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魔王四天王の一人ですが、魔王軍が心配です。 ~もふもふ魔王様とダンジョンスローライフ~  作者: 藤原ゴンザレス


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婚約者

 レンがゴーレム軍団を操り山を直す。

 魔法で元に戻したついでに植樹。元々人が管理してないはげ山だったが、もとよりはマシな状態にしておく。

 どさくさ紛れにトレントやドライアドなどの植物系モンスターも植えておく。

 さらにはキノコのモンスターの胞子もばらまいておく。

 ……と、いじっていたらだんだん楽しくなってきたレイとレンはそこで暴走。


「マスター……神様気分で村を作るのとても楽しい」


「奇遇だな。俺も面白い」


 調子にのった2人は森の奥にゴブリンやオークの集落を配置。家は土で作る。これは仮設で本当の家はあとで木で作ってもらう予定だ。

 さらに外での農地も作る。外から見えないようにカバーしつつ段々畑を整備する。

 ちゃんと井戸も掘って手動ポンプも設置。

 炉を設置し、炭焼きや陶芸などもできるようにしておく。

 そして外側を整え終わると、魔王城から部下のオークを1人呼び出す。

 もちろんレンはゴーレムモードで側にいる。


「やあジェームズくん。君には特別な任務についてもらう」


 レイは呼び出した部下へほほえみかける。

 レイが無茶な人生を歩んでいるのをよく知っているジェームズは警戒する。


「レイ様……なぜにやけているのですか? あの怖いのですが……」


 レイは笑いながら両手でジェームズの肩を叩く。


「ジェームズくん。少しテンションが上がってしまっただけだよ。さあ、任務だが……この村、いや街を開拓してもらおう。おめでとう。ジェームズ・レウランド男爵」


「れ、レウランド?」


「そうだ。新しい街の名前を取った。君は今からオーク将、レウランド男爵だ」


「お、オーク将? 私が?」


「君は今までずっと私を支えてくれた。そろそろ出世させるべきだと判断したのだよ。さあ、オークから部下を選別したまえ」


「レイ様……」


 ジェームズは感動のあまり目を輝かせる。


「ガガガガ……困ッタラ、言エ。ゴーレム貸ス」


 レンの言葉にジェームズはむせび泣く。


「有り難きお言葉! このジェームズ! 命に替えましても任務を達成することをお約束いたします!」


 レイはジェームズにハグをする。

 一見するとそれは美しい主従の情が通った瞬間だった。

 だから言えない。「テンション上がっちゃって街を作っちゃったから押しつけただけ」なんて。


「期待しているぞ。なあに俺も見に来る。なにかあったら言ってくれ」


「は、はい!」


 こうして人間の知らないところで魔王軍の領土拡大が行われているのであった。

 そして山を修理した2人はその足で人間が住む「レウの街」に行く。

 まずはアリシアたちへのお土産を買い、次にギルドへ山の修復の報告をしに行く。

 ギルドの中に入ると受付嬢に応接間に案内される。

 そこにはすでにゴーバッシュが待っていた。


「よう、今日は何の用だ?」


「山を修復した件と、山が魔族の巣になっていたので報告しに来ました」


「ほう魔族の巣か。討伐が必要かな」


「無用な怪我人を出すだけなので、やめておいた方がいいかと。魔族はトレントとアドリアネが主体です。彼らは山からは出られないので入山規制だけすべきです」


「トレントとアドリアネか……厄介だな。わかった。入山規制をしよう」


 トレントもアドリアネも力が強く、人間が討伐するのは難しい種族だ。

 ただし両種族とも植物で根があるため、あまり遠くまで移動できない。山にさえ入らなければ危険性は少ないのだ。


「ずいぶん簡単に信じてしまうんですね」


「もちろん調査はする。だけどお前さんらのような手練れがそう言うのだから、並の連中じゃとてつもなく危険ってことだろよ」


「死にたくなければ入るなって程度でしょうか」


「つまりそういうことだ。それとアンタ、レイだったよな? 今日の朝、あんたを訪ねてきたものがいたぜ」


「勇者のミヒャエルですか?」


「いいや、若い女だ。ゴツイ甲冑を着た金髪でやたら美人の」


「はあぁぁぁぁぁ……そうですか。とうとう来ましたか」


 レイはため息をつく。

 レンはそれを心配そうに眺める。


「レイ(・・)、知り合い?」


「マリー・バールケ。手練れの魔法剣士で……俺の幼なじみで元婚約者だ」


 その途端、レンはぷうっとむくれた。


「レイ、そういうのは早く言うべきだった。大変遺憾」


「レン、なんで怒ってるのかな?」


「知らない」


 そのままレンはそっぽを向く。


「おうおう、嬢ちゃんも女なんだな」


「からかわないでくださいよ。彼女がかわいそうでしょ」


「お前さんの悪いとこは理性が勝ちすぎている。嬢ちゃんの機嫌が悪くなったのはそういうとこだぞ。いやあ、俺はようやくあんたらが普通の人間に思えてきたぜ。よかったよかった」


 人間には過去もあれば、感情も欠点もある。

 今まで無感情な化け物としか思えなかったレイたちに、感情の動きを見たゴーバッシュはなんとなく安心したのだ。


「そんなもんですかね。それでマリーはなんと?」


「お前さんの情報はないか? だとさ。どうする? 情報を出してもいいか? 元婚約者ってことはお前さんを恨んでるんじゃねえか?」


「あいにくこの面構えで婚約破棄も相手側の希望ですよ。恨まれてるとかはないので別にかまいませんよ。しばらく別の街に行くので宿を引き払う予定ですし」


「そうかい。じゃあ、うちの冒険者が情報を集めてきたことにするわ」


「よろしくお願いします。ではまた、しばらくしたら盗賊を退治しに来ます」


「ああ頼むわ」


 こうして報告が終わったのだが、レンはなんとなく嫌なものを感じていた。

 レイは自分がモテないと思い込んでいるが……。

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