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上級スキルも使えます!?

「なんだよ……これ」


 俺は町に戻ると、その変わり果てた姿に唖然としてしまう。

 美しかった町並みは建物が崩れ、水路の上の橋も崩壊している。

 澄んだ水は燃え盛る炎を映し、そこかしこから人々の怒号や泣き声などが聞こえてくる。


「早く帰らなきゃっ……!」


 俺はグレイさんの家に向かう。



 水路を渡る橋が崩れているが、何とかたどり着くことはできた。

 しかし、グレイさんの家は火に包まれていた。


「そ、そんな」

 

 俺は思わず腰を抜かす。


「そ、そうだ。こんなことをしている場合じゃない」


 俺は立とうとするが、足がすくんでしまい動けない。

 何してんだ! と自分に言い、一度深呼吸をしてから立ち上がる。

 俺が、魔物と戦ってる時に駆けつけてくれた。

 つまり、戦うための魔法や、それに準ずる魔法が使えるのだろう。


「とりあえずギルドに向かおう。あそこなら川の近くだし、何か情報があるに違いない……!」


 多くの人がどうしていいかわからず、慌てふためき、道に人があふれかえっている。

 その間を縫うように、俺は走る。

 やがて区画を分ける水路が見えてきた。


「これは……」


 あれほど大きく立派だった橋が途中から崩れている。

 しかし、俺はそのまま突っ込む。


「スキル使えるようになっておいて、よかった……『飛燕』」


 俺はそうつぶやき、スキルを発動させる。

 発動させると、俺の体が軽くなったような気がする。

 俺はさらに加速して、崩れている手前で跳躍し向こう岸まで跳ぶ。

 周りから驚いたような声が上がったが、無視してギルドまで走る。



 ようやくギルドが見えてくるかというあたりで、俺は足を止める。


「シャルロットさん!」


 俺は彼女を呼び止める。

 彼女は、驚いたようにこちらを見ると、こちらに駆けてくる。


「よかった、ご無事だったのですね……」


 彼女もギルドに向かっている途中だったらしく、いろいろな情報をくれた。

 まず、グレイさんたちは無事で、今はギルドに避難していること。

 次に、この炎は主に工業区画、もしくは居住区画からでいること。

 そして、水をかけても消えないため、おそらく魔法か何かであること。

 ギルドで皆さんに合流することを伝え、俺たちは足早にギルドへ向かった。


「浩輝君!」


 ギルドに入ると、グレイさんがこちらを振り向いた。

 彼の周りには机がいくつも並べられ、たくさんの資料がある。

 それだけじゃなく、リエラさんやリアーナもいて、子供や老人の対応やけが人の手当てをしている。

 

