ犯人の行方分からず

未明深夜都心外れの一軒家でその事件は起こった。被害者は四名で全員死亡。遺体の損傷が激しく男女の判別不明。表札から被害者家族の苗字は小林と判明。凶器と思われるものについては不明。洗面所の脱衣かごの中から血痕が見つかっており、この家のものではない服の繊維が確認された。また、被害者家族所有のパソコンの電源が入ったままになっており、そこには謎の文言が残されていた。以下がその文言である。



人生という物は、一生に一度きりのもの。

一度無くせば、もう戻ってこない。

それが、不慮の事故だろうと確定した未来だろうと関係ない。

死というのは、避けられないもので、誰にでも等しく訪れる。

違いがあるとするならば、それぞれの死因であったり、それぞれが何故死のうと思ったかの違いだろう。

また、立場という考え方もあるだろう。

死をもらう側。

死を与える側。

これでも、見方が変化してくる。

どちらが善で、どちらが悪なのか。

当人たちにしか分からない。



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