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振りかざした正義の行方  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 僕が僕であるために望んだもの
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ゲームのあり方もその人その人の価値観

気が付くと、僕は暗闇の中にいた。

目の前には、闇が広がっていて、それ以上はない。

得体のしれない場所に、不安が付きまとう。

ここはどこなんだと。

顔を抑え、蹲っていた。

このままではいけないと、顔をゆっくりと上げる。

周辺を確認する。

そして、両手に視線を落とす。

色が変わっていた。

本来の肌色は失われて、真っ赤に染まっていた。

手にとどまり損ねた赤色たちが、床に滴り落ちている。

そして、僕のすぐ横に赤黒い塊が一つ。

僕は絶叫した。

誰もいない空間で。

誰だ?

誰がやった?

こんなのは知らない。


僕の一番の趣味は何かと聞かれたら、それはただ一つだろう。

ゲーム。

それは空虚な人生を豊かにしてくれるし、授業なんかでは身につかない知識の使い方も学ぶことが出来る。

年老いた人間。

例えば、親。

例えば、先生。

ゲームなんかしていろ暇があるなら、勉強しなさいなんて言う。

それこそ、愚かだろう。

お前たちよりも、私の方がよっぽど進んでいる。

常からそう実感している。

子供は、操り人形じゃない。

一つの命をもった、れっきとした人間だ。

キーボードを左手。

マウスを右手に持ちながら。

考えを巡らしている。


いや、それとも。

表現の問題なのか?

まぁ、それは確かに考えてみると分かる。

最近のゲームは、現実世界とは遜色ないくらいにリアル。

ゲームというより、そこで暮らしている人たちの生活を追体験している。

そのように解釈を変えることも出来る。

その中では、性描写やグロ描写もあるだろう。

それは規制されるべきだな。

そこについては、賛成だ。

画面の中では、ちょうどボスを倒したところだ。

眩い光を発しながら、爆散。

そして、報酬画面。

よくある討伐描写。

だがこれも、うるさい連中にとっては、格好の標的。



「ゲームの世界と現実は違う。そこは当たり前だ。弁えてる。」



口に出しながら、チャット欄に打ち込む。

すぐに反応が返ってくる。



「急にどうしたんすか?翔さん。なんからしくもないこと言って。」



「色々あってな。考えてた。でもこれは当然だろ?」



「それはもちろんすよ。自分もゲームは好きですけど、長時間のプレイは控えてます。リアル優先で、ゲームは二の次ですね。」



「ああ、その通りだ。」



そこで、一旦話は打ち切りとなった。

その後、同じメンバーとクエストをこなし、楽しんだ。

すぐに時間が経ち、ログアウトの時間に。



「じゃ、また明日です。」



メンバー全員から定型文が送られてくる。



「ああ、明日な。」



それに俺は自分の言葉で返す。

ヘッドセットを外し、pcのシャットダウン。

画面が暗くなる。

少し悲しい時間だ。

今は余韻に浸ろう。


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