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おばあちゃんが作ったダンジョンで泳いでみたら…  作者: まいる
中学生女子、大家さんになって戦士にもなる
12/25

で、ドラゴンはどうするの?

「で、どうする?見つけちゃったし、退治するの?」

キノコがのんきに聞いてくる。

「そのままにしておくっていうのもアリかも」

と雄一。

「ドラゴンって何か守ってるんだよ。きっと重要なもの。場所的に徳川の埋蔵金とか、日本軍の軍事金とか、そんなのかなぁ」

「金かぁ」

山田がつぶやく。

「必要って言えば必要だけど、命かけるほど必要かといえば…」

「そうだよね」

と雄一がうなずく。キノコと雄一、山田は裕福な育ちだった。だからか、埋蔵金とか隠し財産と聞いてもピンとこないらしい。しかし、阿美は違う。

「何言ってんの?何言ってんのぉーーーーーーーーー」

ケトルと放り出して、阿美は3人に走り寄ると叫んだ。

「金がないのは首がないのと同じ!金がないのは首がないのと同じ!」

「繰り返さなくても…」

キノコが阿美をたしなめる。

「私、退治する、ドラゴン!かならず金を手に入れる!」

阿美が叫ぶ。

「阿美ちゃん、そんなキャラだった?」

と山田。

「でも、おれはドラゴン見てないし、ちょっと興味はあるな」

山田は壁際においてあったカバンからPCを取り出し、何やら作業を始める。画面には地下水路の地図が現れた。その地図に地上図が重なる。

「雄一たちが入った暖炉はこの場所。うちがここ。水路から推測するドラゴンの場所は…」

「ん?」

「お濠の下ね」

ふいに玲子の声がする。仕事から戻ってきた玲子がPCをのぞき込んでいる。

「結構、都市伝説、たくさんあるのよ、お堀には。魔物が住んでるというのは定番ね。ドラゴンがいても不思議ないけど、それにしても…」

何、という顔で山田が顔を上げる。

「なんで今まで見つけられなかったのかなぁ。ドラゴンの大きさならもっと早く気付くよね」

「寝てたとか?」

とキノコ。

「とにかく、ドラゴン退治の文献を集めて対策を考えよう。退治できそうもなければ、埋蔵金はあきらめる、でいいね、阿美ちゃん」

山田は、スマホで埋蔵金だの軍資金だのを検索し続けている阿美に話しかける。

「ドラゴン退治かぁ、なんか、わくわくするなぁ」

と雄一もスマホでドラゴン画像を集めている。

「おんなじのってあんまりないよね、ドラゴンの画像。もっと汚れた感じだったんだよね、うちのドラゴンは」

と何やら楽しそうだ。

「退治するよりペットにしたい。背中に乗って旅行したり、餌やったり。あ、餌…」

お花畑の妄想を膨らませていたキノコが我に返る。

「餌って人間?」

「調査調査!まずは調査!」

山田の一言で、まずはそれぞれにドラゴンについて調べることになった。次に集まるのは土曜の昼。昼にした理由は、阿美の指輪にある。

「どうも、その魔物さん、昼間のほうがいいみたいなこと、言ってたよね?」

「その魔物さん、なんか知ってるかもね」

皆の注目が指輪に集まる。

「明日、学校、どうしよう、この指輪抜けないんだよね」

阿美は左手にしっかりとはまった指輪を触る。

「魔物系の情報収取もしないと。前はあんまりいなかったんだけどね、魔物っぽいの。増えてるのかなぁ」

玲子が山田のPCを触ると、これまでの活動履歴が現れた。

「ね」

玲子が画面をスクロールさせながら、

「ゴブリンか魚のお化けみたいなのか、大きなカエルか、みたいな3択だったんだけど…ドラゴンかぁ、スケール大きくなったなぁ」

と少しうれしそうに笑った。

ドラゴンというファンタジーな生き物が出たことで、何やら全員が浮かれている。しかし、ハムスターのフクだけは複雑な顔をしている。

「おーい、湯冷めする。早くここから出せ!」

フクが叫んだ!

「なめてんじゃねーぞ」

たしかに。ドラゴンはお友達じゃなかった。それは戦って知ることになる。



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