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魔法って特別じゃないんですか!?

「あれがアルノス」と、思わずつぶやいてしまった。それも仕方ないことだと思う。川沿いに行けば町か村に出るだろうと考えてはいたが、まさかこれほど大きな町があるとは思っていなかった。以前いた世界では考えられなかったが川がこの町の中心なのだ。


「そう、私の領地さ。このアルノスは昔から町の中央から枝分かれするように流れている川を利用している。だからほかのところのように井戸を掘ることもなかったし、水に関して困るようなこともなかったんだよ」


 グレイさんの補足を聞いて、なるほどと思った。川の水というのは基本口にできないとされているが、それは違う。以前の世界でも山からの湧き水は飲める、要は汚れていなければ飲めるのだ。


「そして、郊外にある森。ここからでも見えるね。あの森から木材にする木を伐採したり薬に使う薬草、またキノコなどの食材を採取したりするんだ。この豊富な水と森から得られる恵みから、水と緑の町って呼ばれているんだよ」


 俺はグレイさんに説明を受けながら、町の中へと入っていった。そして馬車がゆっくりと止まると、御者がノックしてから扉を開けた。


「失礼いたします。到着いたしました」


 そう御者が言うとグレイさんとリアーナが馬車から降りたので俺もそれに続く。グレイさんが少し御者と話している間、俺は一度周りを見渡してみた。

 どうやらここは馬車を止め乗り降りする、駅のような場所のようだ。

 それにしても、この町は川からの恩恵をすごく受けていると思う。

 町の中に張り巡らされたかのような水路。

 これを生活水として使っているのだ。

 そして、家はレンガ造りで、どこか寂しさを感じさせる、そんな美しさがあった。

 こんな光景以前はテレビなどでしか見たことがない。


「すまない、待たせたね。さあ、行こうか」


 そうグレイさんが言い俺たちは歩きだした。


「私たちの家はこの町の東側にあるんだ。ギルドやほかの組合なんかは南側に集まっているかな。この町にはそういう感じで四つ区画があるんだけれど、すべてこの水路によって分けられているのさ。まあこの辺のことは、この町を歩いていればじきにわかってくることだね」


 そうグレイさんから教えてもらい、俺たちはグレイさんたちの家へと向かう。それにしてもこれからどうするか。とりあえず何か自分を証明できるものが欲しい。これは後でグレイさんに相談してみるとして。俺が今一番気になっているのがギルド。

 冒険者のことだ。

 昨日までは生き残らなきゃヤバイって考える暇なかったけど、これってものすごく異世界っぽい!!