「皆さん!」


 俺はグレイさんたちの所へ駆け寄った。


「よかった浩輝君! 無事だったか。君がシャルロットに外出したと聞いて、私たちは気が気でなかったよ……」


「心配かけてすみません。それよりも、この町の状況はどうしたんですか?」


 俺はグレイさんに質問する。


「シャルロットさんから少し聞きました。これは自然な発火からの火事じゃないんですか?」


「ああ、この炎は水をかけても消えることはないし、何よりもレンガ造りなどの家すらも火に包まれている。これは明らかに異常だ」


 それもそうだ、アルノスは水の町。

 火事が起こって消せないはずがない。


「じゃあ、これは誰かが意図して起こしていると……?」


「そういうことになる」


「私にできることはありますか?」


 俺はこの事態の収拾のために力を貸すことを決め、グレイさんに指示をもらおうとする。


「浩輝君、今回君はリアーナやリエラと一緒に避難していなさい」


「へ……?」


 思わず変な声を出してしまった。

 俺はそれを聞いて自分の耳を疑った。


「君はまだ子供だ。今回、君には下がってほしい」


 確かにそうだ、俺はこの世界に来て子供になっている。

 そして今回のことに関われば無事じゃすまないかもしれない。

 しかし……


「確かにグレイさんの言う通りだと思います。でも俺は冒険者です」


 俺がそう言うと、奥からエルドさんが出てくる。


「そうだな、グレイ。ここは彼に力を借りるのがいいと思うぜ。ただえさえここは冒険者の数が少ないんだ。今動ける奴はいないに等しいんだぜ?」


 エルドさんがそう言って、こちらに近づいてきた。


「しかしだな、エルド。彼はまだ15か16の子供だぞ?」


「そうだな。そして今、この町にいる中で一番の実力者でもある」


 エルドさんがそう言ってグレイさんは困った顔をした。

 というかこの町一番って、今言わなかったか?

 俺は少し驚いたものの、空気を読んで黙っている。


「確かにこの町、いや、この国中を探しても、シルバーウルフの率いた30匹の群れを、単独で撃破できる者は少ないだろう。しかし……」


「しかしじゃないぜ、グレイ。今、この状況のことを考えろ。それになグレイ、こいつはB級とはいっても限りなくA級に近いんだぜ」


 俺の思いを二人に語り掛けるように話した。


「確かに私はまだ子供です。グレイさんが心配するのも分かります。ですが、救える力を持ってるのに誰かを見捨てるなんて、私はできません」


 俺にできることは決して多くないかもしれない。

 けれども、全くないというわけでもないはずだ。

 グレイさんは驚いたような、それでいて悲しそうな顔をした。


「わかった。浩輝君、もう一度言っておくけど、今回は命の保証はないよ。今回のこれは襲撃だ、相手は人間で戦うことになるかもしれない、相手はこれを前提に仕掛けてきているんだ……覚悟はいいかい?」


