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振りかざした正義の行方  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 僕が僕であるために望んだもの
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心休まるツール、それがゲームだった

いいことなんか一つもなかった。

今まで生きてきて、一度も。

自分は何のために生きているんだろう。

その中で一つだけ、心休まる娯楽を見つけた。

それが僕にとっては、ゲームだった。

現実世界では何の力も持たない僕が活躍できる空間。

レベルを上げたり、スキルを覚えたり、また新たな仲間を募ったりして。

可能性を広げていった。

一時期はゲーム以外のことなんて考えられない時期もあった。

世間一般で言う、廃人。

寝食を忘れて、ゲームの世界に没頭した。

現実世界での他者との関係性は崩れて、当時仲の良かった友人とも疎遠になった。

両親や妹にゲームのやりすぎを注意されると、近くにある物を投げたり、直接の暴力に訴えて反抗した。

そうして、追い払い、自室で一人になると決まって、ある現象が起きていた。


(自分は何であんなことしてしまったんだろう。)

(違う。僕は、周りを遠ざけたかったわけじゃない。)

(僕は、認めてもらいたかっただけなんだ。)


そのサイクルをいつも繰り返していた。

自分で自分を見つめなおして、頭が落ち着いてくると、またゲームの世界に戻る。

嫌なことは忘れるために。

自分のためでもあったし、家族のためでもあった。

これで多少、自分の暴力性は下がっていた。

普通の学生が学校に行っている間に。

僕がただただ怠惰にゲーム画面と睨みあっている間に。

時間は待ってくれない。

年月は過ぎていく。

僕は、あるゲームで有名プレイヤーになっていた。

一緒に参加したパーティーのメンバーやその周囲にいる人たちは、僕を尊敬の目で見ている気がした。

ずっとやってきたゲームなら分かる。

たとえ、画面越しでも。

有名プレイヤーともなると、パーティーの誘いもひっきりなしにやってくる。

そこで僕はある四人パーティーと親密に接するようになっていた。

話題もゲームの話題だけでなく、リアルの方にも飛び火するようになった。



「翔。リアルではなにしてんの?」



「呼び方、呼び方。気をつけろ。なるべく本名は使わないように、ゲームとしての世界観が損なわれるし、個人情報だから毛嫌いする人たちも多いだろ。それ以外の話題なら何とか。」



「そっか。ごめん、ごめん。気を付ける。」



「さっきの質問に答えるなら、何もしてない。」



「、、、、どういうこと?哲学?」



すると、僕たちの話し声が聞こえたのか、少し遠くで飲んでいた残り二人のメンバーがこっちにやってきた。



「何の話をしてるー、混ぜろ、混ぜろ。」



「私も気になるところ、、、、。」



「リアルでは何してるのかって話。皆、他の人たちのこと気にならない?せっかくだし、喋ろうよ。」



その言葉を合図に四人のリアルについての会話が始まった。







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