 そんなことを考えながら俺は道を歩く。

 道中には沢山のレンガの橋があった。

 どれも美しく、一度水路をのぞいてみたが透き通っており、レンガで作られた橋と相まって幻想的ですらあった。


「さあ、ついたよ。ここが私の家だ」


 俺は最初見たとき驚いてしまった。異世界のそれも貴族の家。絵本の中かそれこそテレビでしか見ないようなものだと思っていた。

 しかし、全体的には温かみを帯びた薄い肌を基調として屋根は茶色、家は馬鹿でかいわけじゃなく、おおよそ一戸建ての家が二つから三つ入る程度だった。


「どうかしたのかい?」そうグレイさんが声をかけてきたので「いいえ。何でもないです」と答える。俺はてっきりドカンとでかい家に住んでいるのかと思っていたのだ。

 だって貴族とかってそういうところに気を使って自慢したりするものだと思っていたのだ。

 それに俺が呼んでたラノベに出てきた貴族たちもみんなそういうのだったし。


 グレイさんが「ただいま」そう言うと、ブラウンの髪女性が一人とメイド服を着ている女性が一人、奥から顔をのぞかせた。

 ブラウンの髪の女性は少し身長が低く、髪を下ろしている。

 優しくふんわりとした印象で、どちらかと言えば綺麗よりも可愛いというのが似合う女性だ。

 そしてメイド服を着ている女性は、髪は銀色でとても艶があり、サイドテールにしている。

 先ほどの女性と違い物静かで少しクールな印象を感じる。


「おかえりなさいませ。旦那様」


「おかえりなさい。あなた」


「お母さま、シャル、ただいま」とリアーナは言うと彼女はさっさと家の中に入っていった。


「あら? あなた、そちらの男の子は?」


 女性がグレイさんにそう質問する。おそらくグレイさんの奥さんなのだろう。

 しかし俺はそれよりもメイドさんのほうに驚きそしてテンションが上がっていた。

 だってメイドなんて前の世界じゃ見れない、それこそアニメくらいのものだ。


「ああ、森の奥で迷子になっているのを見かけてね」


 これまでの事情をグレイさんと俺で話したところこの女性は快く受け入れてくれた。


「そうだったのね、大変だったわね。うちでよければゆっくりしていってね?」


「ありがとうございます。私は嘉瀬宮浩輝です。よろしくお願いします」


「私はグレイラッド・ルミエールの妻のリエラ・ルミエールです。こちらのメイドさんはシャルロットよ」


「はい。この家でメイドをさせていただいていますシャルロットです。よろしくお願いします」


 どうやらグレイさんの家は四人で住んでいたようだ。それにしても広い。外から見ると中に入るのおではまた違う印象だった。

 外から見ると普通の家だが中はやはり家族なのだということがわかる。

 玄関から入るとすぐ目の前には中家の階段があり、一階は左に応接室が、左に行くとダイニングとキッチンがある。

 二階には居間とグレイさんたちの部屋もある。

 廊下は控えめな色で、壁紙も白色で温かみを感じる。


「とりあえず空いている部屋があるから、そこを使うといいよ」


 グレイさんがそう言ってくれたので俺は「はい。ありがとうございます!」と答えた。

 そのあとシャルロットさんが部屋にあんなしてくれた。

 部屋の中は空き部屋と言っていたが掃除が行き届いており、きれいに整頓されている。

 窓からは町を見ることはできなかったがその代わり深く美しい森を眺めることができる。

 いろいろ確認しているとドアがノックされた。


「はい」と答え、ドアを開けるとシャルロットさんが立っていた。


「夕食の時間ですのでダイニングにいらしてください」


 どうやら夕食のことを教えに来てくれたようだ、「わかりました。ありがとうございます」と返すと、彼女は笑顔で「いいえ。これもお仕事ですから」と言って、俺たちはダイニングに向かった。


 夕食を済ませグレイさんは自室に戻っていった。俺は今後のことをグレイさんに相談するため、グレイさんの部屋に向かった。


「失礼します」


 俺はグレイさんの部屋のドアをノックし、返事が返ってきたことを確認してから中に入った。


「来るかなと思っていたよ。これからのことで相談事でもあるのかな?」


「はい。まず私は自らを証明できるものが欲しいです。何か本人確認ができる証明書のようなものがありますか?」


「あるよ。でもほとんどの人はそれを作らないかな、必要な時はごくまれだからね」


「そうなんですか? ほかの国や町に入るとき必要なのかと思ってました」


「確かに、ほかの国への入国時に身分証明は必要になることはあるけど、そんな機会はないからね。でもまあ、浩輝君が欲しいなら作っておくのもいいだろうね。証明証というかギルドから発行されているものなんだ。冒険者になるとその冒険者が本人かどうか、またその冒険者がどんなものに適性があるのかそ調べ記載する冒険者カードがあるんだ。まあ大体ギルドカードって呼ばれてるんだけど、そのカードがあれば入国審査なんかでは優遇されたりするね」


「そのギルドカードは、ギルドならどこでも発行できるんですか?」


「そうだね。ギルドカードの発行にはギルド専用の魔道具を使用して発行されるから、どこでも問題ないはずだよ。もちろんアルノスのギルドでも発行できる」


 魔道具!! 

 ついに来た魔法要素だ。

 森の中で目が覚めていろいろ確認できずじまいだったからな。

 明日からいろいろ試してやってみるか。


「それなら明日ギルドに行ってみるかい?」


「はい。そうします」


それならとグレイさんは俺にリアーナに案内してもらうといいと提案してきた。

俺はこの町に詳しくないし案内してもらえると確かに助かる。

しかしリアーナさんとはまだまともに会話をしていないのだ、大丈夫なのか非常に不安だ。


「それともう一つ聞きたいことがあるんです。魔法についてなんですけど、グレイさんは魔法が使えますか?」


「ああ、使えるとも。というか魔法っていうのは誰でも使えるものなんだよ?」


 は? 誰でも使えるのって、適正とかはないのか?