 おそらくグレイさんは、俺に人を相手に戦えるのかを聞いているのだろう。


「はい。正直、人に刃を向けることには抵抗があるかもしれません。ですが……大丈夫です」


 グレイさんが俺の目をじっと見ると、諦めたというように苦笑いになった。


「わかったよ。それじゃあ浩輝君にも手伝ってもらうとしよう」


 そうして俺たちは作戦、というよりも互いのやるべきことを確認していった。



「それじゃあ、頼んだよ」


 グレイさんは俺にそう言うと、ギルドの奥へ戻っていく。

 俺はグレイさんの言葉を背に、燃え盛る町を走る。

 俺が今回グレイさんから任された役目は主に三つ。


 ・今回の火事の原因を特定すること。

 ・原因が人であった場合すぐにギルドへ戻り報告すること。

 ・人ではなく魔物が原因であった場合は、対処可能でありそうなら対処すること。


 グレイさんの話だと今回の火事は特殊な魔法で生み出された炎らしい。

 普通の魔法なら水で消せるが、今回のように消えないものは特殊なものらしく、魔法を使っている本人を倒さなければいけないらしい。

 それで俺に白羽の矢が立ったわけだ。


「ま、当然と言っちゃ当然か。っと」


 ギルドから炎の強いほうへ、スキルを使い屋根伝いにしばらく走ると、一人の男が屋根の上に立っているのが見えた。


「おいおい……昨日の今日でかよ」


 そこにいたのは、昨日森に現れた男だった。

 俺は居ることが悟られないように、姿勢を低くし屋根の陰に身を隠す。


「原因はあいつか……? いや、あいつは確か魔物を操っていた。今回も魔物にやらせているのか?」


 俺は考察しつつ男を観察する。

 男の視線が一点に集中しているのが気になり、視線の先に目をやると俺は息を呑んだ。

 そこには、一匹の大きなトカゲのようなものがいた。

 体表は赤く、体の所々が燃えている。

 そして、魔物の周りの建物が押し潰され、所々溶けたように赤くなっている。


「男に魔物……正直言って厳しいかもしれない。一度戻ってグレイさんたちの判断を仰ごう」


 俺はそう決め、来た道を戻ろうとする。

 するとどこからか、女性の悲鳴が聞こえてきた。


「きゃあー! 誰か! 誰か助けて!」


 声のするほうを見ると、魔物の進行方向に足を怪我した女性が倒れていた。

 魔物が女性に対して火を吐こうとしている。


「まったく、冒険者になりたてなのに、こんなことばっかりだな!」


 俺はそう言いながら、女性と魔物の間に割って入り、袋から出した大盾を構え炎から女性を守る。

 女性はこちらを見て驚いているようだ。


「この盾の裏に隠れて動かないでください」


 俺は盾を地面に突き立て倒れないように固定すると、女性をその裏に隠した。


「さてと……どうするかな、こいつ」


 先ほどは女性がやられそうになっていたので、とっさに出てきてしまったが、俺は無策でなおかつ相手の情報を何も持っていないのだ。

 俺は袋から直剣と盾を取り出し魔物を観察する。

 やはり所々が燃えており、近くにいるだけで結構暑い。

 魔物はこちらを見ると、前足で俺を踏みつぶそうとしてくる。

 俺はあえてそのまま突っ込み、腹下から切りつける。


「硬い……!」


 俺は魔物の側面に出るように転がり、今度は剣を突き立ててみる。

 しかし、またもや剣は弾かれる。

 俺は魔物から少し距離を取る。


「斬撃も突きも通らないか。でも、スキルを使えばどうかな!!」


 俺は得物を刀に持ち替え、素早く腹下に潜り込みスキルを発動させる。


「『フローズンエンチャント』、『朧月-春水-おぼろづきしゅんすい』」


 俺は、刀を居合いのような構えから、一気に空に向かって振りぬいた。

 魔物の腹は切り裂かれ、下から突き上げるように生成された氷に貫かれている。

 俺が刀を鞘に戻すと、氷が細かく砕ける。


「何とかなったな……にしても」


 こんな上級のスキルも使えるのか、と俺は思った。

 今使用したスキルは、刀の攻撃スキルとエンチャントスキルだ。

 エンチャントスキルは魔法のエンチャントと違い、一撃限りのもので燃費が悪いが、欲しいときに使用すればいいので、本人の好きなタイミングで使える。

 そしてこれら二つのスキルは、上級スキル。

 その職業に就いていないと使用不可のスキルだ。


「よし、魔物も何とかなったしこれで炎も消せるはず……」


 俺は、改めて男の立っていた場所を睨む。

 男はこちらを見てうっすらと笑みを浮かべると、黒い靄に包まれて消えた。


「あの……助けてくれてありがとうございます!」


 俺は後ろを振り返る。


「いえ、それよりも大丈夫ですか? 足を怪我してるみたいですけど」


 俺は彼女に言葉をかけながら、大盾を袋にしまう。


「は、はい。少し瓦礫の下敷きになっただけです。すぐにどかせる程度だったので」


「そ、そうですか。とりあえず私は一度ギルドに戻りますので一緒に行きましょう」


「すみません、足を痛めているのでここからギルドまではちょっと……」


 俺は彼女にそう提案したが、彼女は足を痛めているため移動が難しいと言ってきた。

 それはそうだと思い俺は少し考える。


「そうですね……では少し失礼します」


 俺はそう言って彼女を抱きかかえる。

 所謂お姫様抱っこだ。


「きゃあ!?」


 彼女は驚いた声をあげるが、俺はお構いなしで。


「すみません、これが一番移動しやすいので」


 そう言い、俺は再びスキルで身体能力強化を行い屋根伝いにギルドへ戻った。



 

 今回見てくださった方! ありがとうございます。

 まだまだ拙いところばかりだし、いろいろ今回から変更点があります!

 しかし、ルミエールの皆さんが無事でよかったですね! 私も一安心です!

 そして今回初めての攻撃スキル発動でした。 名前変じゃないよね……? っとドキドキしながら考えてました(笑)

 次回はどうやらリアーナちゃんと浩輝君二人に転機が訪れるようです。

 ではでは次回また会いましょう。

                            それでは皆さんよい読書を!!



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