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振りかざした正義の行方  作者: 真っ赤なゴミ箱
第1章 僕が僕であるために望んだもの
3/72

ただ一人話せる友人

上橋大学。

総学生数は五千人ほど。

男女比は、7:3で男の方が多い。

主に文系学科が集中している。

この私、藤林翔は経済学部に籍を置いている。

大学について、すぐにやることと言えば、昼飯を食べるスペースの確保である。

ただでさえ、友人の少ないこの私。

もたもたしていると、場所なんてすぐになくなってしまう。

そして、いつもの場所に。

誰も使っていない空き教室に入って、黒板側から見て、左側。

その一番前の端に決める。

隣の席に自分の所持品を置いて、自分はすぐ横に座る。

その時、また扉が開く。

男。

見知った顔だ。



「翔、ここにいたのかー。探したぞ。いつも言ってるだろ。場所くらい連絡してくれよ。」



「何だろうな。いつも忘れるんだよ。そういうの。あまり自分の中では重要視していない証拠なのかもしれない。まぁ、要はお前は友達だとは思ってるけど、それ以上はお前に求めてないってことだな。」



「相変わらず、言い方よ。そのきつい言い方が直れば、もっと友達増えるだろうに。今俺しかいないんだろ?話せる友人。」



「友人もそこまで必要だとは。一人いれば、そいつだけで十分。それより、そんなところ立ってないで早く座れよ。」



今さっき置いたかばんを自分の席の後ろに移す。

空いた場所に友人が座る。

彼の名前は、荒木正人。

大学で出来た友人ではなくて、腐れ縁とか、幼馴染のようなものに近い。

言葉を交わさなくても、意思疎通が出来てしまう。

恐らくその程度には、仲がいい。

その正人も自分のカバンから昼飯用と思われるパンを取り出していた。

続けて、口を開く。



「なぁ?」



「何だ?」



「朝のニュース見たか?」



「何のニュースだ?色々あると思うが、、、」



「ほら。あれだよ、あれ。全員同じ部屋で殺されてたって事件。あの家ってここから近いだろ?それに犯人がまだ捕まってない。」



「、、、そんなニュースがあったのか。知らなかった。昨日は帰ってからずっとゲームしてたからな。ここの近くか。まぁ、警戒するに越したことは無いな。起こってからじゃ遅いんだし。」



「ゲームはいつものことだろ。それに場所だよ、場所。俺の家より翔の家に近い。用心しろよ。」



「大丈夫、気にしてない。ありがとう。」



そんな話をしながら、昼飯の時間も終わっていく。

随分と話し込んでしまったのか、気づくと、もう次の授業の時間が差し迫っていた。

慌ただしく、飯を口に詰め込んでいく。

お茶で流し込み、口の中を空に。

正人も同じ動きをしていた。

カバンを持って立ち上がる。



「じゃ、またな、翔。」



「ああ、明日。」



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