 俺は驚きを隠し会話を再開する。


「そうなんですか?」


「そうさ。魔法っていうのは私たち生き物の持つ魔力を使うわけなんだけど、この魔力に決まった命令をして特定の事象を起こすんだ。そして魔力っていうのは簡単に言うと精神力を変換したものなんだよ。だからしっかりと訓練すればだれにでも使えるんだよ」


 それを聞いて俺は少しがっかりした。

 なぜって? そんなの決まってるだろ!? 

 みんなが使えないから使える人が特別かっこいいだ!

 なのに誰でも使えるとか特別でも何でもなじゃないか! 

 だってゲームだと選ばれた人しか行使できなかったり、魔法使いはエリート扱いが当たり前だったし! 

 ラノベでも学園物まであったからしっかり勉強してその中でも才能のある人だけがってやつじゃないのか!? 

 でもそれならキャラメイクだけしかしなかった俺も使えるってことか? 

 そんなことを考えていると。


「美優君、今日はもう遅い。ゆっくり寝て明日に備えるといい」


 そうグレイさんに言われ、それもそうだと感じた俺は自室に戻りベットに体を預けた。


 翌朝目を覚まし、居間に向かうとそこにはシャルロットさんとリアーナさんがいた。


「おはようございます」


 俺が二人に挨拶をすると、二人ともちゃんと挨拶を返してくれた。

 今日ギルドに行く際に道案内を頼みたい。

 俺はそのことについてどう話すか考えながら話してみる。


「すみません、リアーナさん。今日冒険者組合のほうに伺おうと考えているのですが、この町に来たばかりなので案内していただけませんか?」


「なんであたしがあなたの案内なんかしなければならないの? そんなの町にいる人に聞けばいいじゃない」


 やはり速攻で断られてしまった。どうしたものかと考えていると。


「では、私がご案内いたしましょうか?」


 こちらを見てシャルロットさんが申し出てくれたので、案内していただこうとお願いしようとしたとき。


「シャルが行くなら私も行くわ」


 女の子って難しいんだな~。と思いながら、シャルロットさんに「ありがとうございます」と答えた。

 朝食を済ませ、家を出ると、左手に立派な犬小屋があった。

 その中から中型くらいの大きさだろうか? こちらを見ていた。


「おいで、ジェイク」


 そうリアーナが呼ぶと、ジェイクはそちらに駆け寄っていった。どうやらリアーナは、ジェイクにごはんをあげているようだ。


「その犬はジェイクという名前なんですか?」


「そうよ、私の大事な家族よ」

 

 ジェイクは白く細身の犬で、とてもきれいな毛並みをしている。

 シャルロットさんが準備を済ませている間に彼女は話をしてくれた、ジェイクと出会ったときのことから今までの楽しかったことなど……。

 ジェイクのことを話すリアーナはとても楽しそうで、その横顔はとても美しいと感じた。


「お待たせしました。……あら、お嬢様がそのような顔でお話しされてるのは久しぶりに見ました。」


 シャルロットさんが準備を終えて出くるとリアーナはまたいつもの調子に戻った。


「そんなに珍しいことかしら? 行くならさっさと行きましょう」


「そうですね、シャルロットさんも来たことですし」


 そんなこんなで俺たちは移動を開始した。道中は特に何事もなくこの町についての質問をしていた。


「この辺は住宅地なんですか?」


「そうですね……この町は四つの区画にわかれていることはご存じですか?」


 確か昨日の馬車でグレイさんからそんな話を聞いた。


「はい。昨日四つの区画に分かれているとだけ聞きました」


「そうですか、では少し詳しくご説明しますね。まず水路ですが、これは街の中央付近で枝分かれした川を舗装して作っております。そのため見てわかるように橋が数多く存在しています。その水路の中でも、四本だけほかの水路よりも大きなものがあるのです。それを利用し旦那様のご先祖様は、この町を四つの区画に分けたのです。その四つというのは工業区画、商業区画、農業区画、そしてここ居住区画です」


「なるほど。ということはギルドは商業区画にあるのですか?」


「そのとおりよ。ほかの町は基本、区画ごとには分かれていないわ。そこだけはこの町特有ね。それと今回あなたギルドに行って何をするのよ?」


「冒険者組合に行けばギルドカードを作れると聞いたので」


 リアーナから何か質問が飛んでくるとは思ってもいなかった。


「そういえばリアーナさんはギルドカード持ってるんですか?」


「いいえ、私はあんなもの特に必要にはならないもの」


 グレイさんもそういっていたがどうやら本格的に国外に行く以外では使い道がないようだ。


「ま、どっちでもいいんじゃない? 作っても損はないんでしょ?」


「そうですね。わたくしもそう思います」


 リアーナさん、シャルロットさん……でも使い道ないんですよね?


