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おばあちゃんが作ったダンジョンで泳いでみたら…  作者: まいる
魔物退治の王道?ドラゴンを小さくして持ち歩きたい願望をかなえる
13/25

実はいた! ドラゴンの秘密を知る少女

ドラゴンを見つけたからといって、ありえないことが起こっているからといって、学校が休みになるわけじゃない。

今日も阿美とキノコはいつも通りに学校でいつもと同じ顔で授業を受けている。

5時限目、生物の授業で染色体の勉強をしている二人。

「ドラゴンって両生類だっけ?」

キノコがボソッと呟く。

「爬虫類じゃないの?恐竜と同じでしょ」

突然、後ろの席にいた地味目な女の子が答えてきた。ストレートのボブ、前髪はいつもヘアピンでしっかりと止められている。

「ん?」

キノコが振り返って、その子の顔をのぞき込む。

「生物部だから。詳しいのいろいろ」

そうだ、この子は生物部だった。たしか、トカゲ飼ってるんだった。

「安孫子ちゃん…いろいろ?」

「そう」

安孫子ちゃんと呼ばれた少女は小さくうなずいた。



その日の夕方、キノコは後ろの席にいた安孫子聡子を食堂に誘った。

学校の食堂はカフェテリア風。かわいいポップ文字でメニューが書かれていて雰囲気も明るい。

ラーメンやパスタ、日替わり弁当などが300円で購入できる。夕方になるとアイスクリームやケーキを販売していて、ちょっとしたカフェに代わるのだ。


「ねえ、ドラゴンが学校の地下通路の先にいるの、知ってるでしょ?」

席に座るなり、聡子が小さな声で話しかけた。

「ええーーーー?」

大きくのけぞるキノコ。

「私、知ってるの。生物部の部長だから…」

「何を?」

キノコの声が驚きのあまり小さく震えている。

そのとき、阿美がカフェテリアに駆け込んできた。

「遅れてごめん!なんか、校長先生に呼ばれちゃって…それが変な話で…」

阿美が声を上げる!

「あ、生物部部長!」

阿美が聡子を指さして叫んだ。

「みつけた!」

阿美が叫ぶ。

「公然の秘密、でしょ?」

聡子が目をしたに下したままつぶやく。

「ドラゴンの研究は、ここの学校執行部と生物部で協力してやっているの。だから、あなたたちがドラゴンを怒らせたことも知っている」

「えーーーーー!」

阿美とキノコが同時に叫ぶ。

「声が大きい」

阿美がキノコの口を手で覆った。

そっちこそ、とキノコは思ったが、ここは我慢。

「ドラゴンが暴れないように…餌を研究したり…何匹いるのかとか、そういう調査も…。もしかしたら…」

聡子は声を潜めた。

「他の学校でもやってるかも。皇居の周りって学校多いし…」

聡子はどこまで知ってるんだろう、お風呂も持ってるのかなぁ、

阿美は聡子の顔をのぞき込んだ。

「あの地下水に入るの?」

「水には入っちゃいけないって。入ると大変なことになるって。なのに、あなたたちが水に入ったから…いま、学校はちょっとしたパニックなの」

「だからかぁ」

阿美はいつのまにか、ソフトクリームを買っていて、食べながら話している。

「校長先生が近寄らないの、で、生物部の部長と話しなさいって」

「あのドラゴンは成人男子が嫌いらしくて」

聡子がクスっと笑った。

「前に先生がたべられちゃったらしいの、それからはドラゴンの監視は生物部部長の役目で…」

「食べられないの?部長は?」

「なんかの約束があるみたい、ずーっと前に。母が言ってた。母もこの学校の卒業生で、で、生物部の部長だったの」

阿美が首をかしげる。

「わたしたち…危なかったけど…」

聞きなれた音楽が鳴りだした。カフェテリア終了の時間だ。

「安孫子ちゃん、来週、私たちの秘密のアジトで、ドラゴン退治会議があるんだけド…」

阿美が聡子の手を握って、切り出した。

「絶対来てね」




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