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振りかざした正義の行方  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 僕が僕であるために望んだもの
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笑えばいいよ、それだけで世界は明るくなる

四人のリアルで何をしているかについての会話は、とても有意義な時間だった。

各々が言いたいことや考えていることを出し合い、より本心を深く知ることが出来てきた。


「私は、リアルでは学生やってまーす。普通の高校生で至ってどこにでもいる奴です。うん、、、これだと面白くないな。そうだね。強いて言うなら、両親の中がめちゃくちゃ悪いかな?喧嘩ばかり。だから、ここでゲームしてる時間が楽しいって感じ?」



「じゃあ、次は私ですか。私は、、、大学生かな。そこまで頭のいい大学ってわけでもないよ。何て言えば、、名ばかりの大学生?ちゃんと、大学には行ってるし、授業も受けてはいるんだけど。友達がいない、、私がゲームしてるのは、ある意味でそこを補完するためなのかも、、、実際、リアルでも多少は喋れるようになったし、、、」



「俺も大学生だな。授業も聞いてて、楽しいし、友達も結構多い方か。今の暮らし方とか、生活に関して、何も不満はないよ。というと、皆より恵まれてるって思うかもだけど、まぁ、一つはあるかな。それに俺がゲームしてる理由も係ってくる、、いい意味で平凡なんだよね。それはいいことだって思うかもしれない。だけど、一度きりの人生じゃん?何かしたくない?なんかこう思いっきりね。」


話せば、話すほど出てくる話題の数々。

皆が悩み、それぞれに違うものを持っている。

悩んでいるのは、自分だけではないんだ。

当たり前のことだが、思い知った。



「ほら、はやくラストラスト。」



「お願いします。」



「トリだ。大トリ。」



自らのことを語り終えた三人が視線を一点に移す。

最後は、僕の番だ。



「僕は、僕には、、、ゲームしかない。他には何もないし、それ以上も望まない。ここは、皆ゲームだって言う。確かにそうだ。それは間違いない。でも、僕にはその意味以上の言葉がある。ここは、もう一つの世界だ。住んでいるのは、コンピューターが作り出したキャラクターじゃない。ちゃんと、自我がある。元の世界なんてなくてもいい。ここだけで十分だ。」



他の三人とは毛色の違う告白。

一応、他の三人の魂はリアルとも密接につながっている。

無くてもいい。

いらない。

何て言っているのは、僕だけだ。



「ちょっとー重い、重すぎるよ。もっとさ、こう気楽にね?」



「きっとみんな心配してますよ。」



「深く考えすぎんなって、なぁ?」



そして、皆一様に同じことを口走る。



「笑えばいいよ、それだけで世界は明るくなる。」



リアルで高校生をやっているという子が鏡を渡してくれた。

データで作られた鏡。

そこには顔にしわの寄っている僕が写っていた。

皆を見る。

僕とは違って、そこには笑顔があった。

両手で顔を挟まれて、口角を上に思いきり、引っ張られた。

作られた笑顔。

でも、不思議と気分は悪くなかった。



「どう?軽くなった?」



他の2人も微笑んでいた。

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