「そうですよね。これからどうなるかもまだわかりませんし、できることはしておきます」


 そんなことを話していると、目の前に大きな橋と水路が見えてきた。水路と言うより川にしか見えない。


「大きいな……」思わずつぶやいてしまった。すると。


「そうね。この川をずっと下っていけばクリミアに行きつくの」


 意外にもリアーナは今日は喋るようだ。というか昨日の出会い方がひどかっただけなのかもしれない。


「そうなんだ。リアーナさんはクリミアに行ったことが?」


「いいえ、無いわ。だからいつか行ってみたいの。この目で海を見てみたいと思うわ」


「そうなんですね」


 もしかして海を見たことあるのも港町か海辺に住んでいる人くらいなのかも知れない。確かにここは大陸だし海にも面していないから海を見るためには国外へ行かなきゃならないし。


「お嬢様、浩輝様。ギルドが見えてまいりましたよ」


 へー、あれがギルドか。

 見えてきたのは木とレンガを組み合わせて建てられた酒場のような、少し大きめの建物だった。扉がわざと開けており、中の受付までがしっかりと見える。

 中に入ると両サイドにはテーブルと椅子がおかれており、端の方で酒とそのつまみのようなものを売っていた。


「いらっしゃい、今日はどんなようだい?」


 なんで……なんで受付が暑苦しいおっさんなんだよ……! そこははかわいい受付嬢とかでしょ!?

 受付にいたのは40代くらいだろうか、モヒカン頭の筋骨隆々としたおっさんだった。

 仕方ないので俺はさっさと済ませようと要件をいう。


「今日はギルドカードを作りに来ました」


「お、ギルドカードかい? 冒険者登録はしたのか?」


「冒険者登録ですか?」


「その様子だとしらねぇらしいな。ギルドカードってのは自らが冒険者であること、どのランクの冒険者かを表したものだ。本人確認証として、国外に出るときに便利だ」


「ということは、ギルドカードが欲しい場合は冒険者登録をして、冒険者になる必要があるわけですね?」


「まあ、そういうこったな」


 それはそうだろう、なにせ冒険者カードだ。それに今回の第二目標は、冒険者になることだったのでちょうどよかった。


「冒険者登録に必要なものはありますか?」


「ああ、まずは登録料だがこれが50メル、あとは自分の得物を持ってきてくれ。ない場合はこちらでも貸し出してるから申し出てくれ。実技で君の能力と適正を図る」


「ちなみに登録料50メルは旦那様より預かっています。なので浩輝様さえよければ今からでも冒険者登録は可能です」


 本当にあの人は良くしてくれる。しかしなぜこんなにもよくしてくれれているのだろう?


「なぜそんなに良くしてくれているのか……そんなこと思ったんじゃない?」


 リアーナがそういうと続けて答えた。


「私だったらそう思うもの。……私には一つ上の兄がいたの。でもねある事件に巻き込まれて死んでしまったわ。だから兄とあなたを重ねてしまっているのかもね」


 リアーナは私には関係のないことだわ。と、言い興味のない話であるかのように話を切った。しかし、話している途中、彼女の目はどこか遠いところを見ていた。


 そんなこんな話をしていると、受付のおじさんが奥から戻ってきた。


「一応登録と実技の準備をしておいたが、どうする?」


 俺は特に断る理由がないのでそのまま「お願いします」と言って実技に臨んだ。

 今回読んでくれた方ありがとうございます! 今回はついに、浩輝が異世界の町に降り立ちました!!

いや~、グレイさんのご自宅が確かに一戸建て二、三個入るってそれは大分でかいですよ浩輝……

そして神様の世界は魔法使えるのが当たり前のようです。

神様はどうしてそんな超人類社会を作り上げたんですかね。(;^ω^)

前はちょっと出会い方が悪かったのかな? 今回はリアーナちゃんとは何とか会話することができてますね。がんばれ浩輝!さらにはメイドさん登場です!! シャルロッテさん……すごく私は名前が好きですね。

そして次回はついにギルドで実技のテストです! バトルシーンとか全く書いたことない私がどこまでやれるのか……がんばります!

                   ではではまた次回会いましょう。

                                  それでは皆さんよい読書を!



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